具体的な手当についても紹介 福利厚生とは?

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▼福利厚生とは…?
会社が社員に支払う給料以外の報酬やサービスのこと。主に社員の健康や生活の質を向上させ、働くことへのモチベーションを高める狙いで導入されています。

この記事では、「福利厚生」の基本的な手当の内容と転職時のチェックポイントをご紹介します。

福利厚生とは

ここでは、福利厚生の定義と会社が用意している手当の種類について詳しく解説します。

福利厚生とは「会社が社員に支払う給与以外の報酬のこと」

福利厚生とは、会社が社員に支払う給料以外の報酬やサービスのこと馴染み深いものとしては、住宅手当や食事補助などが挙げられます。

主に社員の健康や生活の質を向上させ、働くことへのモチベーションを高める狙いで導入されています。

福利厚生は、企業側が用意することが法律で義務付けられている法定福利厚生」と、それ以外の「法定外福利厚生」の2種類に分けられます。

福利厚生の全体像の図表:「法定福利厚生」は、社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)や子ども・子育て拠出金。「法定外福利厚生」は、交通費、住宅手当・家賃補助、食事補助など。

以下ではそれぞれについて詳しく説明します。

【法定福利厚生】法律で決まっている社保や児童手当

「法定福利厚生」は、法律で企業の負担が義務付けられている福利厚生のことです。主に社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)のことを指し、会社が保険料の一部もしくは全額を支払ってくれています。

また、子ども・子育て拠出金(旧・児童手当拠出金)も法定福利厚生の1つ。直接手当が受けられるわけではありませんが、会社が厚生年金とともに年金機構に支払ってくれており、児童手当や子育て支援事業に活用されています。

法定福利厚生の対象者は正社員だけではなく、契約社員も含まれます。また、以下の条件をすべて満たせばパートやアルバイトでも対象となります。

■パートやアルバイトが社会保険に加入できる条件

  • 1週間の労働時間が20時間以上
  • 1か月の給与が8万8000円以上
  • 雇用期間が1年を超える見込み
  • 従業員数が501人以上、もしくは従業員数が500人以下で社会保険への加入について労使を結んでいる
  • 学生ではない

※社会保障制度について詳しくは→「社保完備」ってどういう意味?
※社会保険に加入できる条件について詳しくは→政府広報/パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象が広がっています。

【法定外福利厚生】会社が自由に決められる手当

「法定外福利厚生」とは、法定福利厚生以外の会社が自由に決められる手当のこと。現金支給の場合もあれば、現物で支給したり休暇制度として設けているところもあります。

法定外福利厚生は、会社が内容や対象者を自由に決められるため、契約社員は対象とならないケースも。その一方で、社員の家族やアルバイトでも利用できる企業もあるようです。派遣社員の場合は、雇用契約を結んでいる派遣会社の福利厚生が利用できます

代表的な法定外福利厚生は以下のとおりです。

■法定福利厚生の種類と手当の内容

種類

手当の内容

通勤

・交通費
・マイカー手当

住居

・住宅手当・家賃補助
・持家補助
・引越し補助
・社宅・社員寮

医療・健康

・健康診断
・人間ドック
・リフレッシュ休暇

育児・介護支援

・出産祝い金
・復職祝い金
・家族手当
・時短勤務制度・リモートワーク制度
・託児施設・介護施設

食事

・食事補助
・社員食堂

文化・体育・娯楽

・文化・体育・レクリエーション活動支援費
・運動施設
・保養所

自己啓発

・資格取得補助
・語学奨励金
・資格手当

慶弔・災害

・冠婚葬祭
・災害見舞金
・遺児育英年金

資産形成

・財形貯蓄
・個人年金への補助
・持株会

その他

・企業年金

以下では、多くの企業が設けている代表的な福利厚生を紹介します。

交通費

ほとんどの企業が福利厚生として用意している「交通費」。税制上では、ひと月あたり15万円以内なら非課税になります。アルバイトや日雇いの場合は支給されないこともありますが、法定外福利厚生なので違法ではありません。

住宅手当・家賃補助

「住宅手当」「家賃手当」は、独身の社員向けに支給されることが多い住宅関連の手当。会社によって規定はまちまちですが、「月2万円」、「家賃の10%」など一定額を支給される場合が多いでしょう。交通費とは異なり課税対象になります。

食事補助

昼食代として現金を支給する「食事補助(食事手当)」。社内に設けられた社員食堂も福利厚生の1つになります。最近では、自動販売機や冷蔵庫から低価格で商品を購入できるオフィスコンビニを導入する企業も増えています。

子育てに関する手当や制度

子育てに関する独自の手当や制度を用意している企業もあります。仕事と子育ての両立を図るために、独自の時短勤務制度や在宅ワークを推進している職場や、育休から復帰した際に一時金を支給したり、会社独自の託児所を用意しているところもあります。

文化・体育・レクリエーション活動支援

文化・体育・レクリエーション活動支援では、社内の部活動やクラブ活動への補助金の支給が一般的。従業員であれば使える運動施設や保養所も当てはまります。

福利厚生のアウトソーシングを利用する企業も多い

最近では、福利厚生のアウトソーシングサービス(外部委託サービス)を利用する企業が多くなっています。自前で多彩な福利厚生を用意するのが難しい中小企業に好評です。

アウトソーシングサービスでは、旅行やジム、育児・介護や家事代行の割引、映画観賞券の割引など、会社によって多彩な割引サービスを利用できます。

会社の負担を軽減したいという企業側の思惑もある一方、社員が自分のライフスタイルに合ったメニューを自由に選べる点がメリットです。

「カフェテリアプラン」を導入するところもある

企業の中には、福利厚生のアウトソーシング会社が提供するサービスを自由に選んで利用できる「カフェテリアプラン」という制度を導入しているところもあります。

カフェテリアプランとは、会社からもらった「福利厚生ポイント」を好きなサービスと変換して利用する仕組み。勤続年数や職能資格によって利用できるポイント数が変わるというものです。

コラム:企業の福利厚生負担額は過去最高に【2019年最新】

 日本経団連の報告によると、2018年度に企業が負担した福利厚生費は、社員1人あたり月平均で11万3556円となり過去最高を更新しました。「法定福利厚生」は、8万8188円で同じく過去最高。「法定外福利厚生」は2万5369円で2年ぶりに2万5000円台となりました。

2014年~2018年の福利厚生費用の推移の図表:2014年の福利厚生費用は10万8389円。2015年の福利厚生費用は10万627円。2016年の福利厚生費用は11万855円。2017年の福利厚生費用は10万8335円。2018年の福利厚生費用は11万3556円。かつては、会社が負担する費用の大きさから福利厚生費を抑える流れがありました。しかし、近年では、今後の労働力不足にともない優秀な社員を確保することが課題となっているため、魅力のある福利厚生をアピールする企業が増えてきています。

※参照:「2018年度福利厚生費調査結果の概要(日本経済団体連合会)」

福利厚生に関する転職・就職時のチェックポイント

ここでは、転職活動や就職活動時に見るべき福利厚生についての3つのチェックポイントを紹介します。

1|福利厚生が本当に利用できるかを確認しよう

求人を探す際や実際の選考では、福利厚生が本当に利用できるかを確認しましょう。福利厚生が充実していても、利用しにくい雰囲気の会社では意味がありません。

まずはどのような福利厚生を用意しているのかを、HPや求人票でチェックしてみましょう。選考中であれば、面接時に社員の福利厚生の利用状況について尋ねてみてもいいでしょう。

「有休消化状況」や「離職率」を参考にしてみるのもありです。上場企業であれば、東洋経済の就職四季報に掲載されています。ちなみに、2018年の厚生労働省の調査によると、年次有給休暇の平均付与日数は18.2日。実際の取得日は9.3日で、取得率は51.1%です。

2|高収入求人こそ福利厚生をチェックしよう

高収入の求人は、給料が高い一方で福利厚生が手薄なケースもあるので注意が必要です。福利厚生が充実している企業のほうが、給料やボーナスが平均的でも長い目で見るとお得かもしれません。

交通費一つとっても、福利厚生ではなく給料に含まれていたり、一部しか支給されなかったりと、会社によって対応は様々です。実際に入社する際は、求人情報の内容だけを鵜呑みにせず、内定後に受け取る労働契約書に問題がないかチェックしましょう。

3|住宅や食費に関する手当があるか確認しよう

住宅や食費などの固定費に対する福利厚生が充実しているかを、企業を選ぶ際のポイントにするのもいいでしょう。特に独身で収入が少なく、都心のオフィスに勤めるとなる人にとって、家賃や食費は大きな出費となるでしょう。

ただし、大前提として、企業を福利厚生の充実度だけで判断するのはNG。業務内容や給与など、重視したい条件に順位を付けた上で企業を選ぶことが大切です。

コラム:大企業と中小企業では福利厚生費葉に1万円以上の際

厚生労働省の調査によると、福利厚生費は従業員1000人以上の「大企業」では6万2491円、30人~100人未満を「中小企業」では4万5232円と、約1万7000円の差がありました。また、中小企業を含めた企業全体の福利厚生費の平均は5万4221円となっています。

大企業=福利厚生が充実しているイメージが強いですが、実際に中小企業よりも一人あたりが受けられる手当が手厚いようです。

参照:「平成28 年就労条件総合調査の概況(第19表 常用労働者1 人1か月平均法定福利費、第20表常用労働者1人1か月平均法定外福利費)(厚生労働省)」

福利厚生に特徴がある会社を徹底解剖!

働き方改革が進められる中、福利厚生が充実している企業にも注目が集まっています。ここでは福利厚生が特徴的な企業5社を紹介します。

「ヤフー」は最長2年の休職を許可

「ヤフー」は、専門知識の習得や語学勉強などのために最長2年間の休暇を取得できる「勉学休職制度」を設けています。このほかにも、社員の社会貢献に対する意識向上に取り組んでおり、ボランティアなどの課題解決につながる活動のために年3日取得できる「課題解決休暇」もあります。

※詳しくは→従業員との約束 – Zホールディングス株式会社

「グーグル」は社員食堂が無料

「グーグル」の東京都のオフィスには、無料の社員食堂があります。1日3食無料で、取引先や家族を招くことも可能です。社員食堂のイメージを覆すクオリティと豊富なメニューが特徴で、ピザを焼く窯や本格的なエスプレッソマシーンなども用意しているようです。

「サイボウズ」は退職後6年間は出戻りが可能

ソフトウェア開発を手掛ける「サイボウズ」は、退職後最長6年間は復帰が可能な「育自分休暇制度」を設けています。「いつでもチームに戻ってくることができる」という安心感のもと、新たな挑戦をしてもらうことが目的となっています。

※詳しくは→サイボウズ/ワークスタイル

「ネスレ」はペット同伴出勤を許可

「ネスレ日本」のドックフードなどを展開している部署では、社員がペットを連れて出勤できる「ペット同伴出勤」を導入しています。製品を利用する顧客を身近に感じながら仕事するために一役買っています。リラックスして仕事をすることができるという声もあるようです。

「サニーサイドアップ」は32の福利厚生がある

PR会社の「サニーサイドアップ」は、福利厚生として社員自ら考案したものを含む32の制度を設けています。なかでも個性を放つ「恋愛勝負休暇制度」は、「告白したい」「プロポーズの準備をしたい」という日に休暇を取得することが可能なもの。これに対して、失恋したら会社を休んでも良いという「失恋休暇制度」もあるようです。

※詳しくは→サニーサイドアップ/「32の制度」

コラム:業界別・収入に占める福利厚生の割合ランキング

厚生労働省の調査から、収入全体に占める給与以外の報酬(福利厚生費)の割合を業界別に比較すると以下のとおりでした。

福利厚生費の割合が最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で、31.1%。ワースト1位である「宿泊・飲食サービス業」は12.4%でした。

収入全体に占める給与以外の報酬の割合は企業規模に比例して多くなっているため、事業所あたりの従業員数が比較的多い業界が上位にランクインしていることが分かります。

※参照:「平成28年就労条件総合調査の概況(第17表常用労働者1人1か月平均労働費用 )(厚生労働省)

まとめ

福利厚生といっても会社によって実にさまざま。福利厚生が充実している会社は、どれだけ社員を大切にしているかをはかるバロメーターとしても使えそうですね。

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