正社員になる流れも紹介 コトバ解説:正社員登用制度とは

求人票で見かけることがある、正社員登用制度。この記事では制度の概要や、正社員になるまでの流れ、正社員になるために意識することなどをご紹介します。

正社員登用の試験対策・書類作成などは、下記の記事をご覧ください。

正社員登用制度とは?

非正規雇用から、正社員になれる制度

正社員登用制度とは、契約社員や派遣社員、アルバイト、パートなどの非正規雇用の人が、正社員になれる制度のこと。正社員になるための条件として、一定期間働く・試験に合格するといったものがあります。

正社員登用制度はすべての企業にあるわけではなく、主に求人票に「社員登用あり」と書かれている求人・企業で導入されています。

正社員登用制度とは?|非正規雇用の人が、一定の条件(※)を満たすことで正社員になれる制度。※一定の条件とは?/勤続経験1年以上、社内評価が一定以上、登用試験に合格するなど、企業ごとに設定されているもの。

正社員登用制度を利用して正社員になる場合、はじめから正社員として入社する場合と比べ、入社前に企業の実態を確認できることがポイントです。

社風や人間関係を見てから正社員として働き続けるかどうかを判断できるため、ミスマッチを防げます

正社員登用されると、何が変わる?

正社員登用されることで、収入が安定したり、働き方が変わったりといった様々な変化があります。一般的には、下記のような変化が生じると言われています。

  • 給与額が上がる
  • 時給制から月給・年俸制になり、収入が安定する
  • 社会保険が完備される
  • 正社員のみが対象の福利厚生が受けられる
  • 基本的に解雇されない
  • 社会的な信用が高まる(クレジットカードやローンの審査が通りやすくなる)
  • 働き方が変わる(残業・休日出勤や、異動・転勤が発生する)
  • 仕事内容が変わり、責任が重くなることが多い

正社員登用の流れ

制度を利用して正社員として登用されるまでの流れは、一般的に下記の通りです。あらかじめ入社前に正社員登用制度の有無と登用の条件を確認し、それを満たすように働くことになります。

  1. 正社員登用制度があるか確認し、入社する
  2. 正社員登用の条件を満たす(一定期間以上働く、など)
  3. 制度利用の希望を出す、または上司の推薦を受ける
  4. 正社員登用試験を受ける
  5. 上司や人事担当と契約・条件に関する話し合いをする
  6. 契約内容に問題がなければ、雇用契約の変更・更新を行う

コラム:派遣社員の場合は注意が必要

派遣社員から派遣先の正社員になる場合は、派遣元への連絡・相談が必要です。

あくまで派遣社員は、派遣元の企業と雇用契約を結んでいる状態。派遣の契約期間中に、接あなたが派遣先の企業と雇用契約を結んでしまうと、派遣契約違反になってしまいます。

違約金を請求されるトラブルに繋がるので、派遣先の企業から正社員登用の話が持ちかけられたら、まずは派遣元の企業に相談しましょう。この場合、派遣の契約期間満了後に正社員登用となるケースが一般的です。

会社から持ちかけられることも

正社員登用を目指していなかった人や、制度を知らずに入社した場合でも、会社から「正社員にならないか」と持ちかけられるケースもあります

「正社員として活躍できる実力がある」と認められれば上司から声がかかるので、働き始めてからでも正社員登用を目指せることは覚えておくといいでしょう。

正社員登用している企業は多い?

2021年の厚生労働省の労働経済動向調査によると、正社員登用制度がある企業は全体の77%を占めていることがわかっています。

また、過去1年間で実際に正社員登用の実績がある企業は、全体の47%でした。制度はあるものの登用実績が無い理由は「正社員を募集したものの、労働者から応募がなかった」というものが最も多かったようです。

正社員登用をしている企業の割合|■全体の77%の企業で、登用制度あり。■過去一年間で登用実績がある企業は47%。実績が無い理由の40%が「応募がなかった」

※出典:厚生労働省「労働経済動向調査(2021年2月)

同調査では制度の今後の方針についてもアンケートをとっており、正社員登用制度のある企業のうち60%が今後も非正規社員を正社員として「登用していきたい」、30%が「現在のところ未定」と答えていることがわかりました。

正社員登用される人の条件は?

正社員登用されるための条件として、会社ごとに定められた条件を満たすのは大前提です。

加えて、企業によっては上司の推薦が必要なケースもあります。その場合、下記のような正社員にしたいと思ってもらえる行動を意識して、積極的にアピールしていきましょう。

仕事ができるか
  • どんな業務でも手を抜かず、ミスをしない
  • 周囲の動きをよく見て、先回りして動く
  • 自分に足りない点を補う方法を考え、改善する
人間関係が円満か
  • 周囲の社員と気持ちの良いコミュニケーションが取れる
  • 報告・連絡・相談が問題なくできる
会社に貢献できる人物か
  • 業務の改善案を積極的に提案する
  • 業務に役立つ資格を取得する
  • 研修やセミナーに参加して、仕事に対する意欲を見せる

企業の社員登用の例

大企業をはじめ、正社員登用を積極的に行っている企業は数多くあります。

たとえば郵便局(日本郵便)は、アルバイト・パートといった期間雇用社員からの正社員登用を定期的に行っている企業の一つです。正社員登用試験があり、筆記・面接試験の合格者が正社員として採用されます。

2020年度の正社員登用実績は3,302人で、その年に日本郵便に入社した正社員の46%を占めているようです。

[郵便局]正社員登用人数(2020年度)新卒3,768人/中途入社83人/正社員登用3,302人|正社員の46%が正社員登用

※出典:
日本郵政「ESGデータ集(社会)3.採用数・中途採用比率

また、トヨタ自動車は、期間従業員として入社した1年後に社員登用のチャンスがあります。ニトリホールディングスでも、アルバイト・パート社員として入社後した1年後に、一定以上の評価を得ていれば社員登用されます。

気になっている企業がある人は「企業名+社員登用」で検索すると採用ページが出てくる可能性があるので、探してみるといいでしょう。

正社員登用の試験対策

正社員登用試験は、筆記試験と面接があるケースが一般的です。

それぞれの対策方法については、下記の記事でくわしく解説しています。

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