付き合い方や呼び方の対処法を解説 年下上司にむかつく?
勤続年数が長くなるにつれて、「上司が自分よりも年下である」という人は多くなる傾向にあります。中には「年下の上司とうまくいかない」「若手の上司と仕事のやり方が合わない」と悩む人もいるようです。
ここでは、年下の上司・年上の部下との付き合い方やトラブル事例などを解説します。
年下上司はめずらしくない?
まずは年下の上司とその部下に関する現状を解説していきます。
40代で年下上司を持つ人は約2割
パーソル総合研究所の調査によると、年下の上司がいる会社員は40代前半では約1割と少ないものの、40代後半で約2割、50代後半では6割近くにも上ります。
その理由には、役職退任制度で50代後半で役職から外れるケースが多いことや、年功序列制度ではなく実力主義を取り入れている企業が増えてきていることが関わっていると考えられます。
また、同研究所の別の調査では、上司の年齢が年上から年下に変化するのは53.5歳という結果も出ています。
※参考
→データで見るミドル・シニアの今|パーソル総合研究所
→40~60代のミドル・シニアを部下に持つ年下上司に求められる『年齢逆転マネジメント』のヒント|パーソル総合研究所
年下の上司や社員とうまくいかない人は約3割
マンパワーグループの調査によると、35~55歳の正社員男女400名のうち、約3割が年下上司または年下社員に「やりにくさを感じたことがある」と答えています。
具体的な理由としては「お互いに思っていることをストレートに言えない」「年下の上司のプライドを損ねないように気を使う」「年下の上司が本音を語ってくれない」「年下の上司が人の話をまともに聞かない」「世代による価値観の違いを感じる」などがあるようです。
※参考→年下上司との関係は複雑!?約3割が「やりにくい」と回答 ミドル人材が働きやすい職場に必要なこととは?|人材派遣・人材紹介のマンパワーグループ
年下上司からのパワハラに悩む人も
上司からのパワハラは、上司が自分より若い場合でも起こっています。
自分よりも年下の上司に大勢の前で叱責されたり、2人きりになった時だけ態度が豹変し、冷たくされたりするといったパワハラに悩むケースがあるようです。
パワハラはただでさえツラいものですが、「自分よりも年下の相手に理不尽な理由で怒られる」ことでショックが倍増したり、「年下に怒られるなんて恥ずかしい」と感じて誰にも相談できずに抱え込んでしまうことも珍しくないようです。
年下の上司からのパワハラの対処法について、詳しくは下の「コラム:年下上司にパワハラを受けたらどうする?」で説明しています。
年下上司にむかつくときの対策は?
続いて、年下の上司と起こりやすいトラブル事例や、付き合い方のコツを紹介します。
年下上司とのよくあるトラブル
年下の上司とのよくあるトラブルには、以下のようなものが挙げられます。
わからないことは部下に丸投げする
不適切な人事配置で実力がないまま昇進した年下の上司が、わからないことをすべて部下に丸投げしてきます。
彼がマネージャーに抜擢されたのは高学歴であるという理由が大きいと噂されているのですが、確かに業務の流れを理解しておらず、結果的にもともと担当者している自分にマネージャーが行うべき仕事も回ってきてしまっています。
【対処法】
上司のフォローをしなければならないせいで部下たちの負担が増えているなど、業務に支障が出ている場合は上司のさらに上の上司に相談することを検討しましょう。
経験者のアドバイスを受け入れない
「自分は上司である」というプライドが強く、経験豊富な部下にアドバイスされても聞く耳を持ってくれません。
部署で一目置かれているベテラン契約社員の方が業務全体の効率化につながる提案をしても、『部下に指示されたくない』と頑なに拒否されてしまいます。
【対処法】
「部下にアドバイスされる」ことに対して否定的な上司の場合は、年下の上司が信頼している人物に代わりにアドバイスしてもらうとスムーズに聞き入れてくれることがあります。
経験不足なのに偉そうにしている
経験不足でうまく仕事を回せないにもかかわらず、態度だけは大きく偉そうにしているため、私たち部下は呆れ果てています。
指示を仰いでもあいまいな返答ばかりなのに、部下のミスを発見すると偉そうに叱責してくるので仕事のモチベーションも下がりっぱなしです。
【対処法】
会社という組織に属している以上は、上司の指示に従う必要があるため、時には偉そうな態度に目をつぶることも必要です。
ただし、怒鳴るなど「偉そう」の範囲には収まらない行動をとっている場合は、上司のさらに上の上司に相談しましょう。
また、年下の上司に対してもともとネガティブなイメージがあり、何を言われても「若手のくせになんだか偉そうだ」と思い込んでしまっているケースも考えられます。
同じことを年上の上司から言われたらどう思うかを考え、「年下なのに」という見方をやめてみるのも良いでしょう。
年下上司とのうまい付き合い方
年下の上司とうまく付き合うためには、以下3点に注意すると良いでしょう。
年齢関係なく「さん付け」「敬語」で話す
普段から上司・部下関係なく誰に対しても「さん」付けで、敬語を使うよう心がけましょう。
以前は呼び捨てやあだ名などで呼び、タメ口で接していた部下が上司になった場合、急に呼び方が変わったり、敬語を使うことで違和感を覚え、トラブルに発展するケースも多いようです。
「仕事がスムーズにいくかどうか」を重視する
まずは仕事がスムーズにいくかどうかを重視しましょう。
年下の上司に対して「年下のくせに」「自分の方が年上なのに」と思うことはやめ、年齢を気にしなければ、年下の上司からの指示をスムーズに聞けるようになることもあります。
上司をマネジメントする意識を持つ
業務がよりスムーズに進むよう、あくまでも部下の立場を守りつつ上司をうまくマネジメントするような意識を持つのもおすすめです。
いくら上司にムカついたとしても頭ごなしに否定したり、偉そうにアドバイスしたりすることは避けましょう。
「こうした方が、◯◯さんの実績が生かせると思いますよ」などと上司を立てるような表現で伝えたり、頼りにしていることをアピールしたりして、上司に信頼してもらえるようにすることがポイントです。
コラム:年下上司にパワハラを受けたらどうする?
若手の上司にパワハラを受けていて、心身ともに負担が大きい場合は、その上司のさらに上の上司や、会社のコンプライアンス部、各都道府県の労働局や労基署の総合労働相談コーナーに相談してみましょう。
一人で相談するのが不安な場合は、同じようなパワハラ被害を受けている同僚と一緒に相談したり、信頼できる人に付き添ってもらうのも良いでしょう。
年下の上司にパワハラを受けている場合、「自分よりも年下の相手にパワハラを受けているなんて恥ずかしい、情けない」と感じることもあるようですが、一人で抱え込まずに勇気を出して相談してみることが解決につながる場合もあります。
※パワハラについて詳しくはこちら→パワハラで退職すべき?辞めない方法は?
年上部下との付き合い方に悩んだら?
ここでは年上の部下がいる上司の方向けに、トラブル事例や対策を紹介します。
年上部下とのよくあるトラブル
年上の部下とのよくあるトラブルは以下の通りです。
注意すると「年下のくせに偉そうにするな」と逆ギレする
年上の部下が、自分よりも年下の相手が上司であることに嫌悪感があるようで、注意しても「年下のくせに偉そうにするな」などと逆ギレしてきます。
新入社員に対してセクハラめいた言動をしていたので注意したところ、『年下のくせにうるさい』『お前に言われる筋合いはない』と聞き入れてもらえなかったのには本当に困りました。
【一言アドバイス】
年上といっても相手が部下であることには変わりないため、毅然とした態度で振る舞いましょう。もし部下の態度があまりにもひどく、業務に支障が出る場合は自分の上司に相談するという方法もあります。
経験年数が多いことを理由に指示に従わない
年上の部下が、「自分のほうが経験豊富だから」との理由で上司である私の指示を聞いてくれません。
最新ツールを使うことを勧めても、『自分は長年こうやってきた』と言い張り、効率の悪い方法を取り続けています。
【一言アドバイス】
頭ごなしに注意しても逆効果になってしまう可能性があるため、「◯◯さんはこの分野の経験が豊富なので、△△を担当してもらいたい」などと、年下の部下のキャリアを認めつつ指示を出すとうまくいくこともあります。
年上部下とのうまい付き合い方
年上の部下とうまく付き合うために、以下の点に注意しましょう。
「やりにくい」と感じてもしっかりと指示を出す
自分よりも年上の部下に対して、「やりにくいから」「注意しにくいから」と放置したり、遠慮したりして言いたいことを言えないままになってしまうと、かえって仕事に支障が出ることもあります。
年齢関係なく、上司としての指示ははっきり出すよう心がけましょう。
時には年上部下を頼る
わからないことがあったら、その分野に詳しい年上の部下を頼ってみましょう。
「上司という立場であっても、わからないことは素直に聞く」という姿勢を見せることで、年上の部下に「上司なのに偉そうにすることなく、しっかり学ぼうとしている」という印象を与える場合も。
そのことがきっかけで部下との信頼関係が生まれることもあります。
まとめ
年下の上司との関係性に悩んでいる人は少なくありませんが、考え方や対応を変えるだけでも解決につながることもあります。
年下の上司・年上の部下ともにスムーズに仕事ができるような関係性を目指しましょう。