未経験者の書き方も紹介 【例文付き】事業企画の志望動機の書き方
志望動機の内容によって、採用担当者からの印象は大きく変わります。採用担当者に「入社後の活躍イメージ」を持ってもらい、選考を通過するには、どんなことを伝えればいいのでしょうか?
この記事では、事業企画に転職する際の志望動機の書き方と、未経験者・経験者それぞれの例文を紹介します。事業企画の志望動機で必ず押さえておきたい内容も紹介するので、参考にしてください。
【作成前に確認】事業企画の仕事内容は?
事業企画は、経営戦略の実現に向けて、新規事業の創出や既存事業の強化といった施策の立案、それらを実行するために必要な事柄をまとめた事業計画の作成などを行う職種です。
経営企画が企業全体の経営戦略や方針を策定するのに対して、事業企画は特定の事業における具体的な数値目標や事業課題の設定を行い、実行に向けたプランニングまで手掛けます。
また、事業計画を策定するだけでなく、事業の推進にあたってプロジェクトマネジメントも手掛ける点が特徴です。関係各所と連携し、プロジェクトチームの組成や業務調整、進捗状況の把握なども行います。
〈事業企画の主な仕事内容〉
- 市場のリサーチ・分析
- 事業の方向性・コンセプトの明確化
- 具体的な施策の立案
- 目標や予算の設定
- アクションプランの策定
- 進捗管理 …など
コラム:事業企画の転職は難しい?
事業企画は、事業の成否を左右する重要なポジションです。自社の事業に関する深い理解が必要なことから、社内で人材を育成することが多く、中途採用の求人は決して多くありません。
また、求人の多くは「事業の立ち上げ経験がある人」を求める経験者募集であり、応募先と同業界の経験者が即戦力として評価される傾向があります。
一方で、数は少ないものの、ベンチャー企業を中心に未経験募集の求人も出ています。
未経験募集の場合、経営企画・営業企画・販促企画・サービス企画といった企画業務の経験者や、マーケターやコンサルタントなど市場分析や改善提案の経験がある人が評価される傾向があるようです。これらの経験がある人は、職務経歴書などで経歴をアピールするといいでしょう。
なお、未経験から事業企画に直接転職するのではなく、「別職種で入社して、事業企画へのキャリアアップを狙う」手もあります。営業やマーケティング職は比較的異動のチャンスがあるので、検討してみてください。
事業企画の志望動機で伝えるべき内容は?
事業企画の志望動機では、「応募先を選んだ理由」と「転職後に活かせるスキル・経験」の2点を伝えることが重要です。
事業企画は、企業が利益を出すうえで重要な決定を行うポジションです。その責任の重さに見合った熱意・意欲があるか判断するために「その企業を選んだ理由が明確かどうか」が確認されます。
理由が不明瞭であったり、どの企業にも共通して言える内容であったりすると、企業分析が甘いと捉えられ、スキル不足と判断されるリスクもあるため注意が必要です。企業・商材の特徴や強みを分析したうえで「その企業の、どのような部分に魅力を感じたのか」「その企業で実現したいことは何か」を伝えるようにしてください。
また、選考を通過するには「転職後に活躍できるイメージを持ってもらう」ことも重要です。そのため、応募先を選んだ理由だけでなく「活躍できるだけの経験・スキルがある」ことも、志望動機内でアピールしておきましょう。
具体的にどのような内容を伝えればいいか、下記でくわしく紹介します。
応募先を選んだ理由
経営戦略に沿って事業計画を具体化する役割を担う事業企画には、その企業のビジネスや商材などへの深い理解が求められます。
そのため、応募先の特徴や競合との違い、マーケットにおけるポジションなどを入念にリサーチ・分析したうえで「その企業のどのような部分に、なぜ魅力を感じたのか」を伝えるようにしてください。具体的に伝えることで、業務に必要な分析力などのスキルが身についていることのアピールにも繋がります。
加えて、「応募先なら自分のやりたいことができると考え、応募した」といった形で自分がやりたいことと企業の特徴がマッチしていると伝えられると、志望動機の説得力が強まります。あわせて伝えるようにしましょう。
〈応募先を選んだ理由の例〉
- 積極的に新規事業を展開し、他業界にも進出している貴社の経営戦略に魅力を感じた
- 大手の資本力とベンチャーのスピード感を併せ持つ貴社の事業環境に魅力を感じた …など
転職後に活かせるスキル・経験がある
転職後に活躍できるイメージを持ってもらうには、事業企画に必要なスキル・経験があることを裏付ける業務経験を伝えることが重要です。
事業企画の場合、「マーケティング能力」「コミュニケーション能力」「マネジメント能力」「財務管理能力」の4つが求められる傾向があります。それぞれ具体的にどのような内容を伝えればいいか、確認しましょう。
〈マーケティング能力〉
事業を成功に導くため、事業企画は競合・市場の動向やターゲットニーズを把握し、販売戦略の立案やブランディング、適正価格の設定などを行います。そのためには、高い精度で情報を収集・分析する「マーケティング能力」が必要不可欠です。
マーケティングの経験があれば「具体的にどのような調査・分析を行ってきたか」「得意としている業界・市場」などを、実例を交えて具体的に伝えましょう。
マーケティング能力をアピールできる経験の例
- 〇〇領域のマーケティングを担当し、最新のITを用いた事業を立案してきた
- 各種フレームワークを用いた市場分析や、ユーザーの具体化、ニーズの把握などを行い、製品やサービスの企画に繋げてきた …など
〈コミュニケーション能力〉
事業企画の業務は、部署の垣根を越えて多くの人と関わる場面が多々あります。経営陣への交渉や、関連部署への説明・調整、ときには他社との資本・業務提携も発生するなど、人と接する機会が多いため、コミュニケーション能力は必要不可欠です。
具体的には、関係者から協力を得るための「プレゼン力・説明力」や、関係を良好に保つ「調整力」、問題が発生した際に事態を収拾する「交渉力」などが求められます。
プレゼンテーションなどを通じて合意形成を行ってきた経験や、多くの人と連携してプロジェクトを推進してきた経験などがあれば、積極的にアピールしましょう。
コミュニケーション能力をアピールできる経験の例
- プロジェクトリーダーとして、関係者への説明や業務調整、進捗管理などを担当していた
- 前職でも経営層への事業のプレゼンテーションを担当しており、調整力を発揮して承認へ繋げてきた …など
〈マネジメント能力〉
事業企画は、事業の進捗管理をはじめとした「プロジェクトマネジメント」も手掛ける職種です。人員や予算といったリソースを管理し、柔軟に計画変更を行うことでプロジェクトをゴールへと導くマネジメント能力が高いレベルで求められます。
こうした管理能力は、一朝一夕では身につきません。プロジェクトリーダーとしてプロジェクトを推進してきた経験があればマネジメント能力が身についているという評価に繋がるので、アピールしておきましょう。
マネジメント能力をアピールできる経験の例
- 〇〇名規模のプロジェクトリーダーとして、関係者への説明や業務調整、進捗管理などを担当していた
- 〇〇億円規模のプロジェクトを任されており、サービスのローンチまでの管理を行ってきた …など
〈財務管理能力〉
収益目標の達成というミッションを預かり、事業を運営する事業企画には、予算と収益を正確に管理する「財務管理能力」が必要不可欠です。
事業を推進・成長させるためには、予算管理や資金調達、投資判断など、財務に関するスキルや専門知識が高い水準で求められています。財務・会計の経験や、予算を預かって事業を推進した経験などがあれば、業務範囲や予算規模を具体的に伝えると効果的です。
財務管理能力をアピールできる経験の例
- 現職でも事業企画職に就いており、予算管理や資金調達を行ってきた
- 競合企業の経営状況の把握・分析や、競合サービスの収益性に関する分析を行っていた …など
志望動機の書き方・構成
履歴書の志望動機は、「1.応募した理由(結論)」→「2.転職を考えた背景・エピソード」→「3.応募先を選んだ理由」→「4.採用後の意気込み」の4段構成でまとめるのがセオリーです。
「転職を考えた背景」と「応募先を選んだ理由」を順を追って伝えることで、応募した背景が伝わりやすくなり、志望動機の説得力が高まります。
この構成にそってまとめた例文を見ながら、志望動機の書き方を確認しましょう。
〈例文(未経験者の例)〉
(1)
マーケティングの経験を活かして事業を企画するポジションに挑戦したいと考え、転職を希望しております。
(2)
現職の食品メーカーではマーケターを5年間担当し、マーケットシェアや競合調査、ユーザーニーズの分析、既存製品の課題抽出などを手掛けてまいりました。国内市場の情報収集がメインですが、海外事業の拡大に向けた国外市場の調査も行っております。事業拡大に向けた調査を行うなかで、自身も事業企画に携わりたいと考えるようになったのですが、社内では転属が難しかったことから転職を決意いたしました。
(3)
転職活動を進めるなかで、貴社が事業拡大に向けて新たな事業企画メンバーを募集していることを知りました。海外事業も積極的に展開している貴社であれば、これまでに培った海外市場の知見を活かして貢献できると考え、応募いたしました。
(4)
事業企画は未経験ではありますが、食品業界に特化した市場調査やニーズ分析の知見を活かし、貴社の事業拡大に貢献したいと考えております。
(413文字)
1.応募した理由(結論)
志望動機の冒頭では、まず「応募した理由(結論)」を伝えます。
「海外事業に関わりたい」「コンサルティング経験をもとに事業企画に挑戦したい」といった形で、応募の決め手になった想いを簡潔にまとめましょう。
2.その背景やエピソード
応募した理由(結論)の説得力を高めるために、転職を考えた背景・エピソードを説明します。
ここでは「これまで経験した業界・業務内容(業務範囲)」+「どんなきっかけがあり、転職を考えたのか」+「転職によって何を実現したいか」の3点を具体的に伝えるのがポイントです。
未経験者の場合は、上記の3点に加えて「なぜほかの職種ではなく、事業企画を目指したのか」も明記しましょう。企業にとって重要なポジションであり求人数が少ない事業企画は、競争率が高い職種です。明確な理由が無い「憧れ応募」に見える志望動機では、書類選考で不合格になる可能性が高いため、注意してください。
3.応募先を選んだ理由
転職を考えた背景・エピソードに続いて、応募先を選んだ理由を具体的に伝えましょう。
その際に意識したいのが「この会社を選んだことに必然性を持たせる」こと。
応募先の特徴やマーケットの状況をリサーチ・分析したうえで、「貴社の事業展開の〇〇な部分に魅力を感じた」「貴社の経営方針であれば、自分が目指すことも実現できると考えた」など、応募先ならではの理由を伝えてください。自身の経験を踏まえて「なぜ」そこに魅力を感じたのかを伝えられると、説得力が高まります。
4.入社後の意気込み
最後に、志望動機の締めとして「入社後の意気込み」を伝えます。
未経験者の場合は、これまでのスキル・経験をベースに「事業企画の業務を習得し、貢献したい」という成長意欲を見せましょう。
経験者の場合は、あらためて自分が有しているスキル・経験を伝えたうえで「経験を活かして貢献したい」と前向きな姿勢を伝えるのが効果的です。
【例文】事業企画の志望動機
ここでは、あらためて事業企画の志望動機の例文と、押さえておくべきポイントを紹介します。
「未経験者」「経験者」向けにそれぞれ紹介するので、自分の志望動機づくりの参考にしてください。
未経験者の場合
〈例文〉
(1)
コンサルティングの知見を活かし、新規事業の企画を行いたいと考え、貴社を志望いたしました。
(2)
現在コンサルティングファームに所属しており、顧客企業の新規事業の企画サポートや、企画に向けたマーケティングなどを手掛けております。なかでもIT系の案件に携わることが多く、ビッグデータやAIを活用した新規事業・戦略の提案などを行ってまいりました。さまざまな顧客の事業拡大に貢献するなかで、事業の立案からローンチまでを一貫して手掛けたいと考えるようになり、事業企画への転職を決意いたしました。
(3)
転職活動のなかで貴社を知り、最新技術を積極的に取り込み、新規事業を積極的に展開している事業方針に共感し、応募いたしました。また、強みとする〇〇業界の技術を軸に、幅広い業界で事業を展開している貴社なら、さまざまな企画の経験が積めるという点にも魅力を感じております。
(4)
これまでに培ったIT系の専門知識や、市場分析に基づく課題の発見、提案の経験を活かし、貴社の事業拡大に貢献したいと考えております。何卒よろしくお願いいたします。
(448文字)
〈押さえておくべきポイント〉
- 未経験者から事業企画を目指す場合、ポテンシャルがあるかどうかが注視される。マーケティングや営業における顧客・市場の分析経験、プロジェクトリーダーとしてマネジメントを行った経験はアピールに繋がるので、明記すること。
- 応募先と親和性があることを伝えるため、前職の業界や事業の共通点、専門知識があればアピールする。
経験者の場合
〈例文〉
(1)
事業企画職として、積極的に事業拡大を図っている企業で活躍したいと考え、貴社を志望いたしました。
(2)
現職では産業機器メーカーで事業企画を担当しており、新規事業の提案ならびに、既存事業の強化施策の提案を手掛け、事業拡大を推進してまいりました。スピード感のある事業環境で、市場の状況や顧客のニーズの変化に臨機応変に対応する経験を積んでおります。一方で、事業拡大が落ち着き、新規事業のペースも穏やかになったことを受けて、以前のようなスピード感のある環境で事業拡大に貢献したいと考え、転職を決意いたしました。
(3)
業界でも歴史が長いメーカーでありながら、マーケットの変化に対応するため「ベンチャー企業のスピード感を持って事業展開する」という方針を掲げる貴社ならば、積極的に新規事業を企画できると考え応募いたしました。
(4)
現職で培ったマーケットの変化に臨機応変に対応する能力を発揮し、貴社のさらなる事業拡大に貢献したいと考えております。
(405文字)
〈押さえておくべきポイント〉
- 同じ事業企画でも、事業のスピード感や新規事業・既存事業の割合は企業の方針によって変わるため、前提情報として所属企業の事業の状況を説明しておく。
- そのうえで、自分が担当した業務をできるだけ具体的に伝え、「何ができるか」を明確にするのがポイント。
- マーケットの変化が激しい昨今は、大企業でもベンチャーのようなスピード感が求められることが増えている。こうした企業に応募する場合は、ベンチャー企業でどのような経験・学びを得たかアピールすると効果的。
提出前に、時間を置いて見直しを
志望動機は、応募先への熱意の高さや想いを伝える重要な項目ですが、内容によっては意図が正しく伝わらない可能性があります。そのため、客観的に内容を見直すために、提出前に一度時間を置いてから確認するといいでしょう。
確認の際には、下記の記事で解説している「志望動機を書くうえでのポイント」や「効果的な表現」なども参考にしてください。
gd2md-html: xyzzy Wed Jul 24 2024
この記事の執筆者
ライター・編集者
久保田 敦大
株式会社クイック
転職Hacks編集部のライター・編集者。
大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。
転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。