1月末退職が狙い目? 退職時期の損得を左右する3つの要因

一般的な退職時期は、12月と3月と言われています。年末・年度末という区切りの時期にあたるため、退職のタイミングに選ばれやすい傾向にあるからです。 ですが、辞めるタイミングによっては、損をする人・得をする人に分かれます。

退職時期を考える上で重要なファクターは、会社の繁忙期や自分の抱えている仕事の区切り、といった個別の事情を除くと、次の2点になります。

  • 転職に有利な時期か
  • 賞与(ボーナス)がもらえるか

どれを重視するかによって、退職時期は変わります。それでは詳しく見ていきましょう。

退職時期の基礎知識

転職活動開始~退職までは約34ヶ月

理想的な退職時期を導きだすためにも、まずは転職開始~退職までにどの程度の期間を要するのか、知っておくことが大切です。

法律的には、退職日の2週間前に職場へ意志を伝えれば良いとされていますが、円満退職を目指すとなると、そうもいかないもの。転職活動をスタートし、内定が出てから退職するまでは、概ね3~4ヶ月と言われています。

  • 転職活動で内定が出るまで1~3ヶ月
  • 内定後に退職の意志を伝えてから1~1.5ヶ月後が退職日

※内定が出るまでの期間は、転職活動の進み具合によって個人差あり。スムーズな場合は1ヶ月を切るケースも。

退職スケジュールのイメージ図。内定まで2ヶ月・引き継ぎ+有給消化1.5ヶ月の場合。

なぜ退職交渉の時期は退職する日の11.5ヶ月前なのか

法律的には2週間前で問題ないものの、引継ぎで1ヶ月前後かかる、というのが一般的な申請~退職までの相場感。しかし、それらを考慮せず、慌ただしく退職しようとするのは、トラブルや引き止めの原因になります。その一方、転職先にあまり長いこと入社を待ってもらうわけにもいきません。

有給消化をするとしても、退職日の目安は退職交渉から1~1.5ヶ月後。それでも転職先の企業から「もっと早く入社してほしい」と言われた場合は、有給消化日数を減らし、退職時期を早める努力を行いましょう。

※職場によっては就業規則で退職時期に関するルールが定められている場合も。念のためチェックしておきましょう。

転職が有利に進められる時期に合わせて退職する

10月3月が最も求人の多い時期

求人の見つかりやすさを重視したいなら、求人が多いタイミングに転職活動を行えるよう、スケジュールを組みましょう。

下記のグラフは、2010年~2020年の月別の有効求人数(新卒向け求人やアルバイト求人を除いたもの)を平均化したもの。10月と3月が大きな山になっていることがわかります。

月別 有効求人数

※出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)―労働市場関係指標」より作成

これらを加味した転職に有利なタイミングは次の通りです。

9月に転職活動開始・12月末退職

求人数のピークである10月に合わせるには、それよりも早い9月から転職活動を行い、11月前半に内定、退職交渉。引継ぎ後に冬期休暇と有給消化を経て12月末に退職。そもそも一年の節目である年末は、退職時期に選ぶ人が多い傾向にあります。

9月に転職活動開始し、12月末に退職する場合のスケジュールイメージ図。

1月に転職活動開始、3月末~4月末退職

3月は退職者が多いため、どの企業も欠員補充の求人を多く出しますが、転職活動の時期としてはあまりオススメできません。年度末・年度はじめにあたる3月末~4月は、人事部門が得に忙しいタイミング。面接が組まれにくい、選考が進みにくい…といった時期になる前に内定獲得できるよう、1月から求人を探し、キリの良い3月末退職か、遅くとも4月の退職を目指すのがベターです。

1月に転職活動開始し、3月末~4月頃に退職する場合のスケジュールイメージ図。1月後半~2月前半に内定、退職交渉。引継ぎ後に有給消化を経て退職。

賞与をもらって退職する

賞与支給後に退職交渉を

月給制など賞与支給がある給与形態で働いている場合は、賞与をもらってから退職するというのも1つのタイミングです。一般的な会社員の賞与支給期間は、6~7月頃と12月頃。但し、賞与支給日の直後に退職日を決定してしまうと、却って損をすることに。なぜなら、賞与を受け取れなくなる可能性があるからです。

支給直後に退職するためには、支給日前に退職交渉を行う必要があります。ところが、退職意志があることをあらかじめ伝えてしまうと、退職日を早められ、ボーナスがもらえない、支給額を減らされる恐れが。確実に賞与を受け取ってから退職したい場合は、支給されてから退職交渉を行うのがベターです。

会社ごとに賞与の支給条件が設けられている
「支給日に在籍していること」や、「支給日の数日~数週間後に在籍していること」など、多くの会社で企業毎に支給条件が定められています。あらかじめ確認しておきましょう。

夏の賞与の場合は8月末~9月初旬が退職時期

例えば賞与の支給日が7月半ばの場合は、5月頃から転職活動を開始するのかベター。賞与支給後に退職の意志を伝え、引継ぎ・有給消化の後、8月末~9月初旬に退職というイメージです。

夏の賞与をもらってから退職する場合のスケジュールイメージ図。

冬の賞与の場合は1月末が退職時期

賞与の支給日が12月半ばの場合は、10月頃から転職活動を開始し、賞与支給後に退職の意志を表明。引継ぎ・有給消化の後、1月末~2月初旬に退職。

冬の賞与をもらってから退職する場合のスケジュールイメージ図

※退職交渉のタイミングによっては、業務の区切りを考慮し、職場側から12月末退職を勧められる場合があります。

冬の賞与後に退職時期を設定した方が得

もしもあなたが夏の賞与後か冬の賞与後か、どちらに退職時期を設定すべきか悩んでいるなら、求人が多い10~12月に転職活動を行える冬の賞与後の退職(1月末退職)が有利です。

賞与支給月の7月前後は最も求人が少ない時期

有効求人数のグラフに、賞与のタイミングと、それに併せた転職活動期間をマーキングしたものが下記のグラフです。特に夏賞与の直前にあたる5~6月は最も求人数が少なく、9月頃にならないと回復しない傾向が伺えます。夏賞与に併せて転職・退職を目指す場合は、転職活動が長期化する可能性も視野に入れて判断しましょう。

月別有効求人数

※出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)―労働市場関係指標」より作成

社会保険の負担を減らす退職時期はある?

給料が変われば社会保険料も変わる

転職後に給料が大幅に上がったり下がったりする場合、社会保険料は給与に合わせて新たに算出されるため、退職時期をコントロールすることで安くすませられるということはありません

厚生年金と健康保険の保険料は、毎年4~6月の給与額(残業代込)が基準となり、次の9月から翌年8月までの1年分が決定するしくみ。

このことから「転職で給与がアップする場合は、4~6月を今の職場で過ごしておいた方が、残りの9ヶ月の社会保険料を安く済ませることができる」という情報もありますが、実際のところは転職後の月給に合わせて社会保険料は変更になります。社会保険料は、転職時期を決める際のファクターには含めなくて構いません。

退職日を決定する上での注意点

ここからは、これから退職交渉を行い、最終的な退職日をいつにするか決定する上で注意すべき点をご紹介します。

転職先が決まらないうちに退職しない方が無難

ここまで、転職先が決まってから退職することを前提に解説をしてきました。中には働きながらの転職活動は大変だから…と、先に退職してから転職先を探そうという人もいるかもしれませんね。職業柄どうしても難しい場合や貯蓄に余裕がある場合を除いて、先に退職するのはあまりオススメできません

退職後無職になる場合のデメリット

  • 自己都合退職の場合、失業後2ヶ月以上経たないと失業給付金が支給されない(=無収入)
  • 役所やハローワークで煩雑な手続きを行う必要がある
  • 無職の期間中は社会保険料が全額自己負担になる(国民健康保険または社保の任意継続)

こうした理由から、無収入の中で転職活動が長期化すると転職先を選ぶ余裕がなくなってしまいます。やむをえない理由がある場合以外は、転職先が決まってから退職するようにしましょう。

次の就業まで間があく場合は末日退職がベター

次の就業まで間が空く場合は、月末の最終日(1月なら31日、4月なら30日)を退職日としましょう。月の途中で辞めてしまうと、その月の社会保険料は国保扱いとなり、全額個人負担することになってしまうからです。ただし、月末の最終日を退職日とする場合、退職月の社会保険料は前の月と合わせて、退職月分も徴収されるため、その月だけ社会保険料を2ヶ月分まとめて支払うことになります。

まとめ

転職活動開始~退職までは約3~4ヶ月。そのことを念頭に置いた退職時期を決める上でのポイントは、次の2つです。

求人が多い時期を狙う場合は…

-9月転職活動開始、12月末退職
-1月転職活動開始、3月末~4月末退職

賞与をもらって辞めるなら

-賞与を受け取った後に退職を申し出る
-8月末退職か1月末退職
-1月末退職は求人数の面でも有利

転職の目的や、現在の仕事の状況も踏まえながら、ベストな退職時期を設定しましょう。

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