転職を成功させる、入社日の決め方と交渉法
転職活動が順調に進めば、内定の前後に入社日を決める必要が出てきます。
働きながら転職活動をしている場合は、どうやって入社日を決めればよいのでしょうか?
入社日を確定させるまでの流れと、万が一退職が間に合わない場合に入社日を変更する方法についてご紹介します。
入社日取り決めのコツ
まずは、最終面接で「いつから働けますか?」と聞かれてから実際に入社日を取り決めるまでをスムーズに進めるコツを解説いたします。
面接で入社希望日を聞かれたら
転職の面接では「いつから働けますか」と入社日を質問されたら、大まかな日程を理由とともに伝えましょう。
■回答例
内定をいただいてから1ヶ月半ほどお時間をいただきたいです。
一日も早く御社に入社し、仕事を覚えて貢献したいと考えておりますが、現在関わっているプロジェクトの引継ぎや退職の手続きのため、お時間を頂戴します。
内定をいただき次第、上司と退職日程を交渉し、入社可能日をお伝えいたします。
意識すべきポイントは以下の3点です。
- 大まかでも入社可能日を応える
- 入社に対して前向きな姿勢を見せる
- しっかりと理由を伝える。
企業が入社日を尋ねることで確認したいのは、転職者が「いつから働けるか」と「自社への入社意思があるか」の2点です。
「◯月の初めごろ」など大まかでも良いので、入社できる日程を伝えましょう。その際、転職先に対する意欲と入社までに期間が必要な理由を添えることもお忘れなく。
入社意思が強いこと、前職での責任を果たすため入社までに期間が必要なことを伝えれば、採用担当者にやる気と仕事に対する真面目な姿勢を見せることができます。
理想のタイミングは2~3ヶ月後まで
面接で回答する入社日のタイミングは2~3ヶ月後までが理想です。
転職エージェント「WORKPORT」が2014年に行った調査によると、採用担当者の55%は内定から2~3ヶ月後までには中途採用者に入社してほしいと考えています。
その理由は、多くの企業は1年を3ヶ月ごとに区切って会社の採用計画や事業計画を考えているから。また、退職交渉や引継ぎ、有給消化にかかる期間はその程度が妥当だとされているようです。
なお、急募の求人の場合は数日~1ヶ月程度が限界の場合もあります。入社日が企業の希望にそぐわない場合は、日程調整の交渉が必要になります。
※参考:WORKPORT「内定から入社まで、最長でどのくらいの期間待てますか?│採用担当者のホンネ調査 ~採用の常識・非常識~」
離職中の場合は即日勤務可能だと伝えよう
離職中の転職者は、「明日からでも勤務可能です」と答えてやる気を見せましょう。
ほとんどの企業は、即戦力の転職者にはなるべく早く入社してほしいと考えています。実際には受け入れの準備などがあるため即日勤務を求める会社はそう多くありませんが、転職先の都合に柔軟に合わせるという姿勢を示すことが大切です。
入社可能日が確定したら電話もしくはメールで報告
現職の上司と話し合って退職日が確定したら、転職先の採用担当者に報告し、入社日の調整をしてください。一般的な連絡手段は電話もしくはメールです。
なるべく早く連絡が必要な場合は電話、忙しく電話になかなか出られない場合はメールと採用担当者の意向に合わせて連絡手段を使い分けましょう。
面接で伝えた時期よりも入社日が遅くなりそうな場合は、お詫びしたうえでその旨も合わせて伝えましょう。
■入社日報告の電話例
お忙しいところ、失礼いたします。
〇月〇日に採用面接を受けさせていただいた転職太郎です。この度は、内定のご連絡をいただき、まことにありがとうございます。
つきましては入社日の調整をさせていただきたく、ご連絡させていただきました。
<採用担当者>
ご連絡ありがとうございます。いつ頃ご入社いただけそうですか?
就業規則と引継ぎのため、退職日が×月〇日と決定いたしました。そのため、入社日は×月×日以降とさせていただけますと幸いです。
<採用担当者>
かしこまりました。
ありがとうございます。お忙しいところ大変お手数おかけしますが、ご調整のほどよろしくお願いいたします。
■入社日報告のメール例
株式会社○○ 人事総務部 □□様
お世話になっております。
〇月〇日に採用面接を受けさせていただいた転職太郎です。
この度は、内定のご連絡をいただき、まことにありがとうございます。
面接でご相談させていただいた入社初日の日程をご報告申し上げます。就業規則と現在のプロジェクトの引継ぎのため、退職日は×月〇日と決定いたしました。
そのため、入社日は×月×日以降とさせていただけますと幸いです。
貴社の一員となり、貢献できる日を心待ちにしております。
お忙しいところ大変お手数おかけいたしますが、入社日程の調整をよろしくお願い申し上げます。
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署名
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コラム:退職日スケジュールの考え方
スムーズに入社日を決めるためには、転職活動を始めた段階で退職スケジュールを考えておくことが肝要です。一般的な退職日までのスケジュールは以下の図の通り。
一般に最終面接から内定までと、内定から退職交渉が終わるまでに1週間ずつは必要になるといわれています。退職が決まってから1~1.5ヶ月を引継ぎや有休消化に当てると、退職日は最終面接の約2ヶ月後になるでしょう。
ちなみに民法上退職届を出してから退職までに必要な期間は2週間ですが、多くの企業は就業規則で1ヶ月など退職までの期間を独自に定めています。退職スケジュールを組む際には、就業規則の確認も忘れずに行ってください。
※有利な退職時期についてはこちら→「実は1月末退職が狙い目? 退職時期の損得を左右する3つの要因」
※退職時の手続きについてはこちら→「【完全版】退職時・退職後の手続きガイド」
入社日の変更をお願いするには?
引継ぎが上手くいかないなどの理由で、内定後に伝えた入社日に退職が間に合わない場合はどうすれば良いのでしょうか。
予定通りの入社が難しい場合にどう対処すべきかを紹介します。
基本的には強い意思で退職日を守るべき
基本的には入社までの日程は厳守するべきです。企業はすでにデスクの準備など受け入れ態勢の整備を始めていたり、あなたをプロジェクトチームに組み込んだりしているかもしれません。
入社日が変わるとそれらの予定が台無しになるため、大きな迷惑をかけることになります。採用条件として入社日が明記されている場合は、内定取り消しや損害賠償に発展してしまうケースも。強い意思で退職日は守りましょう。
退職の引き止めへの対処方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 会社の規模やライフスタイルの変化など「引き止められにくい理由」を伝える
- さらに上の上司や人事部にかけ合う
- 「退職願」でなく「退職届」を提出する
- 強い意思を持って退職の意思を揺るがさない
※退職引き止めについて、詳しくはこちら→「退職を引き止められたとき、穏便にすませるための上手な対処方法」
どうしても間に合わないときの伝え方
どうしても退職が入社日に間に合わない場合は、なるべく速やかに転職先に報告しましょう。直接やりとりができ、誠意を見せられる電話で伝えるのがベターです。
採用担当者から指定されている場合や電話がつながらず余計に時間がかかってしまいそうな場合のみ、メールを用いてください。直接訪問は避けた方が無難です。
必ず謝罪と延期理由を伝える
入社日の延期を交渉する際にはかならず「謝罪」と「延期理由」を伝えましょう。謝罪はもちろん、延期理由を具体的に伝えることで、採用担当者に誠意を伝え、納得感を与えることができます。
その際、延期は一度きりであることを保証することも大切です。「入社日を守れなかったことで失った信用を取り戻す」という意識で交渉に臨んでください。
延期の経緯や2度目はない理由を論理立てて説明できるよう、電話をかける前には言いたいことをメモしておくことをおすすめします。
■入社日延期を依頼する際の電話例
お忙しいところ、失礼いたします。
先日内定の通知を頂戴いたしました転職太郎です。大変恐縮ながら、入社日についてご相談させていただきたいことがあり、この度お電話させていただきました。
<採用担当者>
お世話になっております。どのようなご用件でしょうか?
御社にご迷惑をおかけすることになり大変心苦しいのですが、入社の日程を以前お伝えした×月×日から△月〇日以降にご調整いただけないでしょうか。
私の統括していたプロジェクトの後任者が急きょ別のプロジェクトに回されることになり、別の者への引継ぎのため予定よりも1週間ほど期間が必要になる見込みです。上司とも交渉したのですが、引継ぎに十分な時間が取れないため、退職日を少しずらしてほしいとの要請がありました。
<採用担当者>
なるほど。こちらとしても調整が必要になりますので、少々お待ちください。また対応が確定次第、折り返させていただきます。
誠に勝手なお願いとなり、大変申し訳ございません。今後後任者が変わることはないと上司に確約をもらえたため、△月〇日の日程については確実に厳守させていただきます。大変申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
***折り返し***
<採用担当者>
お世話になっております。先日相談いただいた入社日程の件ですが、△月〇日に入社いただく形で対応可能です。
お世話になっております。ありがとうございます。こちらの都合でお手数をおかけすることになり、大変申し訳ありません。△月〇日の日程は厳守させていただきますので、何卒よろしくお願いいたします。
まとめ
転職における入社日の伝え方や日程変更の交渉方法は理解できたでしょうか。入社日の伝え方1つで、転職先への印象が変わります。
内定が決まったあとも気を抜かず、入社の日に向けて万全の準備を整えてください。
