退職金がないのは普通? 退職金なしの企業の割合と、老後の資金対策

公開

転職・退職後の生活資金として頼りになる退職金。しかし、いざ会社を退職することになって、退職金がないことにショックを受けた方もいるのではないでしょうか。

「退職金なし」の事情と老後の資金対策について詳しく調べました。

退職金なしってアリ?制度のない会社の割合は

どんな会社にも退職金制度はあって当たり前と考えている人もいますが、実は退職金の支払いは会社の義務ではありません。「退職金なし」でも会社としては問題ないのです。

実際にどのくらいの割合の会社に退職金がある/ないのでしょうか。

退職金制度のない会社の割合は7.2%

人事院の調査によると、50人以上の従業員がいる会社で退職金制度がないのは7.2%(不明と答えた企業は0.2%)。

全体の傾向としては、規模が大きくなるほど退職金制度が整備されている傾向にあります。退職金制度は、企業にとっては大きなコストとなるため、経営的な体力の低い小規模な企業では退職金制度を設けられないという事情があるようです。

従業員数に基づく退職金制度がある企業の割合。以下、従業員数:企業の割合。1,000以上:98.3%。500人以上1,000人未満:96.6%。100人以上500人未満:94.9%。50人以上100人未満:87.1%。なお合計は92.6%。

※出典:人事院「平成28年民間企業の勤務条件制度等調査

退職金を設けない会社は徐々に増えてきており、厚生労働省の「就労条件総合調査」では、2003年には86.7%だった企業の退職金制度導入率が、10年後の2013年には75.5%まで低下しています。

加えて労働者側からしても転職が普通のものとなっており、終身雇用でしっかり退職金をもらうのが当たり前、という感覚は変わってきているといえるでしょう。

退職金なしは違法ではない

退職金制度を設けていないことは違法にはなりません。法律には、「企業は退職金を払わなければいけない」という義務は定められていないからです。

退職金制度を設けている場合には、対象者や金額の計算方法について、就業規則に明記しなければならないことになっているので、自分の勤め先に退職金制度があるかどうかを知りたい場合は就業規則をチェックしてみましょう。

勤続年数が短すぎるともえらえないことも

退職金制度が設けられている会社でも、勤続年数が短すぎると退職金がもらえないこともあります。

「中小企業の賃金・退職金事情(東京都産業労働局)」によると、退職金がある企業669社のうち、最低3年以上勤めないと退職金が出ないという会社の割合は、自己都合退職で81.5%となっています。

転職活動を考えている人は、就業規則を確認して、退職金で損しないタイミングを選ぶのも賢明かもしれません。

退職金が受け取れる最低勤続年数(自己都合退職)を表した円グラフ。以下、勤続年数:割合(%)。1年未満:0.5。1年:15.7。2年:13.8。3年:50.5。4年:1.8。5年以上:8.1。その他:8.7。

退職金が受け取れる最低勤続年数(会社都合退職)を表した円グラフ。以下、勤続年数:割合(%)。1年未満:9.6。1年:26.2。2年:8.8。3年:28.3。4年:1.0。5年以上:5.1。その他:21.1。

※参考:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(平成28年版)

コラム:退職金なしの会社に転職して大丈夫?

退職金のない会社に転職することが決まった場合、不安に感じる方もいるかもしれませんが、老後の資金や転職後の生活は大丈夫なのかは自分の将来設計次第です。

例えば退職金なしの会社でも、給料が高ければ「ほかの会社が退職金にあてている資金が給料に含まれている」という考え方できます。

参考までに、新卒入社で定年まで勤めた場合、東京都産業労働局のモデル退職金は、高校卒で1,082万円、大学卒で1,138万円。この先勤める期間でそれだけの蓄えを作ることができるか、考えてみてもよいでしょう。

※出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(平成28年版)

退職金制度の仕組みを解説

多くの会社にある退職金ですが、いくつかの制度があります。一般的には、退職一時金か企業年金、またはその両方か、退職金共済という制度を利用していることが多くなっています。

企業規模別、退職給付金の傾向を表した表。以下、企業規模:一時金か年金か:積み立て方。大企業:一時金・年金の併用が多い:企業内の基金・企業型確定拠出年金・厚生年金基金など。中小企業:一時金が多い:退職金共済・企業型確定拠出年金・厚生年金基金など。

退職一時金制度と企業年金制度

退職一時金制度と企業年金(退職年金)制度の違いは、受け取り方にあります。

退職一時金の場合は、退職金を一括で全額受け取ります。つまり、数百~1千万円ほどのお金が一度に入ってくることになります。これに対し企業年金は、退職後に年3回、6回のように分割で受け取る方法です。

退職一時金と退職年金の違いを表した図。会社によっては退職一時金と企業年金を併用したり、選択したりすることも可能です。併用する場合は、退職金の一部だけを一時金として受け取り、残りを分割で受け取ることになります。

企業型確定拠出年金とは

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、企業が毎月の掛金を決めて運用をし、年金のための資産を形成する方法です。将来もらえる(払われる)額ではなく、掛金の額が決まっていることから「確定拠出」年金といわれます。

通常は会社が掛金を払いますが、従業員も同額まで合わせて掛金を拠出できる「マッチング拠出」と呼ばれる制度もあります。これは企業の規約で決めていれば利用できる制度ですが、取り決めがあるからといって従業員が必ず掛金を払わないといけない、というものではありません。

企業が自ら資産運用をする負担はありますが、将来の企業年金が増える可能性があるのがメリットです。

退職金共済とは

退職金共済とは、小規模の会社が退職金を積み立てる制度の1つです。大企業は資金力があるため1社で基金を設立したり、資産運用をしたりすることが可能ですが、規模の小さい企業では難しくなります。

そこで会社が独立行政法人の「中小企業退職金共済本部」と契約を結んで掛金を支払い、運用は任せる形の退職金共済を利用していることがあります。退職後は、従業員が自分で本部に請求し、退職金を受け取ります(請求書は会社から渡されます)。

退職金なしの場合、老後の資金は?

最近では、退職金の額が減少していたり、退職金制度を設けていない会社が増えていたりする傾向にあります。退職金がもらえない働き方をしている場合は、退職金のある会社に転職を検討したり、貯蓄などで老後の資金を貯めるなどまとまったお金を準備する「作戦」を考えておきましょう

退職金の代わりとなる手段

貯蓄

基本的な方法ですが、毎月の給料やボーナスからお金を貯めていきます。老後の資金とまではいかなくても、普段から意識している方も多いのではないでしょうか。

国民生活基礎調査(平成25年)」によれば、単身世帯の平均貯蓄額は741万円、夫婦のみの世帯では1,414万円、核家族では1,088万円となっています。例えば夫婦でそれぞれ毎月3万円(合計6万円)の貯金をすると、20年で1,440万円貯めることができます。

保険

掛け捨て型ではなく積立型の保険や、解約時に払い戻しがある保険の活用の仕方次第では、貯蓄を増やしていくことも可能です。家庭や子どもに関わる支出を踏まえ、プランをよく確認したうえで、必要な保険を選ぶようにしましょう。

私的年金

公的年金だけでは生活が不安な場合に、年金としてもっと多くの収入が得られるよう、個人型確定拠出年金や国民年金基金(※国民年金とは異なります)、保険会社の年金保険などを利用する方法です。

資金力ある会社に転職する

貯蓄の計画を考えても、やはり収入が多いに越したことはない! という方は、収入面で安心できる企業への転職を考えるのもよいでしょう。基本給は同じでも、家賃補助が多い・社宅があるなど住居費のサポートがしっかりしている、役職や資格に応じた手当が厚い、などの場合は収入がアップします。

ただし、転職は収入面だけで決められるものではありませんから、行動に移す際は慎重に考えましょう。

まとめ

退職金なしの会社は、7.2%と案外少ないようです。とはいえ退職金が老後の保障をしてくれる時代は終わりつつあります。自分の将来はしっかり自分で考え、今から準備しておきましょう。

  • HOME
  • 退職金なしは普通? 割合は? 老後の資金対策の方法も紹介