略図・文章の手順を解説 通勤経路の書き方
通勤手当をもらうために会社に提出する通勤経路のわかりやすい地図・略図の描き方、交通手段別の文章表現のポイントを解説します。
通勤経路の書き方<地図・略図編>
まずは通勤経路の書き方のなかでも特に迷いやすい、略図の書き方について解説いたします。
ネットの地図をプリントして提出
Google Mapなど、ネットの地図をプリントアウトして経路を赤ペンでなぞると手軽に地図が作成できます。
会社の担当者から手書きの略図を求められた場合以外は、プリントアウトでOKです。
手書きの地図を提出
手書きで地図を作成する場合には、以下の3つのポイントを踏まえるとわかりやすい地図が作れます。
1自宅と会社の位置を明確に
太線を使用する、色を変える、建物を塗りつぶすなどして、自宅と会社の位置を目立たせる工夫をしましょう。
2目印を書くとわかりやすい
目印を書くとより経路がわかりやすくなります。病院や店舗、学校など、目印になるような建物があればその名称も併せて記載しましょう。
3曲がり角をはっきりと
曲がり角をはっきりさせるのも見やすい地図作りのポイントです。曲がり角の場合、目印になるようなものは必ず記入した方が良いでしょう。
交通手段別通勤経路の書き方<文章編>
地図以外にも、文章で通勤経路を申請する必要もあります。
交通手段ごとに例を挙げてポイントを紹介します。
電車通勤の場合
例:電車通勤
|(徒歩10 分)
A駅
|(JR △△線20分)
B駅
|(東京メトロ15分)
C駅
|(徒歩5分)
会社
電車を使った通勤経路では、以下の5点を明記します。
- 自宅から自宅最寄り駅への徒歩の所要時間※1
- 乗降駅(乗り換えがあれば乗り換え駅も)
- 使う路線名
- 路線ごとの所要時間(乗り換え時間も含む)
- 会社最寄り駅から会社への徒歩の所要時間
徒歩の所要時間を調べる際は、インターネットの地図サービスやルート検索を活用すると良いでしょう。
例えば以下の2サイトでは、出発地・目的地を指定することで正確な距離と時間を算出してくれます。
みんなの知識「ちょっと便利帳地図上でルート検索/ルート案内」
…目的地と出発地を入力することで徒歩ルートや所要時間、距離などを示してくれるサービス。
…地図上の2地点をクリックすることで、徒歩ルートや所要時間、距離などを示してくれるサービス。
車通勤の場合
例:車通勤
自宅
|
××交差点を左折、東方向へ進行
|
○○交差点を左折、環状〇号線を北上
|
□□小学校前を右折、南方向へ進行
|
会社
通勤距離:20キロ 40分
車通勤の場合は、以下の3点を明記します。
- 道順の説明
- 所要時間
- 移動距離
移動距離が長く、すべての曲がり角を書ききれない場合は、主要幹線道路など大きめの道にポイントを絞ると良いでしょう。距離に応じてガソリン代を算出するので、移動距離の記入は必須です。
車の距離の計算では、以下のようなサイトが役に立つでしょう。
…出発地と目的地を入力するだけでルートごとの総距離やガソリン代を計算してくれるサービス。
バス通勤の場合
例:バス通勤
自宅
|(徒歩3 分)
Aバス停
|(△△バス20分)
Bバス停
|(徒歩5分)
会社
バス通勤では、以下の5点を記入します。
- 自宅から自宅最寄りバス停までの徒歩の所要時間
- 乗降するバス停名
- バス会社名
- 所要時間
- 会社最寄りバス停から会社への徒歩の所要時間
バス通勤では、通勤手当が支給される下限距離が設定されているケースも少なくありません。
「自宅から会社までの距離〇km以上が支給対象」など距離の規定は企業によりますが、一般的に1~2kmの範囲に設定している例が多いようです。
その際、通勤経路申請と合わせてバス会社の距離証明書の提出が求められることもあります。
距離証明書は、各バス会社の営業所、定期券発売所などで受け取ることができます。直接の受け取り以外にFAXにも対応しているなど、受取場所や受取方法はバス会社によってさまざまです。
なお、電車とバスの両方を通勤に利用する場合は、以下のようにそれぞれのポイントを踏まえて書きましょう。
例:電車とバスの両方を通勤に利用
自宅
|(徒歩5 分)
Aバス停
|(△△バス10分)
B駅バス停
|(JR ××線35分)
C駅
|(徒歩7分)
会社
自転車通勤の場合
通勤手当を算出するのが目的なので、自転車通勤では通勤経路の提出は不要です。
ただし天候によって公共機関を使う必要がある場合は、普段は自転車通勤であることを伝えた上で悪天候の際の通勤経路を提出しておいた方が良いでしょう。会社によっては自転車通勤が禁止の場合もあるので、担当者に確認が必要です。
また、駐輪場代が会社負担となるケースや東京都のように条例で駐輪場の確保を会社の義務としているケースもありますので、就業規則や勤務地の条例を確認してみてください。
徒歩通勤の場合
徒歩通勤の場合も、自転車通勤と同様の理由で通勤経路の提出は不要です。
通勤経路の記入で気になるQ&A
会社が通勤経路の提出を求める理由を理解すれば、通勤経路の書き方のポイントもより明確になります。
申請が必要な理由や、それに関する基礎知識をご紹介します。
通勤経路の申請はなぜ必要?
通勤経路の申請が必要な理由は、大きく分けて以下の2つです。
通勤手当を算出するため
通勤経路の申請は、正確な通勤手当を算出するために必要です。
企業は従業員から提出された申請書を元に、妥当な通勤手当の支給額を確認しています。
通勤労災をかけるため
通勤経路の申請は、会社が従業員に対し、通勤時の事故やケガに備えた労災保険「通勤労災」をかけるために必要になります。
会社は従業員が事故や災害に遭った場合、それが通勤途中で起こったものかを判断する必要があるため、その基準として正しい通勤経路を報告しなければなりません。
自宅と就業場所の間の往復で起こった災害(通勤途中に転んでケガをした、帰宅途中にひったくりに遭ったなど)は「通勤災害」として認定されます。
通勤途中の事故や災害に対して労災保険の補償をきちんと受けるためにも、正確な通勤経路の申請は重要です。
通勤経路外の事故でも労災認定される?
通勤時に申請した経路以外で事故や災害に遭った場合、申請経路外だからといって必ずしも労災の対象外とは限りません。
たとえ届出外の経路であっても「通勤途中で子供を預けるために保育所に立ち寄った」「電車が人身事故のため不通となり迂回ルートを使わざるを得なかった」などの場合は合理的経路と認められ、通勤労災の対象になります。
※労災について詳しくは→労災保険とは?どんなときにおりる保険?
申請以外の手段で通勤するとどうなる?
「電車での通勤経路を申請して通勤手当をもらっていたにもかかわらず、実際には自転車通勤をしていた」というような場合、通勤手当の不正受給として会社側から手当の返還要求や停職などの懲戒処分を受ける可能性があります。
手当の返還要求をされた場合は、双方の話し合いのうえで振り込みや賃金からの控除といった形で返還しなければなりません。
通勤経路の虚偽申請、申請内容以外での通勤はしないように注意しましょう。
まとめ
適正な通勤手当の算出や労災をかけるために申請が必要な通勤経路。
ポイントを踏まえながら、インターネット上のサービスなども活用しつつ、わかりやすくまとめてみてください。