設備管理(ビルメン)向け 職務経歴書の書き方・ポイント
設備管理(ビルメン)の職務経歴書の書き方や、書く上でのポイント・注意点を解説します。建設・不動産業界の最新動向や採用事情に精通しているキャリアアドバイザーからのコメントも掲載中。
無料でダウンロードできるテンプレートもご用意したので、ぜひ活用してください。
設備管理の職務経歴書テンプレート
設備管理の職務経歴書はこの3点だけ伝えればOK
設備管理(ビルメン)の場合、職務経歴書には下記の3点さえ過不足なく書けていれば、それ以上の情報を書き込む必要はありません。
というのも、採用担当者はこの3点さえわかれば、応募者の経験・スキルの内容やレベル感をイメージでき、自社にマッチする人材かどうかも判断できるから。
そのため職務経歴書を作成する際は、とりわけ「職務経歴」欄と「保有資格」欄をしっかり書くことを徹底しましょう。
具体的な書き方やポイントは、次の章から解説します。
キャリア
アドバイザー
中でも「常駐の設備管理」は書類選考の通過率が高い
設備管理系の職種のうち、常駐の設備管理職は採用倍率がそれほど高くなく、書類選考を通過しやすい傾向にあります。
財閥系の大きな企業などでは、年間数十名を採用するケースも珍しくなく、「一定の経験・資格さえあれば、ひとまず面接してみよう」と考える採用担当者が多いため、身構え過ぎる必要はありません。
1)職務経歴
「管理物件」と「担当業務」をくわしく書く
「職務経歴」欄は、設備管理(ビルメン)の職務経歴書における最重要項目。ここをいかにくわしく・具体的に記入できるかで合否が決まるといっても、過言ではありません。
なぜなら採用担当者は、「職務経歴」欄から「どんな物件をどの立場で管理し、担当業務は何だったのか」を確認し、その内容やレベル感が自社の管理物件や業務内容にフィットするかを見極めているから。
そのため、これまでの経験がわかりやすく伝わるよう、「管理物件」とそこでの「担当業務」を古いものから順に記入するのがポイントです(※)。
「管理物件」と「担当業務」それぞれの書き方については、次の章から解説していきます。
※転職経験がある場合、会社ごとに表を分け、直近の勤務先が最上部にくるように配置します。ただしその場合も、管理物件はあくまで古いものから順に記入する点には注意しましょう。
キャリア
アドバイザー
多くの情報を見やすくまとめるのもポイント
「職務経歴」欄には多くの情報を書き込む情報がありますが、それらを箇条書きや表組みなどを使って見やすく・わかりやすくまとめるのもポイントです。
採用担当者に「書類の作成能力が高く、読み手への配慮もあり真面目」といった印象を与え、高評価につながるでしょう。
管理物件
「管理物件」は、これまでどんな物件を管理していたのかをくわしく伝えるための項目。下記の情報を漏らさず記載しましょう。
採用担当者が最も気にしているのは「自社の管理物件に近い物件を管理した経験があるのか」という点。
また、一口に設備管理といっても「物流倉庫」「病院」「データセンター」など、物件によって点検項目の数や難易度が異なります。
そのため管理物件に関する記述が曖昧だと、経験・スキルの内容やレベル感が正しく伝わらず、「自社の管理物件や業務内容との親和性が判断できない」として、不採用になるリスクが高まってしまうのです。
担当業務
「担当業務」は、その物件をどの立場で管理し、どんな業務を担当していたのかを伝えるための項目。下記の情報を漏らさず記載します。
とりわけ業務内容は、業務範囲の幅広さが伝わるよう、例えば「協力会社との打合せおよび現地確認会」「コスト管理に伴う協力会社の選定および価格交渉」といった、定期点検以外の業務も割愛せずに細かく書き出すのがポイント。
★こんな経験は評価がさらにアップ
中でも下記のような経験は高評価につながるため、経験している場合は必ず記載しましょう。
元請けの管理会社やデベロッパー・メーカーなどの「発注者」企業では、オーナー折衝やマネジメント業務が多く発生するため、それに近い経験があると好印象です。
また、選任技術者の経験は「電気主任技術者の資格があり、かつ高圧の電気設備がある物件を管理したことがある」証明になるため、設備管理としてのスキルの高さがアピールできるでしょう。
2)保有資格
持っている資格はすべて書く
設備管理(ビルメン)の職務経歴書における「保有資格」欄は、「職務経歴」欄と並んで非常に重要な項目。特定の資格が採用の必須条件になっており、経験が浅くても資格があるだけで採用になるケースも少なくありません。
また、企業によっては「資格ごとに月給1,000円アップ」といった「資格手当」を用意しているところもあるため、「ビルメン4点(5点)セット」をはじめ、所持している資格は出し惜しみせずすべて記載しましょう。
資格は取得した順番で、取得年月もあわせて記載します。
勉強中の資格も書いてOK
資格は給料アップだけではなく、内定に近づくというメリットもあります。というのも、設備管理は待遇改善を理由に転職する求職者が多いからこそ、資格を持っていることは「仕事に対する意欲や向上心がある」としてグンと評価が上がり、ライバルと大きく差をつけることができるから。
そのため、上位資格である「ビルメン三種の神器」は、勉強中であっても「※第三種電気主任技術者取得に向けて勉強中(「理論」「機械」は合格済)」などと記載しておくのがおすすめです。
キャリア
アドバイザー
誤字脱字や稚拙な表現にも注意
職務経歴書がひととおり完成したら、必ずはじめから読み直し、誤字脱字や「一生懸命頑張ります」といった稚拙な表現がないか確認しましょう。
そうした箇所があると「オーナー企業に対して失礼なく、適切な対応をする能力がないのでは?」などと懸念されるリスクがあるからです。
また昨今、DXの影響で報告業務をPCで行う職場も増えているため、職務経歴書にミスがあることはやはりマイナス評価につながります。
提出前に一度目を通すことを忘れないようにしましょう。
応募先によっては職務要約や自己PRも書くと◎
★発注者やFM代行企業に応募する方向け
ビルメンテナンス/ビルマネジメント会社などの「請負」側に応募する場合は特に不要ですが、デベロッパーやメーカーなどの「発注者」や、本来「発注者」が行うFM(ファシリティマネジメント)業務を代行しているような管理会社へのチャレンジを考えている場合、「職務要約」欄と「自己PR」欄も追加して記載するのがおすすめです。
「(自分自身について)相手によりわかりやすく伝える能力がある」「入社意欲が高い」として、高評価につながりやすいからです。
とくに「発注者」側の企業は少ない採用枠に多くの応募者が殺到するため、「職務要約」欄や「自己PR」欄もぬかりなく記載することで、ライバルと差をつけることができるでしょう。
それぞれの具体的な書き方は、次の章から解説します。
職務要約
〈例文〉
大学卒業後、塾講師として5年間、中高生の学習指導に従事し、20XX年から職業訓練校にて第二種電気工事士などの資格を取得。20XX年からは設備管理として主に●●不動産が所有するオフィス・商業施設の電気・給排水設備や熱源機器などの点検業務や協力会社との打ち合わせ・作業立会いに従事。直近ではオーナー様への工事提案や見積作成なども担当。
「職務要約」欄を書く場合は職務経歴書の冒頭に追加し、これまでの在籍企業や主な管理物件、役割や担当業務などについて5行程度でまとめます。
オーナー折衝やマネジメント業務、選任技術者の経験がある場合、高評価につながるので「職務要約」欄でも触れておくのがおすすめ。
キャリア
アドバイザー
設備管理以外の経歴は「職務要約」で触れる
設備管理(ビルメン)になる前に別の職種として働いていた場合、その経歴について「職務要約」欄で軽く触れておくのがおすすめです。
例えば「大学卒業後、調理スタッフとして飲食店に5年間勤めたのち、」などと記載するのが良いでしょう。
というのも、経歴自体は履歴書の「職歴」欄にも記載しますが、そこに書くのはあくまで社名だけで、具体的な仕事内容までは伝えきれないから。「職務要約」欄で説明することで、採用担当者の安心材料になります。
自己PR
〈例文〉
積極的な業務理解による対応の正確性・スピード
電気工事に従事していた際は、監視装置のシステムや構造を深く・正しく理解することを意識し、普段からマニュアルを読み込むようにしておりました。結果、警報が復旧しない、照明が点灯しない等の動作不良により緊急対応が必要になった際も、正確な対応を素早く行うことができました。
〈例文〉
事故の未然防止に向けたマニュアルの作成経験
ビル管理の際は安全管理に対する理解を深め、事故を起こさない環境整備を意識しました。各点検時の注意点や作業方法、緊急対応に関するマニュアルを作成することで、人事異動の際や新入社員が着任した際のスムーズな業務理解につなげ、安全かつ確実に作業を行うための環境を整えました。
「自己PR」欄を書く場合、「保有資格」欄の直下=職務経歴書の最下部に追加します。
主に下記のような経験・スキルを見出しとして1~2個立て、それぞれその裏付けとなるエピソードを5行前後で記載しましょう。
各設備の仕組みや設置目的などに関する専門知識や、それを証明するために資格取得を目指す姿勢などは、設備管理としての熱意やスキルの高さを伝えられます。
対応の正確性やスピードも同様、設備管理としての適性をアピールできるため、オーナー企業や社内で評価されたエピソードとともに記載しましょう。
また、ただ点検表通りに作業を「こなす」のではなく、「省エネ対策の立案」など、自ら課題を見つけ、改善に向けた取り組みがあれば、課題発見力や主体性があるとして高評価につながるでしょう。
オーナー企業や協力会社との折衝については、「発注者」側への転職後も発生するため、経験があれば「自社の業務内容と親和性がある」と判断してもらいやすくなります。
この記事の担当者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。