編集部のおすすめ25冊 面接での「最近読んだ本」の回答例

「最近読んだ本はありますか」「最近読んだ本のことを教えてください」…就活の面接でこのような質問をされた場合、あなたはどのように回答しますか。

この記事では、面接で「最近読んだ本は?」と聞かれた際の回答例とポイント、自分に合った本選びのコツを紹介します。

〈注意〉

厚生労働省のガイドラインによると、「愛読書」に関する質問は、応募者の思想信条に関わるため、不適切とされています。「最近読んだ本」がこれに該当するかは判断が難しいものの、実態として、こうした認識なく聞いてくる面接官もいるでしょう

その際、面接の場であることを考えると「その質問には答えられません」などとストレートに伝えるのも現実的ではありません。万が一聞かれてしまったときのために、念のため回答を準備しておくのが無難でしょう。

※詳しくはこちら

「最近読んだ本は?」回答例と本の選び方

「最近読んだ本は?」と聞かれた際の回答例と本の選び方をいくつかのタイプに分けて紹介します。アピールしたいポイントに合わせて、ジャンルを選ぶのがオススメです。

経営者の本:企業や社会、経営への関心をアピール

『生き方』稲盛和夫

京セラ・第二電電(現KDDI)を創業した稲盛氏の自伝。経営も人生も「人間として正しいこと」を追求して徹底することが成功の秘訣と説く。

(回答例)
2つの大企業を創業したことで有名な稲盛和夫さんの『生き方』を読みました。

組織の上に立つ人の考え方を知ることが好きで、時々経営者の本を読むのですが、『生き方』からは「人間としての正しい生き方」について考えさせられました。強い願望を持つこと、それから昨日より今日、今日より明日、と地道に進んでいくことが成功の秘訣なのだと学びました。

今までは勉強やサークル活動で苦手を敬遠して得意なことに時間を使いがちでしたが、最近は試行錯誤もやがて成功の糧となると信じて、まず最初に苦手なことから手をつけるよう意識しています。

企業や社会、経営への関心をアピールするなら、経営者の本がオススメ。社会人になる準備として、著名な経営者の考え方を学ぼうとする前向きな姿勢を伝えることができます。志望度の高い企業や大手企業を受けるときには、その企業の社長や創業者の本を読んでおくとさらに好印象です。

社長や役員クラスとの面接では要注意

面接を受ける企業以外の企業の社長の本を話題にする場合、特に社長や役員クラスとの面接では注意が必要です。面接官の価値観に合わない本を回答してしまうと、印象を悪くするリスクがあるためです。

その他のオススメ本(一例) 

  • 『本田宗一郎夢を力に』本田宗一郎
  • 『人を動かす人になれ』永守重信

歴史小説:趣味の教養高さをアピール

『燃えよ剣』司馬遼太郎

戦国時代 武将のイメージ画像幕末の動乱期を生きた、土方歳三の生涯を描いた長編小説。新選組の結成から副長としての活躍、最強の組織づくりへの貢献、そして箱館戦争での戦死までを物語る。

(回答例)
最近読んだのは、司馬遼太郎の『燃えよ剣』です。

就職活動を始めて将来に迷い始めたことを父親に相談したところ、薦められたので読みました。

正直、最初はなぜ薦められたのか不思議だったのですが、読み進めるにつれて、自分が日頃どれほど人の意見や情報の多さに惑わされているかに気付かされました。土方歳三の「幕府を守る」ことに対する信念の強さは、情報に溢れた現代を生きる私達にも通じる強さだと思います。

就職の情報収集を進めるうちに自分の意思を見失いかけていたことに気づき、自分が本当にやりたいことは何かを考え直すきっかけになりました。

趣味の教養高さをアピールしたい人、 人として強く生きていくにはどうすべきかなどに興味がある人には、歴史小説が向いています。歴史小説の多くは、激動の時代を生き抜く人々の生き様を描きます。真剣に生きる人々の姿から、現代にも通じる教訓が学べるジャンルです。年配の人とも話が合わせやすいため、相手と距離を近づけることで好印象を与えたい人にもオススメです。

その他のオススメ本(一例)

  • 『三国志演義』羅貫中
  • 『坂の上の雲』司馬遼太郎

スポーツ選手の本:学生時代の経験と結びつけてアピール

『日本男児』長友佑都

スポーツのイメージ画像日本を代表するプロサッカー選手、長友佑都選手のエッセイ。サッカーと出会った幼少期から一流選手になるまでを、自らの言葉で語る。 

(回答例)
サッカーの長友選手が書いた『日本男児』を読みました。

自分もスポーツをする者として、少しでも一流選手からスタンスを学びたいという思いがあり、手に取りました。読んでみて、振り返りと努力の継続がいかに大切かを学びました。特に彼の凄いところは、試合に負けても怪我をしても、敗因や弱点を冷静に見つめ、なりたい自分になるための努力を決して怠らないところです。

能力は到底及びませんが、現状を丁寧に振り返ることや、目標達成に向けてすべきことを整理することは自分にもできるはずなので、真似したいと思いました。

これまでに熱中してきた活動や経験がある人には、スポーツ選手の本がオススメ。目標達成までのプロセスや一流プレイヤーのスタンスなどについて語る本が多く、スポーツをやっていない人でも、これまでの経験や自分の考えと結びつけやすいジャンルです。

その他のオススメ本(一例)

  • 『優柔決断のすすめ』古田敦也
  • 『心を整える:勝利をたぐり寄せるための56の習慣』長谷部誠

古典作品:堅実さ・勉強熱心な姿勢をアピール

『学問のすゝめ』福沢諭吉

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといえり」――自由平等や独立自尊の思想、実学の奨励など、人の歩むべき道を平易な文章で説いた福沢諭吉の著作。

(回答例)
福沢諭吉の『学問のすゝめ』を読みました。

大学で女性の社会進出について勉強しているのですが「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という言葉を通じて福沢諭吉が何を伝えようとしたのか興味をもったため、手にとりました。人権の平等や個人の自由を説く内容だと想像していたので「勉学に勤めた者が尊く、学のない者は貧しい」という考えには正直驚いたのですが、「人の心は男も女も同じ、生まれた時点で人間に差はない」という考え方には強く共感しました。

元々は現代の女性の働き方に興味があったのですが、この本を読んで以来、当時の社会がどの程度女性を受け入れていたかや女性進出の変遷などに関心を持つようになりました。今は、女性進出の歴史を卒業論文の一部に盛り込めないか検討しています。

堅実さや勉強熱心な姿勢をアピールしたい人には、古典作品がオススメ。先人の教えを綴った名作が多く、どの作品を読んでも学びが多いジャンルです。現代語訳や解釈本も数多く出版されています。

その他のオススメ本(一例)

  • 『論語』孔子
  • 『武士道』新渡戸稲造

話題の本:情報感度の高さをアピール

『君たちはどう生きるか』吉野源三郎

15歳の少年コペル君が精神的に成長していく姿を描く、物語風の啓発書。日々の出来事や叔父とのやり取りを通じて、世界や歴史の中の一人としてどう生きるべきかを教え諭す。

(回答例)
『君たちはどう生きるか』を読みました。

中学生時代に課題で読んだ本ですが、なぜ近頃大人たちの間で話題になったのか自分で確かめたいと思い、手に取りました。最も印象に残ったのは「自分がどう思うか」が最も大切という教えです。感覚は人によって違うという、当たり前ですがつい忘れてしまいがちなことに改めて気づかされました。多様な背景や価値観を持った人々が共存していくためにも忘れてはならないことだと思います。だから現代の大人たちの心に響いたのだろうと思いました。

私もこれから社会に出て行く者として、大切に胸に刻んでおきたいと思います。

マスコミやIT、エンタメ業界など、情報感度の高さが重視される業界に興味がある人は、話題の本がオススメ。トレンドへの敏感さ、話題の商品を積極的に取り入れる積極性をアピールできます。「なぜ流行っているのか」を一歩踏み込んで考え、興味関心の対象や自分なりの問題意識を、面接官に伝えるよう心がけるのがポイントです。

その他のオススメ本(一例)

  • 『天才の証明』中田敦彦
  • 『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』岸見一郎/古賀史健

【コラム】最近読んだ本がない場合は

短時間で読めるイメージ内容がきちんと話せれば、必ずしも「最近」読んだ本でなくても構いませんが、全く本を読んでいない人は、今からすぐに読める本を読みましょう。ここでは一例として、オススメ本を4冊紹介します。

『道をひらく』松下幸之助(所要時間:1時間30分)

パナソニックの創業者、松下幸之助の短編随想集。1つの話題につき見開き2ページの形式で、自身の体験や人生への洞察をベースに、経営や人生について指南する。

『伝え方が9割』佐々木圭一(所要時間:1時間)

心を揺さぶる伝え方の技術をまとめた一冊。考えを伝えることが苦手な社員からヒット連発のコピーライターに変貌した著者が、研究の末に発見した「言葉の法則」を紹介。

『羅生門』芥川龍之介(所要時間:10分)

芥川文学の原点。羅生門の下に佇んでいる「下人」が死体から髪を抜き取っている「老婆」と出会う物語。生きるための悪という人間のエゴイズムを描き出す。

『夢をかなえるゾウ』水野敬也(所要時間:2時間)

ゾウの姿で関西弁を喋る謎の神様「ガネーシャ」が、成功の極意を指南する作品。ごく平凡なサラリーマンが、ガネーシャの教えを実践しながら少しずつ変化する姿が描かれる。

いずれも、読書の習慣がない人でもサクサクと読める作品です。興味のある分野の本を手にとってみることをオススメします。

これで安心!「最近読んだ本は?」回答のコツ

これだけはおさえたい!回答の流れ

面接で「最近読んだ本は?」と質問されたら、次の流れで回答しましょう。

  1. 結論:書名と著者名
  2. 読んだ動機:なぜその本を読もうと思ったのか
  3. 得た学び:気づいたことや学んだこと

面接官はあなたの問題意識や説明能力を見ている

面接官が学生と話すイメージ面接官はあなたの問題意識や説明能力、物事の捉え方を見ています。動機や学びの部分を重点的に述べましょう。学生時代頑張ったことなど、他の話題とリンクする内容だと、さらに説得力が生まれます。1章では紹介しませんでしたが、志望度の高い業界がある人は、その業界のトピックスを扱った本について話すのもオススメです。

業界別 オススメ本

あくまで一例ですが、業界別にオススメ本をいくつか紹介します。ここにない分野も、書店に平積みされている本はいずれも一読する価値がある本といえます。書店で自分の興味のある業界の棚を見てみると良いでしょう。

金融業界

  • 『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』佐藤航陽
  • 『億男』川村元気

IT業界

  • 『AI vs 教科書の読めない子どもたち』新井紀子
  • 『人間の未来 AIの未来』山中伸弥

マスコミ・広告業界

  • 『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』西野亮廣
  • 『新聞が消える ジャーナリズムは生き残れるか』アレックスS.ジョーンズ

無理に難しい本を読む必要はない

面接だからといって、無理に難しい本を読む必要はありません。
大切なのは、題材よりも「読んだ目的」と「得た学び」。興味のない本やよく理解できない本よりも、興味や馴染みのあるジャンルの本のほうが、無理なく素直に語れるはずです。自分の言葉で語ることができる本を選びましょう。

また、興味関心の対象や読書習慣を確認するために、その本や分野についてさらに深く質問されるケースもあります。話題を広げられてもきちんと回答できる本だとより安心です。

小説はOK、漫画やライトノベルはNG

面接で話す本として、漫画やライトノベルをとりあげるのは控えましょう。全く読書習慣がない人だと認識されてしまうためです。小説やエッセイなど、文章で構成されている本はOKです。

その他のよくある質問もチェック

面接では最近読んだ本以外にも、最近気になったニュース長所・短所など、さまざまな質問がされます。その他のよくある質問と回答例については、下記の記事でまるっと解説しています。

また、面接当日のマナーもあわせて確認しておくと安心です。

〈不適切な質問について〉

厚生労働省のガイドラインによると、「愛読書」に関する質問は就職差別につながる恐れがあり、本来聞いてはいけない不適切な質問に該当する可能性があります。

厚生労働省は就職の機会均等を確保するため、応募者の基本的人権を尊重した公正な採用選考を実施するよう、事業主に求めています。

厚生労働省による採用選考に関する指針「公正な採用選考の基本」の中では「応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しない」ことが基本方針とされており、出生地や家庭環境、宗教や支持政党、思想や生活信条などの内容を履歴書に記入するよう求めたり、面接で質問したりしないよう注意喚起されています。

詳しくは、厚生労働省や労働局のホームページをご確認ください。

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