志望動機から面接・適性検査まで 正社員登用の試験対策
正社員登用試験とは、パート・アルバイト・派遣社員・契約社員といった非正規社員から、正規雇用にキャリアアップする際に行われる試験のこと。
経歴や学力などを再確認しつつ、正社員として迎え入れるにあたって意欲の確認や、最終的なマッチングを行う目的で実施されます。
この記事では、正社員登用の試験対策で悩みやすい志望動機の書き方や、面接、小論文、適性検査などのポイントについて紹介します。
正社員登用試験では、何をする?
正社員登用における試験では、主に次のようなものが実施されます。
これらすべての試験を実施するかは、企業によって異なります。役員面接だけで合否を決める場合もあるので、くわしい試験内容や出題傾向は、上司や人事担当者、社内で過去に正社員登用された人に聞いておくといいでしょう。
次の章からは、書類選考・面接・筆記試験それぞれのポイントをくわしくご紹介します。
正社員登用の書類選考(履歴書)のポイント
基本的には、一般的な書き方と変わらない
正社員登用試験の際に提出する履歴書の項目は、基本的には中途採用試験とほぼ変わりません。志望動機のみ調整が必要ですが、その他の項目は、下記の記事を参考にしてテンプレートにそって記入するのがおすすめです。
正社員登用の志望動機の書き方・例文
正社員登用の試験時、とくに悩みやすいのが志望動機の書き方。「○○に携わりたくて応募しました」といった一般的な志望動機とは、書くべき内容が若干異なるので注意しましょう。
具体的には「自分はこれから正社員として活躍できる人材だ」とアピールするのが、評価を高めるコツです。
志望動機には下記の4つの要素を盛り込んで、今までの経験と今後のビジョンを示すと印象がよくなります。
〈志望動機の例文〉
- 私はこれまで契約社員として3年間営業を担当しており、○○や△△といった業務にも携わってきました。
- 大変やりがいのある仕事ですが、これまでの経験を活かし、正社員として新人研修・マネジメントにも挑戦したいと思い、社員登用試験に臨みました。
- 今後は□□のような仕事にも責任を持って取り組んでいきたいと考えています。
- 長期的なビジョンを持って働ける正社員として、今まで以上に貢献できる存在になれるよう頑張りますのでよろしくお願いいたします。
パート・アルバイト経験は職歴欄に書いていい?
履歴書を書くとき「パート・アルバイト経験は正式な職歴ではないため、職歴欄に記入できない」という誤解がありますが、正社員経験と同じく、パート・アルバイト経験も履歴書に書いてOKです。
職歴欄に記入するほか、志望動機や自己PRの題材としても使えるのでアピールしていきましょう。
くわしい記入方法や、アルバイト経験が多くて書ききれない場合の対処法などは、下記の記事でも紹介しています。
正社員登用の面接のポイント
正社員登用の面接では、なぜ正社員になりたいのかといった質問をされるのが一般的です。この章では、面接における定番の質問と回答例を紹介します。
正社員登用の定番質問4選(回答例つき)
社員登用試験では、下記のような「正社員と非正規社員の違い」に関する質問が一般的です。
回答例:非正規では担当できない業務にもチャレンジしたいと考えているためです。現在は契約上触れることができない、個人情報も含んだ情報を使った分析も行えるようになることで、これまで以上に営業職の方々のサポートをしていきたいと考えています。
回答例:より大きな裁量を持って、自ら提案するような業務にあたりたいと考えています。現在は正社員の方々に判断を仰ぐことが多いですが、これまでの実務で学んだことを活かして、業務効率化の提案などを積極的に行えるようになりたいです。
回答例:正社員になることで、より業務の責任が大きくなると考えています。現在は正社員の方々の指示のもとで業務にあたっていますが、正社員登用後は自分にも裁量が与えられ、自ら考えて動くことが求められるようになると考えています。
回答例:大きな責任をともなう業務だと考えています。たとえばチームのマネジメントやメンバーの育成などは、非正規社員には任せていただけない業務です。これまでの経験で培ったスキルや知識を、今後は自分の業務だけでなく周囲の育成にも活かしていければと考えています。
〈回答のコツ〉
これまで実際に働いてきたなかで感じたことや、考えたことを織り交ぜて、具体的に回答するよう心がけましょう。
また、正社員になった後にやりたいことや、キャリアアップの展望も盛り込めるとベターです。採用後のイメージを共有することで、お互いのミスマッチを減らすことができます。
その他の定番質問は?
正社員と非正規社員の違いに関する質問以外に、通常の面接でよくある内容も質問されます。
自己PRや今後のキャリアプランなど、定番質問の答え方は下記の記事も参考にしてください。
〈面接でよくある質問例〉
小論文・適性検査(SPI)のポイント
正社員登用試験では、小論文や適性検査といった筆記試験を実施する場合もあります。仕事への向き合い方や論理的思考力、人柄・性格など、企業が求めるスキルや人物像が備わっているかを確認するためです。
小論文や適性検査が実施される場合は、それぞれ下記の対策方法に沿って準備を進めておきましょう。
小論文の書き方・例文
小論文の定番テーマ
正社員登用試験の場合、小論文のテーマは難しくないことがほとんどです。これまでの業務の振り返りや、正社員になってからどうするかといった、身近なテーマが出題されます。
志望動機や面接と同じく「正社員としてどう働いていきたいか」をすり合わせる意図があるので、意識して答えるようにしましょう。
〈小論文のテーマ例〉
- 正社員になって、変えていきたいこと
- これまでの業務で苦労した点・解決した点と、今後どう活かすか
- これまでの業務で工夫した点と、その成果
小論文の型
小論文の構成は型にそって考えると書きやすいでしょう。下記の1~4の要素を盛り込むとと、伝わりやすい小論文が仕上がります。
小論文の例文
今回は定番テーマの中から「正社員になって、変えていきたいこと」を題材とした例文を紹介します。
文字数の指定が特にない場合は、原稿用紙1枚分(400文字)~1000文字程度を目安に書くといいでしょう。
例文テーマ:正社員になって、変えていきたいこと
- 正社員として登用していただいた際には、より責任を持って業務にあたるように意識を変えたいと考えています。
- その理由は、契約社員と正社員の仕事の進め方には違いがあり、それに応じて責任が増すと感じたためです。
- 契約社員の場合、正社員の指示のもとで業務をこなすことが一般的です。一方で、同じ業務を担当している正社員の場合、細かな指示に従うのではなく、自分の判断や提案のもとで、業務を進めています。これは、正社員になることで与えられる裁量が大きくなるということだと捉えています。そのため、与えられた裁量の違いを意識して自発的に動くことが、正社員としてまず果たすべき責任だと考えております。その一方で、上司視点では任せた仕事の進捗が見えにくくなるという課題もあります。そのため、不安を与えないように自発的に報告や相談を行うことも、正社員が果たすべき責任の一つだと考えました。
- こうした点を踏まえ、正社員として登用していただいた際は、まず自発的な行動を意識してまいります。具体的には、ただ業務をこなすだけでなく、これまでの経験をもとに改善提案も積極的に行っていく所存です。その上で独断専行にならないよう、要所要所で報連相を行い、信頼いただける形で業務にあたりたいと考えております。
小論文の評価・見直しポイント
小論文を書き終えたら、読む側の立場になって見返すことも重要です。
下記5つの評価・見直しポイントにそって、自分の文章を読み返してみましょう。口に出して読むと、文章の間違いに気付きやすいのでおすすめです。
- 出題されたテーマに的確に答えているか
- 正しい文章で書かれているか
- しっかり論理的に書かれているか
- 自らの工夫やアイデアがあるか
- 会社の利益や発展につながる視点があるか
適性検査(SPI)の対策方法
正社員登用時の適性検査としてスタンダードなのはSPI試験と言われています。
応募者の言語力・計算能力などを測る「能力(学力)検査」と、企業・仕事との相性を見る「性格検査」がセットになった試験で、出題範囲が幅広いことが特徴です。
テスト形式 | ペーパーテスト、Webテスト、テストセンターなど |
出題内容 | ■言語分野(二語の関係、語句の意味、語句の用法、反意語、長文読解…など)
■非言語分野(鶴亀算、代金の支払い、集合、確率、表の読み取り、資料の読み取り、場合の数、推論、速度算、損益算…など) ■性格検査 |
限られた時間内で回答することが求められているため、問題に慣れておくことが不可欠です。
出題のパターンは決まっているので、下記の記事の例題や市販の問題集、試験対策サイトなどを見て、事前に問題を解く練習をしておきましょう。