転職時のアピール方法も紹介! 実務経験とは?正社員以外でもいいの?
求人票などに記載されている「実務経験」とはどのようなものなのでしょうか?
正社員以外の派遣やアルバイトは実務経験として認められるのか、実務経験年数が足りない場合は応募できないのか、などの疑問を解決します。
実務経験とは?正社員でないといけない?
「実務経験」とはどういう意味なのでしょうか?中途採用の際に問われる実務経験について解説します。
実務経験とは「その仕事をした経験」のこと
実務経験とは、ある仕事をした経験のことを指します。求人票で実務経験が求められているということは、「同じ仕事をしたことがあり、手順がわかっていて、即戦力になる人」を募集しているということです。
正社員・派遣・アルバイト…雇用形態はどれでもOK
正社員でないと実務経験として認められないイメージがありますが、派遣やアルバイトなど正社員以外での経験も実務経験に含まれます。雇用形態はどうあれ、業務内容を理解し、それを行うスキルがあれば、基本的に問題ありません。
募集要項に書かれている実務経験年数はあくまでも目安
求人票に実務経験年数が書かれている場合がありますが、それらはあくまでも目安。「実務経験3年以上」と書かれている求人が多いのは、一通りの業務ができるようになるのが3年とされているからです。年数が足りなくても、持っているスキルや実績、熱意によってカバーできる可能性もあります。
実務経験年数は、期間が空いていたり、勤め先が異なっていたりしたときには、合算してOKです。ただし、長い間実務から離れていた場合には、知識が古くなっていたり、スキルが衰えていたりすることもあるので、即戦力として評価されにくくなります。
中途採用において資格と実務経験はどっちが重要?
企業や職種によっても異なりますが、その資格がなければできない仕事でなければ、実務経験のほうが重視されることが多いです。
例えば、経理職の経験者募集の場合、日商簿記2級を持っていて実務経験が少ない人よりも、資格は持っていないが実務経験がしっかりしている人のほうが採用されやすくなります。
しかし、弁護士や公認会計士、税理士のように、資格を持っていないと業務に就くことができない職種もあるので、注意が必要です。
転職で実務経験をアピールするには?
転職活動の際、どのように実務経験をアピールすればいいのでしょうか?面接で今までの経歴について聞かれた際のポイントと例文を紹介します。
※職務経歴書の作成についてはこちら→職務経歴書の「職務要約」例文・書き方 複数の企業についてどう書く?
営業職なら数字やデータを交えてエピソードを話そう
営業職の場合、具体的なエピソードに数字やデータを交えて実務経験をアピールしましょう。面接では、扱った商品やサービス、法人営業か個人営業か、といった前提を話しておくと伝わりやすくなります。
<実務経験3年、OA機器の法人営業の場合>
現在の会社では、3年ほどコピー機、プリンターなどのOA機器の法人営業を行ってきました。わたしが担当していたのは主に新規開拓で、担当企業の8割ほどが自分で新規開拓した取引先です。
新規開拓では、電話でのアポイント獲得の後、訪問とヒアリングを重ね、顧客の抱える問題点を解決するための機器の提案・プレゼンテーションや、見積りの作成、納品の手配・管理などを行っています。訪問した際には、顧客に寄り添い、電話で聞くことのできなかった細かな要望を洗い出せるように心がけています。
そのおかげで、昨年度は達成率150%、売上実績4,000万円を達成し、会社で年間MVPを獲得することができました。
事務職は経験した業務内容を具体的に伝えよう
事務職の場合、経験したことのある業務内容を具体的にアピールすることが大切です。
「事務職」といっても、一般事務以外に、営業事務や経理事務、総務事務などさまざまな種類があります。さらに、仕事内容としても、来客応対や、データ入力・チェック、書類や資料の作成など、幅が広い職種です。
そのため、どんなツールを使って、どのような仕事を行ってきたかを具体的に伝え、身についているスキルをアピールしましょう。
<実務経験7年、一般事務の場合>
一般事務として、2社の経験があります。一社目では、2年ほど来客対応、電話対応、備品管理などに加え、Wordを使った会議資料や議事録の作成、Excelでのデータ入力・管理を行っていました
その後、一社目で培った経験と独学で得た英語力を活かすため、現在の会社に転職し、同じ一般事務として5年ほど勤めています。海外との取引が多い企業のため、メールや電話の顧客対応や、会議の資料作成を全て英語で行っています。昨年は独学でTOEIC850点を取得し、業務においても、作業時間の短縮や、業務の円滑化に役立っていると感じています。
また、他にもビジネス実務マナー検定2級やマイクロソフトオフィススペシャリストの取得など、業務に役立つ知識を積極的に学んでいます。
IT・クリエイティブ職ならプロジェクトの規模をアピールしよう
IT・クリエイティブ職なら、関わったプロジェクトの規模や数と、使用できるツール(プログラマーの場合は使用可能な言語)を伝えましょう。
また、関わったサイトや作品を実際に見せながら、スキルをアピールするとより伝わりやすくなります。
<実務経験5年、デザイナーの場合>
Webデザイナーとして、現在の会社に5年ほど勤めております。PhotoshopやIllustrator、HTMLなどを使い、広告の企画提案や制作、ディレクション業務を中心に大小合わせて50件以上のプロジェクトを手がけてきました。その他、パンフレットやポスター、フライヤー、ロゴ、Webバナーの制作実績があります。
主なチーム規模は5人から15人ほどで、現在では多くの案件でデザイナーのリーダーとしてプロジェクトに関わっています。昨年は、大手家電メーカー向けの新製品キャンペーンサイトの新規立ち上げを行いました。このプロジェクトでは、クライアント企業から高い評価を受け、今年度の新規製品プロジェクト案件も受注しています。
まとめ
実務経験とは、「ある仕事を経験しており、即戦力になれます」ということをアピールするためのものです。正社員以外の経験でも問題はありません。経験年数が短くても、持っているスキルをしっかりアピールすれば、採用される可能性もあります。
今までの実務経験で培ってきたスキルを洗い出し、気になる求人にも積極的に応募してみましょう。
コラム:資格取得の際に求められる実務経験とは?
資格の中には、実務経験を積んでいないと受験資格が得られないものもあります。では、資格取得の際に求められる実務経験とは、どのようなものがあるのでしょうか?代表的な資格を紹介します。
登録販売者の場合
登録販売者とは、一般用医薬品の販売を行うための専門資格です。
登録販売者として1人で売り場に立つには、登録販売者試験の合格と2年間の実務経験(1ヶ月に80時間以上の勤務)が求められています。試験を受ける前、もしくは合格後に、薬剤師や管理登録販売者の下で働いた経験が必要です。2年間連続した経験でなくても問題はありませんが、実務経験としてのカウントになるのは過去5年以内に限定されます。試験前に実務経験を積もうと考えている人は、試験を受ける時期に注意しましょう。
※出典:東京都福祉保健局「登録販売者制度の改正について」
技術士の場合
技術士は、機械・船舶・航空・建設などの21分野で、科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者であることを証明する国家資格です。
技術士資格を取るには、技術士補資格を取得した後に技術士第二次試験を受ける必要があります。
第二次試験の受験資格は、
(1) 技術士の指導の下で4年以上
(2) 職務上の監督者の指導の下で4年以上
(3) 指導者や監督者の有無・要件を問わず7年以上
のいずれかの実務経験が必要。総合技術監理部門を受験する場合は、上記の年数に加え、さらに3年の実務経験を積まなければなりません。
※出典:公益社団法人日本技術士会「技術士資格取得までの仕組み」
公認心理師の場合
公認心理師とは、2017年に新しくできた心理学に関する初の国家資格です。
受験資格にはいくつかありますが、その中で実務経験が必要なものを紹介します。
(1) 大学で定められた科目を修めて卒業し、定められた施設で実務経験2年以上
(2) 現任者講習会を終了し、定められた施設で実務経験5年以上
比較的新しい資格のため、特例措置として期間限定で設けられている受験資格もあります。受験する際には再度要項などを確認するようにしましょう。
※出典:一般財団法人日本心理研修センター「公認心理師試験について」
資格によって、受験資格に細かな規定があります。また、受験資格が変更される可能性もあるため、必ず受ける年の受験の手引きなどで、自分が受験資格を有しているのか確認するようにしましょう。