よくある疑問にも回答 試用期間中の給与は低くなる?

試用期間がある場合に「試用期間中の給与は、本採用後よりも低い?」など、給与に関する疑問を抱く人は少なくありません。

この記事では、「試用期間中の給与は低くなるのか?」をはじめ、残業代ボーナスの有無など、試用期間の「給与」に関する疑問にお答えします。

Q. 試用期間中の給与は低くなる?

A. 本採用時より低くなることもある

試用期間中の給与は、本採用時より低くなる場合があります

一般的に、試用期間は採用された人のスキルを見極める期間です。既にいる社員と同等のパフォーマンスを発揮できるかどうかわからないことから、試用期間中の給与を本採用時よりも低く設定している企業もあると言われています。

古いデータにはなりますが、労働政策研究・研修機構(JILPT)が2005年に発表した調査によると、試用期間終了後に昇給や手当を増額する企業は35.3%。およそ4割の企業が、試用期間中の給与を本採用時より低く設定しているようです。

試用期間終了後、本採用になるときの賃金の変化:昇給させる…11.3%。手当などが増える…24.0%。特に変化なし…56.6%。無回答…5.1%。⇒約4割の企業が、本採用時に比べて試用期間中の給与が低い

※出典:調査シリーズ No.4 従業員関係の枠組みと採用・退職に関する実態調査 ― 労働契約をめぐる実態に関する調査(Ⅰ) ―|労働政策研究・研修機構(JILPT)

なお、試用期間中の給与額が本採用時より低くても、就業規則や労働条件通知書に明記されていて、なおかつ労働者が同意して入社していれば違法にはなりません。トラブルを防ぐためにも、入社前に労働条件通知書で試用期間中の給与額や支給条件を確認し、不明点や疑問があれば必ず質問してから入社に同意するようにしましょう。

もしまだ選考中であれば、面接で給与額を確認するのもひとつの手です。ただし、ストレートに尋ねると印象を悪くする可能性があるため「御社で働く場合の入社後の生活を明確にイメージしたいので…」といった前置きをしてから質問しましょう。

試用期間中の残業代ボーナスの支払いについては、次の章で解説します。

【コラム】試用期間中の給与は、最低賃金以下になるケースもある

試用期間中の給与は本採用時より低くなることがありますが、なかには各都道府県の最低賃金を下回るケースもあります。

これは「最低賃金の減額の特例」(最低賃金法第7条)の申請を行っているケースで、最長6カ月のあいだ最低賃金が最大20%減額されます。そのため、減額された範囲内であれば通常の最低賃金を下回っていても違法にはなりません

ただし、この特例が適用されるのは、企業が労働局長の許可を得ている場合に限られます。求人票・労働条件通知書に記載がない場合や、労働者が合意していない場合も違法となるため、疑問を感じたら企業の総務・人事担当などに確認しましょう。

試用期間中でも、残業代やボーナスはもらえる?

残業代は必ずもらえる

試用期間中でも、通常と同じく残業代は必ず支払われます法定労働時間である「週40時間、1日8時間」を超えて勤務した分の賃金(残業代)を必ず支払うことは、労働基準法(第37条1項及び割増賃金令)で定められているので安心してください。

もし残業代が支払われなければ、企業側は労働基準法違反となり、労働基準監督署から行政指導や是正勧告を受けることになります。試用期間中にも残業代が正しく支払われているか、給与明細をしっかり確認しておきましょう。

なお「固定残業代が設定されている場合、追加の残業代は一切発生しない」と誤解している人も多いですが、設定された固定残業時間を超えた分の残業代は追加で必ず支給されます。もし超過分の残業代が支払われていなければ違法なので、注意してください。

ボーナスの有無は企業による

試用期間中にボーナスがもらえるかどうかは、企業によって異なります

そもそも、ボーナスは法律上必ず支払われるものではなく、企業が独自に支給するかどうかを決めているもの。そのため、ボーナスが支給されなくても違法性はありません

企業の就業規則や求人票などを読み、試用期間中のボーナスの有無や支給の時期、査定期間などの詳細を確認しておきましょう。

【コラム】試用期間中も社会保険料と税金は天引きされる

試用期間中も、本採用後と同じく社会保険料と税金が給与から天引きされます。そのため、給与の手取り金額は、労働条件通知書に記載された額面給与より低くなるので注意が必要です。

なお、試用期間中と本採用後で、社会保険料・税金の金額は大きく変わりません。手取り金額は、おおよそ額面給与の75~80%になると覚えておきましょう。

▼試用期間中の社会保険の加入について、くわしくは…

もしや違法? こんな場合は専門家に相談を

もし、労働条件通知書や就業規則などで事前に説明がなく、合意していない状態で試用期間中の給与が本採用時よりも低かった場合は、違法性があります

試用期間中の給与について不明な点や不安があれば、まずは企業の担当者に確認しましょう。質問をはぐらかされる、状況を改善してくれないなど企業の対応が不当だと感じた場合は、厚生労働省の労働条件相談「ほっとライン」や、近くの労働基準監督署に相談するのもひとつの手です。

このほか、試用期間に関するよくある疑問やトラブルについては、下記の記事でも解説しています。

▼試用期間中に「合わない」と感じたら…本採用前に退職できる?

▼能力不足などで、試用期間中に解雇されることもある?

この記事の執筆者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。

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