化学メーカーの研究開発職向け 職務経歴書の書き方・ポイント

化学メーカーの研究開発職向けに、職務経歴書の書き方とポイントを解説していきます。採用事情に精通したキャリアアドバイザーからのコメントも掲載しているので、あわせてチェックしてください。

テンプレートをダウンロードし、早速作成していきましょう。

化学メーカーの研究開発職向け
職務経歴書の書き方・ポイント

職務経歴書|20XX年XX月XX日現在|氏名転職一郎|【職務要約】●●大学院在籍中は、●●研究室に所属し固体酸触媒を用いた精密有機化学反応、及び医薬中間体の合成研究を行ってまいりました。大学院卒業後は、▲▲株式会社に入社。●●開発部に配属し、新規素材の開発や工業化のための合成プロセス最適化に関する業務を行っていました。20XX年からはリーダーとして、研究テーマの発案・選定、外部協同企業のマネジメントにも携わっております。|【職務経歴】20XX年XX月~現在▲▲株式会社|事業内容:●●事業|資本金:XXXX万円売上高:XXXX億円従業員数:XXXX名|/期間/業務内容|/20XX年XX月|~|20XX年XX月/●●開発部役職:一般|/[担当テーマ]自動車業界向けのタイヤにおける樹脂原料開発|顧客の要望をヒアリングし、分子設計から合成・重合の条件検討を実施。実際に配合検討、成形の条件検討を行い強度など実使用に即した試験評価も対応。開発した製品のスケールアップの条件検討も行う。|[担当製品/材料]|天然ゴム、ブタジエンゴム、カーボンブラック、シリカなど|[技術知識/使用ツール]|分析機器:HPLC、GC、SEM、XRDなど|設備・装置:射出成形機、押出成形機、CVDなど|[実績]・企業との共同研究にて、約1.5年間で触媒反応を約600回スクリーニングし、触媒及び反応条件を最適化し続けた結果、反応効率を1%から70%達成・新設された流通式化学吸着測定装置における装置メンテナンス及び5種類の測定に関するマニュアル50ページを作成し未経験スタッフの育成に貢献[身に着けた技術]・不活性ガス雰囲気下での有機合成および分析・特許出願の書類作成・高圧固定床流通式気相反応装置の製作|【保有資格】・普通自動車第一種運転免許(20XX年XX月)・TOEIC700点(20XX年XX月)ビジネスでの利用経験あり・甲種危険物保安取扱者(20XX年XX月)・高圧ガス製造保安責任者乙種化学(20XX年XX月)|【学生時代の研究】<研究テーマ>●●●部位をコアに持つ△△の合成とその評価<研究概要><研究成果>

【自己PR】■高い有機合成スキル:スキル面では有機合成の能力を十分に有しております。樹脂原料開発において新規材料の開発に成功したものの、反応効率が1%と極めて低く量産化が困難な状況でした。そこで企業と共同研究を実施し、触媒自体の見直しから担体の検討に加え、流量や温度などのパラメータに関して検討し、約1.5年間で触媒反応を約600回スクリーニングすることで、触媒及び反応条件を最適化し続けた結果、反応効率を70%まで向上させることができました。■何事にもあきらめず粘り強く取り組む姿勢:上記経験では、担当した当時は反応効率1%と実用化が困難な状況でしたが、この新規材料の優位性について上司を説得し、自ら本分野に強い企業を探し共同研究を取り付けることができました。その後も、なかなか実用化の目処が立たない時期が続きましたが、上司や共同研究先に都度成果を報告し、共同研究を約1年半継続することができ、実用化可能なレベルまで反応効率を高めることができました。以上

「担当製品/材料」×「業務範囲」の2点を明記する

化学メーカーの研究開発職は、職務経歴書で「担当製品/材料」と「業務範囲」の2点をしっかり伝えることが重要です。化学メーカーではその2点のかけ合わせによって、応募できる企業やポジションが変わるためです。

化学メーカーは業界全体で川上(原料から基礎化学品を製造する企業)・川中(中間原料や一次製品を製造する企業)・川下(最終製品を製造する企業)と大きく3つに分かれており、企業によって扱う材料(基礎化学品なのか化学製品なのか)や、その研究領域で必要な技術が異なります

そのため「担当してきた製品/材料がなにか」「どんな領域でどんな技術を使ってきたのか」ということを職務経歴書上で詳細に伝えなければ、企業側は応募者が求める経験・スキルを有しているのかを適切に判断できないのです。

1つ目の「担当製品/材料」では、たとえば、天然ゴムや半導体ウエハといった企業で開発している「製品名」や、アクリルや繊維などの扱っている「材料名」をすべて書き出すことが大切です。これによって企業側は、応募者が扱ってきたものと自社の担当製品や材料に親和性がありそうかを判断することができます

2つ目の「業務範囲」については、研究開発職の担当領域が「分子設計」や「合成・重合」という企業もあれば、「配合」や「量産条件検討」などの製品寄りの企業もあるため、ただ単に「研究開発」と書かれているだけでは、企業側は応募者の経験や技術、強みが採用ニーズにマッチするかどうか判断できません。

【化学メーカーの研究開発職の業務範囲(例)】A社の場合…分子設計→合成・重合→スケールアップ、B社の場合…配合→量産条件検討(成形・加工など)

このため、現職では「分子設計」「合成・重合」「配合」の中でも、どの範囲の業務を担ってきたのか、詳細に伝えることが重要になるのです。

どの立場で研究開発に携わってきたのかを伝える

今までの業務範囲に加えて、たとえば「自らがテーマの推進者となって開発していた」「指示を受けて手を動かしていた」など、どのような立場で研究開発に関わる業務にあたっていたのかを伝えられるとよりよいでしょう。

転職活動とは企業の採用条件と応募者の経験・スキルとのマッチングです。企業ごとに求める人物像や経験は違い、研究をリードした経験を持つ人を募集している会社もあれば、ある研究テーマを専門的に深めてきた人を募集している会社もあるため、応募先企業の採用ニーズとマッチするか正しく判断してもらうためには、研究テーマに対する自分の立場と経験を示すことが大切になります。

キャリアアドバイザー

キャリア
アドバイザー

生産技術や品質管理の経験もあれば必ず記載する

研究開発を飛び越えて、いわゆる生産技術や品質管理といわれるような他の職種範囲も経験している場合は、そこでの業務内容もすべて書き出しましょう

扱う製品や材料がシンプルな化学メーカーでは、製品化までのひととおりの流れを経験・理解している人を求める企業もあるため、今までの業務経験を職務経歴書上で伝えきることで、あなたの経歴を活かせる企業に巡り会える可能性が広がります。

1.「職務要約」を記入するときのポイント

重要度:★★★・・

【化学メーカーの研究開発職の職務経歴書】職務要約の見本画像

学生時代の経験を踏まえて5行程度で簡潔に

職務要約は採用担当者が職務経歴書の中で最初に目を通し、求めている経験やスキルを持っていそうか、自社の募集条件にマッチしそうかを判断する大切な項目です。

化学メーカーの研究開発職の場合は「どんな会社の」「どんな職種で」「どのような業務を行ってきたのか」の3点を5行前後で記載しましょう。

また、研究開発職であれば、学生時代の研究テーマが現職の経験に密接に影響していることも多いはず。関連度が高い場合は、職務要約でも学生時代の研究室での具体的な研究内容に触れておくのがポイントです。その領域の専門性があると説得力が増します。

2.「職務経歴」を記入するときのポイント

重要度:★★★★★

【化学メーカーの研究開発職の職務経歴書】職務経歴の見本画像

※職務経歴が2社以上ある方は、直近勤めていた会社が書類の上部にくる「逆編年体」形式で情報をまとめるのがおすすめです

研究テーマ・業務経験は詳細に書き出す

化学業界は所属する企業によって扱う材料が異なり、研究開発職として担当している研究テーマの専門性が高いのが特徴。繰り返しになりますが、応募者の経験が自社の研究開発でも活かせるかどうか、企業側が判断するために「どんな材料」の「どのような業務範囲」を担当したのかを端的に伝えることが大切です。

【担当テーマ】をまずは一行程度でわかりやすくまとめ、その下に具体的な業務内容を詳細に記載しましょう。「配合検討」や「成形の条件検討」など、技術開発の中でも担当していた業務内容を詳細に記載してください。

キャリアアドバイザー

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公表されている情報なら記載して問題なし

企業側が自社の業務内容とマッチするかどうかを判断するためにも、特別な理由がない限り、研究内容や業務の詳細はすべて書き出しましょう

研究内容の秘匿性が高い場合は、職務経歴書に書いていいのか迷う場合もあるかもしれませんが、自社ホームページやプレスリリースに記載があれば、公に情報が公開されているものとして書いても問題ないと判断できます。

材料は取り扱い経験のあるものをすべて書き出す

担当した材料は応募企業とのマッチングを判断する上でも大事な情報の一つです。

【担当製品/材料】には下記のように取り扱い経験のある材料をすべて記載しましょう。

〈担当材料の例〉

  • 有機材料:アクリル、オレフィン、ウレタン、繊維、油脂、界面活性剤、液晶材料など
  • 無機材料:炭素、アルミニウム、チタニウム、鉄、銅、ガラスなど
キャリアアドバイザー

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材料を書き出すことで転職先の選択肢が広がる

全く同じでなくても、扱っていた材料の親和性が高ければ転職先の選択肢が広がることも。

たとえば「接着剤」と「塗料」は別の材料ですが、違いは「顔料の有無」だけで構成要素は同じなので経験は活かせそう…といった具合です。繰り返しになりますが、担当した材料はすべて書き出すことが大切です。

論文や学会発表経験もアピール要素の一つ

担当製品/材料に関する合成技術や分析技術など、現職で培ってきた経験は【身につけた技術】として箇条書きしましょう。ここに一覧でまとめておくことで、企業側は応募者がどのような再現性のある経験を持っていそうなのか、確認することができます。

新規分子設計などの研究に携わっていた場合は、論文や学会発表などの実績をアピールするのもポイント。 特許件数や発表回数など、具体的な数値もあわせて記載しましょう。

3.「学生時代の研究」を記入するときのポイント

重要度:★★・・・

【化学メーカーの研究開発職の職務経歴書】学生時代の研究の見本画像

研究開発職ならではの情報なのでしっかりと記載する

職務経歴書に学生時代の研究テーマやその詳細を記載するのは、メーカーの研究開発職ならでは。学生時代の研究と現職の業務経験に親和性があれば、あなたの技術力により説得力を持たせることができます。

【学生時代の研究】では「研究テーマ」「研究概要」「研究成果」の3点を簡潔に伝えましょう。研究概要では、研究の目的や、実際に行った検討、実験・評価手法など、具体的なプロセスについても詳細に記載してください。

4.「自己PR」を記入するときのポイント

重要度:★★★★・

【化学メーカーの研究開発職の職務経歴書】自己PRの見本画像

「技術面」と「人物面」2つの強みを伝える

研究開発職の方は自己PRで、今までの研究テーマに根ざした「技術的な強み」と、考え方などを踏まえた「人物面の強み」を、最低でもそれぞれ1つ記載しましょう。

「技術的な強み」では多少は職務内容の繰り返しになってもいいので、専門的な知識やスキルの裏付けとなる具体的なエピソードを伝えましょう。「業務上の課題に対してどう考え、どう行動し、どういう成果を出したのか」といった成果に至るまでのプロセスを記載することがポイント。担当製品や業務経験が多岐にわたっている場合は、対応できる幅の広さを伝えるのも一つの方法です。

「人物面の強み」では、研究に対する粘り強さや新技術を取り入れる積極性、チャレンジ精神などをアピールしましょう。こちらも、「技術的な強み」と同様に、眼の前の課題にどう対応したかのかがわかる具体的なエピソードを伝えられると、あなたの職場での立ち回りや仕事への姿勢が伝わります。

キャリアアドバイザー

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自己PRは特に力を入れて記載したい項目

自己PRは、何ができるか・やってきたかという事実や結果だけではなく、応募者の考えや仕事へのスタンスなどを文章で伝えられる項目。

企業側が知りたがっている「あなたならでは」の工夫や意思をしっかりと盛り込められると、他の応募者に差をつけることができるので、職務経歴書の中でも特に力を入れて記載したいところです。

あなたが大切にしている「思い」や「考え」を意識的に盛り込む

研究開発職の多くの方が「自己PR」でやってしまいがちなのが、業務でのアクションや結果だけを淡々と記載してしまうこと。それではあなたがどういった人物なのかが適切に伝わりません。

なので、たとえば「基礎的な思考と既存の枠に囚われない考えの両軸が重要だという思いのもと」「周りの人間との積極的な意見交換が思考を深めてくれると考え」など、自分なりにどのような思いや考えをもって研究開発に臨んでいるのか、伝わる内容を記載するのがポイントになります。

論文の基本構成を例に挙げるとするなら、特に「1. Introduction(序論:課題や背景)」と「4. Discussion(考察)」をしっかりと盛り込むようなイメージです。

【論文の基本構成】1.Introduction(序論:課題や背景)※自己PRで大切|2.Materials&Methods(材料と方法)|3.Results&Data Analyses(結果と分析)|4.Discussion(考察)※自己PRで大切|5.Conclusion(結論)

これによって、経験・スキルだけでなく、あなたがどのような考えや思いのもと行動する人物なのか、企業側により明確に伝わります

gd2md-html: xyzzy Wed Aug 07 2024

この記事の執筆者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。

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