働きやすい職場の選び方も 転職するなら結婚前か結婚後か
結婚を機に転職を考えている場合、結婚前と結婚後のどちらのタイミングが良いのでしょうか。
結婚前・結婚後に転職するそれぞれのメリット・デメリットや、働きやすい職場の選び方などを紹介します。
結婚を機に転職するのは、普通?
まずは、結婚を機に転職するかどうか迷っている人のために、多くの人が転職を考えるタイミングや、結婚を機に離職する人の割合について解説します。
結婚を機に転職を考える4つの理由
人は一般的に、結婚前や結婚後、どのような理由から転職を考えるのでしょうか。代表的な4つの理由を表にまとめて紹介します。
1通勤圏外に引っ越すから
遠距離恋愛を経て結婚し、パートナー側の勤務地に合わせて居住地を変える場合、転職を考える人が多いようです。
引っ越しに伴い、今勤めている職場への通勤が困難になるためです。この場合、新しい居住地から通勤可能な会社に転職する必要があります。
2近いうちに妊娠・出産を考えているから
女性の場合、結婚後の妊娠・出産を視野に入れていると、出産・育児に理解のある職場を求めて転職する人も少なくありません。
現職のポストや勤務形態、会社の方針によっては、妊娠・出産後の復帰は難しい場合があるからです。
3ワークライフバランスを見直したいから
生活スタイルや働き方の見直しを、転職のきっかけとする人もいます。
結婚により新しい家族との生活が始まると、独身時代と同じような生活スタイルを貫くのは難しいでしょう。そのため、働き詰めの生活に区切りをつけ、仕事と家庭のバランスを保ちやすい仕事に転職する人も少なくありません。
4給料アップを望んでいるから
結婚後の生活を支えていくために、転職を考える場合もあります。
今の給料では家計が苦しく、このまま働いていても給料アップが見込めない会社であれば、見切りをつけて次の職場を探す人もいるようです。
結婚を機に離職する女性は1割程度
実際のところ、結婚を機に転職する人はかなり少ないようです。
厚生労働省のデータによると、2019年の1年間で結婚を機に転職した女性の割合は結婚適齢期の20代後半で6.6%、30代前半で9.9%でした。男性は20代前半で2.2%、30代前半で0.7%と、さらに少なくなっています。
「結婚後は寿退社」という従来のイメージは、働き方の多様化とともに変化しています。
今では結婚後も同じ職場で働き続けるケースが増えており、結婚後も仕事と家事を両立させている人が多いといえるでしょう。
※参考:
2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況|厚生労働省
女性の場合、転職するなら結婚前?結婚後?
ここでは女性の転職におけるタイミングとして、結婚前と結婚後の、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。
結婚前に転職する場合
メリット
女性が結婚前に転職する場合、新たな転職先を見つけやすいというメリットがあります。
結婚したばかりだと「入社してもすぐに産休や育休に入ってしまうのではないか」という先入観を持たれてしまうことも。勝手な思い込みを避ける上で、結婚前の方が転職活動を行いやすいと言えます。
また、結婚前に転職し、ある程度の期間働いてから結婚した場合、出産・育児の理解を得やすいメリットもあります。
すでに会社との信頼関係ができているため、産休・育休が取りやすかったり、子どもの急な体調不良による早退なども理解してもらいやすくなったりするでしょう。
デメリット
結婚前の転職は、私生活に影響が出かねないというデメリットがあります。
転職すると誰しも、新しい仕事に慣れることが最優先事項になります。その結果、パートナーとの時間が減ったり、職場に気を遣って結婚や出産の時期を遅らせてしまったりということもあるでしょう。
結婚後に転職する場合
メリット
結婚後に転職する場合、ワークライフバランスを考慮した勤務先を探しやすいでしょう。
結婚後の生活リズムをある程度つかんでから転職活動ができるため、結婚生活のスタイルに合わせた勤務先を選ぶことができます。
デメリット
結婚後に転職すると、とりわけ女性は出産・育児の可能性を考慮されて転職活動で不利になりやすいというデメリットがあります。
また、入社できたとしても、入社1年未満の社員には産休・育休を付与しないという就業規則を定めている会社もあるため、転職後すぐには産休・育休が取れないことも。
さらに、転職先の勤続年数が1年未満だと、住宅や自動車を購入するためのローン審査が通りにくいというのもデメリットです。
自分たちの希望に合わせたタイミングを選びましょう。
コラム:男性の場合、転職は結婚後が良い?
男性が結婚を機に転職する場合は、結婚後のタイミングがおすすめです。
結婚前に転職する場合、転職準備と結婚準備の忙しい時期が重なってしまったり、「転職に成功したら籍を入れる」というあいまいな期間設定にしていたりすると、転職期間が長引くほどパートナーに迷惑をかけてしまうことになります。
また男性の場合、家庭を優先するための転職は人事に対してプラスイメージにつながることも。
家族を守る立場になるため簡単には離職せず、仕事への責任感もあるだろうと期待を寄せる会社が多いようです。
結婚後でも働きやすい職場を選ぶ3つのコツ
結婚後は生活環境も大きく変化するため、自分たちの生活スタイルに合った職場を選ぶことが大切です。
ここでは、結婚後でも働きやすい職場の選び方のコツを3つ紹介します。
生活スタイルに合った雇用形態を選ぶ
結婚にともない転職をする場合、転職理由に合わせた雇用形態を選ぶと良いでしょう。
転職理由 | おすすめの雇用形態 |
給料アップを望んでいる | 正社員 |
ワークライフバランスを見直したい | 派遣社員 |
近いうちに妊娠・出産を考えている | パート・アルバイト |
住宅の購入などでローン返済がある人や、安定した収入を目指している人は正社員として働くことが得策です。
ただし、残業や休日出勤を強いられたり、仕事の責任が重くなったりするなど、業種やポジションにより負担が大きくなるリスクは避けられません。
それによる結婚生活への影響も考えておく必要があります。
派遣社員であれば、非正規雇用ではあるものの働くペースをある程度自分で選択できるため、自分の理想とする生活スタイルに合わせた働き方ができるでしょう。
そのほかにも、もし「近いうちに妊娠・出産を考えている」などの理由で負担の軽い仕事を望む場合、働くペースや時間を調整しやすいパートかアルバイトがおすすめです。
非正規雇用は正社員に戻りにくい?
派遣社員などの非正規雇用は、自分のペースで仕事ができる一方で、正社員に戻りにくくなるという実態もあります。
「非正規雇用は業務の幅や量が限定的で、正社員ほど仕事の責任が重くない」というイメージを持たれることも少なくなく、他が同じ条件であれば、前職が正社員の人をより「即戦力」として評価するということもあるでしょう。
結婚後の生活スタイルに合わせて雇用形態を変更する場合は、将来的なプランも含めて考えることが大切です。
※正規雇用と非正規雇用の違いについて→正規雇用とは?非正規との違いや賃金格差を紹介
出産・育児に理解がある会社を選ぶ
結婚を機に転職するなら、出産・育児に理解のある職場を選ぶようにしましょう。
出産・育児にまつわる制度には産休・育休をはじめ「子の看護休暇」や時短勤務制度がありますが、それらの取得実績が高い職場を選ぶと、ストレスなく仕事と子育てを両立することができます。
結婚後に出産・育児を考えている場合、それぞれの制度の取得実績について、求人票や採用サイトなどを必ず確認しましょう。
※時短勤務について→Q&Aでわかる時短勤務のすべて|いつまでできる?給与はどうなる?
※子の看護休暇について→子の看護休暇のすべて|無給が6割!時間単位でも取れる?申請方法も紹介
残業が少なく年間休日が多い会社を選ぶ
結婚後も仕事とプライベートを両立させたい場合、求人票を見ながら残業時間や年間休日日数について確認しておくと良いでしょう。
残業が多いために毎日帰る時間が遅くなったり、休日数が極端に少なかったりすると、コミュニケーションが不足し、家族との関係に悪影響が出る恐れがあります。
また「週休2日」と記載されていても、祝日などは含まれていない場合があります。休日を確認するときは、年間休日日数もあわせて確認してみてください。
※年間休日は平均何日?→年間休日の平均は?厚生労働省のデータをもとに計算
※週休二日制について→週休二日制は毎週2日休めない!完全週休二日制との違い・年間休日
選考での転職理由や志望動機の伝え方
最後に、結婚による転職で活用できる、転職理由や志望動機の伝え方について、以下の3つのポイントを説明します。
ライフプランに嘘はつかない
面接で結婚後のライフプランについて聞かれた場合は、正直に答えるようにしましょう。
なぜなら、パートナーの転勤や出産・育児の予定があるのにもかかわらず、入社したいあまりに嘘をつくと、人事配置に想定外の影響が出てしまい、迷惑をかけかねないからです。
ほかにも、即戦力を欲していたり、人員が足りていなかったりする会社は、夫の転勤や出産を理由にすぐに会社を辞められてしまうと、また新たに採用活動をしなければなりません。
また自分自身も、退職までの期間で肩身の狭さを感じてしまうでしょう。
こうした質問に正直に答えると、採用に不利になると思うかもしれませんが、正直に自分の思いや事実を伝えつつ、仕事への強い意欲を示してカバーすることが大切です。
「結婚」をアピールしすぎない
結婚はあくまで転職を考えたきっかけにとどめ、主な転職理由として伝えるのは避けましょう。
それよりも、志望する会社のどこに魅力を感じたのか、これまでのキャリアをどう生かして働きたいかなど、前向きな転職理由をアピールしましょう。
例文|良い印象を与える志望動機の書き方
志望動機には、志望する会社で自分がどう働いていきたいのか、これまでのスキル・経験を活かしてどう貢献できるのかを伝えましょう。
とりわけ女性の場合は結婚を前面に押し出しすぎると「家庭最優先で仕事をおろそかにするのではないか」などと、心証を悪くすることもあります。
◯良い志望動機
御社の△△という企業理念に魅力を感じ、御社を志望しています。営業事務は未経験ですが、前職ではコールセンターで働いていたので電話応対は得意です。この経験を生かし、御社のお役に立ちたいと考えております。
×悪い志望動機
結婚を機に、土日休みの仕事に就きたいと考えたので、御社の営業事務を志望しています。前職の経験が活かせることはもちろんですが、家庭の時間を大切にしたいため、残業時間の少なさにも惹かれております。
自分勝手を並べない
会社の事情を無視し、自分に都合の良い条件ばかりを並べることは控えましょう。
家庭を大事にしたい思いが先走るあまり「毎日必ず定時に退社したい」「遠方出張のあるポジションには就きたくない」など、自分の都合ばかりを伝えてしまうと、どんなに魅力的なキャリアやスキルを持っていても、採用からは遠ざかります。
条件を提示する際は節度をわきまえ、歩み寄る姿勢を見せることが大切です。
まとめ
転職のタイミングとして、結婚前と結婚後のそれぞれにメリットとデメリットがあります。
これからの生活プランに合わせて、自分たちに適した転職のタイミングを定めると良いでしょう。
また、転職するときは結婚後の生活スタイルに合わせた勤務先を選択することで、理想のワークライフバランスが取れるようになります。