役立つ資格や支援制度も紹介 セカンドキャリアとは?
転職サイトなどでも目にする「セカンドキャリア」という言葉。具体的には何を指すのでしょうか?
セカンドキャリアの意味や支援制度などについて紹介します。
セカンドキャリアとは?意味を解説
まずはセカンドキャリアの意味や事例を解説していきます。
定年後や脱サラ後などに築くキャリアのこと
セカンドキャリアとは、主に定年後や脱サラ後に心機一転して新たに築くキャリアのことです。
例えばカフェや農家などの自営業を始めたり、資格を取得してこれまでとはまったく違った仕事に挑戦したりする、といった働き方がセカンドキャリアにあたります。
一方、女性が出産後や子育て後に働くことを指す場合もあります。もともとはプロスポーツ選手が現役引退後、指導者や監督など選手以外の立場でスポーツに関わることを意味する言葉として使われていました。
単なる転職とは違い、第二の人生をより豊かに送るための長期的なキャリアを構築するというニュアンスが強いようです。
転職や起業など選択肢はさまざま
セカンドキャリアには転職だけでなく起業、フリーランスへの転向など、さまざまな選択肢があります。
これまでのスキルや経験を生かしながら働く人もいれば、未経験の職種にチャレンジする人もいます。
また「趣味をじっくり楽しむ時間が欲しい」という理由から、正社員から契約社員や派遣社員に転職するという人もいます。
「人生100年時代」といわれる現代では、定年後も働くことが当たり前になってきており、30代や40代からセカンドキャリアについて考える人も多いようです。
よくあるセカンドキャリアの事例
セカンドキャリアのよくある事例を、50代の場合と女性の場合に分けて紹介します。
50代の場合
50代の場合、早期退職制度を利用して定年を迎える前に会社を退職し、これまでの経験や人脈を生かして転職したり、起業したりするケースが多いようです。小売業や飲食業などで働いていた人が、自分の店を開業する例もよくあります。
また、都心で働いていた人が早期退職をきっかけに実家のある地方に引っ越し、農業などを始める例も見られます。
女性の場合
女性の場合、出産前に働いていた会社に復職する他、家庭と仕事を両立するために正社員からパートへと雇用形態を変えて働いたりする人も多いようです。
また、子育てと両立しやすいリモートワークを取り入れている会社に就職したり、子育ての傍ら資格取得に励み、その資格を生かした仕事に転職したりする場合もあります。
セカンドキャリアを成功させるためには?
セカンドキャリアを成功させるためのポイントを説明します。
将来のビジョンをしっかりと持つ
セカンドキャリアの成功にまず大切なのは、自分が何をしたいのか、どんな生活をしていきたいのかなどの明確なビジョンを持つことです。
また、そのビジョンと自分の収入や貯金額などを照らし合わせ、実現可能かどうかをしっかり考えることも重要です。配偶者や子どもがいる場合は、今後について相談しながら決めていくと良いでしょう。
自分の理想とするセカンドキャリアを送っている人が身近にいる場合、実際の生活について話を聞いてみると参考になります。
セカンドキャリアに役立つ資格を取得する
セカンドキャリアとして始める仕事の中には、資格が必要だったり、資格があると有利になったりするものもあります。
よく取得されている4つの資格を紹介します。
行政書士や会計士、税理士などの国家資格
司法・行政系の資格は、取得するには難易度が高いものの、高収入が期待できます。また、受験資格を得るため特定の学校に通う必要がなく、努力すれば独学でも取得可能です。
士業には定年もないため、資格を取得すれば一般的には定年後といわれる年齢であっても、生活するには十分な収入が見込めるともいわれています。
ビル設備管理技能士や建物環境衛生管理技術者の資格
ビル管理業務はシニアの求人に多い仕事の一つで、定年後のセカンドキャリアとしても人気があります。
ビル管理業務は未経験者でも働くことが可能ですが、ビル設備管理技能士や建物環境衛生管理技術者の資格を持っていると有利になったり、待遇が良くなったりすることがあります。
飲食店を開業するなら食品衛生責任者・防火管理者
セカンドキャリアとして飲食店経営を行う人は珍しくありませんが、その際に必要となるのが食品衛生責任者・防火管理者の資格です。
食品衛生管理責任者の資格は6時間ほどの講習を受け、管轄の自治体へ申請すれば取得できます。調理師免許や栄養士の資格などを持っている場合、受講せずに取得可能です。
防火責任者の資格は、店舗の延べ床面積が300平米以上の場合は甲種、300平米未満の場合は乙種が必要となり、それぞれ費用や講習時間が異なります。
日商PC検定やマイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)の資格
特にシニア世代ではパソコン操作が苦手という人も少なくありませんが、パソコンスキルはさまざまな業種や職種で求められます。
また、子育てとの両立がしやすいリモートワークではパソコンスキルが必須であることがほとんどなので、子育て中のキャリアを構築するためにも取得しておいて損はない資格です。
※おすすめの資格について詳しくは→おすすめ国家資格一覧
セカンドキャリアセミナーに参加する
昨今ではさまざまな企業をはじめ、ハローワークなどでもセカンドキャリアにまつわるセミナーが開催されています。
40代向け、50代向け、女性向けなど、状況に合わせた各種セミナーが開催されているので、興味のある企業やハローワークの告知情報をチェックしてみましょう。
セカンドキャリアの支援制度
セカンドキャリアにまつわる、政府や企業の代表的な試みを説明します。
企業による支援
企業による社員のセカンドキャリアに対する支援には、退職金の割増、関連会社への転籍・出向、再就職支援、独立開業支援などがあります。
ただし、企業によって内容は大きく異なり、支援そのものがほとんどない場合もあります。
また、派遣会社の中には、セカンドキャリアの求人に特化していたり、セカンドキャリアのためのスキルアップセミナーを開催していたりする会社もあります。
政府による支援
政府によるセカンドキャリアに対する支援には、定年後に働きたい人々を対象とした高年齢退職予定者キャリア人材バンクや、シルバー人材センターがあります。いずれもシニア世代の再就職を支援したり、働く機会を提供したりする取り組みです。
また、40歳以上で起業し、高齢者を雇用する場合には150~200万円程度の中途採用等支援助成金が支給されます。
女性のセカンドキャリアの支援としては、育児休業の取得・復帰に役立つ情報の提供や再就職にまつわるセミナー、イベントの情報を提供する仕事と育児カムバック支援サイトがあります。こちらではメールによる相談も可能です。
コラム:セカンドキャリアセンターとは?
埼玉県は先駆的な試みとして、所沢市、草加市、川越市、加須市、春日部市、深谷市、秩父市、さいたま市にセカンドキャリアセンターを設けています。セカンドキャリアセンターでは、就職先の紹介や面接対策セミナーを受けられる他、キャリアコンサルタントが個別相談に応じています。
また、中高年や女性に向けたセカンドキャリアセミナーも開催されています。興味のある方は自治体で告知されているセミナー情報を確認してみてください。
※参考→埼玉県セカンドキャリアセンター
まとめ
セカンドキャリアとは脱サラ後や定年後、出産や子育て後に構築するキャリアのことです。転職や起業などさまざまな選択肢があります。
この先の人生を有意義に過ごすために、セカンドキャリアについて考える機会を作るのも良いでしょう。