勤続年数・退職理由別に解説 2023年更新:退職金の相場額まとめ

退職金相場額の最新データを、勤続年数・退職理由・学歴別にまとめました。

定年前の退職、定年退職、早期退職すべてのデータを紹介しています。

【勤続年数別】退職金の相場額

まずは、勤続年数別のデータからみていきましょう。大企業(※1)と中小企業(※2)それぞれの退職金相場額(大学卒)を紹介します。

大企業に勤めている場合

【大企業/退職金の相場額(大学卒/事務・技術労働者、総合職相当)<勤続年数/自己都合退職(万円)/会社都合退職(万円)>3年(25歳)/32/69|5年(27歳)/59/118|10年(32歳)/180/310|15年(37歳)/387/578|20年(42歳)/727/953|25年(47歳)/1143/1394|30年(52歳)/1707/1915|35年(57歳)/2163/2365|38年(60歳)/2269/2528

※参考:
厚生労働省「令和3年賃金事情等総合調査」

厚生労働省の調査によると、大企業に5年間勤めた場合の退職金相場は、自己都合退職なら59万円会社都合退職なら118万円となっています。

自己都合退職とは、転職や病気・怪我、ライフステージの変化など、自らの意志で退職をすること。一方、会社都合退職は、会社の倒産や解雇など、会社側の都合で退職することを指します。

会社都合退職のほうが退職金の相場は高めとなっていますが、転職などで入社数年後に自己都合退職したとしても、ある程度の退職金は受け取れる可能性があることがわかります

中小企業に勤めている場合

【中小企業/退職金の相場額(大学卒)<勤続年数/自己都合退職(万円)/会社都合退職(万円)>3年(25歳)/24/34|5年(27歳)/47/64|10年(32歳)/112/150|15年(37歳)/213/266|20年(42歳)/343/415|25年(47歳)/491/578|30年(52歳)/654/754|33年(55歳)/776/876|定年退職/―/1092

※参考:
東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」

東京都産業労働局の調査によると、中小企業に5年間勤めた場合の退職金相場は、自己都合退職なら47万円会社都合退職なら64万円でした。

やはり、中小企業の退職金は大企業と比べて全体的に低め。大企業では勤続年数が25年を超えたところで1,000万円の大台に乗りますが、中小企業は数百万円程度に留まっています。

※1…資本金5億円以上、労働者1,000人以上の企業を大企業としています。
※2…従業員が10~299人の企業を中小企業としています。業種によって基準が異なるため、くわしくは東京都産業労働局「中小企業の賃金事情」を確認してください。

コラム:早期退職に応募した場合の退職金は?

定年を迎える前に退職する早期退職制度

早期退職した場合にもらえる退職金の相場を、ほかの理由で退職した場合と比べてみました。

退職理由 退職金
早期優遇 2,326万円
自己都合退職 1,519万円
会社都合退職 2,156万円
定年退職 1,983万円

※参考:
厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」

厚生労働省の調査によると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者のうち、早期優遇(早期退職)をした人の退職金の相場は2,326万円でした。

この金額は、自己都合・会社都合退職や定年退職よりもやや高め。

会社によっては早期退職に応じると退職金の金額が上乗せされるケースもあるため、ほかの理由で退職する場合と比べて高水準の退職金を受け取れる可能性が高くなるようです。

▼早期退職について、くわしくはこちら

【定年退職】退職金の相場額

つづいては、定年退職した場合(※3)の退職金相場額を紹介します。

【定年退職/退職金の相場額(大学卒)】退職金|大企業:2564万円/中小企業/1092万円

※参考:
厚生労働省「令和3年賃金事情等総合調査」
東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」

厚生労働省と東京都産業労働局の調査によると、大学を卒業してから定年まで同じ企業に勤めた場合の退職金相場は、大企業だと2,564万円、中小企業だと1,092万円でした。

企業規模によって、退職金の相場は左右されることがわかります。

企業規模によって、退職金の相場は左右されることがわかります。

※3…定年退職時の年齢は、企業によって異なります。

コラム:退職金の相場は業種にも左右される!?

退職金の相場は企業規模だけではなく、勤めている企業の業種によっても異なります。

大学を卒業後、定年退職まで中小企業で働いた場合を例に、ランキングを作成しました。

業種名 退職金額
1位:金融業・保険業 1,442万円
2位:運輸業・郵便業 1,332万円
3位:教育・学習支援業(学校教育を除く) 1,245万円
4位:建設業 1,220万円
5位:情報通信業 1,193万円
6位:卸売業・小売業 1,133万円
7位:製造業 1,069万円
8位:不動産業・物品賃貸業 1,013万円
9位:学術研究、専門・技術サービス業 965万円
10位:サービス業(他に分類されないもの) 904万円
11位:生活関連サービス業・娯楽業 847万円
12位:医療・福祉 342万円
宿泊業・飲食サービス業 集計数が少ないためデータなし

※参考:
東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」

東京都産業労働局の調査によると、調査対象としている業種のうち、最も退職金の相場が高いのは金融業・保険業で1,442万円でした。

反対に最も低いのは、医療・福祉で342万円。業種によって、相場額に4倍以上の差が開く場合もあるとわかります。

【高卒】退職金の相場額

ここまでは大学卒の相場を紹介してきましたが、高卒だとどのくらいの退職金を受け取れるのでしょうか。

大企業・中小企業それぞれの平均額をまとめました。

大企業に勤めている場合

【大企業/退職金の相場額(高校卒/事務・技術労働者、総合職相当)】<勤続年数/自己都合退職(万円)/会社都合退職(万円)>3年(21歳)/31/52|5年(23歳)/52/89|10年(28歳)/138/214|15年(33歳)/289/404|20年(38歳)/557/665|25年(43歳)/863/1005|30年(48歳)/1197/1368|35年(53歳)/1546/1669|42年(60歳)/1679/1925

※参考:
厚生労働省「令和3年賃金事情等総合調査」

厚生労働省の調査によると、高卒で大企業に5年間勤めた場合の退職金相場は、自己都合退職なら52万円会社都合退職なら89万円となっています。

中小企業に勤めている場合

【中小企業/退職金の相場額(高卒)】<勤続年数/自己都合退職(万円)/会社都合退職(万円)>3年(321歳)/19/27|5年(23歳)/36/49|10年(28歳)/91/122|15年(33歳)/171/215|20年(38歳)/273/328|25年(43歳)/397/466|30年(48歳)/533/605|35年(53歳)/673/758|37年(55歳)/742/849

※参考:
東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」

東京都産業労働局の調査によると、高卒で中小企業に5年間勤めた場合の退職金相場は、自己都合退職なら36万円会社都合退職なら49万円となっています。

勤続35年で自己都合退職したときの退職金は、中小企業が673万円なのに対し、大企業はその2倍以上の1546万円。

同じ高卒という学歴でも、大企業と中小企業どちらに就職するかによって、退職金の相場額も大きく変わってくることがわかります。

コラム:大卒との退職金の差額は、最大で400万円超え

高卒と大学卒の退職金相場を比較したところ、大企業では最大で600万円以上の差が出る可能性があることがわかりました。

【大企業/高卒・大卒の退職金の差額】<勤続年数/高卒退職金額/大卒退職金額/差額>10年/高卒/138/大卒/180/42|20年/高卒/557/大卒/727/170|30年/高卒/1197/大卒/1707/510|35年/高卒/1546/大卒/2163/617|定年/高卒/1679/大卒/2269/590

※参考:
厚生労働省「令和3年賃金事情等総合調査」

大企業の場合、勤続10年で自己都合退職したときの退職金の差額は42万円。勤続年数が伸びるにつれて差額も大きくなり、勤続30年では510万円勤続35年では600万円の差が開いています。

【中小企業/高卒・大卒の退職金の差額】<勤続年数/高卒退職金額/大卒退職金額/差額>10年/高卒/91/大卒/112/21|20年/高卒/273/大卒/343/70|30年/高卒/533/大卒/654/121|35年/高卒/673/大卒/776/103|定年/高卒/―/大卒/―/―

※参考:
東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」

中小企業の場合は、勤続10年で自己都合退職したときの差額は21万円、勤続30年だと121万円の差額に。退職金の相場自体が低いため、大企業と比べると差額は小さくなっています。

大企業での差額は勤続年数35年でピークを迎え、その後は差が縮まっていく傾向です。また中小企業での差額は勤続30年でピークとなっています。

公務員の退職金は、民間とどのくらい違う?

最後に、公務員と民間の退職金相場にはどのくらい違いがあるのかを紹介します。

ここでは国家公務員の相場を紹介していますが、地方公務員も国家公務員に準じた退職金を受け取るのが基本となっています。

【国家公務員】退職金の相場額

【国家公務員/退職金の相場額】<勤続年数/自己都合退職/定年退職>5年未満/24/157|5年~9年/87/414|10年~14年/274/694|15年~19年/510/1139|20年~24年/898/1221|25年~29年/1343/1618|30年~34年/1671/1976|35年~39年/1923/2300|40年以上/2144/2235

※参考:
内閣人事局「令和3年度退職手当の支給状況」

内閣人事局の調査によると、勤続年数が5~9年で自己都合退職した国家公務員の退職金相場は、87万円でした。

勤続年数の区切りが違うため単純な比較はできませんが、大卒で民間の大企業に5年間勤めた場合の相場は59万円、10年間勤めた場合は180万円なので、勤続年数が短いうちは民間企業と公務員でそこまで大きな差は開かないといえるでしょう。

定年退職なら、民間のほうが高い

【定年退職 /公務員・民間の退職金の相場額】国家公務員:2300万円/民間企業:2564万円

定年退職した場合の退職金相場を、国家公務員(勤続年数35~39年。大学卒業後、60歳で定年を迎える想定)と民間企業(大企業の金額。年齢は企業によって異なる)で比較したところ、民間企業のほうが200万円以上高いという結果になりました。

「公務員は安定しているから、退職金も高くなりそう」といったイメージがあるかもしれませんが、就職する企業の規模によっては、民間企業のほうが高額の退職金を受け取れる可能性があるようです。

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