未経験でも転職できる? 【例文付き】経営企画の志望動機の書き方

志望動機は、採用担当者からの印象を大きく左右する項目です。採用担当者に「入社後の活躍イメージ」を持ってもらい、選考を通過するには、何を伝えればいいのでしょうか。

この記事では、経営企画に転職する際の志望動機の書き方と、未経験者・経験者それぞれの例文を紹介します。経営企画ならではの押さえておくべきポイントも紹介するので、参考にしてください。

【応募前に再確認】経営企画の仕事内容

経営企画は、経営陣が立てた方針やビジョンを実現するための中長期の経営戦略を立案する職種です。市場や競合の動向をリサーチ・分析した結果をもとに、新規事業の立ち上げや赤字事業からの撤退、追加投資といった事業ポートフォリオの最適化を含め、企業が成長するための道筋や方策を考えていきます。

また、戦略をもとに具体的な予算や目標数値、実現方法、マイルストーンなどを設定し、担当部署に実行させる役割を担うこともあります。

〈経営企画の主な仕事内容〉

▼経営戦略の立案

  • 市場の動向や、競合他社に関する情報収集
  • データをもとにした、中長期の経営戦略の立案
  • 事業ポートフォリオの最適化
  • 経営リスクの把握・対策
  • 経営会議の運営 …など

▼経営戦略を実行するための、行動計画の策定

  • 経営戦略をもとにした、具体的な予算・目標値の設定
  • 実現方法・プロセス、マイルストーンの設定
  • 実施部門の関係者との調整(業務調整、リソース配分など)
  • 進捗状況の把握、施策の軌道修正 …など

※社内に「事業企画」職がいる場合、行動計画の策定はそちらで担当します。

コラム:経営企画への転職は狭き門?

経営企画は企業の経営を左右する重要なポジションであり、社内で時間をかけて育成する傾向がある職種です。欠員などでポジションが空くこと自体も少ないため、中途採用の募集自体が少なく、競争率が高い職種となっています。

また、即戦力を求める「経験者募集」が主流であり、経営企画の業務全般の経験がある人が数多く応募します。そのため、選考を有利に進めるには、応募先の企業・業界に関する専門知識を有していることなど、応募先との親和性の高さをアピールすることが必要不可欠です。

一方で、少ないながらも未経験者歓迎の求人はあるため、未経験から経営企画を目指すこと自体は可能です。

マーケティング経験経理・財務の経験コンサルティングファームでのコンサルタント経験プロジェクトマネジメントの経験があると経営企画との親和性が高いと評価されやすいので、応募の際には強みとしてアピールしていきましょう。もしこれらの経験が無い場合は、転職に向けて計画的に経験を積み、スキルを高めることも検討してください。

経営企画の志望動機で伝えるべきこと

経営企画の志望動機で伝えるべきことは、大きく「応募先を選んだ理由」と「転職後に活かせるスキル・経験」の2つです。

経営企画は、ブレーンとして企業の将来を左右する重要なポジションです。重要な業務を任せるからこそ、「この企業のために熱意を持って働いてくれそうか」「理念やビジョンに共感しているか」といった部分が注視されます。

そのため、選考を通過するには応募先を選んだ理由を明確に伝え、「この企業で働きたい」という熱意を強くアピールする必要があります。「その企業の、どのような部分に魅力を感じたのか」「その企業で実現したいことは何か」を具体的に伝えることを心がけましょう。

また、転職後の活躍イメージを持ってもらうことも重要です。そのためには、「経営企画として活躍したい」という意欲だけでなく、「実現できるだけの経験・スキルがある」と示すことが必要です。

それぞれどのように伝えればいいか、見ていきましょう。

「応募先を選んだ理由」の伝え方

経営陣の意思決定を支える立場である経営企画には、その企業への深い理解が求められます。そのため、応募にあたっても、経営戦略や理念、企業や商材の特徴などを事前にリサーチ・分析し、「その企業のどのような部分に、なぜ魅力を感じたのか」を具体的に伝えるようにしてください。特に、その企業の経営戦略のどこに魅力を感じたのかを伝えられると、企業分析の視点を持てていることが伝わるため効果的です。

また、応募先の業界や商材に関する知識や経験がある場合は、「これまでに培った経験・知識を活かして、貢献できると考えた」という理由もアピール要素になるため、「どのような部分に魅力を感じたのか」とあわせて伝えるのがおすすめです。

〈応募先を選んだ理由の例〉

▼「理念やビジョン、経営戦略に共感した」+「前職で得た業界知識などを活かして貢献できると考えた」

  • 「不動産事業の安定性を強みに、積極的に新規事業を展開して他業界にも進出している貴社の経営戦略に魅力を感じた」+「〇〇業界でのマーケティング経験や業界知識が活かせると考えた」

「転職後に活かせるスキル・経験」の伝え方

経営企画の場合、「論理的思考力」「コミュニケーション能力」「財務会計・管理会計の知識」の3つが求められる傾向があります。入社後の活躍イメージを持ってもらうために、これらの知識・スキルの裏付けとなる業務経験を伝えましょう。

〈論理的思考力〉

経営企画の業務は、データ収集方法の策定から課題の分析、経営戦略の策定に至るまで、随所で論理的思考力が求められます。

論理的思考力が備わっていることをアピールするには、業務で直面した課題に対して、どんなことを考え、どのように解決したのか、また、それによってどんな成果を出したのか、具体的なエピソードとして伝えるのが効果的です。

その際、課題解決のために用いたデータ収集方法分析手法フレームワークに触れておくと、あなたのスキルレベルを伝えることができるのでおすすめです。

  • 経営戦略の立案にあたり、国内外の市場の状況をリサーチし、競合の状況の把握や分析、将来の予測を行っていた
  • 〇〇分析の手法を用いて課題の分析や解決策の提案を行い、業績を〇〇%改善した

〈コミュニケーション能力〉

経営企画は、経営陣や各部署とのコミュニケーションが数多く発生するポジションです。経営陣の考えや意思を理解するための傾聴力や会話力、立案した経営戦略を説明し合意形成に持っていく話術など、高い水準でコミュニケーション能力が求められます。

また、経営戦略を実行する際には、社内の関係各所との連携が不可欠です。自分から関係者を巻き込む姿勢や、快く協力してもらうための根回しや気遣いなどが重要になります。

経営企画での実務経験のほか、社内外のステークホルダーとの調整経験や、プロジェクトの推進経験などがあれば評価に繋がるため、過去の経験を伝える際にアピールしておくのがおすすめです。

  • プロジェクトの推進役として、関係各所への連絡や業務調整、事業の説明などを任されていた
  • 現職では経営戦略の立案や経営層へのプレゼンテーションも担当しており、調整力を発揮して合意形成に繋げてきた

〈財務会計・管理会計の知識〉

会社の経営状況を把握・分析するには、財務指標を読み解くための知識が必要不可欠です。

財務三表(「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」)を読み解く能力をはじめ、財務会計や管理会計の知識は積極的にアピールしましょう。

未経験の場合、財務・経理の経験税理士・公認会計士といった財務関連の資格があると、評価される傾向があります。資格を持っている人は、具体的な資格名を出してアピールしておきましょう。

▼経験の例

  • 財務諸表の作成を任されていた
  • 競合調査の際に、経営状況の把握・分析を行っていた

▼資格の例

  • 税理士
  • 公認会計士
  • MBA(経営学修士)
  • 中小企業診断士
  • 日商簿記

経営企画の志望動機の書き方・構成

履歴書の志望動機を作成する際は、「1.応募した理由(結論)」→「2.転職を考えた背景・エピソード」→「3.応募先を選んだ理由」→「4.採用後の意気込み」の4段構成で情報を整理しましょう。

順を追って「転職を考えた背景」と「応募先を選んだ理由」を具体的に伝えることで、応募した背景を採用側が理解しやすく、志望動機の説得力も高まります。

この構成にそってまとめた例文を見ながら、志望動機の書き方を確認しましょう。

〈例文〉

(1)
経営企画として仕事の幅を広げるため、転職を希望しております。

(2)
現職では4年間にわたって経営企画部に在籍し、中期経営計画の作成や、株主総会・決算説明会の運営、既存事業の課題分析と解決施策の提案などを行ってまいりました。一方で、現職では、社として既存事業の強化に注力する方針をとっており、新規事業に携わる機会が限られていたことから、会社を成長させるプロジェクトの経験を積みたいと考え、転職を決意いたしました。

(3)
転職活動を進めるなかで、〇〇業界への参入間もないながらも、新規事業を積極的に展開し、急成長している貴社の環境に惹かれ応募いたしました。今後も積極的に新規事業を開発する方針であることを経営者インタビューにて拝見し、自分が希望する経験を積めるのではないかと考えております。

(4)
現職で得た情報収集や分析のスキル、経営戦略の立案に関するスキルを活かし、貴社の事業拡大に貢献したいと考えております。

(394文字)

1.応募した理由(結論)

志望動機の冒頭では、まず「応募した理由(結論)」を伝えます。

より多くの新規事業立ち上げに関わりたい」「マーケティングの知識を活かし、経営企画に挑戦したい」といった形で、応募の決め手になった想いを簡潔にまとめましょう。

2.転職を考えた背景・エピソード

応募した理由(結論)に続いて、転職を考えた背景・エピソードを具体的に伝えます。

経験者・未経験者ともに、背景としてこれまで経験した業界業務内容(業務範囲)担当していたプロジェクトなどを具体的に伝えつつ、「どんなきっかけがあり、転職を考えたのか」+「転職によって何を実現したいか」を伝えましょう。

なお、未経験者の場合は「なぜほかの職種ではなく、経営企画を目指したのか」を明確にしておきましょう。企業にとって重要なポジションであり、求人数も少ない経営企画は狭き門です。なぜ経営企画なのか、説得力ある理由がなければ書類選考を通過するのは難しいことでしょう。

3.応募先を選んだ理由

転職を考えた背景・エピソードの後に、応募先を選んだ理由を具体的に伝えます。

その際に意識したいのが、「この会社を選んだことに必然性がある」という納得感を持たせること。

応募先の企業情報や、企業をとりまく状況をリサーチ・分析したうえで、「ビジョンや経営戦略に共感している」「商材に魅力があり、市場を広げるチャンスがあると感じた」など、その企業ならではの理由を考えて伝えましょう。併せて、「なぜ」そこに魅力を感じたのか、自身の経験に裏打ちされた理由も伝えると説得力ある志望動機になるはずです。

4.入社後の意気込み

最後に、志望動機の締めとして「入社後の意気込み」を伝えます。

未経験者の場合は、これまでの経験・スキルや、財務・経理などの知識をベースに「経営企画の業務を積極的に学んでいく姿勢」を見せ、成長意欲を伝えましょう。

経験者の場合は「経験を活かして貢献したい」「新しい環境でさらなる成長を目指したい」といった前向きな姿勢を伝えるのが効果的です。

【例文】経営企画の志望動機

ここではあらためて経営企画の志望動機の例文を「未経験者」「経験者」向けにそれぞれ紹介します。

押さえておくべきポイントとあわせて確認し、自分の志望動機を作成してください。

未経験者の場合

〈例文〉

(1)
マーケティングの知識を活かし、経営戦略を策定する業務に挑戦したいと考え、経営企画職に応募いたしました。

(2)
現職では家電メーカーのマーケターとして、3年間、エンドユーザーのニーズ調査や市場・競合分析、営業戦略の策定などを担当しておりました。取引先である家電販売店や競合の経営状況を深く分析する機会も多く、この経験・スキルを活かして経営に関与する仕事に挑戦したいと考えるようになり、転職を決意いたしました。

(3)
転職活動のなかで、家電業界でのシェア拡大に向けて、市場調査や分析の観点から経営戦略の策定を支える人材を貴社が募集していることを知り、応募いたしました。家電業界のマーケティングを通じて得た業界知識や分析の経験を軸に、貴社の事業拡大に貢献できると考えております。

(4)
調査・分析のスキルを活かしつつ経営企画の業務知識を習得し、貴社の経営を支える人材になれるよう成長したいと考えております。何卒よろしくお願いいたします。

(406文字)

〈押さえておきたいポイント〉

  • 未経験から経営企画を目指す場合、「経営視点で企業・事業を見渡せる」素質があるかどうかが重視される。経理・財務、マーケティング、公認会計士、コンサルティングの経験があると評価されやすいため、必ず伝える。
  • 応募先と親和性があることを伝えるため、前職の業界や事業の共通点、専門知識があれば、経験を伝えるなかでアピールする。

経験者の場合

〈例文〉

(1)
経営企画職として、新規事業開発の経験を積みたいと考え、貴社に応募いたしました。

(2)
現職では、食品の製造・販売事業を手掛ける企業にて、経営企画職に3年間従事しております。主に、国内外の販路拡大に向けた新規事業の企画・提案に関わっており、市場や競合の調査・分析から、経営戦略の実行に向けた社内調整・進捗管理まで手掛けておりました。新規事業の立ち上げに関しては、専門的に関わってきたこともあり、多くのノウハウを蓄積できたと自負しています。

一方で、販路拡大が落ち着き、社の方針が新規事業から既存事業中心へシフトしたことを受け、自分の強みである新規事業の経験・知識を活かせる企業への転職を決意いたしました。

(3)
同じ食品業界であり、販路拡大に向けて新規事業を積極的に展開している貴社であれば、これまでの知見をもとに貢献できる機会も多いと考え、魅力を感じております。

(4)
採用いただけた暁には、経営企画の業務全般の経験や、食品業界における業界知識、調査・分析ノウハウを活かし、貴社の経営に貢献させていただく所存です。

(447文字)

〈押さえておきたいポイント〉

  • 経営企画の業務内容は、企業規模や業界によって異なるため、自分が担当した業務をできるだけ具体的に伝え「何ができるか」を明確にする
  • 特に、応募時に担当する業務が決まっている場合は、その業務の経験があることや、その詳細を記載すると効果的。
  • リーダーやマネージャーとして組織を牽引していた場合は、必ず記載する。

記入後は、時間を置いて見直しを

志望動機が採用担当者に与える影響は大きく、内容によっては応募先への熱意の高さや意図がうまく伝わらない可能性があります。そのため、時間を置いてから見直すようにしてください。

見直す際には、下記の記事で解説している「志望動機を書くうえでのポイント」や「効果的な表現」なども参考するのがおすすめです。

gd2md-html: xyzzy Wed Jul 24 2024

この記事の執筆者

ライター・編集者

久保田 敦大

株式会社クイック

転職Hacks編集部のライター・編集者。

大手求人メディアにて求人票や転職ノウハウ記事の制作を手掛けたのち、転職Hacks編集部に参画。自身の転職経験を活かした「実践的なノウハウ記事」が強みで、企業研究から入社の手続きまで、転職活動の全体をフォローしている。

転職時に自身も感じていた「わかりにくい!」というモヤモヤを解消すべく、どこよりも分かりやすい記事づくりに日々邁進中。

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