国立・私立の違いも解説 助教の年収は600万を切る?

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大学教授を目指す人にとって、最初のステップとなるのが助教。助教の年収や待遇、国立と私立の違いを解説します。

助教の年収はいくら?国立・私立の違いは?

助教の年収は約560万円

助教の年収は、約560万円です。

以下の表では大学教員の職位別に概算年収をまとめています。

職名別 概算年収
教授 893万7,600円
准教授 734万4,000円
講師 640万3,200円
助教 558万2,400円
助手 458万5,600円

※参考→平成28年度学校教員統計調査|文部科学省より。概算年収は平均給料(月額)×12カ月+賞与(2カ月分×夏・冬の年2回と仮定)で算出。手当は考慮せず。

助教と教授の年収を比較すると、300万円以上の差があります。助手から職位が上がるにつれて年収も約100万円ずつ上がっていきます。

助教の給料は国立のほうが私立より高い

助教の平均給料は高い順に国立、公立、私立で、国立大学では月額37万2,100円、公立大学では月額36万3,300円、私立大学では月額32万3,900円です。

【助教の給料(月額)分布グラフ】(20万円未満/20万円台/30万円台/40万円台/50万円台/60万円以上):国立(平均37.2万円)→1%/5%/69%/13%/9%/3%、公立(平均36.3万円)→1%/5%/72%/16%/4%/1%、私立(平均32.4万円)→8%/25%/49%/12%/4%/1%

※参考→平成28年度学校教員統計調査|文部科学省より。小数点以下は切り捨て。

国立・公立・私立ともに30万円台の人が最も多いのは共通していますが、私立では20万円台の人の割合も25%と高くなっています。

国立大学の場合は各大学で俸給表が設定されていますが、国家公務員の給与制度を引き継いでいるケースが多く、大学による差はほとんどありません。公務員の俸給と同じく、役職を表す「級」と、勤続年数や能力によって変動する「号俸」によって基本給が決まります。

公立大学は法人化の際に独自の賃金体系を導入しているケースもあり、同じ助教でも大学によって給与額に差があります。また、私立大学は、大学の規模や経営状況によって給料に差が出ています。

助教の年収は安いってホント?

大企業と比べて助教の給与はそれほどでもない

助教の給料は大企業で働く同学歴・同年代の人と比べると安い傾向があります。文部科学省の調査によると、助教の平均年齢は38.8歳で、平均給料は月額34万8,900円です。

一方で厚生労働省の調査によると、大学・大学院卒で大企業(常用労働者 1,000人以上)に勤める35~39歳の平均賃金は月額39万円で、約4万円の差があります。

ちなみに、フルタイムで働く労働者全体の平均賃金は30万6,200円。統計によって調査方法や用語の定義が異なるため単純に比較することはできませんが、平均よりは高いものの、助教はトップクラスに給与が高い職種とはいえません

また、助教になるには大学卒業後に最低でも修士課程で2年、博士課程で3年はかかります。博士号を取得した後もすぐに助教になれるわけではないため、安定した収入が得られるまでに時間がかかります

※参考→平成30年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

助教は労働時間が長くて割に合わない?

助教は長時間労働の割に低収入であるともいわれています。研究や講義の準備、学会への出席など、助教はやるべきことが多く、年間総勤務時間は平均2,670時間にもなります。

一方で、フルタイムで働く労働者の年間総勤務時間は平均1,972時間(2017年・経団連調査)とのことから、助教の労働時間は一般のフルタイム労働者よりもおよそ700時間長いといえます。

また、大学教員は裁量労働制が適用されるため、残業や休日出勤をしても基本的には給与に反映されません。

助教の給料を単純に時給換算すると約1,600円で、フルタイム労働者全体の平均1,900円を下回ります。

※参考:
大学等におけるフルタイム換算データに関する調査|文部科学省
平成30年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

※助教の時給は平均給料月額34万8,900円×12カ月÷年間総勤務時間2,670時間で算出

※フルタイム労働者の時給は、賃金30万6,200円÷所定内実労働時間数164時間で算出

助教になるには?仕事内容は?

博士号取得後に助教になるのが一般的

助教になるには、博士号取得後にポストドクター(ポスドク)として研究実績を積みながら、助教の公募に応募するのが一般的です。また、これまで所属していた研究室で助教として採用されることもあります。

ただし、博士課程修了者数に対して助教の募集数は少なく、採用されるのはほんの一握りです。助教になるには能力だけでなく、運や人脈も必要だといわれています。

※詳しくは
一度なってしまうと抜け出せない?!今も深刻な「ポスドク問題」
博士の就職事情-正規の仕事に就けるのは半分?!

助教は任期つきの採用が多い

助教の身分は不安定で、約56%が任期つきで採用されています(2014年文部科学省調査)。期間は3~5年で、再任不可もしくは1回のみというケースが多いようです。

任期内に研究実績を積み、ほかの大学の講師や准教授に転職することでステップアップを目指していきます。

参考:大学教員の雇用状況に関する調査|文部科学省

助教の仕事内容は教育と研究を行うこと

助教の仕事内容は、学生の教育と自身の研究を行うことです。勤務時間の過半数が教育・研究活動に充てられています。

医・歯学部の助教の場合は、大学病院での診療活動も行います。また、教授の講義や研究の補助は助手の役割とされていますが、助手を置いていない大学では助教が雑務を担うケースもあります。

 【各職務活動に対する年間従事割合のグラフ】(研究活動/教育活動/社会サービス活動/その他の職務活動(学内事務等)):教授→32.0%/30.2%/16.2%/21.6%、准教授→32.8%/31.4%/17.4%/18.3%、講師→28.9%/30.6%/25.1%/15.4%、助教→38.3%/19.3%/30.2%/12.2%、助手→23.5%/26.0%/32.4%/18.2

※参考:大学等におけるフルタイム換算データに関する調査|文部科学省

職位別に仕事内容を見ると、研究活動の割合は助教が最も高く、教育活動の割合は最も低いことがわかります。ほかの職位と比べて、助教は自身の研究に時間をかけることができているといえます。

コラム:特任助教とは?

特任助教は、一時的な研究プロジェクトなどのために、任期つきで雇用される助教です。

「特命助教」「特別助教」という名称で呼ばれることもあります。雇用期間はプロジェクト実施期間中に限られるため、いわゆる非正規雇用の扱いとなり、正規の助教よりも任期が短く、給与も低い傾向にあります。

まとめ

助教の年収は約560万円です。労働時間が長く、専門性が求められる割に給与はそれほど高くはありません。

助教になるまでの競争の厳しさや、助教になっても任期つきで雇用が安定しないことも考えると、民間企業のほうが待遇面では優れていると言えるかもしれません。

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