出世につながるって本当? 出向、4つのメリット・デメリット
出向とは、勤め先の企業と雇用契約を結んだまま、子会社やグループ会社などの別会社で働くことです(※)。
出向と聞くと、なかには「出世の道から外された」と不安に思う人もいるのではないでしょうか。出向のメリット・デメリットについて解説します。
※転籍出向として、出向先と新たに雇用契約を結び直すケースもあります。
※出向について詳しくは→出向とは?出世?それとも左遷?銀行や公務員のケースも紹介
出向のメリットは?
「出向=左遷」というネガティブなイメージを抱く方も多いかもしれませんが、出向には下記のようなメリットがあります。
- スキルアップや人脈の拡大につながる
- 出向先で実績を作れば出世できる
スキルアップや人脈の拡大につながる
出向により、新たな環境で経験を積んでスキルアップしたり、出向先やその取引先との人脈を広げたりすることができます。
他社の働き方や企業文化に触れることで、自社の長所や改善点に気づくことができ、その後のアウトプットの向上につながることも。若手社員を出向させるケースでは、このような教育訓練的な意味合いが強いでしょう。
電機メーカーのパナソニックなどの大手企業では、新規事業の立ち上げを任せられるようなイノベーション人材を育成する試みとして、社員を異業種のベンチャー企業に出向させる制度がスタートしています。
出向先で実績を作れば出世できる
出向先での実績が評価されると、後々出世コースにつながることも。例えば、元の会社に戻る際に昇進・昇格ができるといったケースです。
また、関連会社のトップに近い立場で出向する場合、将来的には出向元(本社や親会社)の経営幹部就任を見据えての人事戦略である可能性も高いでしょう。
みずほフィナンシャルグループでは2016年から、40代の社員を出向させ、次世代の経営リーダーとして育成するプログラムを開始しています。
今後さらに40代社員の登用が活発化し、出向=出世というイメージが強くなるかもしれません。
出向のデメリットは?
キャリアアップの観点から見るとメリットが多い出向ですが、下記のようなデメリットも指摘されています。
- 職場環境・人間関係の変化によるストレス
- 転籍出向の場合は給与が減ることも
職場環境・人間関係の変化によるストレス
出向によって慣れ親しんだ職場から離れ、人間関係を新しく構築したり、これまでと異なる業務を一から覚えたりする必要があるため、人によっては大きなストレスに感じる場合があります。
また、出向してきたというだけで、出向先の社員から色眼鏡で見られることもないとは言い切れません。職場に馴染むまでは、肩身の狭い思いをすることも少なくないでしょう。
たとえキャリアアップを目的としたポジティブな出向であっても、環境の変化は誰にとってもストレスになります。
新たな環境に慣れるまで仕事を抱えすぎないよう意識したり、適度なリフレッシュをしたりなど、ストレスの要因をつくらないようにしましょう。
転籍出向の場合は給与が減ることも
転籍出向の場合、給与が減る可能性があります。
転籍出向とは、もといた会社との雇用契約を解消して、出向先の会社と新たな雇用関係を結ぶことを指します。出向先の給与水準にしたがって勤務することになるため、もといた会社よりも給与などの待遇面が悪くなるケースがあります。詳しくは下記の記事をご確認ください。
転籍出向はリストラまではいかないものの、在籍出向と比べて雇用調整という意味合いが強いと言えます。出向後の年収が大幅に下がってしまうなど、出向の内容に納得できない場合は、転職を検討してみるのもひとつの手です。
出向のメリットを受けやすい人の特徴
出向をプラスに捉えることができる人には、以下のような特徴があります。
- 環境に順応して能力を発揮できる
- キャリアアップに対して意欲がある
- 未経験の業種にチャレンジしたい
新しい環境に萎縮せずに柔軟に適応できる人は、出向を命じられてもストレスを感じずに仕事をこなせるでしょう。
また、キャリアアップへの意欲や未経験のことに対するチャレンジ精神があると、出向を成長のためのチャンスと前向きに捉えることができます。
社内の人事異動では経験できる仕事の範囲が限られるかもしれませんが、出向することで自社にない領域や職種の仕事を経験できる可能性もあります。出向=左遷とは限らないので、与えられた環境で最大の成果を出せるよう前向きに考えることが大切です。
まとめ
出向によって慣れ親しんだ会社から離れ、異なる環境でいきなり働くのはストレスに感じるかもしれません。
しかし、出世につながる可能性は大いにあるといえます。自分を成長させるチャンスと捉えて、前向きに取り組みましょう。