化粧品業界の研究・開発職向け 職務経歴書の書き方・ポイント
化粧品業界で転職する際に必要な「職務経歴書」。
今回は研究・開発職の職務経歴書について、なかでも特に人口の多い「スキンケアの処方開発」を例に挙げながら、書き方とポイントを解説していきます。
テンプレートをダウンロードし、早速作成していきましょう。
化粧品業界の研究・開発職向け
職務経歴書テンプレート
職務経歴書を作成するときのポイント
化粧品業界の研究・開発職の職務経歴書を作成する上でのポイントは、下記3点を明確に伝えることです。
- 業務の幅
- 担当した化粧品の種類
- 使用経験のある機器の種類
業務の幅に加えて担当した化粧品や使用した機器の種類まで書く必要があるのは、そこまで細かく見た上で採用判断を行いたいという企業が大半だからです。
キャリアが処方開発・基礎研究、液体や粉体、固体(またはスキンケアとメイクアップ、ヘアケア)などにはっきり分かれる研究職の場合、企業の採用基準はとても明確です。それは、何を作った経験があるのか、またそれを作るためにどんな環境(機器)に慣れ親しんでいるのか。
企業側が「こういう機器でこういうものを作れる人が欲しい」と提示している以上、それらに答えなくては企業側もあなたを選びようがないのです。
たとえば「処方開発として3年以上の経験があり、液体の開発実績が豊富。なかでも化粧水と乳液、ハンドクリームの経験がある人を求める」といった企業側の採用条件に対し、職務経歴書ではいかに合致した人物だという印象を与えられるかがポイントとなります。
ここからは、記入項目ごとに見本とポイントを紹介します。
「職務要約」の書き方・ポイント
経験社数・年数と業務範囲を5行程度でまとめる
職務概要は、採用担当者が職務経歴書のなかで最初に目を通す項目です。
基本的には5行程度で職務経歴の要約を記しますが、研究・開発職の場合は「何社経験・何年経験か」「担当した業務の幅はどの程度か」を簡潔にまとめるとよいでしょう。
キャリア
アドバイザー
応募企業の業務内容にあわせた記載を!
採用条件に合致した人物であることを効果的に伝えるためには、応募先の業務内容に沿った経験や実績を伝えるのがポイント。
たとえば、既存ブランドの量産や処方改良が多い場合は前職でも同様の業務をしていたことを、新規設計の処方開発経験が求められる場合は前職での担当ブランド名や担当範囲を盛り込むとよいでしょう。
「職務経歴」の書き方・ポイント
職務経歴は、今までの業務経験の詳細を記載する項目です。なかでも「職務内容」に書かれた情報から、採用担当者は応募者のくわしい経験・スキルを確認していきます。
※職務経歴が2社以上ある方は、直近で勤めていた会社が書類の上部にくる「逆編年体」形式で情報をまとめるのがおすすめです
「職務内容」は担当業務・経験をすべて書き出す
職務経歴の上の枠内に「企業概要」を記載し、その下に「職務内容」を記載していきます。
まずは配属先を明記し、役職を記載しましょう。途中で昇格があった場合はアピールになるためぜひ記載を。
※会社のなかで所属部署や担当プロジェクトが変わった場合は、期間ごとにブロックを分けて記入しましょう
ここからは、職務内容に記載する4つの項目ごとにポイントを紹介します。
品目(剤型)
:どんな商品を担当していたのかを記載する
配属先や役職の情報に続いて、担当した化粧品の種類を明記します。まず【品目(剤型)】という小見出しを立て、そのなかにあなたがどんな商品の処方開発を担当していたのかを記載します。
ここでは、スキンケア/メイクアップ/ヘアケアというカテゴリではなく、「化粧水、乳液、洗顔料(透明液状、乳状)」などの品目と剤型をすべて記載しましょう。採用担当者はまずここに書かれている情報をキーワードとして拾い読み、自社の製品とマッチするかを見ていきます。
キャリア
アドバイザー
剤型が合えば適性アリと判断される可能性アップ!
ヘアケア製品の経験がなくても「液体」の処方開発を担当していればシャンプー・リンスなどの製品で経験が活かせそうだと思ってもらえるように、カテゴリが一致しなくても「剤型」が合えば採用基準に合致すると判断されることがあります。
特に業務経験がない領域にチャレンジする場合は、担当してきた剤型をアピールするのが効果的です。
なお、担当製品が社外秘扱いになっている場合は、無理に明記するとトラブルのもと。とはいえ、まったく何も書かない状態は相手に何も伝わらずもったいないので「同社最注力ブランドのスキンケアライン」など、具体名を出さずに伝えられないか検討しましょう。
担当業務
:作業量が少なくてもすべて書き出す
【担当業務】では「処方検討・設計」と書くだけではなく、あなたが行った具体的な仕事内容をすべて書き出していきましょう。あなたの業務経験・スキルが応募先企業の求めているものと合致するかどうかは、ここに書かれている内容から判断されるため、どんなに作業量の少なかったものでも省略せず書き尽くすのがポイントです。
仕事内容は、一般的な研究や試験の流れに沿って箇条書きにするのがコツ。「前職では処方開発職として、どこからどこまで担当していたのか」という業務範囲が伝わりやすくなります。
また「海外規制に適した製品の処方開発の経験」や「リーダー・マネジメント経験」を積んだ研究者は一握り。高く評価される傾向があるため、これらの経験がある場合は必ず記載しましょう。
コラム:工場の立ち会いやOEM窓口業務経験があると高評価
生産スケールアップ対応や生産立ち会いといった工場を訪問しての業務、またはOEMメーカーとの窓口業務を行った経験がある人は、必ず記載しましょう。処方開発の後工程である「生産」まで関わっていたことが伝わると「幅広い業務経験がある」「コミュニケーション力がありそう」という見られ方をするため、評価も高まります。
〈記入例〉
- 工場での生産立会(充填・仕上げなど)
- OEM窓口業務(工賃依頼、仕様の確認連絡など)
あわせて「自己PR」で、他部署との折衝や調整力を発揮した具体的なエピソードを伝えられるとベスト。あなたの今までの経験に説得力を持たせることができます。
使用機器
:経験の有無がわかるように端的に記載する
【使用機器】は、さまざまな計測機器を用いる研究職特有の部分です。即戦力採用の研究職の場合、自社で採用している機器の使用経験があれば、企業側もその機器を使ってすぐに活躍してくれそうだとイメージが持てるので、これまでに使用した経験のある機器はすべて書きましょう。
なお、メーカーの違いや新旧モデルによる違いで使用方法が大きく異なる可能性がある機器は、メーカー名や製造年まで書くと誤解がなくあなたのスキルが伝わります。企業によって取りそろえている機器が微妙に異なるため、メーカーや新旧規格の違いなどを気にされることが多いからです。
実績/成果
:客観的データを用いて実績をアピールする
【実績/成果】には、自分の開発した化粧品の売上げや出荷実績、特許申請の情報、ランキング受賞歴を記載しましょう。
この際「出荷個数〇〇〇万個達成」「コスメアワード〇〇部門第◯位を獲得」など、数字や例を用いた説明を心がけましょう。具体的なイメージがつき、実績を定量的に評価することができます。
キャリア
アドバイザー
メーカー出身者はブランド名の記載必須!
メーカーの研究職で、担当製品でヒットしたものがあれば「ブランド名」は必ず記載してアピールしたいところ。商品の売れゆきはPRや広報、販促などによる効果が大きいこともありますが「中身がよかったから売れた」という評価にも繋がります。
「活かせる経験・資格・知識・スキル」の書き方・ポイント
活かせる経験は一覧でわかるようにまとめる
活かせる経験・資格・知識・スキルでは、転職先で活かせそうなものはすべて記載しましょう。語学力やPCスキルも専門的なスキルとしてアピールになります。
基礎研究に携わってきた場合は、開発技術の特許取得件数や出願件数、学会報告や論文の趣旨などの情報も忘れずにまとめてください。
「自己PR」の書き方・ポイント
応募企業の注力領域や求める経験にあわせてアピールする
化粧品業界の研究開発職の採用基準はとても明確なため、応募企業が注力している領域や求めている業務内容に合わせて、アピールすべき強みを選んで伝えることが大切です。
たとえば、スキンケア領域に注力している企業に応募する場合、実際の業務経験の比率が「スキンケア1:メイクアップ9」だったとしても、スキンケアの業務経験やスキルにフォーカスすべきです。そこでの経験や実績、こだわっている点などを伝えることで、採用担当者は応募者の入社後の具体的なイメージを持つことができるでしょう。
また、OEM・メーカーをまたいだ転職の場合は、これまでの経験を強みにするのではなく、応募先の求める経験に合わせた内容をピックアップするのが効果的。それぞれの特徴は以下の通りなので、自己PRで自分の経験をアピールするときの参考にしてください。
- メーカー
…製品ごとの開発スパンが比較的長く、1から自由に処方できて一人前という考えがあるため「一つの製品にじっくり向き合ってきた経験」が求められやすい
- OEM
…顧客の要望にいかに応えるかが重要なため「担当製品の幅広さやスピード感」が重視される傾向がある
キャリア
アドバイザー
ファクトだけではなく考え・スタンスを言語化することで採用に近づく!
書類選考では経験業務とのマッチングが最も重視されますが、通過後の面接では応募者の人柄やスタンスなども見られます。
すなわち「今までの業務経験に対する自分の思いやこだわりをいかに自分の言葉で語れるか」が合否に影響するため、自己PRでも行動や結果などのファクトだけではなく「機能性が第一だという考えのもと」「開発までのスピード感が大切だと考えているため」といった、考えやスタンスをしっかり伝えることが採用獲得への近道にもなります。
履歴書の作成も忘れずに!
転職の書類選考では、職務経歴書とあわせて履歴書の提出を求められることが一般的。
まだ着手していない場合、まずは下記の記事から自分に合ったテンプレートをダウンロードしましょう。
ダウンロードできたら、下記の記事から書き方・ポイントを確認し、早速作り始めてみましょう。
gd2md-html: xyzzy Mon Jul 29 2024
この記事の担当者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。