例文つきで解説 履歴書でのボランティア経験の書き方
「履歴書にボランティア経験について書きたい!でも書き方がわからない」「ボランティアってそもそも何?」
こんなお悩みを抱えている方々に、履歴書でのボランティア経験の書き方について、例文つきで解説します。
履歴書に書けるボランティアとは?
能力や人柄が伝われば、どんな内容でもOK
履歴書に書けるボランティアには、以下のようなものがあります。
- 震災地の瓦礫撤去作業
- 発展途上国の生活支援や英語教育
- 地元の小学生の学習補助や読み聞かせ
- 住んでいる街のゴミ拾い
- 環境保護のための募金活動
- 介護施設でのレクリエーション企画
ボランティアと一口に言っても、その内容や規模は様々です。しかし履歴書において、ボランティアの内容や規模を問われることはありません。
見られているのは活動の中で何を考えどんな行動をとったのかという【行動のプロセス】や、その際に発揮された【能力】や【人柄】です。そしてそれらの項目が、企業の求める人物像に合っているかどうかを判断されます。
書いて良いのか見極めるポイントは2つ
履歴書にボランティア経験について書く場合、以下の2つのポイントをおさえているものを選びましょう。
主体的に考え行動したかどうか
一点目に、履歴書に書くボランティアは、試行錯誤や創意工夫を行ったものが良いでしょう。受動的な行動や思いつきの行動では【行動のプロセス】が説明しにくく、説得力のある【能力】や【人柄】をアピールすることができません。
「私には〇〇の能力が備わっている」とアピールするためにも、【行動のプロセス】が詳細に語れるものを選びましょう。
個人ではなく集団で行ったかどうか
二点目に、どんなボランティアであれ、他者と関わり合いながら行ったものが良いでしょう。企業は複数の社員からなる組織です。どんなに優秀な人材だとしても、集団の中で能力を発揮できなければ意味がありません。
「私は集団の中で周囲と協力しながら、〇〇の能力を発揮できる」とアピールするためにも、個人ではなく集団で行った活動がベターです。
書くのが難しい例
こうした2つのポイントに照らし合わせると、以下のようなボランティアは、自身の【能力】や【人柄】をアピールする内容として少し弱いかもしれません。
- 年に数回行っている献血(個人的な行動)
- 職場や学校の行事として行った、街の清掃活動(受動的な行動)
- 何となく参加した老人ホームのお手伝い(思いつきの行動)
- 週末にやる家の前の私道の掃き掃除(個人的な行動)
- よく行く公園にいる猫の餌やり(個人的な行動)
ボランティア経験について書ける欄は3つ
履歴書の中で、ボランティアの経験について書ける欄は以下の3つです。
ボランティアの経験についてどの程度アピールしたいのかによって、書く欄を決めましょう。
またボランティアは仕事ではないので、職歴欄に書くのはNGです。
【自己PR】欄
企業の求める【能力】や【人柄】を最も効果的に伝えられるエピソードがボランティア経験の中にある場合、【自己PR】欄に書きましょう。
履歴書の中でも比較的大きなスペースを占め、企業もかなり重視している項目です。
【課外活動】欄
自己PR欄には他のことを書きたいけれど、ボランティア経験についてもしっかり知ってもらいたい場合には、【課外活動】欄に書きましょう。
【趣味・特技】欄
他の項目は埋まったが、日々行っているボランティアについてもアピールしておきたい場合、【趣味・特技】欄が良いでしょう。
【自己PR】欄でのボランティア経験の書き方
例文と構成のポイント
自己PRの構成ポイントを例文とともにご紹介します。
参照しながら実際にボランティアの経験について書いてみましょう。
児童館での絵本の読み聞かせ
[1]私の強みは問題解決能力です。
私は[2]児童の考えや教育現場の実態を知ろうと、[3]児童館での絵本の読み聞かせを1年間続けています。
はじめは児童館の棚から絵本を選んでいましたが、ある児童から「前も読んだことがある」という指摘があり、確認すると、[4]1年以上新しい絵本が購入されていないことがわかりました。
そこで私は図書館で最新の絵本を借りるとともに、打ち合わせで蔵書を増やせないのか提案しました。はじめは却下されましたが、児童の声や要望を伝え、交渉を粘り強く行った結果、[5]新しい絵本の購入が決まりました。
[6]このように課題を見つけ、解決策を模索し行動できる力は、貴社の業務においても役立てられると考えています。(292文字)
1アピールしたい能力
【アピールしたい能力】を結論として最初に述べましょう。企業研究をすると、企業の求める人物像や、その企業で働く上で必要となる能力がわかります。企業によって求められる【能力】は異なるので、それぞれの企業に合ったものを選びましょう。
2始めたきっかけ・動機
ボランティアをどうして始めたのか、きっかけを述べましょう。「なんとなく」や「たまたま」ではなく、説得力のある動機があるとより良いでしょう。
3活動内容
どんなボランティアをしたのか、活動内容を述べましょう。前提知識がない採用担当にもきちんと伝わるように、なるべく平易な言葉で簡潔にまとめましょう。
4見つかった課題と、それに対する行動
活動を通して見つかった課題と、その課題を解決するべくどんな行動をとったのかという【行動のプロセス】を述べましょう。物事に対する【主体性】とともに、【能力】や【人柄】をアピールできる最も重要な構成要素だと言えます。行動を起こす上で、最初にアピールした能力が発揮されたことを述べましょう。
5結果
行動の結果を述べます。自分の行動によって課題が解決・改善されたことを伝えましょう。成果を具体的な数字で表すとより説得力が増し、良いでしょう。
6まとめ・意気込み
再度【アピールしたい能力】を強調し、その能力をどのようにして仕事に活かしていくのかを述べます。必須ではありませんが、実際の職種や業務内容に触れることができれば、きちんと企業や仕事内容について理解していることが伝わり好印象です。
活動内容別の例文3選
構成のポイントさえ押さえてしまえば魅力的な自己PRをつくることができます。参考までに、他のシチュエーションでの例文を3つご紹介します。
地元の公園の美化活動
私の強みは発想力です。
私は一年前から地元の美化活動に参加しています。公園のゴミ拾いや水拭きが主な活動内容ですが、どんなにきれいにしたとしても、しばらくするとまたゴミが落ちています。
そこで私は持ち前の発想力を発揮し、公園の利用者に「きれいな公園を保ちたい」と思ってもらえないかと考えました。そして公園での花の栽培、小学生の図画工作作品の展示、遊具のペンキ塗り替えなどによる全体的な公園の美化をメンバーに提案しました。
行政の問題で実現できないことが多かったものの、役所の方から定期的な意見聴取の場を設けて頂くことに繋がりました。この経験で発揮された発想力を武器に、貴社の戦略部門で活躍したいです。(296文字)
海外ボランティア
私の強みは逆境に立ち向かうタフネスです。
私は去年、ボランティアで3週間タイに訪れました。しかし私はもともと英語が苦手で、海外旅行の経験さえありませんでした。また年齢差のある人との会話が苦手で、現地の子供たちとの交流にも不安がありました。
それでもあえて参加を決意し、持ち前のタフネスで苦手を克服しました。英語の勉強を1日3時間行い、TOEICの点数を300点向上させました。現地では自ら子供たちに笑顔で話しかけた結果、帰国の際には「あなたが帰るのは悲しい」と声をかけてもらうことができ、今でも手紙の交換を続けています。
こうした苦手を克服するべく努力できるタフネスは、仕事をする上でも役立つと考えています。(295文字)
森林保全のボランティア
私の強みは「働きかけ力」です。
私は学生時代、講義で学んだ森林伐採による環境破壊について詳しく知ろうと、1週間の森林保護ボランティアに参加しました。
しかし活動の運営上、参加者同士の交流や意見交換の機会がほとんどありませんでした。そこで私は活動の合間を縫って他の参加者全員に声をかけ、総勢10人で活動の振り返りや食事を行う共有の時間をつくりました。
その結果、参加者の主体性やモチベーションが向上し、トレーナーの方にも「今回のチームはやる気があって仕事が早いから、より充実した作業ができた」と言って頂けました。
私はこのように、周囲を巻き込み良好な関係性を築きながら、業務を円滑に行うことができると考えています。(300文字)
提出前に確認したい3つの注意点
ボランティア精神を強調しすぎていませんか?
ボランティアの経験を元に自己PRを書こうとすると、いかに自己犠牲を厭わず、社会貢献ができるかといった、「ボランティア精神」を強くアピールしがちです。
無償で利他的に行動できる精神はとても素晴らしいものですが、企業は利益を追求する組織です。あまりにもボランティア精神を強調してしまうと、働く姿勢について疑問を抱かれかねません。ボランティア精神ではなく、活動の中で発揮される【能力】や【人柄】についてアピールしましょう。
ライバルとの差別化はできていますか?
数ある履歴書の中から選ばれるためには、ライバルとの差別化が必要です。差別化のポイントは【自分らしい能力や人柄が書かれているかどうか】、【論理的な構成でわかりやすく書かれているかどうか】です。
活動内容やその結果ばかり書いていませんか?支離滅裂な論理展開、ややこしい表現になっていませんか?書いた文章をもう一度読み直しましょう。
自分の能力や人柄が最も伝わるのは、本当にボランティア経験ですか?
冒頭でも触れましたが、履歴書では活動の内容や規模は重視されません。限られたスペースの中で、自分の【能力】や【人柄】を最大限アピールすることが大切です。
アピールしたい能力や人柄が最もよく表れているのは、本当にボランティア経験でしょうか?これまでの経験をもう一度振り返って、より適した経験がないか確認しましょう。
【課外活動】【趣味・特技】欄でのボランティア経験の書き方
【自己PR】以外の欄にボランティア経験を書く際の例文と構成のポイントを紹介します。
【課外活動】欄や【趣味・特技】欄はスペースが小さいので、簡潔にまとめることが大切です。
【課外活動】欄に書く場合
【課外活動】欄に書く場合は【活動内容】、【役割】、【アピールしたい能力】を短くまとめましょう。【始めたきっかけ】、【課題】といったその他の内容は、面接で聞かれた際に答えられるように整理しておきましょう。
【趣味・特技】欄に書く場合
【趣味・特技】欄は一行ほどしかスペースがない場合が多いので、一言で【活動内容】がわかるように書きましょう。補足としてカッコ書きを使うのも良いでしょう。この場合も同様に、面接で聞かれた際に詳細に語れるように準備しておきましょう。
ボランティア経験がない場合の書き方
ボランティア経験がない場合の書き方について、2つパターンをご紹介します。
設問が【ボランティア活動】に限定されている場合
あまり多くはありませんが、履歴書によっては、ボランティアや社会貢献活動に関する項目が特別に設けられている場合があります。
こうした活動経験がない場合は、正直に【特になし】と記入しましょう。空欄のまま提出した場合、記入漏れと判断される可能性もあるのでNGです。
また、嘘を書くのは絶対にやめましょう。万が一面接で聞かれた場合、うまく答えられなければかえって印象が悪くなってしまいます。
設問に【課外活動】という文言がある場合
【ボランティア・その他課外活動等】のように、設問の中に「課外活動」や「その他活動」といった文言がある場合、ボランティアに限らずスポーツや部活、サークルなど、学業や業務以外の活動であれば幅広く書くことができます。もう一度履歴書の設問を見返してみましょう。
コラム:教員採用試験ではボランティア経験が有利になる?
ボランティアについて特別に問われる履歴書はそう多くはありません。しかし教職員や公務員といった職種では、履歴書や面接にて聞かれることが少なくありません。
実際に2018年3月には、日本経済新聞に以下の記事が掲載されました。
大阪市では経済的に恵まれない子供たちの学習支援ボランティアへの参加を促進することで、こうした子供たちを社会全体で支える仕組みづくりを目指しています。その施策のひとつとして、大阪市の教員採用試験では、指定されたボランティアの経験があると加点されます。
大阪市に限らず、公務員の採用においても、履歴書や面接でボランティア経験について問われることがあります。ボランティアの経験が無いからといって選考が不利になることはありませんが、もしもまだ時間があれば、参加を検討してみるのも良いかもしれません。
まとめ
ここまでボランティアに関する履歴書の書き方や注意点などを解説してきました。どんな形式であれ、採用担当者にとって魅力的でわかりやすいように書かなくてはいけません。
アピールしたい能力や人柄が、きちんと伝わる文章になっていますか?ご紹介した構成のポイントや注意点を参考にしながら、魅力的な履歴書をつくってくださいね。