デメリット・日本での導入事例 サバティカル休暇とは

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働き方改革が注目されている中で「サバティカル休暇」という制度に関心が集まっています。

今回は、サバティカル休暇とは何なのか、社員や会社にどんなデメリットがあるのか、実際にどんな企業が導入しているのかなど、わかりやすく説明します。

サバティカル休暇とは?

サバティカル休暇の制度概要や、注目を集めている背景を紹介します。

勤続年数の長い社員が長期休暇を取れる制度

サバティカル休暇とは、一定期間以上勤続している社員が長期休暇を取得できる制度で、福利厚生の一つです

取得する目的は自由で、休暇期間中は旅行、留学、資格取得など好きな活動に取り組めます。

法的な設置義務のない法定外休暇(特別休暇)にあたるため、導入されていない企業も少なくないでしょう。

※特別休暇について→Q.特別休暇とは?種類や日数、給料はどうなる?【社労士監修】

サバティカル休暇の期間は1ヶ月~1年程度

サバティカル休暇を取得できる期間は約1ヶ月~1年です。企業によって2年以上取得可能な場合もあります。

サバティカル休暇は長期休みを前提としているため、数日~一週間程度の短期休暇は、サバティカル休暇ではなく「リフレッシュ休暇」や「勤続◯◯年休暇」などと呼ばれます。

※リフレッシュ休暇について→リフレッシュ休暇とは?おすすめの過ごし方や利用方法も紹介

サバティカル休暇中は「給与なし」が一般的

サバティカル休暇の期間中は、基本的に給与は出ません

サバティカル休暇は企業が任意で導入する制度であり、給与の有無、支給額は会社によって異なります。

中には基本給の3割を支給する会社や、手当という形で一律30万円を支給する会社もあるようです。詳しくは就業規則を確認しましょう。

コラム:サバティカル休暇が注目されるワケ

そもそもサバティカル休暇は、人材流出対策としてヨーロッパで始まりました。

1990年代のヨーロッパではワーク・ライフ・バランスの考え方が広まり、売り手市場だったことも重なって優秀な人材が次々と退職。企業は勤続年数の長い社員に長期休暇というインセンティブを与えることで、流出を防ごうとしました。

日本では2018年の3月に、経産省が導入を呼びかけたことで注目され始めています。

サバティカル休暇、どんな良さがあるの?

ここからは、サバティカル休暇を利用するメリット・デメリットをご紹介します。

サバティカル休暇のメリット4つ

サバティカル休暇の主なメリットは以下の4つです。社員は安心して長期休暇を取ることができ、企業にとっては働く環境を改善するきっかけになります。

  • 元のポジションで復帰できる
  • リフレッシュできる
  • スキルアップできる
  • 業務の属人化を防げる

元のポジションで復帰できる

サバティカル休暇では、期間の長さにかかわらず、元のポジションに戻れることが保証されていることが多いようです。

給与に関しても、休暇取得前と同等以上の額が支給されます。現場を離れることによってポジションがなくなったり、減給されたりする心配はありません。

リフレッシュできる

当たり前ですが、長い休暇を取ることで、気持ちを一新することができます

週末などの短期間の休暇では、一日中寝て体を休めるだけで終わってしまうことも少なくないでしょう。

一方、サバティカル休暇のような長期の休暇では、心身ともに回復する時間が十分にあるため、過労を防止したりワーク・ライフ・バランスを整えたりできます。

スキルアップできる

休暇期間が長いため、留学や資格の勉強などスキルアップにも取り組めます

休暇中に能力を磨くことは、自分のキャリア形成に役立ちます。また、休暇前よりも付加価値の高い仕事をすることで、業務を通して会社に還元することができます。

業務の属人化を防げる

ある社員がサバティカル休暇をとった場合、その間は他の社員が業務をカバーするため、必然的に仕事の棚卸しや整理、マニュアル化などが進み、業務の属人化を防ぐことができます。

それによって「自分にしかできない仕事が多くて普段は休みづらい」といった状況が解消される可能性もあります。

サバティカル休暇のデメリット4つ

サバティカル休暇のメリットは大きいものの、長期休暇ならではのデメリットや懸念点もあります。

  • 期間中は給料が出ないことが多い
  • 復帰後のキャッチアップが大変
  • バックアップ体制の整備が必要
  • 日本では長期休暇への理解が進んでいない

期間中は給料が出ないことが多い

サバティカル休暇中は、無給であることがほとんどです。そのため、休暇に入る前から、サバティカル休暇中の生活費や留学費などを計画的に用意しておく必要があります。

復帰後のキャッチアップが大変

長期間現場を離れるため、勤続年数が長い人でも、休暇明け直後は業務の把握や遂行に手間取ることが予想されます

復帰後のキャッチアップに備えて休暇前に資料を整理するなど、つまずかないための工夫をしてもいいでしょう。

バックアップ体制の整備が必要

安心してサバティカル休暇を取るためには、休暇中に自分の業務をスムーズに代行してもらうための十分な引き継ぎが必要になります。

また、そうしたバックアップ体制は社員同士の個人間で完結する問題ではなく、企業としてサバティカル休暇に備えたある程度余裕のある人員配置がされている必要があり、人手不足の企業では取得が難しいのが現実です

また、人員だけではなく、そもそも仕事量の調整が可能な職種・職場かどうかも大きく関ってくるでしょう。

日本では長期休暇への理解が進んでいない

バックアップ体制は整っていても、周りから長期休暇に対する理解を得られない可能性があります。

取得の可否が職場の雰囲気や人間関係による部分が大きいのも、サバティカル休暇のデメリットと言えるでしょう。

実際、日本では有給休暇すら、十分に消化されてない実態があります

旅行会社のエクスペディア・ジャパンが2018年に実施した国際比較調査によると、日本の有給休暇取得率は50%。取得率が100%という国もある中で、欧米やアジアの19の国と地域の中で最も低い割合です。

日本の長期休暇の取りにくさは、サバティカル休暇に限らず、育休など長期休暇制度全体に共通する課題となっています。

※参照:有給休暇取得率3年連続最下位に!有給休暇国際比較調査|Expedia.co.jp

サバティカル休暇の導入事例

海外ほどではありませんが、日本にもサバティカル休暇や、それに該当する休暇制度が導入されている企業があります。

企業の導入事例を、対象者の条件など制度内容もあわせてご紹介します。

ヤフー

ヤフー株式会社は、2013年にサバティカル制度を導入しました。

対象は勤続10年以上の正社員で、2~3ヶ月の範囲で長期休暇を取得できます。期間中は基準給与1ヶ月分を「休暇支援金」として受け取れます。

ソニー

ソニー株式会社は2015年に「フレキシブルキャリア休暇制度」を導入しました。

期間は休暇の目的によって異なります

配偶者の海外赴任や留学に同行し、知見や能力を向上させてキャリアの継続を図る休職(最長5年)や、専門性を深化・拡大させる私費就学のための休職(最長2年)が可能です。

リクルート

リクルートグループは「STEP休暇」という名称で、最大28日間の長期休暇制度を導入しています。

試用期間終了後、勤続3年以上の社員なら誰でも取得できる休暇です。3年ごとに利用でき、取得者には一律30万円の手当が支給されます。

ファインデックス

株式会社ファインデックスは、2018年にサバティカル休暇制度を導入しました。

社員は勤続10年ごとに最長6ヶ月の休暇を取得できます。また、休暇中は基本給の3割が支給されます。

ワヴデザイン

ワヴデザイン株式会社では、「11ヶ月働いて1ヶ月休む」というサバティカル休暇に似た試みが、2012年から行われています。

事前に休暇中の企画を考えて他の社員の前でプレゼンをするなど、社内プロジェクトとしての側面もあることから、期間中は給与が支給されます。

コラム:大学教授や公務員にもサバティカル休暇がある

「サバティカル休暇」という名称とは限らないものの、大学教授や国家公務員には同様の制度があり、広く利用されています

大学には国立・私立を問わず、サバティカル制度が導入されています

給与割合や休暇期間などの細かい制度内容は大学によって異なりますが、研究を目的として通常の職務を離れる休暇であることが共通しています。そのため、大学によってはサバティカル研修や研究休暇と呼んでいるところもあります。

国家公務員にも、サバティカル休暇に似た制度が用意されています。

自己啓発等休業制度」という名称で、取得するには2年以上の在籍期間が必要です。

休業期間中は無給で、休業できる期間は目的によって異なります。大学等における修学のためなら2年間、国際貢献活動のためなら3年間の休業が認められています

まとめ

サバティカル休暇は、勤続する社員が長期休暇を取得できる制度で、バックアップ体制が整えば社員にも会社にもプラスの効果をもたらしてくれます。

今後は会社を選ぶ際に、サバティカル休暇を導入しているかどうかチェックしてみてもいいのではないでしょうか。

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