「1年で100万」貯められる 年収300万円の賢い貯蓄術

年収300万で一人暮らしだと、貯蓄をするのは大変と思うかもしれません。

でも、「やり方しだいでは1年で100万円の貯蓄も無理ではありません」と教えてくれたのがファイナンシャルプランナーの大竹のり子さん。

日々の生活を楽しみながら、賢く貯蓄する方法を聞いてきました。

Q.年収300万でも1年で100万円貯められる?

大竹のり子さん(以下、大竹):簡単とは言えませんが、不可能ではありません。たとえば、毎月の給与20万円の他にボーナスが年2回、それぞれ1.5ヶ月分出る人の場合を考えてみましょう。

1回のボーナス(1.5ヶ月分)の支給額は30万円。手取りだと約24万円です。そこから15万円ずつ合計30万円を貯蓄すると、目標額の100万円まで残り70万円。毎月の給料から1年間で70万円貯蓄するには、月々約5万8000円(70万円÷12ヶ月=約5万8000円)を貯蓄に回す計算になります。

【年収300万でも100万円貯蓄できるモデルケース】年収300万円の内訳。下月収0万円(手取り16万円)×12ヶ月=240万円。ボーナス30万円(手取り24万円)×2回=60万円。毎月の積立貯蓄:5万8000円×12ヶ月=薬70万円+ボーナス時の貯蓄:15万円×2回=30万円=目標額100万円を達成

月給20万円の手取り金額は約16万円。その中から5万8000円を貯蓄すると、残りは10万200円。この金額でやりくりできれば年間100万円を貯蓄することが可能です。

ただ、同じ年収300万円でも月給とボーナスの割合は人それぞれですし、中にはボーナスがない人もいるでしょう。自分の収入状況に合わせて貯蓄計画を立ててみましょう

Q.1年で100万円貯められる理想的な家計バランスは?

大竹:結論から言うと、「これでやりくりする」と決めた金額を超えなければ、何にいくら使うかは自由です。とはいえ、それでは不安だという人もいると思うので、もう少し具体的に考えてみましょう。

一般的には、手取り収入の2割を貯蓄に回すとよいと言われています。ただし、年収300万円の人が年間100万円貯蓄するためには、それでは足りません。上のケースだと、毎月の手取り約16万円から月々5万8000円の貯蓄が必要でした。残りの10万2000円をどう振り分ければよいのでしょうか。

まず一人暮らしの場合、いちばん大きな支出が家賃です。一般的に家賃の目安は、手取り収入の2.5〜3割と言われています。毎月の手取り16万円なら、家賃は4万8000円が目安となります。

ただ、この金額だと住む場所も物件もかなり制限されてしまうので、他の支出を調整して家賃にもう少しお金をかけてもいいかもしれません。逆に、もっと安い部屋でいいという人は家賃を減らして、その分、自由に使えるお金を増やすのがよいでしょう。

仮に家賃を4万8000円とすると、生活費の残りは5万4000円(10万2000円−4万8000円=5万4000円)。この中で、食費や趣味・交際費、美容・衣服代など、お金をやりくりできればOKです。

【100万円貯蓄するための家計バランス(モデルケース)】手取り収入16万円の内訳。貯蓄5万8000円。家賃4万8000円。生活費5万4000円。毎月の貯蓄額を確保できれば何にいくら使うかは自由。お金の使いみちに神経質になる必要はない

繰り返しになりますが、毎月の貯蓄額を確保できれば、残りを何にいくら使うかは自由です。「月いくらまで」とルールを決めておけば趣味に気兼ねなくお金を使うのもいいでしょう。

また、もう少し余裕のある生活がしたいという場合には、「1年で100万円」という目標を「2年で100万円」に変更するのもひとつの方法だと思います。

「何でもかんでも節約」ではつらくなってしまいます。使いたいところにはお金を使い、削れるところは削ることで、メリハリをつけて生活を楽しむようにしましょう。

Q.お金が貯まる体質に変わるには?

大竹:毎月いろいろな支出が発生しますが、「残ったお金を貯蓄しよう」という考え方ではお金は貯まりません。その考え方は捨てて、先取り貯蓄を始めましょう。

先取り貯蓄とは、給料が入ってきたら一定の金額を先に貯蓄してしまう方法です。半ば強制的に貯蓄分を取り分けてしまうので、確実にお金を貯めることができます

【先取り貯蓄でお金が貯まる体質になろう】貯蓄分を先に確保してしまう「先取り貯蓄」なら確実にお金が貯まる。「残ったお金を貯蓄しよう」という考え方ではお金は貯まらない。

具体的な方法としては、会社の財形貯蓄や銀行の定額自動入金サービスなどがあります。これらを利用して、自動的に貯蓄分を別口座に移してしまいましょう。

たとえば財形貯蓄なら、お給料が振り込まれる時点ですでに貯蓄に回す金額が引かれているので、何もしなくても貯蓄額が増えていきます。会社に財形貯蓄の制度がある人は、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

【先取り貯蓄の仕組み】収入から貯蓄分をひいた金額の範囲内で生活し、貯蓄分は自動引き落としにして貯蓄用口座へ。先取り貯蓄なら自動的に貯蓄分が別口に入るので確実にお金が貯まる

先取り貯蓄を実行すれば、「つい使いすぎてしまって毎月赤字」という人でも「口座に残ったお金でやりくりできればOK」という思考になるので効果は絶大です。

財形貯蓄について知りたい人は下記の記事を参考にしてください。財形貯蓄の種類やメリット・デメリットなどをご紹介しています。

Q.貯蓄したい人が「やってはいけないこと」は?

大竹:確実に貯蓄したいなら、「これから入ってくるお金をあてにすること」はやめましょう

たとえば、今はお金がないからと、ボーナス払いを利用するのはNGです。ボーナスは業績によって金額が変動しますし、最悪の場合は出ないこともあります。

あてにしていたボーナスが思ったより少なければ、予定していた貯蓄額が確保できなくなるどころか、せっかく貯蓄したお金を取り崩すことにもなりかねません

また、クレジットカードだとついついお財布のヒモが緩くなってしまうという人は、クレジットカード払いにも要注意です。

日本クレジットカード協会の調査では、クレジットカードで支払いをする人は、現金で支払う人より1.7倍多くお金を使うという結果が出ています。

現金支払とカード支払いを比べると、クレジットカードだと現金の1.7倍多くお金を使うという調査結果も。※出典:2017年度日本クレジットカード協会調査

必要な出費をクレジットカード払いにする分には問題ないのですが、カードを使いすぎてしまうと、お金がないからまたカードで支払って…という悪循環に陥ってしまうことも。それでは貯蓄は増えるどころかマイナスになってしまいます

Q.無駄遣いをなくすために効果的な方法は?

大竹:自分が何にどれくらいお金を使っているかを確認してみるといいと思います。と言うと、家計簿を思い浮かべる方も多いと思いますが、家計簿は向き・不向きがあるのも事実です

銀行口座やクレジットカードと連携できる家計簿アプリも同じです。使いこなせる人にとってはとても便利ですが、それなりに設定も必要です。

「まずは何にどれくらいお金を使っているかを把握する」ことが目的であれば、レシートを1ヶ月分取っておいて集計するのが簡単です。

レシートがない場合は、付箋やメモでもいいですし、携帯のメモ機能を使ってもいいです。自分の好きな方法で買い物の記録を残してみましょう。

そして、週末に1度でも月末に1度でもいいので、レシートやメモを見て、自分が買った物を○・×・△の3つに振り分けましょう

○はお得に買い物できたもの、△はもっと安く買えたかもしれないもの、×は買わなくてもよかったもの、つまり無駄遣いです。一通りレシートをチェックしたら、最後に×がついた買い物の金額を合算しましょう

×がついた買い物の合計金額は、ちょっと我慢すれば貯蓄に回すことができた金額です。100円のお菓子、150円のペットボトルなど、ひとつひとつは小さな金額でも合算したら意外と大きな金額になるんです。

【無駄遣いをなくすには?】買ったものをレシートでチェックして下記3つに振り分ける。◯:お得に買えたもの、買ってよかったもの。△:もっと安く変えたかもしれないもの。☓:買わなくてもよかったもの。☓に振り分けられる買い物を減らせば無駄遣いはなくなるはず。

この事実に気づいたら、きっと無駄遣いは減らせます。ぜひやってみてください。

Q.節約はつらいです。貯蓄が楽しくなるコツは?

大竹:我慢して節約するのはつらいですよね。貯蓄を楽しむには「貯めなくちゃいけない」と考えるのではなく、「貯めたら○○をしよう」という楽しみをモチベーションにすることが大事ではないでしょうか。

シンプルに「100万円」という金額だけを目標にして頑張れる人はいいのですが、そうでない人もたくさんいます。そういう人は、「何のために貯蓄するのか」「100万円貯蓄できたら何に使うのか」という金額の先にあるゴールを設定したほうがやる気が出るはずです。

自分なりのポジティブなゴールを決めて、楽しみながら目標に向かっていけるといいですね。

取材・文/於ありさ(@okiarichan27

この記事の話を聞いた人

ファイナンシャルプランナー

大竹のり子

株式会社エフピーウーマン

ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者・1級FP技能士)。株式会社エフピーウーマン代表取締役。ファイナンシャルアカデミー取締役。一般社団法人金融学習協会理事。

編集者を経て2005年4月に「女性のためのお金の総合クリニック」として株式会社エフピーウーマンを設立。現在、経営の傍ら、講演、雑誌、テレビなど多くのメディア出演を通じ、女性が正しいお金の知識を学ぶことの大切さを伝えている。『マネーセンスを磨けば、夢は必ずかなう!』など著書・監修書は約60冊に及ぶ。