「困った!」を解消できる 退職後の確定申告のポイントまとめ

確定申告とは、一定の所得がある人が納めなければいけない所得税を、年に一度計算して国に申告することを言います。会社員のときは不要でしたが、今年退職した人のなかには自分で申告をする必要がある人もいます。いざ手続きに取り掛かろうと思っても、準備不足ではあたふたすることも。

そこで、どんな人に確定申告が必要かや、手続きをするためのポイントをまとめてみました。確定申告をするべきケースは多岐に渡りますが、ここでは「今年退職した人」について紹介します。

これを読んで、退職後の確定申告をスムーズに済ませましょう。

1.今年退職したこんな人は確定申告をしよう

「なぜ退職したら確定申告が必要なの?」と疑問に思う人もいることでしょう。

会社員のときは給与額や扶養家族の人数などに応じて、毎月の給料から所得税が天引きされ(源泉徴収)、11~12月に会社が年末調整を行うことで所得税額の過不足が正しく精算されています。そのため、副業をしていたり不労所得がある場合を除いては確定申告が不要です。

しかし退職後、年内に再就職しなかった場合は年末調整の対象外となります。そのため自ら確定申告をし、所得税額の過不足を精算する必要があるのです。

今年退職した人のなかでも、確定申告が必要なのは次のようなケースです。

会社を辞めて退職金をもらった

退職金は支給のときに源泉徴収されます。退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、ほぼ正確な税額が源泉徴収されているのですが、提出していない場合は、20.42%の所得税に加え、2.1%の復興特別所得税※が源泉徴収されています。それが正しい税額よりも少ない人、あるいは多い人は申告をして精算を行います。
※東日本大震災の被災者支援のため、平成49年12年31日まで導入。

中途退職して無職のまま12月31日を迎えた

年の途中で退職した人は、勤めていた職場で年末調整が受けられません。さらに年内に再就職していない人は、勤務先がないために年末調整の対象外となります。そのため、年末調整の代わりに確定申告を行います。
給与やボーナスの源泉徴収は概算です。実際に源泉徴収された所得税の合計額は本来納めるべき1年間の税額と一致せず、納め過ぎていることがあります。確定申告をすれば、納めすぎた所得税が返ってくるというわけです。

ただし、失業給付や職業訓練手当は非課税所得になるため申告は不要です。

確定申告要不要スケジュール表

中途退職して転職したものの前職の源泉徴収票が間に合わなかった

年の途中で退職し年内に再就職した人は、前職場を退職する際にもらった源泉徴収票を新しい職場に提出し、前職分と合わせて年末調整を受けます。

しかし、早くから年末調整の作業を行う会社もあるので、年末ギリギリに再就職した場合などタイミングによっては前職の源泉徴収票の提出が間に合わないことも。そのときは会社のルールにもよりますが、前職の収入に限らず再就職先での収入についても自分で確定申告をしなければいけません

結婚退職して専業主婦になった

「専業主婦になったら夫(配偶者)の扶養に入っている」という認識から、確定申告は無関係と思いがち。けれども、年内は会社員として働いていた人に限っては確定申告が必要です。その理由は「中途退職して無職のまま12月31日を迎えた」のところで述べた通り。このケースと同じになるため、手続きの準備をしておきましょう。

また、体調を崩して退職をしたなど何らかの事情があって配偶者の扶養に入った人もこのケースと同様になるため、確定申告が必要です。

コラム:こんな退職ケースは確定申告をしなくてもOK

退職した年に転職先が決まり、前職の源泉徴収票を提出した人は、再就職先で年末調整が行われるため確定申告は不要です。

また、退職金をもらったときに「退職所得の受給に関する申請書」を提出した人も対象外。退職手当が支払われる際に支払う側の手続きによって税金の源泉徴収が行われているため、原則、確定申告は必要ありません。

2.退職後に確定申告をするメリットとは

電卓上記の条件に当てはまる人の中でも、確定申告の手続きをわずらわしく感じる人もいるでしょう。しかし、時間をかけて取り組んだ分だけ良いこともあります。

払いすぎた所得税の一部が戻ってくるチャンス

確定申告を行うことにより、過払いしている所得税の一部を取り戻せる人がいます。ただし、取り戻すためだけの申告は義務ではありません。手続きにも手間がかかるため、戻ってくる税金と申請にかかる時間を秤にかけて、取り組んでみようと思えたならぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

翌年の国民健康保険料や住民税の支払額が下がることも

確定申告で確定する所得は、次年度の国民健康保険料や住民税などを算出する際の基準にもなっています。

社会保険料は、会社員時代は給料からの天引きですが、退職後は全額自己負担となり、重くのしかかってきます。確定申告によって明らかになった合計所得金額によっては、社会保険料の減免を受けることも可能。確定申告をしてスムーズに制度を利用できるようにしておくと困ったときに助かります。

ただし、各市町村によって減免制度は異なりますので注意してください。

退職ケース別 確定申告のメリット

確定申告の最大のメリットは、収めすぎた所得税が戻ってくることです。

1章で挙げた確定申告が必要な退職ケースでは、いずれにおいても前職の給与やボーナスから源泉徴収された所得税のうち、納め過ぎになっている分は取り戻すことができます。また生命保険を掛けている人は、生命保険料控除の申請も併せて申告すると、税金が戻ってきます

これら以外にも確定申告を行うメリットがある退職ケースと、その内容をまとめてみました。

会社を辞めて退職金をもらった場合
・「退職所得の受給に関する申告書」が未提出の場合は納め過ぎた税金が戻ってくる。
・「退職所得の受給に関する申告書」を提出していても年間所得の状況などによっては税金を納め過ぎているケースがあり、この場合確定申告をすれば還付される。

結婚退職して専業主婦になった場合
・退職時期と婚姻届の提出にブランクがあり、その間は自分で国民健康保険料や保険料を支払っていた人は社会保険料控除の対象になる。

3.確定申告の前に心得ておきたいこと

書類を前に困った顔の女性申告書作成の作業に入る前に、確定申告について必ず押さえておきたい重要なポイントが3つあります。

申告を忘れていても5年前までさかのぼれる

確定申告の申告期間は厳守です。ゆとりをもって進めることが大事ですが、うっかり忘れていたときや間に合わなかったときは過去5年までさかのぼって申告することができ、払い過ぎていた所得税が戻って来ることがあります。

確定申告を行うことは決してメリットだけではない

確定申告は、過払いしている所得税を取り戻すためだけに行うのではなく、不足している所得税を正しく納めるためにも行います

納税は国民の義務。「算出してみると納めるべき所得税が不足していたことがわかったので、バレないためにも確定申告はしないでおこう」は通用しません。ごまかしは厳禁です。

確定申告を怠ると罰則の恐れも

確定申告を怠ると、納めなければいけない税金にプラスして無申告加算税というペナルティを科せられたり、延滞税が発生したりするケースがあります。

また、意図的に申告書を提出せず納税を免れようとすることは犯罪にあたり、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。故意ではない場合でも、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる恐れがあるので要注意です。

4.退職後の確定申告 手続きのステップ

では、確定申告の手続きに必要な基礎知識を身に付けていきましょう。

「いつ」「どこ」に提出するのかを確認

電卓と書類まず押さえておきたいのは、申告書を提出する先と期間、提出方法です。期間は基本的に毎年2月16日~3月15日ですが、期限日に土日が来る場合は変動するので、カレンダーで確認しておきましょう。

●2018年分の申告期間
2019年2月18日(月)~3月15日(金)
郵送による提出は期限日の消印有効

●提出先
住所地を管轄する税務署もしくは申告期間のみ開設される還付申告センター。住所地を管轄する税務署は、国税庁ホームページ「組織(国税局・税務局等)」から検索

●提出方法
(1)管轄の税務署もしくは還付申告センターに持参
(2)管轄の税務署に郵送
(3)国税の電子申告・納税システム「e-Tax」(http://www.e-tax.nta.go.jp/)を利用(事前登録が必要)

確定申告書には「A」と「B」がある

「白色申告」「青色申告」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。青色申告は個人事業主が合法的に節税できるように設けられた制度であり、一般的な退職に伴う確定申告では白色申告を選択します。

申告書B

白色申告の確定申告書の様式には「申告書A」と「申告書B」の2種類があります。

Aは給与所得者や年金受給者用、Bは個人事業主用です。Bはすべてのケースで使えるので、迷ったときはBを選ぶのが得策。AとBの両方に該当する場合もBを選びます。申請書は第一表と第二表がセットになっているので、2枚を合わせて提出します。

申告書のA・Bの様式や手引きについて詳しく知りたいときは、以下より確認できます。
確定申告特集 確定申告書などの様式・手引き

申告書の入手方法を確認しよう

確定申告書を手に入れるには、いくつかの方法があります。申告書を手書きで作成するのかパソコンで作成するかによって入手方法が異なります。

●手書きで作成する
(1)年明け(1月半ばごろ)に税務署や申告相談会場で入手する。
(2)国税庁ホームページの「確定申告特集」からダウンロードする。

●パソコンで作成する
国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」にアクセス。画面入力する。

国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」

退職金をもらった人は赤枠の「左記以外の所得のある方」から、それ以外の退職ケースは青枠の「給与・年金の方」から作成開始へ進みましょう。

e-Taxを利用して申請書を送信しようとすると事前に手続きが必要で手間がかるため、退職後の確定申告の場合は書面を印刷して郵送するか持参して提出する方法がおすすめです。

退職ケース別の必要書類をチェック

給与所得の源泉徴収票確定申告に必要な書類は、退職したケースによって異なります。添付を求められる書類もあるので、事前に確認し各所から入手しておくことを忘れてはいけません。自分が当てはまる退職ケースではどんな書類が必要かをチェックしましょう。

会社を辞めて退職金をもらった

中途退職して無職のまま12月31日を迎えた

中途退職して転職したものの前職の源泉徴収票が間に合わなかった

結婚退職して専業主婦になった

(退職金をもらい「退職所得の受給に関する申告書」を申請していない場合は、「退職ケース 会社を辞めて退職金をもらった」も参照のこと)

確定申告書の書き方のポイント

記入方法の詳細は、前述した国税庁ホームページ「確定申告特集」から確認しましょう。記入は基本的に順を追って進めていけばさほど難しいものではありませんが、記入時に陥りやすいミスもあります。事前に留意すべき点を押さえておいてください。

(1)手書きするときは筆記具やマス目に注意
記入の際は黒か青のボールペンを使いましょう。鉛筆やシャープペン、消せるタイプのペンは不向きです。申告書は機械読み取りなので、数字を書くときはマス目からはみ出さないよう注意しましょう。また、書き間違い時に修正液を使うのはNG。該当箇所を二重線で消し、余白に正しい金額を記します。

(2)添付書類は原本を使用
源泉徴収票など添付する書類がある場合は、「添付書類台紙」にまとめます。書類ごとに指定された箇所へ貼り付けましょう。原則、提出するのは原本。必要ならばコピーしたものを手元に保管しましょう。台紙の表面に貼り切れない大きな書類などは裏面を利用します。

困ったときはまず税務署の無料相談を活用しよう

慣れない作業で思うように進まないときは、税務署の相談窓口が便利です。1年中開設されており、無料で疑問や悩みに応じてもらえます。直接行くほか電話でも受け付けているので、ささいなことでも気軽に聞くことができるでしょう。

手軽さを重視するなら、インターネットサイトを利用する方法もあります。税理士ドットコムの「みんなの税務相談」は、質問すると登録している税理士が無料で回答してくれます。また、確定申告のシーズン限定で市町村役場にも相談窓口が設けられていることがあるので、困ったときは頼りになるでしょう。ただし、無料相談はあくまで一般的な内容に限られます。個別な事案は有料であっても税理士に相談するのが確かです。

5.まとめ

いかがでしたか。
退職は人生の変わり目。さまざまな変化に追われてつい忘れてしまいがちですが、確定申告のような手続きもしっかりと行いましょう。

初めての確定申告は大変かもしれませんが、億劫がらずできるだけ早めに取り掛かることをおすすめします。書類が作成できたら提出前のチェックは必須。記入漏れやミスがないか、添付書類に抜けがないかなどをきちんと確認してから提出しましょう。

更新日:2018年6月19日
(公開日:2016年12月1日)

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