月給制との違いや残業代も 月給日給制とは?休むと減給!?

給与形態には、「月給日給制」というものがあります。

この記事では、月給日給制の仕組みやメリット、給与計算の仕方や注意点をお伝えします。

月給日給制とは

まずは、月給日給制の詳しい内容と、メリットについてご紹介します。

月給日給制は給与形態の1つ

月給日給制とは、あらかじめ定められた月給があり、欠勤・遅刻・早退などがあると、それぞれに相当する金額が差し引かれて月給として支給される給与形態です。

給与形態には、その他に日給制、日給月給制、完全月給制などがあり、違いは以下の通りです。なお、金額は社会保険料や税金が差し引かれる前の額面です。

 日給制 出勤した日の給与のみ支給される。

会社が定めた休日やカレンダーによって働く日数が変わってくるため、それに伴って給料が毎月変わることが多い。

 日給月給制 日給が決まっており、働いた日数分の給与が支給される

(例)日給1万円の場合、20日働いた月は20万円支給される。19日働いた月は19万円、21日働いた月は21万円支給される。

 月給日給制 月給が決まっており、欠勤した日の給与を減給される。月単位で支払われる手当(通勤手当、役職手当など)がある場合、減給対象に含まれるか含まれないかは会社によって異なる。

(例)月給20万円の場合、1日も休まなければその月の給料は20万円。1日欠勤した場合は、あらかじめ決められた1日分の欠勤控除額を月給から引いて支給される。

 完全月給制 月給が決まっており、欠勤による減給はない

(例)月給20万円の場合、欠勤してもその月の給料は20万円。

どの制度を導入するかは企業にゆだねられていますが、実態としては月給日給制を導入している企業が多いといわれています。

※参照:平成22年就労条件総合調査結果の概況 3.賃金制度-厚生労働省

コラム:有給休暇は欠勤扱いにならない

有給休暇は一定の勤続が経過することによって当然に生じるものであり、給与形態とは関係なく取ることができます。つまり、月給日給制でも有給休暇を取得した日は欠勤扱いとならず、賃金は差し引かれません。

取得できる有給の日数は、週5日勤務の場合は以下の表のとおりです。

働き始めた日から数えた勤続期間:与えられる有給休暇の日数。6ヶ月:10日。1年6ヶ月:11日。2年6ヶ月:12日。3年6ヶ月:14日。4年6ヶ月:16日。5年6ヶ月:18日。6年6ヶ月以上:20日。

※有給休暇のルールについて詳しくは→年次有給休暇にまつわる知識のすべて

月給日給制のメリット

月給日給制のメリットは、歴日数に左右されずに月額給与が一定していることです。収入の見通しが立つので、旅行や買い物などの計画も立てやすくなります。

給与形態は就業規則か雇用契約書で確認しよう

自分の給与形態が4つのうちどれか気になったら、就業規則の賃金(給与)規定の項か、雇用契約書を確認しましょう。

就業規則とは、賃金や時間などの労働条件についてその企業ごとに定めたものです。

その中で、月給日給制や日給月給制といった用語は使われてないかもしれません。そんな場合でも、「どのように給与を計算するのか」「どのような時に減給されるのか」ということについては、トラブル防止のためにも確認しておきましょう。

なお、月給制や月給日給制で採用されていても、試用期間は日給月給制になる場合もあります。試用期間中の給与形態も忘れず確認しましょう。

欠勤した際の給与計算方法

月給日給制で欠勤した場合、いくら分の給与が差し引かれる(控除される)のでしょうか? 計算方法を詳しく見ていきましょう。

月給日給制の欠勤控除の計算方法

欠勤した場合に差し引かれる金額の計算方法は下記の通りです。自分の給与と欠勤日数、遅刻・早退した時間を当てはめて計算してください。

※この場合の欠勤は1日まるまる休みの場合だけでなく、遅刻や早退で数時間だけ休んだ場合も含みます。

休んだ場合に差し引かれる金額=時給×欠勤・遅刻・早退した時間

時給=日給÷1日の所定労働時間

日給=月給×12ヶ月÷年間所定労働日数

例えば月給22万円、年間所定労働日数245日、1日の労働時間8時間の人が終業時間の3時間前に早退した場合で考えてみましょう。

休んだ場合に差し引かれる金額=時給×欠勤した時間

=(日給÷1日の所定労働時間)×3時間

=(月給×12ヶ月÷年間所定労働日数÷1日の所定労働時間)×3時間

=(<22万円×12ヶ月÷245日>÷8時間)×3時間

=(<10,775.51…の小数点以下切り捨て>÷8時間)×3時間

=(1万775円÷8時間)×3時間

=1,346円×3時間

=4,041円

よってこの場合に差し引かれる金額は、4,041円と算出できます。また、1日欠勤した場合は1万775円、1時間遅刻したのなら1,346円差し引かれることもわかります。

給与計算はノーワークノーペイの原則に基づく

月給日給制の給与の計算は、ノーワークノーペイの原則に基づいています。

ノーワークノーペイの原則とは、労働者が欠勤や遅刻で仕事をしなかった日や時間について、事業主にその分の賃金を支払う義務は発生しない、ということを意味します。

そのため、欠勤した時間分の給与・手当は月給から差し引かれることになるのです。なお、1円に満たない端数分の賃金額および割増賃金額については、50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上1円未満の端数は1円に切り上げるとされています。

月給日給制にまつわるQ&A

最後に、月給日給制にまつわる疑問にお答えします。

月給日給制でも残業代・割増賃金は支払われる?

月給日給制でも残業代・割り増し賃金は発生します。

残業代、休日出勤の割り増し賃金の計算式は下記の通りです。

【 残業手当 】

割増賃金は時給×1.25

時給1,000円であれば、

時給1,000円×残業手当1.25×1時間=1,250円

1時間残業した場合、1,250円支払われる。

【 休日手当 】

割増賃金は時給×1.35

時給1,000円であれば、

時給1,000円×休日手当1.35×8時間=1万800円 

1日休日出勤した場合、1万800円支払われる。

※残業手当の計算方法について詳しくは→正しい残業代の計算方法

月給日給制だと長期休暇の給料が支払われない?

年末年始やお盆など、月給日給制の長期休暇の給料については、企業がその日をもともと休みにしているか(公休扱いかどうか)によります。休みにしているのであれば、長期休暇になっても減給はされません。

企業カレンダーを確認し、祝日・年末年始・お盆が公休扱いかどうか確認しておきましょう。

まとめ

月給日給制とは、月給が決まっており、欠勤した場合には、その日数分の金額が差し引かれて支払われる給与制度です。

就業規則を確認して、自分の給与形態がどれに当たるのか、しっかり確認しておきましょう。

この記事の監修者

社会保険労務士

三角 達郎

三角社会保険労務士事務所

1972年福岡県生まれ。東京外国語大学卒業。総合電気メーカーにて海外営業、ベンチャー企業にて事業推進を経験後、外資系企業で採用・教育・制度企画・労務などを経験。人事責任者として「働きがいのある企業」(Great Place to Work)に5年連続ランクインさせる。
現在は社会保険労務士として、約20年の人事キャリアで培った経験を活かして、スタートアップ企業や外資系企業の人事課題の達成から労務管理面まで、きめ細やかにサポートを行っている。
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