育休中や体調不良の伝え方は? 退職を電話で伝えてもいい?【例文つき】
体調不良が続いていたり、パワハラなどで精神的にダメージを受けていたりした場合、「出社せずに電話して退職を伝えたいけど、どうすればいいのだろう……」と思うこともあるかもしれません。
今回は、電話をして退職を伝える際の流れや注意点について紹介します。
退職は電話連絡だけでできる?
まずは電話連絡のみで退職することは可能なのか解説していきます。
体調不良など出社が難しい場合は可能
電話連絡だけでの退職は基本的にはNGです。
ただし、体調不良などやむを得ず出社できない理由がある場合は、電話での連絡だけで退職することも可能です。
病気で入院している、家族の介護をしている、上司にパワハラを受けている、肉体的・精神的に弱っていて出社が難しいなどの場合は電話だけで退職を受け入れてもらえる可能性が高いでしょう。
ただし、退職の意思は基本的に対面で伝えるのが社会人としてのマナーです。もし出社できるようであれば、電話ではなく上司に直接退職を申し出るようにしましょう。
また、即日退職も基本的にはできないことが多いので、できる限り前もって退職したい旨を伝えるようにしましょう。
※退職の切り出し方について詳しくは→円満退職を実現するには?退職理由と切り出し方
退職を電話で伝える3つのステップ
退職を電話で伝える際の基本的な流れは以下の通りです。
(1)トラブル防止のために電話を録音した状態でかける
退職を電話で伝える際には、トラブル防止のためにスマートフォン用の通話録音アプリなどを用意し、電話の内容を録音できるようにしておきましょう。
電話は口頭のみのやり取りなので、後々上司と「こう言っていたはず」「いや、言っていない」と揉める可能性もあります。トラブルが起こった場合に対処できるよう、録音しておくのが良いでしょう。
また、電話を受けてもらえない、「とりあえず会社に来てほしい」などと言われるばかりで上司に取り合ってもらえない場合は、人事担当者や上司のさらに上の上司に直接電話するという方法もあります。
※どうしても会社に取り合ってもらえない場合はこちら→会社が辞めさせてくれない!辞める方法は?状況別の対処法
(2)退職の意思をはっきりと伝える
電話では上司に退職の意思をはっきりと伝えましょう。
例えば、「体調不良で仕事を続けるのが難しいため、退職させてください」「一身上の都合により、今月付けで退職したいと考えております」などが無難です。
その際には「本来であれば、直接お話しなければならないことであるにもかかわらず、電話という形になってしまい申し訳ございません」と電話で退職の話をすることについてのお詫びも忘れずに。
また、電話をする際には、上司がなるべく忙しくないと思われる時間帯を選びましょう。
※電話で退職を伝える際の例文→【状況別・例文】退職を電話で伝えるときの言い方は?
(3)勤務先への返却物や受け取る書類について確認する
上司に退職を承諾してもらえたら、勤務先への返却物や受け取る書類について確認します。
退職時には基本的に退職届を出して、名刺や制服、健康保険証、IDカード、その他の会社の備品などを返却します。
会社から受け取る書類は一般的に以下の6つです。転職先で必要になったり、失業保険の手続きで使用したりする書類もあるため、しっかりと確認しましょう。
▼退職時に会社から受け取る書類一覧
- 健康保険被保険者資格喪失証明書(勤務先の健康保険から脱退済であるという証明書。国民保健に加入する際に必要)
- 厚生年金基金加入証明書(会社が厚生年金基金に加入していた場合)
- 源泉徴収票(転職先での給与計算や確定申告の手続きで使用)
- 退職証明書(退職後に家族の健康保険上の扶養者になる場合)
- 年金手帳(会社に預けていた場合)
- 離職票(雇用保険の失業手当の手続きの際に必要。退職後10日前後に郵送されることが多い)
また、返却物などの受け渡しのために出社すべきか、郵送でも良いのかを確認しましょう。
出社してほしいと言われた場合は出社の日時を、郵送で良いと言われた場合はいつまでに送ればいいのかを上司と相談してください。
※退職を電話で伝えた後の流れ→退職を電話で伝えた後の流れは?
【状況別・例文】退職を電話で伝えるときの言い方は?
退職を電話で伝える際、具体的にどんな言い方をすればいいのでしょうか?
基本の例文から、育児休暇中や試用期間中など状況に合わせた例文まで紹介します。
【基本】退職を電話で伝える際の例文
お忙しいところ恐縮ですが、この度お伝えしたいことがあり、お電話させていただきました。
実は一身上の都合で退職させていただきたいと考えております。急なご連絡となり申し訳ございません。
また、本来であれば出社してお伝えすべきところを、お電話という形になってしまい、大変申し訳ございません。
退職を電話で伝える際の例文は、基本的に正社員でもパートでも変わりません。
また、退職理由が「体調不良」「入院中」「家族の介護」などの場合はその旨を伝えても構いませんが、「上司にパワハラを受けている」「社内の人間関係で悩んでおり、出社が難しい」などの場合は、そのまま伝えてしまうと新たなトラブルに発展する可能性もあるため、「一身上の都合」にするのが無難でしょう。
【状況別】退職を電話で伝えるときの例文
育児休暇中、体調不良、試用期間中、入社一日目の場合に電話で退職を伝える際の例文は以下の通りです。
育休中
お忙しいところ申し訳ございません。今後の勤務について相談したく、お電話させていただきました。
来年の仕事復帰を予定しておりましたが、育児に専念するため、退職したいと考えております。本来であれば直接お話しなければならないことですが、子どもの預け先がなく、電話でのご連絡となってしまい恐縮です。
産休育休前後にはさまざまなご配慮やご厚意をいただいたにもかかわらず、このような形になってしまい大変申し訳ございませんが、退職させていただければと思っております。
育休中に電話で退職を伝える場合は、育休後の職場復帰ができなくなったことについてのお詫びを忘れないようにしましょう。
また、妊娠中の遅刻や早退、欠勤などについて職場から配慮してもらっていたという場合は感謝の気持ちも忘れずに伝えると良いでしょう。
体調不良
お忙しいところ恐縮ですが、今後の勤務について相談したく、お電話させていただきました。
このところ体調不良が続いており、病院で検査をした結果、長期的な治療が必要で早期回復は難しいといわれたため、退職したいと考えております。
本来であれば直接お話しなければならないことですが、体調が悪くどうしても出社が難しいため、お電話という形になってしまいました。欠勤が続いていた上、このような結果になってしまったことを本当に申し訳なく思っております。
体調不良を理由に電話連絡で退職する場合は、病院での受診結果などを説明しつつ、出社できないことをお詫びします。また、欠勤が続いていた場合はそちらも併せてお詫びするようにしましょう。
試用期間中
お忙しいところ恐れ入りますが、実はお伝えしたいことがあり、電話させていただきました。
現在、試用期間中ではありますが、一身上の都合で退職させていただきたいと考えております。研修では大変お世話になったにもかかわらず、このような形になってしまい、大変申し訳ございません。
また、本来であれば出社してお伝えすべきところですが、お電話という形になってしまい、大変申し訳なく思っております。
試用期間中に電話での連絡で退職する場合は、短期間で退職することをお詫びしましょう。研修などで上司にお世話になっていた場合はそれに対する感謝も伝えましょう。
もし退職理由を聞かれたら「一身上の都合です」と答えて構いませんが、詳しい理由を教えてほしいと言われた場合は、正直に答えても問題ありません。
入社一日目
お忙しいところ申し訳ございません。実はこの度、相談させていただきたいことがあり、お電話いたしました。
入社したばかりで大変恐縮ですが、実は一身上の都合で退職させていただきたいと考えております。本来出社してお伝えすべきところをお電話という形になってしまい、本当に申し訳ございません。
入社一日目に電話連絡で退職する場合も、試用期間中に退職するケースと同様に、短期間で退職することについてお詫びし、会社に不満があってもそれを退職理由として打ち明けるのは控えましょう。
新入社員で面接や内定式などで入社前から上司にお世話になっていた場合は、それについての感謝も伝えると良いでしょう。
※できるだけ早く退職したい場合は→申告から2週間で退職可能って本当?退職にまつわる基礎知識を解説
退職を電話で伝えた後の流れは?
退職を電話で伝え、上司に承諾してもらった後は、退職届や返却物をどうするかなど、今後の流れについて相談しましょう。
退職届や返却物を持参の上、出社してほしいと言われた場合
上司に退職届や会社への返却物を持参の上、出社してほしいと言われた場合は、出社の日程を相談します。
上司が出社することを求めるのは、退職にまつわるヒアリングをしっかり行ったり、必要な手続きをスムーズに行ったりする目的であることがほとんどなので、できる限り対応しましょう。
ただし、体調不良などでどうしても出社できない場合は、上司や人事担当者に退職届などを郵送でやりとりできないか相談してみましょう。
もし体調不良で出社が難しかったり、パワハラを受けていたりしたにもかかわらず出社を強要された場合は、出社して話し合いの場を設けることで引き止めようとしている可能性もあるため、労働局の労働相談コーナーや労働問題に強い弁護士に相談してみましょう。
出社の必要はなく、退職届などを郵送してほしいと言われた場合
出社の必要はなく退職届けなどを郵送してほしいと言われた場合は、2章で解説した会社への返却物や受け取る書類を上司に確認し、すみやかに郵送しましょう。
保険証や社員証など身分証明書になるような重要な書類は、会社に確実に届いたかどうかがわかる簡易書留で送るのが良いでしょう。
※退職時の手続きについて詳しくは→退職時・退職後の手続きガイド【完全版】もう迷わない!
退職を電話で伝える際によくある疑問
最後に、退職を電話で伝える際によくある疑問について解説します。
退職したいことを電話で伝えたら即日で辞められる?
電話に限らず、口頭やメールなど、どんな伝え方でも即日では退職できないケースがほとんどです。これは試用期間であっても、正社員で社歴が長くても同様です。
法律上は退職を申し出てから最短2週間で辞められますが、実際には引き継ぎ期間が発生したり、さまざまな手続きが必要となったりすることもあるため、2週間以上かかると考えておいた方がいいでしょう。
ただし、体調不良など何か事情がある場合や会社との相談次第では、即日退職が可能となる場合もあるので、まずは上司に相談することが必要です。
退職したいことを伝えづらい場合は退職代行サービスもアリ?
セクハラやパワハラなどを受けていて、上司と電話することさえ難しい場合は退職代行サービスを使う方法もあります。
退職代行サービスとは、パワハラなど何らかの理由で退職を申し出ることができない人に代わって、退職の連絡や手続きを有料で代行してくれるサービスです。
料金や利用方法は退職代行サービスを提供している会社によって異なるため、いくつかの会社を比較検討するのも良いでしょう。
コラム:退職した会社から電話がきたら拒否してもいい?
退職した会社から電話がきた場合、いきなり拒否せずにまずはどんな内容なのか確認することが大切です。
保険関係などの連絡は、転職先での手続きや保険加入の際に必要となる場合もあるので、しっかり対応しましょう。
引き継ぎに関する連絡であった場合は、自分が負担に感じない範囲で対応し、難しい場合はその旨を伝えましょう。
また、退職前の有給休暇消化中に会社から電話があった場合も同じく、拒否せずにまずは内容を確認し、業務に関する内容の場合は負担に感じない程度に対応するのが良いでしょう。
まとめ
電話での連絡のみで退職することは、基本的にはNGです。本来であれば対面して退職したいことを伝えるのがマナーなので、出社できる場合はできる限り上司に直接退職について相談しましょう。
ただし、体調不良やパワハラを受けているなどの理由で出社が難しい場合であれば可能です。退職時の手続きなどをしっかり確認し、すみやかに対応しましょう。