時間単位で取れる?申請方法も 子の看護休暇のすべて
子どもが突然熱を出してしまい、仕事を休まなければならない人のために、子の看護休暇を取り入れている企業があります。
子の看護休暇とはどのような制度なのか、どのように申請すればいいのかなど詳しく解説します。
子の看護休暇とは|日数や給料
子の看護休暇を取得できる日数や、取得している間の給料の有無について解説します。
子どものけが・病気を理由に取得できる休暇のこと
子の看護休暇とは、原則小学校にあがる前の子どもがケガや病気をして看病や通院が必要な時や、健康診断・予防接種への付き添いが必要な時に取得できる休暇のことを指します。
子の看護休暇を取得できるのは「小学校就学前の子どもがいるすべての労働者」であり、正社員に限らず、契約社員やパート・アルバイトも取得することができます。
取得できる日数は、小学校就学前の子ども1人につき1年間に最大5日。子どもが2人以上の場合、人数にかかわらず最大10日までです。
※この場合の「1年間」は、多くの場合が4月1日~翌年3月31日とされていますが、決算時期によっては1月~12月としている企業もあります。
子の看護休暇の対象年齢は6歳までがほとんど
子の看護休暇の対象となる子どもは6歳までとしている会社が85.4%と、大多数を占めています。
企業によっては対象となる子どもの年齢を引き上げているところもあります。その中でも「小学生以降も対象」としている会社が最も多く、6.3%あります。
2021年からは時間単位で取得できる
育児・介護休業法の改正により、子の看護休暇は2021年1月1日から時間単位で取得できるようになりました。
これまでは1日か半日単位でしか取得できませんでしたが、子どもの健康診断や予防接種など、つきっきりで看病する必要がない場合でも、気軽に子の看護休暇を取ることができます。
また、改正後は所定労働時間の条件がなくなり、今まで半日単位での取得ができなかった「1日の所定労働時間が4時間以下の従業員」でも、より臨機応変に休むことができるようになりました。
※参考:事業主の皆様へ 子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります|厚生労働省
子の看護休暇は6割の会社で無給
子の看護休暇を取得した日の給料の有無は、会社によって異なります。
2018年の厚生労働省による調査では、子の看護休暇を導入している企業のうち、無給にしている企業は全体の65%でした。
ただし、育児・介護休業法では、子の看護休暇で休んだことを理由に人事評価を下げるなどの不利益取り扱いを禁じているため、無給だとしても欠勤とは別扱いになります。
また、公務員の子の看護休暇は有給と決められています。
子の看護休暇を取得できないケース
子の看護休暇を取得できない労働者の条件は、下記の通りです。
- 日雇い労働者
- 1週間あたりの所定労働日数が2日以下(※労使協定による)
- 雇用期間が6ヶ月間に満たない(※労使協定による)
- 半日単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者(※労使協定による)
ただし、(2)~(4)に当てはまる人は、子の看護休暇を取得できないという労使協定がなければ取得できます。
また、(4)「半日単位での取得が困難とされる業務に従事する労働者」は、1日単位であれば取得することができます。
コラム:子の看護休暇と介護休暇の違いは?
子の看護休暇と介護休暇の大きな違いは、対象となる家族の範囲です。
子の看護休暇に比べ、介護休暇は子どもだけでなく、両親(義両親や養父母でも可)、配偶者(事実婚でも可)、祖父母、兄弟姉妹、孫も対象に含められています。
ただし、介護休暇は、対象となる家族が要介護状態である必要があります。
また、休暇を取得できるシーンの範囲も、介護休暇の方が広くなっています。
介護休暇は急な看病・通院の付き添いだけでなく、ケアマネジャーとの短時間の打ち合わせや介護サービスの書類手続きなど、休暇を利用できるシーンが幅広く設定されています。
※介護休暇について詳しくはこちら→わかりやすい介護休暇・介護休業|条件・期間・対象家族から給付金まで
子の看護休暇の申請の流れ・ポイント2つ
子の看護休暇の申請方法は、会社の就業規則などに記載してあります。
取得したい時に慌てないよう、あらかじめ確認しておきましょう。ここでは、申請する時に押さえておきたいポイントも2つ紹介します。
子の看護休暇は当日の電話申請でもOK
子の看護休暇は、就業規則で事前申請が求められていたとしても、当日の電話連絡や事後の書面申請でも問題ありません。
なぜなら、子どもの体調不良などは予測することができず、当日に突然休まざるを得ない場合もあるためです。
また、年次有給休暇とは違って、子の看護休暇は緊急を要する場面を想定して導入されたものなので、子の看護休暇を取得する日が繁忙期だとしても、会社側は時季変更権を使うことができません。
子の看護休暇は証明書類の提出は不要
子どものけがや病気の容態によっては、プライベートな事情で話したくないという場合もあるため、医師の診断書など看護の証拠となる書類の提出は義務付けられていません。
会社から提出を求められて、それを拒んだとしても、子の看護休暇の申請を取り消されることはないでしょう。
しかし、証明書類の提出を拒むと、企業側は心証を悪くする可能性もあります。特別な事情がなければ、提出した方が無難でしょう。
まとめ
子の看護休暇とは、原則小学校にあがる前の子どもが、けがや病気になった時や健康診断・予防接種の付き添い時に取得できる休暇です。
多くの企業が子の看護休暇を無給にしていますが、欠勤とは別扱いなので、査定や評価にはひびきません。
子どもの急な体調不良など、予測できない状況を考慮して導入された休暇であるため、当日の電話報告や事後申請でも問題ありません。
会社から証明書類を提出するよう求められた場合は、特別な事情がなければ提出するようにしましょう。
(文:転職Hacks編集部)
この記事の監修者
特定社会保険労務士
成澤 紀美
社会保険労務士法人スマイング
社会保険労務士法人スマイング、代表社員。IT業界に精通した社会保険労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。顧問先企業の約8割がIT関連企業。2018年より、クラウドサービスを活用した人事労務業務の効率化のサポートや、クラウドサービス導入時の悩み・疑問の解決を行う「教えて!クラウド先生!®(商標登録済み)」を展開。