正社員で就職する方法を徹底解説 大学を中退したら就職できない?
大学を中退してしまうと、就職するのは難しいと考える人は多いようですが、本当なのでしょうか?
この記事では、大学を中退した人が正社員で就職するには、どのような選択肢があるのか紹介します。
「大学を中退したら就職できない」の真実
実際のところ、大学を中退すると就職できないというのは本当なのでしょうか?
中退後3年以内に正社員になれるのは10人に2人
厚労省が2012年に行った調査によると、大学・大学院を中退後3ヶ月以内に正社員になる人は10.4%、4ヶ月~3年以内では11.8%でした。中退する前から正社員として働いている人も含めると、大学を中退した人のうち3年以内に正社員になっているのは、10人に2人です(23.1%)。
ちなみに、大学を卒業した人は、10人に6人が3年以内に正社員になっています(62.5%)。
一方、大学中退後に正社員に限らず、非正規雇用やアルバイトなどを含む何かしらの職に就いている人の割合は、中退後3ヶ月以内では23.8%、4ヶ月~3年以内は25.9%。中退前も含めると、10人に7人が3年以内に就業しています(69.2%)。
中退すると応募できる求人の幅が狭まる
大学を中退してしまうと応募できる求人の幅は狭まります。大学新卒向けの求人は、応募条件を卒業・卒業見込みとしている場合がほとんど。一方、中途向けの求人は未経験OKのものしか応募できないためです。
また、仮に応募条件のない求人に応募しても、他の応募者と比較されたときに、大学を卒業していないことが理由で不利になってしまう可能性もあるでしょう。
新卒向けの求人に一切応募できないわけではない
大学を中退しているからといって、新卒向けの求人に一切応募できないわけではありません。求人の中には、応募条件を「大学卒業程度」としていて、卒業が絶対条件ではないものもあります。また、中退のタイミングが卒業間際であれば、大卒程度の学力・能力があると判断してもらえる場合もあるでしょう。
さらに、経団連による就活ルールの廃止が発表されたことで、企業はできるだけ多くの応募者を獲得するために応募条件を緩和する可能性があるので、大学中退者であっても応募できる求人は増えるかもしれません。
大卒資格(学士号)を取りなおすのも一つの手
大学を中退したせいで希望する職種に就職が決まりづらいということであれば、大卒資格を取り直すのも一つの手です。企業の中には、大卒を応募条件としていなくても採用基準として設けているところもあります。
ただし、大卒資格は大学中退後できるだけ早いうちに取得するのがベター。大学1~2年生で中退した場合は、大卒資格取得後に一般の学生とほとんど変わらないタイミングで就職することができます。しかし、中退後しばらく経ってから大卒資格を取得した場合は、就職の際に年齢の高さがネックになる可能性があります。
※詳しくはこちら→大卒の資格(学士号)を取得するには?
大学中退者が正社員として働く方法って?
大学を中退してしまうと、10人に2人しか正社員として就職できないのが現実ですが、「就職できない」と諦めてしまうのはまだ早いでしょう。
ここでは、正規雇用の職を見つけるための4つの選択肢を紹介していきます。以下の4つのうち、どの選択肢であれば正社員として働くことができそうか考えてみましょう。
- 就職活動をして一般企業の正社員になる
- アルバイトから正社員を目指す
- 職業訓練校で得たスキルを生かし就職する
- 公務員試験を受けて公務員になる
【1】就職活動をして一般企業の正社員になる
一般企業に就職するのが、正社員として働くための最も無難な方法です。
ハローワークや若者向け就職サイトで求人を探す
一般企業の求人は、ハローワークや若者向け就職サイトで探すのが一般的。
ハローワークとは国が運営する職業紹介所で、求人を検索したり就職に関する相談をしたりすることができます。ハローワークは47都道府県すべてにあるので、まずは最寄りの施設をチェックしてみましょう。
民間企業が運営している若者向け就職サイトの中には、大学中退者・高卒向けの求人を多く取り扱っている求人紹介サイトもあります。就活エージェントであれば、担当のキャリアコンサルタントが、興味・関心があることや今までの経歴に合わせて、求人を紹介してくれます。
▼大学中退者向け就職サイト・就活エージェント
・ハタラクティブ https://hataractive.jp/
・ジェイック https://www.jaic-college.jp/
・キャリアスタート https://careerstart.co.jp/
大卒者以上の魅力を伝えられれば成功する
一般企業の正社員を目指すのであれば、大卒者以上の魅力が伝わるように、履歴書を書いたり面接で話したりする必要があります。就職活動を始める際は、高校・大学時代から今までの経験を振り返る自己分析を行い、自信を持って自分のことを語れるようにしておきましょう。
3章の大学中退者のみんなが就職活動で気になるQ&Aでは、面接時に不利にならない中退理由の説明の仕方をご紹介します。
【2】アルバイトから正社員を目指す
アルバイトをしているのであれば、今のアルバイト先で正社員を目指すのも一つの手です。
まずは正社員登用制度があるかどうかを確認する
アルバイトの勤務歴や仕事ぶりによっては、正社員として雇ってもらえることがあります。このアルバイトから正社員へと雇用形態を変更して働くことができる制度は、正社員登用制度と呼ばれ、飲食やアパレルなどのサービス業界で積極的に取り入れられています。
まずは自分のアルバイト先に、正社員登用制度があるのかどうか確認しましょう。
現在働いているアルバイト先に制度が設けられていなければ、制度があって興味もある企業にアルバイトとして入り直すのもありです。
※詳しくは→正社員登用制度とは?
同じ仕事を長期的に続けていける人でないと難しい
アルバイトから正社員になるには数年かかることもあるため、同じ仕事を長期的に続けていける人でないと難しいかもしれません。また、アルバイトから正社員で働くことを目指すのであれば、早いうちからアルバイト先の社員にその意思があることを伝えておいた方がよいでしょう。
【3】職業訓練校で得たスキルを生かし就職する
職業訓練校で取得したスキルを生かすことのできる求人を、ハローワークで紹介してもらうのもよいでしょう。
ハローワークに登録し職業訓練学校に通う
職業訓練校とは、就職支援の一環として国や自治体が運営している職業訓練を行う施設のこと。基本的に大学中退者であれば、無料の講座を受けることができます。まずはハローワークの窓口で求職相談をしてみましょう。
※詳しくは→職業訓練校とは
職業訓練には複数のコースが用意されていますが、中でも建設関連は、東京オリンピックの開催や高速道路などインフラの老朽化で需要が高まってきており、国を挙げて受講者の育成・就職を後押ししています。
スキルを生かせる求人を紹介してもらえる
職業訓練校で資格を取得したり、スキルを習得したりしたあとは、ハローワークで実際にそれを生かせる求人を紹介してもらえます。
例えば、「住宅内外装仕上」「内装施工」のコースを受講した後は、内装工事会社やリフォーム会社に、「DTP」「グラフィック印刷」であれば、印刷会社などに就職できるようにサポートしてくれます。
【4】公務員試験を受けて公務員になる
正社員として就職する以外に、公務員試験を受けて公務員になるという選択肢もあります。
自分の状況に合った受験資格のものを受験する
公務員試験の応募資格は、「高校卒業程度」「大学卒業程度」に分かれています。「〇〇卒業程度」は、あくまで受験時の能力や試験問題のレベルを表すもので、卒業見込みである・卒業している必要はありません。
大学を中退すると最終学歴は高卒になりますが、自分の状況やなりたい職種に応じて受験しましょう。
ただし、試験によっては受験資格に年齢制限がある場合もあるので、詳しくは人事院のHPや各都道府県や市区町村のHPから確認しましょう。
※参考:国家公務員試験採用情報NAVI|人事院
※参考:地方公務員採用試験案内|地方公共団体情報システム機構
できれば予備校に通い勉強するのがおすすめ
過去の問題集などを利用して自宅で受験勉強を行ってもよいですが、お金があれば公務員志望者向けの予備校に通うのがおすすめです。予備校では、公務員試験の対策を数多く指導してきたプロが、過去の問題の傾向やチェックしていくべきポイントを分かりやすく解説してくれます。また、独学ではなかなか準備が難しい、二次試験の面接の対策もしてもらえます。
コラム:「大卒資格」があると仕事の選択肢が広がる
大学を中退してしまったが、できることなら高収入を目指したいという人は、大卒資格があったほうがよいでしょう。大卒向けの求人は、高卒向けよりも給料が高く設定されていたり、高卒では就くのが難しいポジションの仕事だったりすることが多く、求人数も圧倒的に多いため、仕事の選択肢が広がります。
中退しようか迷っている人は、よほどの理由でなければ中退はせず、卒業を目指した方が就職活動では有利です。
大学中退者のみんなが就職活動で気になるQ&A
大学を中退した人が、履歴書を書いたり面接を受けたりするなかで、気になる2つの疑問にお答えします。
履歴書についてのギモン
学歴欄に「大学中退」はどう書く?
履歴書の学歴欄には、大学名・学部・学科名とともに「途中退学」と書けばOK
中退は、途中退学の略称。学歴欄に書く際は、以下のように入学した大学・学部・学科の隣に「途中退学」と書きましょう。
中退した理由は、基本的には学歴欄に書く必要はありません。ただし、進路変更や経済的な事情などの理由で中退をした場合は、退学理由を書いておいてもかまいません。
※詳しくはこちら→学校を中退した場合、履歴書にどう書く?
大学中退の理由を聞かれた!どう答える?
大学中退=ネガティブなイメージにならないように心がけよう
採用担当者に「大学を中退したように、入社後も簡単に辞めてしまうのではないか」と思われやすい大学中退者は、採用を敬遠されてしまいがち。そのため、「学校がつまらなくなって」「授業に出るのが面倒くさくなって」などとありのままに答えるのは絶対にNG。
例えば、「大学で学んでいた内容と将来の行いたい仕事にずれが出てきたので、そのまま在学するよりもいち早く社会に出て働きたかった」など、中退したことがネガティブなイメージにならないように答えるのが良いでしょう。
もし中退後も継続していたことや努力していたことなどがあれば、中退理由とあわせて伝えると前向きな印象を与えることができます。
まとめ
大学中退後、3年以内に正社員になる人は10人に2人と、就職するのはなかなか難しいのが現状ですが、自分の努力次第では正社員として就職することは十分可能です。
この記事で紹介した正規雇用で働く4つの選択肢から、「今の自分は、この選択肢なら正社員として就職できそう」だと思うものを考え、まずは情報収集から始めてみましょう。