試験や面接対策から志望動機の例文まで 社員登用制度とは?

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求人情報でよく見かける「社員登用あり」という言葉。近年、このシステムを採用する企業も増えてきています。ここでは、社員登用制度について詳しくお話ししていきます。

社員登用制度とは?意味や実態を解説

社員登用制度について、まずは仕組みや実態を理解しておきましょう。

社員登用制度とは、同じ会社で正社員になること

社員登用制度とは、契約社員や派遣社員、アルバイトやパートといった非正規雇用者が、同じ会社で正社員へと雇用形態を変更する制度のことです。

社員登用制度のある企業では、求人情報に「社員登用あり」と記載されていることが多いでしょう。

※厳密にはパート・アルバイトから契約社員になることも「社員登用」ですが、実際には「社員登用における社員=正社員」として使われることが多いようです。

社員登用制度のメリットって?

社員登用制度の最大のメリットは、正社員として働く前にその会社の実態を知ることができるという点です。はじめから正社員として働くのに比べ、仕事内容や企業文化、人間関係といった会社の実情を把握できるため、「実際に働き始めたら思っていたのと違った」というミスマッチを防ぐことができます。

また転職と違って、仮に社員登用制度に応募した末、不採用となっても、これまでと同じように働き続けることができる上に、再チャレンジができることもあります。

社員登用制度は、会社によってさまざま

社員登用制度は企業によってあったりなかったり。制度の内容も異なります。制度を利用するにあたって書類選考や筆記試験、面接といった試験が設けられている場合もあります。

上司に「正社員として活躍できる実力がある」と認められた派遣社員やバイトが、キャリアアップとして正社員になることを持ちかけられるケースもめずらしくありません。

キャリアアップのため制度の利用を検討している方は、一度上司や人事担当者に確認してみましょう。社員登用制度についてホームページに記載されている企業もあるので、気になる企業を調べてみるのも良いでしょう。

例えば、マクドナルドの公式サイトには、アルバイトからの社員登用制度があると記載されています。また、ドラッグストア大手のウエルシアなども社員登用制度を設けているようです。

「社員登用あり」でも採用実績の確認を

「社員登用あり」と求人情報や募集要項に記載していても、正社員への登用実績がほとんどない企業も存在します。

正社員への登用を希望する場合は、本当に社員登用制度が使われているか「ここ数年の社員登用実績」「社員登用制度を利用するための条件」などをあらかじめ確認するようにしましょう。

ただし、直近の採用実績がない企業の中には、社員登用制度自体は運用しているものの、「正社員にふさわしい人材がいなかった」ため登用実績がないという企業もあります。

求人情報だけで判断せず、社員登用の現実味がどれだけあるのかを見極めることが大切です。

派遣社員が正社員に誘われた場合の注意点

派遣社員が正社員に変わる場合は、派遣元への連絡・相談が必要です。派遣の契約期間中に派遣先企業と直接雇用の契約を結んでしまうと、派遣契約違反になるためです。

その場合、派遣先が派遣元から違約金を請求される可能性があります。こういったトラブルを避けるため、まずは派遣会社に確認するようにしましょう。

なお、契約期間が終了した後であれば、正社員への登用に応じても問題ありません。

正社員になるメリット・デメリットって?

パート・アルバイトが社員登用制度で正社員になることのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

正社員になるメリットは安定性

社員登用制度で正社員になるメリットは、

  • 給与が上がり安定する
  • 厚生年金などの社会保険に加入できる
  • 基本的に解雇されない
  • 社会的な信用が高まる

といったものが挙げられます。

給与が上がり安定する

正社員になると単純に給与が上がるだけではなく、基本的には毎月の給与(基本給)が一定額に決められているため、時給制のパートやアルバイトに比べ、収入が安定し生計が立てやすいと言えます。

厚生年金などの社会保険に加入できる

パートやアルバイトで社会保険に加入するためには、社員並みの出勤日数が条件になってしまいますが、正社員の場合、基本的には社保完備で働くことが可能(※健康保険(介護保険)、雇用保険、厚生年金、労災保険)です。

社会保険に入っていると、仕事中にケガをしたとき治療費が補償されたり、老後の年金が増えたりと、いざというときに国からさまざまな補助をしてもらえます。

基本的に解雇されない

正社員は基本的には無期雇用契約なので、会社のお金を横領する、何度注意されても改善されないなど、よっぽどのことがない限り解雇されることはありません。
この点は派遣社員・契約社員から正社員になるケースでも言えることでしょう。

社会的信用が高まる

以上の通り正社員は給与が安定していことから、社会的信用が高まり、クレジットカードやローンの審査が通りやすくなることも考えられます。

正社員になるデメリットは、働き方が変わること

一方、社員登用制度で正社員になることにはデメリットもあります。

  • 異動・転勤がある
  • 残業や休日出勤がある
  • 仕事内容が変わり責任も増える

異動・転勤がある

仮に全国規模の大企業の場合、正社員であれば転勤の可能性は拭えません。引っ越しは大きな出費になる上、インフラや人間関係をはじめ、そこでの生活に慣れるのにも時間がかかるなど、私生活にも大きな影響が出ます。

また、転勤はせずとも、適正によってこれまでとはまったく異なる仕事をする部署へ、突然異動になることも考えられます。

残業や休日出勤がある

基本的にはシフト制で希望する時間だけ働けばいいパートやアルバイトに比べ、正社員は週5日勤務で1日7~8時間と拘束時間が長く、ときには残業や休日出勤をすることもめずらしくありません。

自分のペースで自由に働きたい人にとって、正社員の働き方はやや窮屈に感じるかもしれません。

仕事内容が変わり責任も増える

正社員になるとパート・アルバイトとは仕事内容が大きく変わってしまうことも考えられます。

例えば、もしもアルバイトとして正社員をサポートする仕事にやりがいを感じていた場合、正社員になることで新たにメンバーのマネジメントといった仕事が加わり、責任も重大になることで、それまでの心地よさが失われてしまったというケースもあるようです。

このように、正社員になることは会社からさまざまな恩恵を受けられる一方、そこでのルールに縛られることでもあります。

今の職場で正社員になるとどのような変化が生じるのかを理解した上で、制度を利用することが大切です。

正社員に登用されるためのポイントとは? 試験対策方法も

ここでは、正社員に登用されるためのポイントや試験対策について解説します。

正社員に登用されるためのコツ

社員登用制度を使って正社員へのキャリアアップを目指している方は、正社員にしたいと会社から思ってもらう必要があります。

そのために以下のポイントを心がけましょう。

責任感を持って働く

社員として雇用されても真面目に働いてくれそうだと思ってもらえるよう、責任感をアピールしましょう。

どんな業務でも手を抜かずミスをしない周囲の動きをよく見て先回りして動く自分に足りない点を補うためには何が必要かを常に考えるといった仕事に対する姿勢は、責任感があることのアピールになります。

どんな仕事でも責任を持って取り組み、企業側から一緒に働きたいと思われる人材を目指してください。

会社に貢献できるよう心がける

社員登用を目指すのであれば、会社の発展のために何ができるかを考え、行動することを心がけてください。上司に「この人の代わりになる人材はいない」と思ってもらうことが重要です。

とはいえ、入社してしばらくは長期的な仕事や重要度の高い業務をさせてもらうことは難しいです。まずは以下のような取り組みを行い、やる気やスキルを認めてもらいましょう。

  • 派遣元や派遣先で行われている研修やセミナーに参加する
  • 業務に役立つ資格を取得する

会社や職場に貢献できるように率先して動く姿勢は評価につながりやすく、スキルや能力のアピールにもなります。

どんな仕事にも積極的に取り組み、会社にとってなくてはならない存在を目指すことで、社員登用が実現する可能性が出てきます。

社内で積極的にコミュニケーションを取る

社員登用を目指すならば、社内で積極的にコミュニケーションを取りましょう。

正社員になると、部下を持ったり他社の人間と関わったりする機会が多くなるため、仕事を円滑にこなしていくためのコミュニケーション能力が求められます。

また、たいていの場合、社員登用制度を使うためには上司からの推薦が必要です。上司との良好な関係を築いておくことで、社員登用試験を受けられるよう推薦してもらえる可能性が高まります。

出勤したら必ずあいさつをする、報告・連絡・相談をしっかり行うといった基本的なことを守りながら、上司との信頼関係を築いていきましょう。

社員登用試験とは?

企業によっては、非正規雇用から正規雇用にキャリアアップする際に「社員登用試験」という試験を設けています。

ここでは試験内容や対策についてお話ししていきます。

試験内容は書類選考、筆記試験、面接など

社員登用試験では、書類選考・筆記試験(SPI+小論文)・面接など一般的な中途採用選考のような試験が実施されるところもあれば、役員面接だけで人柄を判断されるケースもあるようです。

事前の準備を万全に行い、正社員として働けるだけの実力をしっかりアピールしていかなければパスすることは難しいです。社内に社員登用された人がいる場合は、試験内容や傾向についての情報収集を行って本番に臨みましょう。

志望動機の書き方のポイントと例文

社員登用試験で書類選考がある場合は、志望動機を書かされることが多いです。その際は、以下のような点を押さえて作成すると良いでしょう。

(1)現在の職場での役割
(2)社員登用試験に臨む理由
(3)今後どのような仕事をしていきたいか
(4)正社員になること・キャリアアップへの意気込み

職務内容だけでなく、働くなかで感じたこと・考えたことを含めることで独自の志望動機が作りやすくなります。

上記を踏まえた例文は以下の通りです。

(1)私はこれまで契約社員として3年間営業を担当しており、○○や△△といった業務にも携わってきました。

(2)大変やりがいのある仕事ですが、これまでの経験を活かし、よりお客様に近い立場での営業に挑戦したいと思い、社員登用試験に臨みました。

(3)今後は□□のような仕事にも責任を持って取り組んでいきたいと考えています。

(4)長期的なビジョンを持って働ける正社員として、今まで以上に貢献できる存在になれるよう頑張りますのでよろしくお願いいたします。

今までの経験と今後のビジョンを明確にし、正社員として活躍できる人材だとアピールしていきましょう。

面接で聞かれやすい質問とは?

社員登用試験では、以下のような質問が一般的です。

  • なぜ非正規ではなく正社員になりたいと考えたのですか?
  • 正社員になってどのような仕事をしていきたいですか?
  • 正社員になると、現在の働き方とどのような違いが生まれると思いますか?
  • 正社員でないとできない仕事にはどのようなものがありますか?

非正規雇用として実際に働くなかで感じたことや考えたことを踏まえて、正社員として活躍できる人材だと伝えられるよう、具体的に回答しましょう。それだけでなく、ミスマッチなく働けることをアピールできるよう、正社員となってからの活躍イメージや、今後のキャリアアップの展望も盛り込むとなお良いです。

ほかに、自己PRや志望動機、今まで力を入れてきた業務など、面接で定番となっている質問も聞かれることが多いようです。

※面接の定番質問について詳しくは→【例文あり】面接の質問&回答例まとめ

企業別・社員登用への取り組み方

企業によって社員登用試験を受けられる条件や試験内容は異なります。

ここでは社員登用に積極的に取り組んでいる「無印良品」「トヨタ」「日本郵政グループ」の3企業について紹介していきます。

無印良品の場合

無印良品のアルバイトは、勤務時間や出勤日数によってパートナー社員それ以外のアルバイトに分かれており、6段階のステップアップ制度を導入しています。

パートナー社員であれば、4段階目まで進むことで、本社員試験の受験資格を得られます。定期的に評価されるので、正社員を目指している方は目標を持って仕事に取り組めます。

※出典:株式会社良品計画「採用情報」

なお、無印良品では基本的に中途採用をしていないため、新たに正社員を補充したいときは、パートナー社員の中から登用することが多いようです。

トヨタの場合

トヨタでは優秀な期間従業員(有期の契約社員)に対し、積極的に社員登用を行っています。

トヨタの期間従業員から正社員になるには、「1年以上の勤務実績」「上司からの推薦」が必要です。それらを満たすと筆記試験と面接による準社員登用試験を受けることができます。

試験に合格し、準社員としての試用期間を問題なく終えると、正社員になることができます。そのため、準社員になれば、ほとんどの場合はそのまま正社員になれるようです。

日本郵政グループの場合

日本郵政グループでも期間雇用社員から正社員への登用を積極的に行っています。

日本郵政グループ2016年度正社員登用予定者数の一覧。日本郵便(株)は郵便コース2,000人程度・窓口コース500人程度、(株)ゆうちょ銀行は50人程度、(株)かんぽ生命は35人程度、日本郵政(株)は10人程度を採用予定。

※出典:期間雇用社員等から正社員(一般職)への採用(登用)について【情報提供】|NPO法人ゆうせい非正規労働センター

試験では筆記試験と適性試験、面接に加えて、勤務成績や勤務態度などが総合的に評価されます。

期間雇用社員からの社員登用で用意されるポジションは、一般企業の総合職にあたる地域基幹職ではなく、一般職となっています。一般職として採用された後、職種転換制度を利用することで地域基幹職になることも可能です。

※参考:(新)一般職(地域限定正社員)の会社案概要|NPO法人ゆうせい非正規労働センター

まとめ

社員登用制度のある企業に入社することで、非正規雇用者でも正社員を目指せることがわかりました。

正社員になるためには試験や面接だけでなく、日頃の勤務態度も評価の対象になります。社員登用制度の利用を考えている方は、仕事に対して誠実に取り組む姿勢が求められます。

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