調整は必要? 退職日と転職先の入社日が重なるのは問題?
Q. 退職日と入社日が重なってしまいました。この状態でも問題はないでしょうか? それとも、スケジュールを調整すべきでしょうか?
Q. 退職日と転職先の入社日が重なるのは問題?
A. 「二重就労」となり、トラブルの原因に
雇用契約上、退職日までは現職に籍を置いている状態であり、退職日と入社日が重なっていると現職と転職先で二重就労(副業)をしている状態になってしまいます。
現職または転職先の就業規則で二重就労が禁止されている場合、そもそも規則違反として懲戒処分等の対象になる可能性があるため、二重就労は原則NGです。
加えて、二重就労する場合は社会保険に関する届出等も新たに発生します。現職・転職先双方で手続きが発生するため、二重就労の状態は企業側からあまり歓迎されません。
トラブルを回避するという観点で、退職日と入社日が重ならないよう、必ず日程を調整しましょう。
副業OKの企業の場合は…
現職と転職先、両社の就業規則で二重就労(副業)がOKの場合は、退職日と入社日が重なっていても規則上は問題ありません。
ただし、無断で二重就労するのはNG。前述の通り、二重就労によって社会保険に関する届出等が必要になるため、必ず現職・転職先に相談し、手続きを行ってもらいましょう。
退職日と入社日が重なった場合の対処法
退職日と入社日が重なってしまった場合、退職日の翌日が入社日になるように調整します。
具体的な調整方法は、下記の2つです。
(1)退職日をずらす
退職日と入社日が重なってしまった場合、まずは退職日をずらすのが一般的です。
転職先の企業は業務計画に沿ってあなたを採用しており、入社日がずれることで損害が発生してしまう可能性があります。そのため、原則として入社日は順守するようにしてください。
▼退職日の調整方法
退職日を調整する際は、有給消化の日数を減らして退職日を早めるのが一般的です。現職の上長に「有給消化を短くすることで退職日を前倒しできないか」相談しましょう。
有給消化せず退職日まで出勤する予定なら、引き継ぎ期間を短くする等で退職日を前倒しできないかを相談してください。
(2)退職日をずらせなければ、転職先に相談する
どうしても退職日をずらせない場合、速やかに転職先へ連絡し、入社日を延期できないか相談する必要があります。
礼儀として連絡はメールで済まさず、電話で直接採用担当者に相談しましょう。
▼入社日の調整方法
相談の際は、必ず「謝罪の言葉」「延期したい日程」「延期をお願いする理由」の3点を伝えます。
なお、入社日の延期によって手続き等で迷惑をかけるので、丁寧な対応を心がけましょう。可能なら「これ以上の日程変更が起きることは無い」ことも約束して、転職先に安心感を与えられるとベターです。
▼転職先との調整例
お忙しいところ、失礼いたします。先日内定をいただいた【氏名】です。
大変恐縮ながら、入社日についてご相談させていただきたいことがあり、お電話させていただきました。
あなた
採用担当者
お世話になっております。
どのようなご用件でしょうか?
ご迷惑をお掛けすることになり大変心苦しいのですが、入社日を×月×日から×月〇日にご調整いただけないでしょうか?
後任者が急きょ別のプロジェクトに回されることになり、新たな後任者への引継ぎが必要になった結果、退職予定日が入社予定日と重なってしまう見込みです。
上司とも交渉したのですが、引継ぎに十分な時間が取れないため、退職日を延期してほしいとの要請がありました。
あなた
採用担当者
なるほど。こちらとしても調整が必要になりますので、少々お待ちください。対応が確定し次第、折り返させていただきます。
誠に勝手なお願いとなり、大変申し訳ございません。
今後、後任者は変わらないと上司に確約をもらえたため、×月〇日の日程については確実に厳守させていただきます。大変申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
あなた
【注意】退職日と入社日の間が空くと、社会保険等の手続き・支払いが発生する
現職や転職先とスケジュールを調整した結果、退職日と入社日の間に空白期間(離職期間)ができてしまうケースがあります。
1日でも空白期間がある場合は、本来企業側で行ってもらえる住民税や保険の手続きを自分で行う必要があるので注意してください。
加えて空白期間中は、これまで給与から天引きされていた社会保険料等を自分で支払うことになります。無収入の状態で出費が増えることになるため、注意が必要です。
どうしても空白期間ができてしまう場合は、下記の記事を参考にして退職後に手続きを進めましょう。
この記事の執筆者
ライター・編集者
久保田 敦大
株式会社クイック
転職Hacks編集部のライター・編集者。
大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。
転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。