この場合、支払われる? 採用面接「交通費」のリアル
面接地が遠かったり、応募企業が多かったりすると、無視できなくなるのが「交通費」。この記事では、交通費が支給されるケースや受け取り方、支給の有無を確認する方法をご紹介します。
採用面接の交通費は「自己負担」が一般的
残念ながら「原則、面接交通費は自己負担」というケースが一般的です。ただし、次のようなケースでは、企業からの厚意で交通費が支払われる場合があります。
支給されやすい2つのケース
最終面接など、選考が進んだ場合
選考が進み、応募者の人数が減った段階から交通費が支給されるケースがあります。企業側としては「ぜひ入社してほしい」と伝える意味も込め、支給しているようです。最終面接や、早ければ二次面接から支給される企業も多いので、一次面接で支給されなかった場合も肩を落とさないでください。
面接地から離れた場所に住んでいる場合
新幹線や飛行機を使って面接地に行くような、遠方に住んでいる応募者に該当するケースです。この場合は、早ければ一次面接から交通費が支給されるのが特徴。加えて、面接地と最寄り駅が離れている企業は特に、積極的に交通費を支給しているようです。
3つの支給パターン
交通費が支払われる場合も、全額支給されるのはレアケース。一般的に、下記3パターンのいずれかで支給されます。
全額支給
自宅から面接地までの往復交通費が支給されます。応募先企業の規定にもよりますが、電車はもちろん、新幹線や飛行機代、バス代まで支給されるのが特徴です。ただし、かかった費用(実費)を申請して受け取る場合と、企業側で計算した最短ルートの費用が支払われる場合があるので、注意しましょう。
一律支給
「一律1000円支給」といった形で、面接地までの距離に関わらず、応募者全員に同一の金額が支払われます。現金のほか、クオカード等の金券で支給されることがあるのも特徴です。
一部支給
「1万円まで支給(超過分は自己負担)」といった上限があるケースや、「飛行機代のみ支給」といった条件付きのケースが該当します。企業ごとに条件が異なるので、注意が必要です。
※面接交通費が支給される場合、面接当日に「領収書・印鑑」が求められることがあります。この記事の『面接交通費の受け取り方|必要な持ち物は?』も確認して、スムーズに受け取る準備をしておきましょう。
合否に響かない、面接交通費の確認方法
交通費について、企業の担当者や面接官に直接確認するのは、「支払って当然」という印象を与えることにも繋がり、失礼にあたります。とはいえ、お金に関わる重要な内容だからこそ、確かめておきたいもの。ここでは、合否に影響しない形で確認する方法をお伝えします。
「直接質問しない」のがベター
どうしても知りたい場合でも、メールや電話等で直接問い合わせるのは控えましょう。その代わり、下記にある方法を活用すれば、失礼のない形で確認可能です。
どうやって確認するのが正解?
まずは求人票を確認
選考・面接に関する欄を確認しましょう。応募者の自己負担が一般的だからこそ、交通費支給は企業側にとっても絶好のアピールポイント。PRの一環として、求人票に明記しているケースは少なくありません。
間接的に、企業の担当者に聞く方法も
たとえば「面接当日の持ち物確認」を通して確認する方法があります。「当日、印鑑は必要ですか?」といった、交通費の受け取りに必要な持ち物に関する質問をしてみましょう。もし必要だと返事があれば、当日に交通費が支払われる可能性があります。
転職エージェント(人材紹介会社)を活用しよう
一番確実なのは、転職エージェントから企業担当者に確認をとってもらう方法です。第三者として確認してもらえるだけでなく、交通費が支給されるという「裏情報」を把握している場合も多々あります。もし転職エージェントサービスを利用しているなら、活用しない手はありません。
面接交通費の受け取り方|必要な持ち物は?
ここでは、交通費の受け取り時に最低限必要なものをご紹介します。支給される場合は、面接当日に手続きを済ませるケースが一般的です。持ち物が必須ではないこともありますが、スムーズに受け取るためにも準備しておきましょう。
領収書・印鑑を持ち歩くと安心
用意する持ち物は「領収書」「印鑑」の2点でOKです。
領収書は、自分の交通経路・費用の証明に使います。特に新幹線・飛行機など、経路が特殊な場合に提出を求められることが一般的。下表のように、各種交通機関の窓口等で入手できるので、宛名を「自分の名前」でもらっておきましょう。
なお、路線バスや近距離の電車移動の場合は、領収書が不要なことが一般的。念のため、支給されることが分かった時点で、領収書が必要か担当者に確認しておくと安心できます。
また印鑑は、交通費の受け取り後に受領印を押すために使います。100円で購入できる三文判でもいいですが、朱肉を使うタイプを用意すると丁寧な印象を与えられるでしょう。
面接後のお礼も忘れずに
面接後の印象を良くするためにも、お礼は必ずしておきましょう。面接当日か翌日までに、面接のお礼メールに追記する形で企業の担当者へ気持ちを伝えられるとベストです。自己負担が一般的ななか、応募者を気遣っていることへの感謝を伝えるため、下記のような文章を送付しておきましょう。
株式会社○○○
人事部 △△様
[氏名]と申します。
本日はご多忙な中、面接の機会を賜り、誠にありがとうございました。
○○様のお話を伺うことで、貴社のビジョンや、アグレッシブな経営方針を
より深く理解することができ、ますます貴社で仕事をしたいという気持ちが強くなりました。
(中略)
また、本日は交通費をご支給いただき、誠にありがとうございました。
重ねて御礼申し上げます。
ご面接いただきました○○様に、くれぐれもよろしくお伝えくださいませ。
末筆ながら、面接のお礼を申し上げますとともに、貴社のご発展と社員皆様のご多幸をお祈りいたします。
面接交通費に関する、よくある質問5選
交通手段は、何を使ってもいいの?
指定されたものがベスト。自由な場合も、常識的な交通手段で。
指示がない場合、最短経路かつ普通運賃で移動するようにしましょう。近距離の場合、タクシー代や特急料金は、指定がない限り支給されないと考えてください。
また、交通費の水増し請求や虚偽の報告は絶対にやめましょう。領収書の提出時に発覚しますし、不正発覚後に内定取り消しになる可能性もあります。
支給されやすい企業や職業って、あるの?
面接地が地方都市・郊外にある企業は、支給されやすい傾向も。
面接地から遠くに住んでいる応募者だと、交通費が支払われるケースがあるのは先述の通り。その中でも、地方都市や郊外に工場・事業所を持つことが多い製造業等の募集では、交通費が支給されやすい傾向があります。
「最寄り駅からタクシーを使わないと行けない距離だから」「交通費を払ってでも、全国から優秀な人材を集めたいから」といった理由で、交通費を支払っているようです。
「交通費が支給されたら、内定が出やすい」って本当?
入社してもらいたい人材に、特別に支払うケースもあります。
必ず内定が出るとは言い切れませんが、入社してもらいたい人材に交通費を支払う傾向があります。「最終面接に進んだ人材には、交通費を支払う」というのも、その例の1つです。転職Hacksが複数の転職サイトを調べたところ、交通費を支給する企業の大半は、最終面接だけ交通費を支給するパターンでした。
とはいえ、面接が終わるまで油断は禁物。これまでの選考と同じく、受け答えの事前準備等を行って面接に備えましょう。
交通費をもらった後で、内定辞退してもOK?
内定辞退は求職者の自由。交通費の返納も必要ないが、注意が必要なケースも。
交通費は、選考結果と関係なく支給されるもの。そのため「受け取り後に内定辞退してはならない」と制限されることはありません。また、内定辞退後に交通費の返納を迫られても、対応する必要は無いとされています。
ただし「次回面接時の交通費」を先払いされ、面接前に選考を辞退した場合は、返納しなければならない可能性も。交通費を受け取る際は、どのタイミングの交通費として支給されたものなのかを把握しておきましょう。
学生だし、複数社応募するから、出費はできるだけ抑えたい…。
スケジュールの組み方がポイント!面接日程はコンパクトに。
近場の面接日程は、できるだけまとめるのがポイントです。交通費や宿泊費が最小限になるように活動拠点を決めて、近場の企業へ面接の日程調整を依頼しましょう。
コラム:遠くに住む応募者に優しい取り組みも
面接地から離れた場所に住んでいる方は、交通費・移動時間ともに負担が大きいもの。そんな方々の救済策として近年注目されているのが、電話やビデオチャットを使った面接です。PC・スマホさえあれば場所を問わず面接に臨めるため、金銭面の負担軽減はもちろん、地域の壁を超えて転職活動するための手段としても受け入れられています。
さらに最近では、AIを活用した面接を導入する企業も登場。転職活動の際には、こうした面接が導入されているか求人票等で確認しておくと、転職先の選択肢が広がりますよ。
まとめ
採用面接の交通費は、支給されないケースが大半。支給されるか確認する際には、転職エージェント等を活用して、間接的に確認するのがベターです。
企業からの厚意で交通費を受け取れることになったら、領収書・印鑑は忘れずに用意しておきましょう。支給の有無を事前に確認できなかった場合も、念のため用意しておくと安心できますよ。