額面給与・生活・仕事 手取り月収50万円の実態

手取り月収50万円は、お金に余裕のある生活が送りたい方にとって1つの目標。

手取りから逆算した額面給与や生活の実態、どんな職業なら達成できるのかなどについて、手取り月収50万円の実態を解明していきます。

月収50万円の実態とは?

まずは、額面金額や税金の内訳、労働者人口に対する割合など月収50万円の基本情報をご紹介します。

手取り50万円なら、額面給与は約69万円

月収手取り50万円受け取るために必要な額面金額は、約69万円です。

これは40歳以上の管理職で、専業主婦(夫)の配偶者と18歳以上の子どもが1人いるケースでの試算です。

支給額と控除額の内訳は、以下の通りです。
額面給与約68万円から、約18万円が控除されて手取り約50万円となっています。

 月収50万円の手取りを試算した表。支給項目は、基本給:60万円、管理職手当7万9000円、通勤手当:2万円で、総支給合計額は69万9000円。控除項目は、健康保険:3万5,500円 、厚生年金:5万6,730円、雇用保険:1,497円、所得税:4万4,340円、住民税:6万900円、介護保険料5,610円で、控除合計は18万4,439円。手取り金額は50万561円 で、支給に対し手取りは73%。

給与ねっと「給与試算」を用いて計算。住民税の算出については所得税・住民税簡易計算機「税金計算機(生命保険料控除、医療費控除、扶養控除、ふるさと納税対応)」を使用。
※管理職(労基法上の「管理監督者」)のため残業代は0円。

50万円以上を受け取るサラリーマンとなると、課長・部長など管理職に就いている方が多くなります。管理職手当の平均は部長クラスで約9.4万円、課長クラスで約6.6万円(エンジニアの場合/リクナビNextの調査より)。月収手取り50万円を受け取るためには、基本給としては60万円前後が必要となるでしょう。

40歳未満独身の額面金額は約70万円

年齢40歳未満で独身の社会人の場合、月収手取り50万円の額面金額は約70万円です。

その内訳は以下の通り。

月収50万円の手取りを試算した表。支給項目は、基本給:58万6000円、管理職手当7万9000円、通勤手当:2万円で、総支給合計額は68万5000円。控除項目は、健康保険:3万4,000円 、厚生年金:5万6,730円、雇用保険:1,499円、所得税:2万8,100円、住民税:5万8,500円で、控除合計は19万8,967円。手取り金額は50万33円 で、支給に対し手取りは72%。

給与ねっと「給与試算」を用いて計算。
「住民税」の算出については所得税・住民税簡易計算機「税金計算機(生命保険料控除、医療費控除、扶養控除、ふるさと納税対応)」を使用。

独身の場合は、「扶養控除」や「配偶者控除」といった家庭を持つ方向けの所得控除が受けられません。そのため、給料から天引きされる社会保険や税金の額が増え、必要な額面金額が配偶者を持つ人に対して1~2万円程度多くなります。

※控除額について、詳しくはコチラの記事へ→「誰でもわかる給料の手取り計算方法&平均給与の実態

労働者の4.3%が月収50万円以上

手取り月収50万円にボーナスを加えて試算すると、額面年収は1000万円以上。国税庁の2015年の調査によると、日本の労働者人口のうち、年収1000万円を超えているのは4.3%であるため、月収50万年はかなりの高収入であると言えます。

<試算方法>
手取り月収50万円=額面月収69万円とする。
額面月収69万円×12ヶ月+ボーナス247万9,000円(年収1000万円台の平均)=額面年収 1,075万9000円

※出典:国税庁「標本調査結果」

 「手取り月収50万は上位4.3%」であることを表すグラフ。以下、年収(万円):労働者の割合。0~:23.6%、200~:33.86%、400~:23.86%、600~:106%、800~:4.56%、1000~:4.36%(月収50万円以上)。

※出典:国税庁「平成27年分 民間給与実態統計調査」

月収50万円以上の男性は女性の8.5倍

労働者人口における手取り月収50万円(額面年収1000万円)以上の男性の割合は6.8%、女性の割合は0.8%です。実に男性が女性の8.5倍となっており、高所得者層における男女の賃金格差はまだまだ大きいことがわかります。

この原因としては、管理職に就いている女性の数が少ないことや、出産をした後に正社員として職場に復帰する女性の割合の低さが挙げられます。

※出典:国税庁「平成27年分 民間給与実態統計調査」

資本金1億円以上の大企業は高月収

月収50万円以上を目標としている場合は、資本金1億円以上、できれば10億円以上の大企業を選ぶと良いと国税庁のデータから読み取れます。

月収50万円以上の労働者の割合は、基本的には企業規模(資本金)が大きくなるにつれて増加する傾向にあります。1億円を超えた段階から顕著に月収50万円以上の割合が増加し、資本金10億円以上の企業では資本金1億円未満の企業の4倍強にまで達しています。

ただし、資本金1億円以下の企業では月収50万円以上の労働者の割合はほぼ横ばいで、むしろ最も企業規模が小さい資本金2,000万円未満の企業の方が多くなっています。

「企業規模(資本金) と月収50万円以上の労働者の割合」表すグラフ。以下、資本金(万円):労働者の割合。~1999万:2.7%、2000~:2.3%、5000~:2.3%、1億~:4.2%、10億~:10.4%。

※出典:国税庁「平成27年分 民間給与実態統計調査」

月収50万円ではどんな生活ができる?

月収50万円ではどのような生活ができるのでしょうか? この章では月収50万円の家計簿から購入できるマイホームや車、平均貯蓄まで具体的な生活の実態に迫ります。

月収50万円の生活、平均的な家計簿とは

手取り月収50万円の生活における平均的な家計簿の例を、子ども1人の夫婦、独身の場合に分けてご紹介します。

地方在住、子どもが1人の40代夫婦

地方在住、私立高校に通う子どもが1人の夫婦の場合、月々の平均的な家計簿は以下のようになります。

地方在住、子どもが1人の40代夫婦の家計簿例。住宅ローン:11万円、水道代:5,400円、電気代・ガス代:1万1,600円、通信費:3万7,000円、交通費・車代(維持・メンテナンス):3万円、食費:7万3,000円、交際・教養娯楽費:4万7,000円、服飾費:2万1,000円、教育費:7万7,000円、日用品費:7,000円、保険料:3万1,000円で合計:50万円。

月収50万円は、子どものいる家庭で片働きの場合、世間のイメージほど余裕があるわけではない金額だといわれています。

家と車を購入し、子どもを私立高校に通わせたら、それだけで毎月の出費は15万円を超えます。塾や部活に通わせることを考えると、住宅ローンと車の維持費、教育費を合わせて20万円強はかかると考えたほうが良いでしょう。

また、老後のことや急な出費などを考えると、貯金は月収の10%は確保したいところです。外食の回数を決めて食費を節約するなどして、月々の無駄な出費を減らしましょう。

都内在住、1人暮らしの30代男性

独身者の家計簿は以下の通り。

都内在住、1人暮らしの30代男性の家計簿例。家賃:12万円、水道代:3,000円、電気代・ガス代:8,800円、通信費:1万1,000円、交通費:2万円、食費:6万円、交際・教養娯楽費:7万7,200円、服飾費:1万2,000円、日用品費:5,000円、奨学金返済:1万3,000円、貯金:15万円で合計:50万円。

1人暮らしならば、月収50万円の場合かなり余裕のある生活を送ることができます。港区や新宿区など都内にシングル向けマンションを借り、趣味や交際に平均の数倍以上の金額を注いでも、月収の30%である15万円程度は貯金することができます。

ただし、年収1,000万円以上の世帯でも、気を抜いて支出を増やしすぎるとすぐに貯金はできなくなります。実際、金融広報中央委員会の調査によると年収1,000~1,200万円世帯の12.5%は貯金をしていません。毎月意識して貯金を積み上げることを心掛けましょう。

※出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 平成28年調査結果」

月収50万円の世帯の平均預貯金額は1,234万円

金融広報中央委員会が2016年に行った調査によると、月収50万円の平均預貯金額は2人以上の世帯で1,234万円です。また、生命保険や債券、株式などを含めた金融資産の合計額は2,498万円となっています。

全世帯の平均預貯金額は970万円、金融資産を合わせて1,819万円であり、月収50万円の世帯は平均の約1.2~1.4倍の預貯金額・金融資産を保有していることがわかります。

単身で月収50万円の世帯の場合、預貯金額は3,771万円、金融資産の合計額は5,879万円となっています。全単身世帯の預貯金額平均は401万円で金融資産の合計額は822万円。単身世帯の場合、全世帯では2人以上の世帯と比べて平均貯蓄額が少なくなるにも関わらず、月収50万円の世帯では倍以上に預貯金額が跳ね上がることがわかります。

※出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査 平成28年調査結果」[二人以上世帯調査][単身世帯調査]

月収50万円ならいくらの家・車を買える?

家庭の大きな出費として真っ先に挙げられるマイホームとマイカー。月収50万円の場合、どれほどの家に住み、どれほどの車に乗ることができるのでしょうか?

地域や車種など実際の例と合わせてご紹介します。

マイホームを買うなら5,450万円程度が上限

月収50万円の世帯でマイホームを買うなら、5,450万円程度が上限だといえます。住宅金融支援機構が提供している長期固定金利住宅ローン「フラット35」において、1.08%の固定金利で30年ローンを組んだ場合を想定しました。

その内訳は、以下の表の通りです。

◆新築マンション・新築一戸建て(分譲)・注文住宅(土地あり)の場合

「月収50万円・1.08%の固定金利・30年ローンで5,450万円の住宅を購入した場合の返済等内訳表。住宅金額:5,450万円、頭金:399万円、諸経費(火災保険料/手数料など):218万円、借入金額:5,053万円、金利:1.08%、月々返済:11万6,000円、ボーナス時返済:41万3,000円、総返済額:5,922万円。

※参考:
マイホームなび「資金計画シミュレーション」
フラット35「借入希望金額から返済額を計算」

約538万円までの車なら無理なく買える

一般に車は、安定して維持することを考えると、年収の半分以下のものを購入すると良いといわれています。つまり、月収50万円(年収約1000万)の場合、約500万円以下の車ならば問題なく購入することができます。

預金残高が十分にない場合や、500万円以上のグレードの車を購入したい場合は、ローンを組む必要があります。

仮にJAバンクのマイカーローンで300万円を3年ローン・金利3%で借りたとしましょう。ボーナスの月には通常月の4倍支払う設定にした場合、通常月の返済額は5万8,162円、ボーナス月の返済額は23万3,687円となります。

マイカーローンの金利と返済の表。

※参考:JAバンク「マイカーローン返済シミュレーション」

車には月々の維持費もかかります。仮に500万円クラスのアルファードを新車で購入した場合、年に自動車税が4万5,000円、自賠責保険が1万6,350円、重量税が1万2,500円かかります。それらにガソリン代や駐車場代、車検代金も含めると、月々の維持費は平均して2万円~3万円になるでしょう。決して安い金額ではないため、維持費も含めて余裕持って支払えるか考えることが大切です。

※参考:自動車ランニングコスト「維持費シミュレーション」

月収50万円を目指せる職種・業界・会社とは?

月収50万円を目指せる職種や、平均手取り月収50万円の会社をまとめました。月収50万円を目指している方は、ぜひ一度参考にしてみてください。

月収50万円以上の職種はパイロットと医師

平均手取り月収が50万円以上の職種はパイロットと医師のみです。

厚生労働省が行った「平成28年賃金構造基本統計調査」をもとにまとめたパイロットと医師の平均年収は以下の通り。

パイロットと医師の平均年収の表。パイロット:2,047万円、医師:1,240万円。

※出典:厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」

いずれも、平均月収50万円の平均年収1,075万9,000円を大きく上回っています。

ただし、これはあくまでも平均年収。ある程度のキャリアを積めば、月収50万円に届く可能性が高い職種はほかにもあります。例えば平均年収1,069万円の大学教授や平均年収864万円の公認会計士・税理士などは月収50万円に届く可能性が高いでしょう。

業界別、平均月収50万円以上の会社

就職四季報2018年総合版で、平均手取り月収が50万円以上の会社は23社あります。

その社名を業界ごとにまとめました。

月収50万円以上の「商社・卸売業」まとめ表。三菱商事:1,446万円、伊藤忠商事:1,383万円、三井物産:1,363万円、住友商事:1,256万円、丸紅:1,226万円、双日:1,095万円、伊藤忠丸紅鉄鋼:1,095万円、JFE商事:1,075万円。

月収50万円以上の「マスコミ」まとめ表。朝日放送:1,571万円、毎日放送:1,321万円、日本経済新聞社:1,262万円、朝日新聞社:1,244万円、電通:1,229万円、東洋経済新報社:1,111万円。

月収50万円以上の「不動産」まとめ表。ヒューリック:1,295万円、三菱地所:1,321万円。

月収50万円以上の「医薬品」まとめ表。エーザイ:1,094万円、第一三共:1,092万円。

月収50万円以上の「その他業種」まとめ表。キーエンス(電機・事務機器):1,777万円、ファナック(機械):1,571万円、野村證券(證券):1,177万円、野村総合研究所(シンクタンク):1,156万円、三井不動産(不動産):1,128万円。

※出典:東洋経済新報社「就職四季報 2018年度版」(2016、東洋経済新報社)

最も月収50万円以上を得られる可能性が高い業界は、商社・卸売業界です。特に総合商社においては、いわゆる5大商社の全てが月収50万円以上にランクインしています。

商社に次いで月収50万円以上の可能性が高いのはマスコミ業界。特にテレビ局や新聞社において、給与水準の高さが伺えます。その後不動産、医薬品業界が2社ずつでマスコミの後に続きます。

そのほかでランクインしている企業は業界のなかでも突出して給与水準が高いことが多いため、月収50万円を達成するために転職する場合は業界ではなく、その企業にピンポイントで狙いを定めて対策を練ると良いでしょう。

なお、今回のランキングに入っているのは平均年収を開示している会社のみです。そのため、ランクインしていない会社であっても、月収50万円が受け取れる可能性は十分にあります。

管理職になれば月収50万円超え?

結論としては、額面月収では男性の場合課長級、女性の場合部長級の役職に就けば月収50万円を超えられますが、手取り月収では超えられるとは限りません

厚生労働省が行った「平成27年賃金構造基本統計調査」によると、部長級の平均額面賃金は男性の場合66万2,800円。女性の場合64万7,500円です。いずれも、額面月収としては50万円を大きく上回っていますが、手取り月収50万円を受け取るために必要な額面月収68万5,000円に届いてはいません。

 役職別の平均賃金表。部長級…男性:66万2,800円、女性:64万7,500円。課長級…男性:52万9,900円、女性:46万700円。係長級…男性:40万800円、女性:35万3600円。

※出典:厚生労働省「平成27年賃金構造基本統計調査」企業規模100人以上のデータを使用)

【コラム】バイトで月収50万円は可能?

結論から述べると、アルバイトで月収50万円に到達することは、ほぼ不可能です。

仮に1日9:00~22:00(休憩1時間)の長時間労働を週休1日で行ったとしても、働ける総時間は12時間×6日×4週間で1月当たり288時間。月収50万円を288時間で達成するには、時給1,736円が必要です。

しかし、47都道府県で最も時給のレベルが高い東京都であっても平均時給は1,093円。つまり、ほとんど休みなく働いたとしても、普通のアルバイトでは月収50万円は望めません。

薬剤師や看護師、塾講師などの専門職であれば時給1,736円以上の求人もありますが、長時間シフトが割り振られるとは限りませんし、採用されるにはスキルが必要なため、やはりアルバイトで月収50万円を手に入れるのは不可能に近いといえるでしょう。

まとめ

月収50万円の実態は把握できたでしょうか? 月収50万円とはいっても、お金の使い方次第で生活スタイルは大幅に変わることがわかります。また、月収50万円以上を手にするには、何らかのリスクを背負うことや、人並み以上に努力することは避けられないようです。月収50万円を目指す方や月収50万円で生活をより向上させたい方は、この記事を1つの参考にしてみてください。