支給時期・要件・平均額を解説 決算賞与とは?

会社の業績に応じて臨時でもらえる「決算賞与」。決算賞与はいつ、どのくらい支給されるのでしょうか。

決算賞与の支給時期・要件・平均額といった基礎知識から、支給理由まで説明します。

決算賞与とは?支給時期や要件を解説

決算賞与の支給時期や要件についてご紹介します。

決算賞与は会社の業績がいいともらえる臨時ボーナス

決算賞与とは、会社の業績に応じてもらえる臨時ボーナスのことです。

会社の業績が伸び、利益を社員に還元する余裕ができたときに支給されます。あくまでも「臨時」ボーナスのため、毎年もらえるとは限りません。

夏・冬のボーナスとの違いとは

決算賞与と違って、通常の夏・冬のボーナスは「個人の成績」が反映されることが多く、査定後などの毎年決まった時期にもらえます。

募集要項に「賞与(年2回)」と記載がある場合、一般的に夏と冬にボーナスがもらえると思って良いでしょう。ただし、経営状態が悪化した場合はもらえないこともあります。

ボーナスも決算賞与も、支払い義務が法律で定められているわけではないため、支給しない企業があっても必ずしも法律違反ではありません。

※夏・冬のボーナスについて詳しくは→ボーナスが出ない会社の割合とその理由

決算賞与の支給時期はいつ?

決算賞与は、一般的に3月や年末などの「決算月」に支給されます。法令で支給時期が定められているため、遅くても決算日の翌日から1ヶ月以内にはもらえます。

決算賞与が支給される場合、決算日までに口頭か書面でいつ、いくらの決算賞与をもらえるか通知されることが多いようです。

パートは支給される? 決算賞与がもらえる条件

パート労働者にも決算賞与は支給されることはあります。

会社が賞与の支給を取り決めている場合、「労働条件通知書」「就業規則」「雇用契約書」などに賞与を支給する旨の記載があります。記載がない場合は、事前に確認しておくことをおすすめします。

決算賞与は平均いくらもらえるの?

決算賞与の平均額はいくらなのでしょうか。決算賞与の平均額と手取り金額について解説します。

決算賞与の金額は会社によってまちまち

決算賞与の金額は会社の方針や業績によって異なるため、決算賞与の平均額は不明です。

数万円~数カ月分の給与程度とかなり幅があるものだと捉えておきましょう。

業績が伸びたからといって決算賞与の支給額が増えるとは限りません。例えば、利益を会社の事業や設備に投資することで、決算賞与の支給額が減ることがあります。

業務成績に応じて支給額を変えている会社もあります。そのため、勤続年数が短くても営業成績が大幅に伸びた場合、勤続年数が長い社員より多く支給されることがあります。

5万円の決算賞与なら手取りはいくら?

5万円の決算賞与ならば、手取り金額は約4万円です。

賞与の手取りはだいたい8割になるので、賞与額×0.8でおおよその手取り金額を簡単に計算できます。

より詳しく知りたい場合は以下の計算方法を参考にしてみてください。

決算賞与の手取り金額は、決算賞与の総額から健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料の3つの社会保険料、所得税を引くことで求めることができます。労災保険料(全事業主負担)と住民税は引かれません。

<決算賞与の手取り金額計算式:5万円の場合>

  • 決算賞与額=5万円
  • 30代
  • 前月の給与:33万円
  • 東京都在住、扶養家族なし(一人暮らし)
  • 加入組合:協会けんぽ

決算賞与5万のときの手取り金額計算例。決算賞与額:50,000円、所得税:2,621円、社会保険合計:7,200円(内訳:健康保険料2,475円、厚生年金保険料4,575円、雇用保険料150円)の場合。計算方法は「決算賞与-(社会保険料+所得税)=決算賞与の手取り額」よって手取りは40,179円。

所得税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料のそれぞれの計算方法は、以下の通りになります。

所得税

ボーナスに対する所得税
={ボーナス-(健康保険料+厚生年金保険料+雇用保険料)}×賞与に対する源泉徴収税率

健康保険料

健康保険料
=ボーナス(※1,000円未満は切り捨て)×健康保険料率×1/2

厚生年金保険料

厚生年金保険料
=ボーナス×厚生年金保険料率(0.183)×1/2

雇用保険料

雇用保険料
=ボーナス×0.003

※社会保険料と所得税の計算方法について詳しくは→ボーナスにも税金はかかる?

企業が決算賞与を支給する理由は?

決算賞与は喜ばしいもの。ではどうして企業は決算賞与を支給するのでしょうか?企業側が決算賞与を支給するメリットを解説します。

法人税の節税

企業が決算賞与を支給する理由として、法人税の節税が挙げられます。

企業の利益が前年より増えると、払うべき法人税が増えてしまいます。しかし、利益を従業員の給与として還元することで、給与支給額を損金として計上することができます。

損金となれば、法人税の課税対象となる金額を下げることができ、結果、法人税を低く抑えることができます。

社員のモチベーションアップ

決算賞与はなにより社員のモチベーションアップになります。

基本給は勤続年数や年齢によって支給金額が決まっていても、決算賞与は成果に応じて支給額を決めることができます。

また、決算賞与をもらった社員一人一人のモチベーションが上がることで結果的に業績が向上し、会社の利益がさらに増えるという良い循環が生まれます。

コラム:「決算賞与のみ」の会社とは

募集要項などに「決算賞与のみ」と記載してある会社は、夏・冬の通常の賞与はありません

毎年必ずもらえる賞与はなく、「利益が出れば賞与がもらえることもある」という状態です。業績によっては賞与が全くもらえないケースがあることを認識しておきましょう。

まとめ

決算日の前後に支給される決算賞与。

会社の業績や方針などによって支給の有無や支給額が異なるため、就業規則や雇用契約書などを確認してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

特定社会保険労務士

成澤 紀美

社会保険労務士法人スマイング

社会保険労務士法人スマイング、代表社員。IT業界に精通した社会保険労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。顧問先企業の約8割がIT関連企業。2018年より、クラウドサービスを活用した人事労務業務の効率化のサポートや、クラウドサービス導入時の悩み・疑問の解決を行う「教えて!クラウド先生!®(商標登録済み)」を展開。

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