求人票・面接・説明会で判断 ブラック企業の見分け方
就職・転職を控えている方は皆「ブラック企業には就職したくない」と考えているでしょう。この記事ではブラック企業の特徴とその見分け方について解説します。
※ここで紹介した特徴に当てはまるからといって、必ずしもブラック企業だとは限りません。あくまで「ブラック企業に多い特徴のひとつ」として参考にしてみてください。
求人票でわかる!ブラック企業の特徴
給与が高すぎる・幅がある
同業他社と比べて給与が高すぎる企業や、金額の幅が大きすぎる企業は要注意です。
ブラック企業は高い給料を謳っている代わりに、長時間労働が常態化しているなど労働条件が過酷であることが多いです。また、本当に給料が高いわけではなく、高いノルマを達成した場合のみ高給になる、みなし残業手当が含まれているといった可能性があります。
企業に応募する前には必ず給与条件について読み込んだうえで、同業他社と比較してみましょう。
能力よりも「熱意」を語る
「若手が活躍できる」「熱意のある職場」といった聞こえの良い言葉が並んでいる企業は要注意です。
ブラック企業では実際の業務内容を話すと応募者がいなくなってしまう可能性が高いため、聞こえの良い言葉でごまかす傾向があります。
また、これらの企業は「学歴不問」「職歴不問」をウリ文句にしていることがあります。ブラック企業ではすぐに人が辞めてしまうので、能力を問わず人を採用するのです。
加えて、「やりがい」「夢」「アットホーム」などの単語にも注意した方が良いでしょう。このような実態のないキラキラワードは過酷な労働の正当化に使われがちです。
面接でわかる!ブラック企業の特徴
面接が雑談ばかり
ブラック企業の面接では、雑談ばかりだったり、極端に短くて数分で終わってしまったりすることも多いようです。ブラック企業は「頭数さえ揃えばどんな人間でもいい」という考えで採用を行う傾向が強いからです。
そのため求職者の能力や人柄を知るためのプロセスを重要視せず、数分の雑談で面接を終えてしまいます。
労働条件についての説明が曖昧
ブラック企業では労働条件の説明を曖昧にする傾向があります。
具体的な仕事内容や業務時間を明かすと労働環境の悪さが露呈してしまうからです。労働条件や月の残業時間などを聞いても、はっきりと説明しない場合は要注意です。
また、長時間の残業などの過酷な労働条件をさも当然であるかのように説明してくる場合も、自社がブラック企業だという自覚すらない可能性があるため危険です。
すぐに内定が出る
一回目の面接後にその場で内定を出す企業には気を付けましょう。
ブラック企業は離職率が高くて常に人材が不足しているため、「とにかく早く頭数を確保したい」という焦りがあり、内定をすぐに出してきます。
また、内定を出した後は求職者に考える時間を与えないよう「すぐに入社してほしい」と説得してくる場合もあります。
説明会でわかる!ブラック企業の特徴
精神論や抽象的な表現が多い
説明会で根拠のない精神論や業務内容についての抽象的な表現が多いと感じた場合は気をつけましょう。
ブラック企業では過酷な仕事内容や業務時間の長さを明かしたくないため、精神論でごまかすことがあります。
平均勤続年数や月の業務時間、また入社したらどんな業務にあたることになるのか具体的な内容を語らず、「根性」「やる気」などの精神論を語るワードを必要以上に使う企業には注意しましょう。
そうした言葉に騙されてブラック企業に入社してしまった人がどうなったのか、下記の記事では「洗脳合宿」など、実際にあったブラック企業の洗脳手口を紹介しています。
会場が豪華すぎる
ブラック企業では、人材確保のためにポジティブなイメージを作ることを狙って高級ホテルなど不自然に豪華な会場で説明会を行う場合があります。
自社のオフィスで説明会を行うと労働環境が悪いことが伝わってしまうために、会場を借りざるを得ないという事情もあるようです。
大手企業の説明会ならば、参加人数が多いために広い会場を借りることもありますが、企業規模や売上高に見合わない場合は注意しましょう。
現場の社員ではなく役員のみが参加している
社長をはじめとする役員しか出てこない説明会は要注意です。
現場の社員に会わせると人材の層が薄いことや労働環境が悪いことが求職者にバレてしまう可能性があるため、あえて参加させないのです。
また、「現場の社員」として参加しているのが全て若手社員である場合も要注意です。年齢構成に偏りがあり、社歴の長い人がいないということは、離職率が高い可能性があるからです。
コラム:そもそもブラック企業とは?
ブラック企業には明確な定義はありませんが、厚生労働省のホームページではブラック企業の一般的な特徴として以下が挙げられています。
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
※ブラック企業の定義についてより詳しくは→ブラック企業の定義と、求人票の注意点
転職するなら!ホワイト企業の特徴
ブラック企業の特徴について説明してきましたが、今度はその逆である「ホワイト企業」をどうやって見分けるかについて、求人票などからわかる特徴を紹介します。
年代別モデル年収の記載がある
ホワイト企業では、求人広告で年代別モデル年収を開示していることが多いです。
成果を出したり長く在籍したりすれば昇給できるということが示され、きちんと昇給できる企業はホワイトの可能性が高いです。
ブラック企業では初任給が高くても昇給が望めない場合もあり、長い目で見て高給とは言えません。そのため年代別モデル年収を隠す傾向にあります。
離職率が低い
ホワイト企業は離職率が低いのが特徴です。
労働条件が整っていてコンプライアンス意識もしっかりしているため、職場や業務内容に不満を持たれにくく、離職率が低くなる傾向があります。その分、人手不足に陥りにくいので、求人数は少なくなります。
みなし残業がない
ホワイト企業では、残業代抑制のために悪用されることのあるみなし残業制を設けていない傾向があります。
また、そもそも基本的に残業が少なく、ノー残業デーを設けていることが多いです。残業した場合は残業代を1分単位で計算してくれることもあります。
ブラック企業にありがちなサービス残業をした場合、ホワイト企業では上司から注意を受けることも珍しくありません。
有給取得率が高い
ホワイト企業の特徴は有給取得率が高いことです。
制度として有給休暇があっても、実際には取得しづらい環境の企業もありますが、ホワイト企業では有給を取得しやすいどころか、上司から「有休消化できてないから、そろそろ有給をとってくれない?」などと提案されることすらあります。
休暇を取りやすい環境が整っているため、女性が産後に復職しやすかったり、男性も育児休暇が取れたりします。
労働組合がある
しっかりと労働組合が機能している企業は社員の力が強く、働きやすい環境が整えられていることが多いです。労働環境・条件について社員が交渉する機会があるため、それらが悪化することは少なくなります。
ブラック企業は労働組合がない、もしくはあっても機能していないことが多いです。そのため、経営陣にとって都合が良くても、社員にとっては過酷な労働環境で働かざるを得なくなります。
ブラック企業を見極めるための情報収集とは?
ブラック企業を見極めるための情報収集の方法をご紹介します。
就職四季報やハローワークを使って上手に企業の情報を集めましょう。
就職四季報でデータを収集しよう
東洋経済新報社が毎年11月頃に発行している書籍「就職四季報」は、3年後離職率や平均勤続年数、月平均残業時間など、企業によっては採用活動で不利になる可能性のある情報も掲載されています。
同書は民間の求人広告と違って、掲載料を取らない中立な立場で書かれています。
気になる企業を見つけたら、就職四季報でもデータを確認してみましょう。
3年後離職率が高い企業には要注意
就職四季報でまず見るべきなのは3年後離職率です。
労働時間や賃金などの労働条件が悪い企業では、離職率が高くなる傾向にあります。離職率を表記していない企業は「離職率が高すぎて公表したくない」と考えている可能性があり、要注意です。
厚生労働省の調査によると、2016年度卒の3年後離職率は大卒で32.0%となっています。これよりも離職率の高い場合は、ブラック企業の可能性が高まります。
※参考:厚生労働省 新規学卒者の離職状況
「平均」残業時間は十分な指標にならない
平均残業時間はそれほど重要な指標にはなりません。
職種や性別、年齢によって残業時間が大きく異なる可能性があるからです。特に20〜30代の若い世代や男性は平均よりも残業時間が長くなりがちです。
また、裁量労働制を取っている企業は実際の労働時間にかかわらず給与が一定であるため、残業時間という概念はありません。
このため残業時間がゼロになっていても、実際は長時間労働が常態化している場合があります。
ハローワークの求人票で詳しい情報を集める
ブラック企業を見分けるためにハローワークの求人票をチェックするという方法もあります。
ハローワークの求人票には、民間の求人サイトにない情報を得られることがあります。
例えば、初任給の欄には基本給と各種手当の内訳が記載されており、みなし残業代の有無などを確認できます。
また、労働組合のない企業はブラック企業の可能性がありますが、ハローワークの求人票には労働組合の有無も明記されています。余裕のある方はこちらもチェックしてみましょう。
口コミサイトを上手に使う
今まで説明してきたようなブラック企業の特徴がないか、口コミサイトを参照してみるのもひとつの手です。誤った情報もあるため鵜呑みにはできませんが、口コミサイトでは社員の生の声を聞けるため、自分がその会社で働くイメージがしやすくなります。
この記事で解説したようなブラック企業の特徴があることに気づいたら、会社名で情報を検索してみても良いでしょう。
とくに「具体的な数字が示されている」「ネガティブな情報が含まれている」投稿は信ぴょう性が高いです。
なお、サイトによっては企業にとってネガティブな情報を削除しているものもあります。ポジティブな内容ばかりが並ぶ企業があったら、本当にその口コミを信用しても良いのか一度疑ってみたほうが良いでしょう。
本当にあったブラック企業の洗脳手口とは?
ブラック企業は、求人票や面接、説明会などの特徴から、ある程度は見分けることができます。
ブラック企業には入社しないのが一番ですが、実際は入社前からブラック企業だとわかるケースばかりではありませんし、中にはブラック企業だと気づく前に洗脳され、搾取されてしまうケースもあります。
下記の記事では、ブラック企業の実態に詳しく、年間5000件以上の労働相談を受けているNPO法人代表に聞いた「本当にあったブラック企業の洗脳手口」をご紹介しています。