資格あり・なし/向いている人も 【一覧】動物に関わる仕事・21選
動物好きであれば「仕事でも動物と関われたらいいな」と思う人もいるかもしれません。
この記事では、仕事を通して動物に関わることができる21職種を紹介します。各職種の仕事内容や必要な資格・経験なども解説します。
【さまざまな種類の動物】に関わる仕事6選
まずは、さまざまな種類の動物に関わることができる6職種を、資格が必要かどうかで分類して紹介します。
資格が必要な仕事
さまざまな種類の動物に関わる仕事で、かつ資格が必要な仕事は「獣医師」「動物看護師」「動物園や水族館の飼育員」「レンジャー(自然保護官)」の4つです。
獣医師
獣医師は、犬・猫・鳥類・畜産動物など、さまざまな動物の診察や治療などを行う動物の医者です。勤務先は動物病院だけではなく、食品衛生検査所や保健所、検疫所などで衛生面の検査業務を担うこともあります。
獣医師になるには「獣医師免許」が必要です。獣医師免許は、大学で獣医学専門の6年制コースに入り、獣医師の国家試験に合格することで取得できます。
動物看護師
動物看護師は、主に動物病院に勤務し、獣医師の指示のもとで動物の診察や手術のサポートを行います。入院している動物がいれば、食事や排泄の介助なども担当します。
動物看護師になるためには、「愛玩動物看護師」の国家資格を取得する必要があります。
国家試験の受験資格は、大学や短大で指定の科目を修めて卒業するか、愛玩動物看護師養成所で3年以上学ぶことで得ることができます。
動物園や水族館の飼育員
動物園や水族館の飼育員は、自分が担当する動物の世話や生活スペースの清掃、健康管理などを行います。施設によっては数種類の動物の世話を任されることがあり、さまざまな動物に関わることができます。
公立の動物園・水族館の飼育員になるためには、地方公務員試験に合格し、各施設の担当として配属される必要があります。
私立の動物園・水族館の場合は、各施設の採用試験に合格すれば飼育員として働くことができます。
レンジャー(自然保護官)
レンジャー(自然保護官)は、国立公園などの自然保護地域で野生生物の保護や調査、パトロール、施設整備などの活動を行う人です。
レンジャーになるためには、国家公務員の試験に合格した上で「環境省自然系職員」の選考を受けて採用されなければなりません。
大学や専門学校などで林業や造園、環境科学などを学び専門的な知識を身に付けることが必要です。
資格なしでも働ける仕事
さまざまな種類の動物に関わる仕事で、資格なしでも挑戦できる仕事は「野生動物調査員」「漁師・漁業関係者」の2つです。
野生動物調査員
野生動物調査員は、道路工事や鉄道建設など大規模な公共工事を行う際に、周辺の野生動物の生態系を守るために調査や保全計画立案などを行います。環境調査会社や生物研究所などに所属し、国や地方自治体、企業などから発注を受けて仕事を行います。
野生動物調査員になるために必須の資格はありません。しかし実際に働く上では、フィールドワーク経験や調査スキル、データ分析能力などが求められます。
大学や短大などで生物学や農学、環境保全などについて専門的に学び、調査研究を行って実践的なスキルを身につけた方がよいでしょう。
漁師・漁業関係者
漁師や漁業関係者は、魚介類を海で獲ったり自ら養殖したりして市場に卸す仕事をしています。仕事を通して、さまざまな種類の魚や海洋生物などに関わることができます。
漁師や漁業関係の仕事に就くには、漁業会社や水産会社に就職する、先輩漁師に弟子入りするといった方法があります。就職する上で必須の資格は特にありませんが、重労働をこなせるタフさと体力が必要です。
沿岸漁業の漁師として独立する場合は、漁船の組合員として働いた後、小型船舶や漁業無線などの資格を取得し、漁業組合に加盟する必要があります。
【犬猫などのペット動物】に関わる仕事9選
ここでは、犬や猫などのペット動物に関わることができる9職種を、資格の必要性で分類して紹介します。
資格が必要な仕事
犬や猫などのペット動物に関わる仕事で、資格が必要な職種は「盲導犬訓練士」「警察犬訓練士」の2つです。
盲導犬訓練士
盲導犬訓練士は、犬に対し訓練を行い、視覚障がい者が外出するときに補助をする盲導犬を育成する人です。また、盲導犬として訓練する犬の食事や、排泄の管理なども盲導犬訓練士が行います。
盲導犬訓練士になるには、盲導犬の育成を行う各協会が定める民間資格を取る必要があります。例えば、日本盲導犬協会では「盲導犬訓練研修生」として1年間研修を受けた後に、試験に合格することで資格を取得できます。
警察犬訓練士
警察犬訓練士は、警察犬候補の犬にニオイの嗅ぎ分け方や足跡の追跡方法などを教え、警察犬や災害救助犬、麻薬探知犬などを育てています。
警察犬訓練士になるためには、大きく2つの方法があります。
- 公務員採用試験を受けて警察官になり、鑑識課で警察犬の飼育・訓練を行う
- 民間の警察犬訓練所に就職し、見習い訓練士として経験を積んで公認訓練士の資格を取る
警察官は数年で配属が変わる可能性があるため、警察官訓練士として長くキャリアを積みたい場合は民間の訓練所に入り、公認訓練士の資格を取るのがおすすめです。
資格なしでも働ける仕事
犬や猫などのペット動物に関わる仕事で、資格がなくても挑戦できる職種は「ブリーダー」「トリマー」「ペットシッター」「ペットホテルスタッフ」「ペットショップスタッフ」「ペット用品メーカー勤務」「ドッグトレーナー」の7つです。
ブリーダー
ブリーダーは、犬や猫などのペット動物の交配や繁殖を行い、生まれた子供を飼育してペットショップや個人に販売しています。
ブリーダーになる上で必須の資格はありません。ブリーディングを行っている会社に就職したり、独立開業している先輩ブリーダーに弟子入りしたりすることで、ブリーダーになることができます。
ただし、自ら開業する場合は、都道府県や政令指定都市に「第一種動物取扱業」の届出をする必要があります。
トリマー
トリマーは、犬や猫のシャンプーやブラッシング、毛のカット、爪切りなど全身の手入れをする人です。ペットの手入れをしている間に、皮膚や四肢の状態などから健康状態の異変が発見されることもあるため、トリマーは動物の健康を守る役割も兼ねています。
トリマーになるために必要な資格は特にありません。ペットショップやペットサロンでアルバイトスタッフとして勤務しながら、経験を積むことでトリマーになることができます。
就職を有利にしたい場合は、専門学校のトリマーコースなどに通って技術を習得した方がよいでしょう。
ペットシッター
ペットシッターは、ペットの飼い主が旅行や入院などで留守にする間に、自宅を訪問して飼い主の代わりに数時間ペットの世話をする人です。犬や猫だけでなく、爬虫類や熱帯魚など、さまざまな種類のペット動物に関わることができます。
ペットシッターになる上で必須の資格はありません。「ペットシッター士」や「ドッグシッター」などの民間資格があったほうが、飼い主に安心してもらいやすい存在になれるでしょう。
ペットホテルスタッフ
ペットホテルスタッフは、ペットの飼い主が旅行や入院などで家を留守にする間に、専用のホテルで、数時間~数日間ペットの世話を行います。ペットは慣れない環境でストレスを感じることがあるため、預かっている間は健康管理が重要になります。
ペットホテルスタッフは、未経験でも就職することが可能です。動物の専門学校で知識・技術を身に付けたり「愛玩動物飼養管理士」「動物健康管理士」などの資格を取得したりすると、就職が有利になる可能性が高まります。
ペットショップスタッフ
ペットショップスタッフは、ペットショップで展示されている動物の世話やペット関連商品の販売、接客などを行います。新しくペットを購入した飼い主に、飼育方法についてレクチャーやアドバイスをすることもあります。
ペットショップスタッフになる上で必須の資格はありません。ペットショップの求人に応募して採用されれば、スタッフになることができます。トリマーとしての技術・経験や「動物看護師」「愛玩動物飼養管理士」などの資格を持っているとより就職しやすくなるでしょう。
ペット用品メーカー勤務
ペット用品メーカーは、フードやトイレ用品などペット動物の生活全般に関わる商品の企画・製造・販売を行います。ペット用品メーカーに就職すれば、ペットや飼い主の快適な生活をデザインするという観点から動物に関わることができます。
ペット用品メーカーに就職するために必須の資格はありませんが、募集職種に応じた知識や技術、経験が求められます。たとえば、ペットフードの海外営業職であれば、営業経験やビジネスレベルの語学力が必要です。
ドッグトレーナー
ドッグトレーナーは、犬に対してトイレトレーニング、吠え癖・噛み癖の防止などしつけを行います。
トレーニングの対象は一般家庭で飼育されている犬がメインですが、ペットショップやドッグカフェ、ブリーディング事業会社などで管理されている犬を担当することもあります。
ドッグトレーナーは未経験でも始められる仕事ですが、動物の専門学校で学んだ経験や「ドッグトレーナーライセンス」「愛玩動物飼養管理士」などの資格を持っていると、飼い主からの信頼を得ることができ、定期的に仕事を依頼してもらいやすくなるでしょう。
【馬や畜産動物】に関わる仕事6選
ここでは、馬や畜産動物に関わることができる6職種を、資格の必要性で分類して紹介します。
資格が必要な仕事
馬や畜産動物に関わる仕事で資格が必要な職種は「装蹄師」「調教師」「厩務員」「騎手」の4つです。
中でも「調教師」「厩務員」「騎手」は、担当した競争馬のレース結果が収入に反映される仕組みであることが多く、強い競走馬を担当していれば1000万円台の高収入を狙えることもあるようです。
装蹄師
装蹄師は、馬の爪を削り、馬にとって靴の役割を果たす「蹄(ひづめ)」を装着・調整する人です。爪や蹄の管理を適切に行うことで、馬の脚を捻挫や骨折から守ることができます。
装蹄師になるためには「認定装蹄師」の資格が必要です。資格は、日本装削蹄協会の講習会を1年間受講して認定試験に合格すれば取得することができます。
資格取得後は、競馬場や乗馬クラブなどに就職し、装蹄師として活躍することになります。
調教師
調教師は、馬主から競走馬を預かり、レースで勝てるようにそれぞれの馬の適性に合わせたトレーニングや食事の管理などを行う人です。自ら厩舎を持ち、馬の世話全般を行う厩務員や騎手を雇って事業主として働きます。
調教師になるためには、日本中央競馬会(JRA)の競馬学校や、地方競馬教養センターで務員課程を修了した上で、調教師の免許試験に合格する必要があります。
厩務員
厩務員は、調教師の下で競走馬の体調管理やエサやり、ブラッシング、厩舎の管理などを行う人です。調教師がトレーニングを始める前に、馬に準備運動をさせる役割を担うこともあります。
日本中央競馬会(JRA)の場合、厩務員になるためには指定の競馬学校で「厩務員課程」を修了する必要があります。
地方競馬の場合は各調教師と雇用契約を結ぶことになるため、地方競馬全国協会(NRA)の厩務員募集ページから各厩舎の求人に応募することが可能です。
騎手
騎手は、馬とともに競馬レースに出場し、1着でゴールできるように戦略を考えながら競走馬をコントロールする人です。
騎手になるためには、日本中央競馬会(JRA)の競馬学校や、地方競馬全国協会(NRA)の地方競馬教養センターで実施されている騎手養成課程を修了し、騎手免許試験に合格する必要があります。
養成課程の期間は、JRAの競馬学校で3年間、地方競馬教養センターで2年間です。
資格なしでも働ける仕事
馬や畜産動物に関わる仕事で、資格がなくても挑戦できる職種は「酪農家」「畜産農家」の2つです。
酪農家
酪農家の仕事は、乳牛の世話をして繁殖した牛から搾乳し、乳製品メーカーに生乳を販売することです。また、子牛を販売したり、自社で生乳を乳製品に加工して販売したりする酪農家もいます。
酪農家になる上で必須の資格はなく、牧場に就職して働きながら知識や技術を身に付けることができます。また、農業系の学校に進学して、専門的なスキルを身に付けてから就職を目指すルートもあります。
畜産農家
畜産農家の仕事は、牛や豚、鶏などの家畜を繁殖させて飼育し、食肉として販売することです。肉用牛の場合は、子牛の繁殖を専門とする「繁殖農家」、繁殖農家から子牛を購入して育てる「肥育農家」など、職場によって事業内容が特化していることもあります。
畜産農家は、管理する頭数を増やして農場規模を大きくすればするほど収入が上がるため、飼育のコスト調整や機械化がうまくできれば、個人経営でも1,000万円近い収入を目指すことができます。
畜産農家になるために必要な資格はなく、畜産業を営む企業や団体に就職することで携わることができます。経験を積んでから事業主として開業する場合は、各都道府県に申請して「家畜商免許」を取得する必要があります。
動物に関わる仕事に向いている人の特徴
動物と関わる仕事に向いている人の特徴としては、以下の3つが挙げられます。
なぜこれらの特徴がある人が動物と関わる仕事に向いているのか、具体的な理由を説明します。
責任感がある
動物と関わる仕事には、命を預かることに対して責任感を持って取り組める人が向いています。動物は生き物であり、人間の都合で世話や管理を怠ることができないためです。
例えば、動物が怪我や病気で特別な看病が必要になったら、自分のプライベートの時間を犠牲にして働く必要があることも。
ときには自分の趣味や休みよりも動物を優先し、真剣に命に向き合う覚悟が求められます。
体力がある
1日中体を動かしても元気でいられる、暑さや寒さに強いなど、体力やスタミナがある人は動物に関わる仕事に向いています。
日々の業務は動物の生活時間に合わせて行うため、朝早く出勤したり、夜勤を任されたりすることもあるためです。
また、牛や馬など身体の大きな動物を世話する場合は、強い筋力も必要になります。
動物に対する愛情や興味が人一倍強い
動物に対する愛情や興味がとても強い人も、動物に関わる仕事に向いています。
動物の世話は責任重大で体力も必要であり、楽しいことばかりではありません。そのため、仕事の大変さを乗り越えるほどの愛情や興味が必要になります。
また、動物には言葉が話せないため、動物の何気ない変化から体調や気持ちを察する観察力も重要な素養です。こちらが想定していない動きをする動物に対しても、きちんと向き合い続けられる忍耐力も、動物に関わる仕事をする上では必要です。
動物に関わる仕事のメリット・デメリット
最後に、動物に関わる仕事に就くかどうか迷っている方向けに、動物に関わる仕事の主なメリット・デメリットを紹介します。
動物に関わる仕事のメリット
動物との交流で癒される
動物と関わる仕事のメリットのひとつは、食事や遊びなどを通して動物と交流することで心に癒やしをもたらしてくれること。
たとえ業務が忙しかったり、人間関係でストレスを感じたりしても、動物の純粋無垢な様子を見れば、疲れが飛んでいくことがあります。
社会的な意義を強く感じられる
動物に関わる仕事に就くと、病気だったペット動物が元気になったり、飼い主が喜んでくれたりする様子を間近で見る機会が多いため、業務に対して社会的な意義を強く感じることができます。
たとえば、野生動物調査員やレンジャー(自然保護官)であれば、野生動物の保護に関わる仕事なので「動物や地球の自然環境を守る」という強い使命感を持つこともできます。
職種が幅広くさまざまな関わり方がある
動物に関わる仕事は「治療を行う」「食事や散歩などの世話をする」「訓練をする」など、職種によって異なる関わり方ができる点もメリットの一つです。
たとえば、医療の観点から動物をサポートしたいなら獣医師や動物看護師、動物の生活全般に関わりたいならペットシッターやペットホテルスタッフというように、さまざまな職種の中から自分の価値観に合った仕事を選ぶことができます。
動物に関わる仕事のデメリット
怪我を負うリスクがある
動物に関わる仕事には、動物が怒ったり暴れたりした際に怪我を負うリスクがあります。
特に牛や馬など体格が大きい動物の場合、頭突きや足蹴りによって命に関わる重大事故につながることもあります。そのため、業務中は動物が感情的にならないように、注意して対応することが必要です。
責任が重い
動物に関わる職種の多くは命を預かる仕事であるため、動物の健康や安全を守らなければならないという責任を重く感じることがあります。
特に、獣医や動物看護師などの医療職は体調が優れない動物と接する機会が多く、動物の死と向き合わなければならないことがあります。
それ以外の仕事であっても、場合によっては動物の死に直面することがあり、動物が好きだからこそ自分の無力さに落ち込むこともあるでしょう。
生活リズムが崩れやすい
ペットホテルスタッフや動物病院で働く獣医師・動物看護師など、24時間近く受付・診察を行っている職場では夜勤が必要なので、生活リズムが不規則になりがちです。また、普段は夜勤がない仕事であっても、関わっている動物が体調不良になれば一晩中寝ずに看病しなければならないこともあります。
動物の生活サイクルに合わせて早朝出勤が必要になるなど、動物を中心とした生活になることを覚悟しておきましょう。
どんな仕事をしたいか悩んだら…
これからどんな仕事をしたいかがはっきり分からず悩んでいる人は、以下のような記事も参考として見てみましょう。
働き方について、具体的なイメージが膨らむかもしれません。
この記事の執筆者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。