プラント設計エンジニア向け 職務経歴書の書き方・ポイント
プラントエンジニア(プラント設計)の職務経歴書の書き方や、書く上でのポイント・注意点を解説します。プラント業界の最新動向や採用事情に精通したキャリアアドバイザーのコメントも掲載中。
無料でダウンロードできるテンプレートもご用意したので、ぜひ活用してください。
プラント設計の職務経歴書テンプレート
プラント設計は実務経験のマッチングがすべて
プラント設計の書類選考は、応募先のポジション・業務内容に対して、これまでの実務経験がマッチするかどうかがすべて。そのため職務経歴書では「職務経歴」欄を中心に、これまでの工事案件(プラントの用途・業態など)や、そこでの担当業務をくわしく書くことが何よりも大切です。
プラントはオフィスビルや商業施設のような一般的な建築物に比べ、構造や設備、ラインを流れる原料/廃棄物や製品などが企業ごとに千差万別であり、「プラント設計」個人の業務範囲や求められる技術・知識も、勤務先や案件によって大きく異なります。
よって、工事案件や担当業務に関する記述が不足していたり、曖昧だったりすると、採用担当者が「自社で活かせる経験・スキルがあるかどうか」を判断できず、「よくわからないから不採用」となってしまうリスクがあるのです。
では一体、何をどのように書いていけばよいのか、次の章から項目ごとにくわしく解説していきます。
キャリア
アドバイザー
そもそも気になっている企業にどんな経験・スキルがマッチするのか(自分に可能性はあるのか)、ご自身で判断するのは簡単なことではありません。
また、職務経歴書を一人でゼロから作成するのも、手間がかかる作業です。
少しでも大変だと感じたら、建設・プラント業界専門の転職支援サービス「建設・設備求人データベース」までご相談ください。経験豊富なキャリアアドバイザーが、求人のご紹介や書類選考・面接対策までまるごとサポートします。
1)職務要約
重要度:★★★・・
応募先にフィットする経験・スキルを5行前後でまとめる
冒頭の「職務要約」欄は、最重要項目である後述の「職務経歴」欄まで読み進めてもらうための、フックとなる部分。
忙しい採用担当者にパッと見で自社との共通点を見つけてもらい、まずはざっくりと「採用要件を満たしていそう」と感じてもらうことが大切です。
そのため、応募先の企業・ポジションにフィットするものを中心に、これまでかかわったプラントの用途や顧客の業態、そこでの役割や業務範囲について、5行前後で端的にまとめるようにしましょう。
2)職務経歴
重要度:★★★★★
工事案件や担当業務についてくわしく記載する
プラント設計の職務経歴書において、「職務経歴」欄は合否を左右する最重要項目。
採用担当者はこの欄から応募者の経験・スキルを詳細にチェックし、その内容やレベル感が「自社で扱う案件や募集ポジションの業務内容とマッチするか」を精査しているからです。
採用担当者が工事案件や担当業務の内容・レベルを理解しやすいよう、「職務経歴」欄には主に下記のような項目を記載しましょう。
採用担当者はまず、「どのようなプラントにかかわってきたのか」でざっくりと応募者の経験・スキルを把握しようとしています。
そのため、LNG/化学/食品/医薬品などの顧客の業態(可能であれば名称も)や、「新規●階建て電子材料工場に伴う生産設備の工事」「既設EO貯蔵タンク更新に伴う高圧ガスに関わる工事」といった、プラント・工事の用途や目的をきっちり記載しましょう。
特に、業界ごとに下記のような経験があれば評価がグッと上がるため、忘れずに記載します。
担当業務は特にくわしく!
プラント設計は勤務先や立場によって個人の役割や業務範囲が大きく異なるため、「担当業務」は特にくわしく記載するのがポイント。
発注者や元請けプラントエンジニアリング会社などでFEEDやプロセス設計、監理・レビューを担当していたのか、あるいは各種機器メーカーやプラント設計会社などで機械/配管/計装/電気の詳細設計を担当していたのかなど、「どの立場で・どこからどこまでの業務を担当していたのか」を意識して書きましょう。
「発注者」側に応募する場合、取り扱っていた設備・機器の名称やメーカーまで細かく記載しておくと、採用担当者が自社との親和性を判断しやすくなります。
キャリア
アドバイザー
「発注者」側に応募するなら「取り組み・実績」も記載すると◎
必須ではありませんが、「発注者」側の企業へ応募する場合、「職務経歴」欄に「取り組み・実績」の項目を設け、業務遂行上の工夫や課題解決に向けた取り組みについて記載するのもおすすめです。
「発注者」側の採用担当者は実務経験に加え、業務・課題に対する向き合い方や思考プロセスなども評価基準の一つとしているため、高評価につながりやすくなります。
例えば下記のように、業務や課題に対して「何を考え・どのようなアクションをして・どういった成果につながったのか」について、具体的に記載しましょう。
- 安全管理についての理解促進に向け、●●に関する資料を作成・共有し、無事故に貢献した
- 後発的な設計変更を減らすため、顧客との要件・仕様のすり合わせを綿密に行った結果、予定どおりの工期に収めた
- 現地調査を行い、据付の角度やボタンの位置など、機械操作のユーザビリティを考慮した設計を行い評価をいただいた
3)資格/語学/自己PRなどの優先度は低め
重要度:★★☆☆☆
プラント設計の場合、書類選考を通過できるかどうかは「職務経歴」欄によるところが大きく、それより下部の「活かせる経験・知識・技術」「保有資格/語学」「自己PR」欄は、それほど重視されていません。項目ごとに端的に記載するよう意識すれば、合否に大きく影響することはないでしょう。
ただし、「発注者」側や元請けプラントエンジニアリング会社への応募を考えている場合、「語学」欄や「自己PR」欄にはやや注意が必要です。
具体的な注意点や書き方について、項目ごとに解説していきます。
活かせる経験・知識・技術
「活かせる経験・知識・技術」欄には、例えば「海洋石油ガス業界の材料・防食に関する知識」「社内・社外の関係各所との折衝経験・調整力」など、「職務経歴」欄に記載した内容を一言に言い換えて、いくつか箇条書きにしておけば問題ありません。
たくさん書きすぎるとむしろアピールポイントがわかりづらくなってしまうので、応募先のポジションや業務で活かせるものを5個前後ピックアップしましょう。
保有資格/語学
「発注者」や元請け志望の方向け
プラント設計の業務において資格を求められることはあまりありませんが、各種の施工管理技士や電気主任技術者など、建設・電気・機械に関する国家資格・技能検定資格があれば、記載しておいて損はないでしょう。
その際は、国家資格→技能検定資格の順で、5~10個程度を目処に記載します。
語学(英語)については、海外に顧客を持つプラントエンジニアリング会社に応募する場合はマスト。海外拠点への出張があったり、レポートラインが外国人だったりするケースも少なくないからです。
TOEICなどの語学力を証明する試験の点数に加え、「週1回、英語ネイティブとの会議あり」など、実務での使用経験や頻度・レベル感についても併記しておくのがポイントです。
自己PR
「発注者」や元請け志望の方向け
とくに「発注者」側に応募する場合、「自己PR」欄は手を抜いてはいけない項目。
なぜなら採用担当者は、「自己PR」欄から応募者の業務・課題に対する向き合い方や思考プロセスを確認し、主体性や志望度の高さまで把握した上で合否を判断したいと考えているからです。
プラント設計の場合、「自己PR」は下記のような経験・スキルを見出しとして立て、その裏付けとなるエピソードを3~5行程度で書きます。
その際は業務や(顧客の)課題に対して「何を考え・どのようなアクションをして・どういった成果につながったのか」というストーリーを意識するのがポイント。前述の「職務経歴」欄の「取り組み・実績」に記載した内容を軸に、具体的な情報を肉付けしてふくらませるイメージです。
最後に志望動機を記載しても◎
マストではありませんが、職務経歴書の最後に「志望動機」欄を設けて記載しておくと、さらなる高評価につながります。一般的に、志望動機を職務経歴書に記載する応募者は少ないからこそ、書くことで志望度の高さや熱意が伝わることもあるからです。
とくにメーカーの採用担当者は、志望度の高さや「この企業で長く働きたい」という思いの強さを量ろうと、「数あるメーカーのなかでなぜ自社なのか」「なぜプラントエンジニアリング会社ではなく、『発注者』の立場でプラントに関わろうと思ったのか」などを非常に気にする傾向があります。
記載しないからといって評価が下がることはなく、あくまで加点要素ですが、時間や気力に余裕がある場合は、記載をおすすめします。
結論→その根拠の順番で書く
志望動機を記載する場合は、まず応募先に惹かれたポイントを結論として一言で述べたあと、惹かれた背景や根拠を書きます。背景や根拠は、これまでの経験や現職での業務のなかで感じた「(転職して)●●がしたい」という思いをふまえ、「(貴社であれば)それが実現できる」という判断に至った、応募先の特徴や強みなどに軽く触れましょう。
その上で最後は「そのような貴社であれば、これまでの経験やそこで培ったスキルが活かせると思った(だから志望している・魅力に感じている)」と締めます。
〈志望動機の例文〉
- (結論)新規事業にも積極的に取組むなど、変革にも柔軟に挑戦を続ける社風に魅力を感じ、志望いたしました。
- (根拠)私は現在、大規模な改造工事を担当しており、関係者と協力しながら様々な困難を乗り越え設備を運用までもっていくことに、面白さと達成感を感じています。貴社におかれましても、今後新規プラントの立ち上げなどが計画されていると伺ったため、よりチャレンジングな環境で、これまでのプラント設計の経験を活かすことができ、またより一層、経験と知識を蓄積することができると思い、大変魅力に感じております。
志望動機の題材として使える「転職して叶えたい思い」と「応募先の特徴・強み」のセットとしては、ほかにも下記のようなものが挙げられます。どんな内容にせよ、両者が地続きになっており、一貫性があることが重要です。
〈志望動機の題材の例〉
- (思い)環境系プラントで現状維持のための工事が多く、先進技術を導入したプラントの設計に興味があった
→(特徴)業界の先駆者として未開拓分野のプラント開発案件に積極的に挑戦している - (思い)現職は工事案件が小規模/業務範囲が限定的で、もっと社会的影響力の大きい仕事をしたいと思った
→(特徴)業界でも注目の大型案件を数多く受注しており、社会的貢献度が高い
…など
キャリア
アドバイザー
自己PRや志望動機は面接でも聞かれる
自己PRや志望動機を書くのは腰が重いものですが、職務経歴書を作成する段階でしっかりと言語化しておくことで、のちのちの面接での受け答えがスムーズになるという大きなメリットがあります。
というのも、面接では多かれ少なかれ「業務を行う上での、あなたの強みを教えてください」「当社のどのような部分に魅力を感じていただいたのでしょうか?」といった、自己PRや志望動機に関連する質問をされるからです。
そのため、書類選考段階であらかじめ整理しておくことで、面接で志望動機を確認された際に回答に困らずに済むでしょう。
履歴書の作成も忘れずに!
転職の書類選考では、職務経歴書とあわせて履歴書の提出を求められることが一般的。
まだ着手していない場合、まずは下記の記事から自分に合ったテンプレートをダウンロードしましょう。
ダウンロードできたら、下記の記事から書き方・ポイントを確認し、早速作り始めてみましょう。
この記事の執筆者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。