知っておくべき知識のすべて フリーランスSEになりたいなら
2010年頃から起業ブーム、独立ブームと言われて久しく経ちます。
この動きはIT業界においても例外ではなく、企業で働いてきたSEがフリーランスとして独立するケースは年々増加しています。
また企業にとっても、仕事量に応じて効率よく人員確保ができる、スキルのマッチングが正確にできるなどメリットが多いため、フリーSEを求める機運が高まっています。
ここでは、フリーランスSEへの転身を検討している人に役立つ情報や、独立するにあたって必要な手続き、仕事の探し方などを紹介していきたいと思います。
フリーSEの働き方を知ろう
始めに、フリーSEとしての働き方がどういうものなのか、どの程度の社会人経験を経て独立する人が多いのか、などについて説明していきます。
今は会社員と同じように出勤する「出向型」が主流
フリーSEの働き方には、いわゆるSOHOと呼ばれる、自宅のパソコンで作業する「在宅型」と、仕事を依頼された企業に出勤する「出向型」があります。
近年は情報漏えいリスクの観点から、自宅に企業の資料やデータを持ち帰って仕事をすることは不可能に近く、特に大企業であるほど、その傾向は強まっています。
そのため、昨今のフリーSEの勤務体系は、「出向型」が大半を占めます。
「出向型」と「在宅型」の働き方の違い
- 出向型
顧客企業に出勤し、社員に交じって同じように仕事をする。多くは、単発の仕事ごとに業務委託(※)契約を結ぶ形態をとり、契約時に締結した人月単価(1人に対して支払われる1ヶ月分の報酬)が毎月、支給される。余程のことがない限り、賃金未払いなどのリスクは発生しない。
(※)業務委託…企業に雇用されるのではなく、企業と対等の立場で業務の依頼を受けること。詳しくは、後述の「業務委託契約」を交わすときの注意点は?を参照ください。
- 在宅型
企業から請け負った仕事を、指定された期日までに納品する作業形態。「受託開発」とも言われ、基本は自宅や自宅兼事務所で作業する。在宅型の仕事はプログラミングが大半を占め、詳細仕様書を受け取り、それを元にプログラミングを行い、テストを完了する、という流れが一般的。納期が守れなかった場合などは、賃金が支給されないリスクも伴う。
「会社勤めを5年以上経て独立」が多い
フリーのSEとして独立するためには、SEとしての一通りの業務経験が必須です。
得意とするプログラミング言語を習得し、要件定義、システム分析、基本設計、詳細設計、プログラミング、結合テスト、総合テスト、維持、メンテナンスといった、「SEとしての業務のすべて」をこなせる自信がついたタイミングで、独立を検討する人が多いようです。
個人差はありますが、少なくとも2~3年、平均的には5年程度の経験が必要でしょう。
フリーSEになるメリット&デメリット
フリーSEになることのメリットとデメリットは、まさしく表裏一体です。割に合わない取り分の仕事を「会社員の安定」と引き換えにやり続けるのか、それとも、リスクは承知の上で独立を選ぶのか―――最終的には、「自分の力を信じられるか」が、フリーSEを選択する決定打になるでしょう。
ここではそんなメリットとデメリットを順番に見ていきます。
自分の実力だけで勝負できる/責任のすべてが自分に降りかかる
会社勤めの場合、他人のミスで連帯責任を取らざるを得ない事態なども発生しますが、フリーSEであれば、自身のスキルだけが評価の指針となります。「頑張れば頑張るほど報われる」という、サラリーマン時代には味わうことができなかった、大きな達成感を得ることができるでしょう。
一方、仕事内容やボリュームを決めるのは、自分自身。そのかわり、何かあったときの責任は、すべて自分に降りかかってきます。重大なミスを犯したとしても、会社員であれば会社にフォローしてもらえていた部分を、フリーSEは自力で何とかしないといけないのです。
年収UPが期待できる/収入の不安定さは覚悟して
フリーSEになることで、会社員時代より年収が増える可能性が高くなります。
その理由は、同じ顧客先に出向・常駐して働く「会社員SE」と「フリーSE」とで、支払われる金額に差が出る「カラクリ」にあります。
会社員SEの場合、常駐先が企業に支払う人月単価は80~140万円が相場です。そこから会社の利益や必要経費などを差し引いた金額が、社員の給料となります。
一方、同じ仕事をするフリーSEの単価相場は60~90万円。この金額が直接個人に入るので、会社の取り分を差し引かれる会社員SEよりも多くの報酬が得られ、収入増が見込めるのです。
とはいえ会社の取り分は自分に支給される通勤定期代、社会保険、住宅手当、有給休暇といった福利厚生にもつながっていたもの。また、仕事が閑散期に入った場合、会社員SEであれば一定額の給料は支払われるのに対し、フリーSEは収入がストップしてしまいます。
フリーSEの単価の高さは、企業側にとっては単純に中間マージンの少なさによるものですが、フリーSEにとっては「収入の不安定さをカバーするための上乗せ分」と捉えておくのが良いかもしれません。
興味のある分野の仕事を選べる/知識が偏る可能性もあり
会社員には自ら仕事を選ぶ権利はほとんどありませんが、フリーSEは興味のある分野や得意とするプログラミング言語などから、自分に向いた仕事を選択することができます。
しかし、得意な分野、言語の仕事ばかりを選んでいると、トレンド推移の激しいIT業界では技術面で取り残されてしまう危険性があります。
気づいたときには使い物にならないSEに成り下がっていた、ということにならないよう、最新のIT情報は常に収集しましょう。
人間関係のストレスが減る/大事な場面でのコミュ力が落ちることも
フリーSEになると、対人関係はゼロにはなりませんが、確実に「希薄」になります。
価値観の違う人たちとも円滑に仕事を進めなければならない会社とは違い、フリーSEは仕事さえきちんとこなしていれば、上司に媚びたり面倒な飲み会に参加しなくても評価してもらえます。少なくとも仕事以外の人間関係におけるストレスは、軽減できるはずです。
ただし、日常的にコミュニケーション量が不足していると、いざ人と会話をするとなったときに、普段より言葉がスムーズに出てこなくなったりするので要注意。技術屋さんには口下手な人が多いとも言われがちですが、フリーSEこそ、特に金額等の条件交渉時には「口上手」であることが不可欠です。
日頃から家族や友人と積極的に会話するなど、コミュニケーション力の維持を心がけましょう。
納期さえ守れば、すべてが自由/自己管理を徹底しないと仕事が回らなくなる
とくに在宅型フリーSEは、時間配分、服装、休暇など、すべてが「自由」です。納期さえ厳守すれば、自分のペースで働くことができます。出向型フリーSEの場合でも、基本的には出向先の勤務スタイルに合わせることが多いものの、契約内容によっては、休暇や作業時間を自由に調整することも可能です。
しかしフリーランスで成功している人の多くは自己管理が徹底されています。深夜のほうが仕事が捗るなど、各々事情はあるかもしれませんが、「会社勤めの頃と同じ時間帯に仕事をし、規則正しい生活を心がけている」という人も多いようです。
誰の監視下にも置かれない中で自分を律することができなければ、納期に間に合わない、体調を崩すといったトラブルが起こり、顧客からの信頼を失う結果となるのです。
その他、フリーSEのメリット
上記以外でフリーSEだけにあるメリットとしては、「業務に関わる購入物、セミナー参加費などを“経費”として所得から差し引くことができる(フリーSEになるために必要な手続きのすべてを参照)」「副業ができる」などは、会社員にはないメリットと言えるでしょう。
「勝ち組フリーSE」になるための条件
ここでは、どのような人がフリーSEとして生き残っていけるのか、必要な能力などについて考えていきたいと思います。
企業の冠が外れても輝く「独自の強み」を持つ人
フリーSEとして成功する人の多くは、独自の技術・ハイレベルな技術を持っています。
「個人」であるフリーSEは、会社が信用を担保してくれる「会社員」のSEに比べ、顧客からの信頼度は低くなりがちです。また、「有名企業」の肩書きだけで優劣を判断する顧客もいるでしょう。
大手企業のSEとして働き、顧客から多大な信頼を得ていると確信していた人が、いざフリーSEとなったら、同じ顧客なのに雇ってもらえなかった、という話もあるほどです。
自分から会社の看板が外れても、「この人を雇いたい!」と思われる「あなたならではの売り」を持ちましょう。
エージェントのキャリアコンサルタントなど、第三者に客観視してもらうことで、新たな強みを発見できることもあります(フリーSEの仕事の探し方を参照)。
「技術力」+「営業力」「交渉力」を兼ね備えた人
フリーSEは、独自の高い技術力だけでなく、情報収集、セルフマネジメント、自己分析、プレゼンテーションなどの能力が必要です。
会社では営業担当がやってくれていた「仕事を取る」「条件や金額の交渉をする」といった営業活動のほか、自分に何ができるかの「自己PR」もできなければ、仕事が成立しないのです。
コネを上手に利用できる人
人脈=コネクション=コネ、はできるだけ広げておいたほうが、チャンスは確実に広がります。企業で「縁故採用」と聞くとあまり良い印象を持たれないことが多いかもしれませんが、フリーSEなら、使える縁故はフルに使うくらいの気概を持って臨むべきです。
駆け出しのフリーSEであれば、会社員時代に付き合いのあった人や企業はもちろん、学生時代の友人などにも、フリーSEをしている旨を伝えておくと、思わぬところから仕事が舞い込んでくるかもしれません。
向上心を維持できる人
フリーSEを継続できるかどうかは、「向上心の継続」に懸かっています。
IT業界は、テクノロジーの進化が早く、商品のライフサイクルが短い世界です。
会社にいれば研修制度もあり、指導してくれる上司や先輩もいますが、フリーSEは自ら勉強し続けなければなりません。
未経験の業界や分野の仕事にも積極的にチャレンジする、フリーエンジニア向けのセミナーに参加するなどして、常にトレンドを吸収する気力の維持に努めましょう。
プロジェクトマネージャーを任せられる人
具体的なスキルで言うと、確実にプロジェクトを任せられる「プロジェクトマネージャー(PM)」の市場価値は高く、大幅な報酬アップも期待できます。
これまでプロジェクトマネージャーの経験がある人はもとより、独立に伴い、前職で担当していたポジションよりも上のポジションで採用される可能性もありますので、プロジェクトリーダーの経験がある人などは、ランクアップを狙ってみると良いかもしれません。
ニーズの高い言語や専門知識を持つ人
プログラミング言語では、Java、PHPなどの定番言語のほか、現在はアプリ開発に使用されるObjective-C、Swiftなどの市場ニーズが高まっており、報酬も比較的高く設定されています。
また、ミッションクリティカル(24時間365日、止まらないことを要求されるシステム)な金融系のプロジェクトなどでは、深い専門知識が必要とされるため、業務知識を持った人は高い評価と報酬を得られるでしょう。
基本的なビジネスマナーが身についている人
会社員と同様に、フリーランスも一般的なビジネスマナーは身につけておきたいもの。
開発だけでなく、営業、経理、財務など多数の業務を担うため、それだけ外部との接触も多様にあります。挨拶はもちろん、丁寧なビジネストークや名刺交換の作法、TPOに合わせた服装など、最低限のマナーは押さえておきましょう。
また、納期の厳守や、トラブル発生時の報告・連絡・相談も基本マナーです。長期案件の際は、顧客に対して定期的な進捗報告をすると安心感と信頼感を持たれるでしょう。
フリーSEを始めるときに必要な手続きとツール
フリーランスとして仕事を始めるには、いくつかの法的手続きが必要です。
また、ビジネスを円滑に進めるために用意しておきたいツールもあります。
ここでは、フリーSE1年生がやるべき手続きや準備について解説したいと思います。
フリーランス1年生がやるべき法的手続きのすべて
これから企業を退職してフリーSEになろうとしている人は、まず退職に関係する手続きを行い、その後開業届を出す必要があります。
ただし、(4)の開業届を出してしまうと、失業手当をもらうことができなくなってしまうので、提出のタイミングには気をつけましょう。
【退職後に必要な手続き】
(1)国民健康保険への変更手続き
(2)国民年金への変更手続き
【フリーランス開始時に必要な手続き】
(3)地方自治体に「個人事業開始等申告書」を提出
(4)税務署に「個人事業の開業届出・廃業届」を提出
(5)税務署に「所得税の青色申告承認申請手続」を提出
※退職手続きについて、詳しくは→退職カテゴリ
※提出期限や提出先等について、詳しくは→「個人事業主(フリーランス)が開業するときに必要な手続きのすべて」の『退職から個人事業主開業までに必要な法的手続き5点』の章を参照
コラム:「フリーランス」は「個人事業主」の“俗称”
これまでの文中では、「フリーランス」「フリーSE」という言葉を用いてきましたが、法的手続きの際に「個人事業主」というワードが出てきました。
「個人事業主」とは、「法人を設立せず、自ら事業を行っている個人」のことで、いわゆる「自営業者」と同義です。
具体的に言うと、「税務上の所得区分」の分類上、株式会社や合同会社といった「法人」を設立せず、個人で事業を営んでいる人を指します。
「フリーランス」は、個人事業主と同義ですが、同じ括りの中で、いわゆる個人商店などの「自営業者」とは異なる働き方をしている人の「俗称」という捉え方をすると、しっくりくるかと思います。
「フリー(の)○○」という呼び名が当てはまるもの、SEのほかには、WEBデザイナー、カメラマン、イラストレーター、ライター、翻訳家など、クリエイティブな仕事に携わる個人事業主が「フリーランス」と言われる傾向にあると言えます。
開業までに揃えておきたいツール
フリーSEとしての第一歩を踏み出すにあたり、ビジネスを円滑に進めるため用意しておきたいツールには以下のようなものがあります。
・屋号
・印鑑
・メールアドレス
・ホームページ
・名刺
・口座開設
・確定申告用ツール
※詳しくは→「個人事業主(フリーランス)が開業するときに必要な手続きのすべて」の『ビジネスを円滑に進めるために必要なツール一覧』
特にフリーSEにとって覚えておきたい知識
上記の開業時に用意しておきたいツールの中で、「フリーSEならでは」の必要なものや覚えておきたい知識をまとめました。
「業務委託契約書」には「実印」を押す
企業から仕事を請け負う際には、必ず「業務委託契約書」や「個人情報保護に関する契約書」等を取り交わしますが、それらの書類には「実印」を押印します。
基本的には今まで個人で使っていた実印を、そのまま使って構いません。
確定申告は還付金が戻ってくるチャンス
フリーランスが確定申告をすると、実際の所得税額より余分に天引きされていたお金が、還付金として戻ってくることがあります。
フリーランスが企業から仕事を請け負い、報酬が支払われると、遅くとも1月中~下旬ごろまでに、顧客から「源泉徴収票」 という、給与明細のようなものをもらうと思います。
「源泉徴収」とは、給与や報酬の支払者(顧客)が事前に受け取り者(あなた)の所得税などを差し引いて支払う制度のこと。差し引いた税金は、支払者が受け取り者に代わって納税します。
フリーランスの源泉徴収では、請求金額が100万円以下の場合、一律で10.21%の所得税が引かれて振り込まれる仕組みになっていますが、所得税の最低税率は5%です(2016年6月時点。課税所得が195万円以下の場合)。
駆け出しでまだ安定した収入を得ていない人や、年の途中からフリーになった人などにとってはとくに大きなチャンス。源泉徴収で多く引かれた所得税が確定申告で戻ってくる可能性が高いことを、頭に入れておきましょう。
コラム:軌道に乗ってきたら「法人化」も視野に
ビジネスが軌道に乗ってきたら、個人事業主から「法人化(法人成り)」へのステップアップも視野も入れてみましょう。
法人化することで、かかる経費や手間が増える部分もありますが、節税面で受けられる恩恵は、個人事業主と比べはるかに大きいというメリットがあります。
何より最大の利点は、顧客や金融機関からの「社会的信用」が、格段に上がる点。
融資の申し込みや助成金の申請なども、法人のほうが圧倒的に有利です。
フリーSEの仕事の探し方
これからフリーSEになる人の最初の難関は、どう仕事を取るかというところではないでしょうか。
前職のつながりなどから仕事を回してもらう算段をつけている人も多いものですが、そうでない人も仕事を探す上で役立つ方法やサイトをご紹介します。
出向型は「フリーランス専門のエージェント」で探す
出向型の仕事を探すなら、フリーランス専用のエージェントに登録しましょう。
個人ではなかなか取れない大手企業の案件や高単価の案件を見つけやすいこと、エージェントのキャリアコンサルタントという「第三者」が介在することで、客観的に技術力を判断してもらえる、交渉力が高まる、契約を明確化できるなど、さまざまな利点があります。
また、案件終了の1ヶ月前ごろまでに、次の案件に関する希望を聞いてくれるなど、継続したサポート体制も整っているため、仕事が途切れる不安も払拭できます。
初めてフリーSEとして仕事をする人にとっては、小さな疑問や不安にも詳しく相談に乗ってもらえるほか、エージェント企業の福利厚生が受けられたり、帳簿作成や確定申告のサポートまでしてくれるところもあるので、大変心強い存在となるでしょう。
代表的なサイトを紹介します。複数登録すれば、より案件紹介の確率はアップするでしょう。
レバテックフリーランス(運営会社:株式会社レバレジーズ)
常時500件以上の案件を掲載していますが、これはほんの一部。残りの80%以上が非公開案件というダントツの案件保有数が魅力です。
安価で確定申告や帳簿作成を代行してもらえる税理士サービスや事務手続き代行など、フリーランスとして初めて働く人のためのフォロー体制も充実しています。関東の案件が中心。
geechs job ギークス ジョブ(運営会社:ギークス株式会社)
サイト掲載の案件数が豊富で、クラウド型確定申告ソフトが割引価格で利用できるなどの付帯サービスも充実。レベルアップを目指す人へのオンライン講師紹介サービスや、各種支援セミナー・勉強会を随時開催。
フリーランス用の懇親会もあり、情報交換や交流もできます。関東の他、大阪、愛知、福岡の求人も掲載。
PE-BANK ピーイー・バンク(運営会社:株式会社PE-BANK)
1989年に設立された「首都圏コンピュータ技術者協同組合」が前身となる、歴史の長いエージェント。東京、北海道、東北、中部、関西、岡山、広島、九州、京都に営業所があり、幅広いエリアの案件を探せるのが魅力。
独自の共済会があるほか、事務代行、確定申告サポート、セミナー・勉強会などの各種サポートも充実しています。
在宅型は「クラウドソーシングサービス」を利用する
在宅型の案件を探したい人は、クラウドソーシングサービスを使いましょう。
クラウドソーシングとは、クライアントとなる企業からインターネット上で仕事を受注して報酬を得るという働き方で、近年、急速に拡大しつつある市場です。
代表的なクラウドソーシングサービスのサイトは、以下の2つです。両者に大きな違いはありません。
クラウドソーシングの場合、クライアントに直接会う必要もなく、金銭の受け渡しもクラウドソーシングサービスの運営企業が管理してくれます。
低単価の案件が多いことは事実ですが、これはコストを抑えたいという思惑以上に、「顔合わせもしておらず、十分な信頼関係の築けていない相手にいきなり大金は支払えない」という心理が働いていることが原因と言えます。
基本的には1回完結で継続性はない案件が中心ですが、ひとつの案件をきっかけに特定のクライアントから信頼を得ることができれば、次回の仕事につながり、単価を上げる交渉も可能となるでしょう。
ちなみに、エージェント経由では、在宅の仕事はほとんどありません。
エージェント経由で縁のあった企業で、ある程度の期間仕事をした後、在宅勤務にシフトできる場合はあるようです。
Indeedで在宅案件が見つかることも
クラウドソーシング以外では、「あらゆる仕事 まとめて検索」でおなじみの「Indeed」(詳しい使い方等は当サイトの記事「求人検索が便利になる?! Indeedを活用するために知っておきたい4つのこと」を参照)を活用することで、在宅案件を探すことも可能です。
キーワードに「在宅 SE」「在宅 プログラマ」などと入れて検索すると、在宅勤務が可能な案件がヒットするので、試してみると良いかもしれません。
これまで築き上げた「人脈」と「信頼」で勝ち取る
フリーSEとして継続的に働いていると、周りにもフリーの仲間が増えていきます。
すると、仕事が途切れそうなときは別の仕事を紹介してもらったり、逆に紹介してあげたりといった、互助会のようなネットワークが自然にできてくるものです。そうした人脈も、上手に活用していきましょう。
フリーSEにまつわる「あるある問答集」
最後に、フリーSEになるにあたり、良く耳にする疑問にお答えしていきます。
フリーSE1年生が陥りやすい「失敗」は?
仕事が軌道に乗るまでは、次の仕事依頼へつなげたいという気持ちが先走り、どんどん仕事を引き受けてしまいがち。結果、手が回らなくなって納期に間に合わず、評判を下げてしまうという失敗は多いようです。
また、新規で受けた案件が、長く付き合っている顧客のライバル会社のものだったため、信頼関係にヒビが入ってしまった、という失敗例もあります。
スケジュールはしっかり管理した上で、少し余白を持たせること、目先の利益に釣られて何でも受けるのではなく、相手企業のことを知り、自分に不利益はないか、今後につながる仕事であるか、将来性のあるビジネスであるか、という広義的・長期的な視点で案件を取捨選択できるフリーSEを目指しましょう。
「業務委託契約」を交わすときの注意点は?
エージェント経由で紹介を得た案件の場合は、顧客とフリーSE双方の条件をすり合わせながら、エージェントが「業務委託契約書」を用意してくれることがほとんどです。
エージェントなどを通さず、個人対企業で業務委託契約を交わす場合は、どちらが契約書を作るのか?という疑問が生じます。
海外などでは、「交渉において有利な立場」にある側、すなわち顧客が作成することが一般的ですが、日本ではどちらが作成してもOKという風潮にあります。
交渉を少しでも自分に有利に進められるよう、自分で作成することをお勧めします。
「業務委託契約書 テンプレート」で検索すると、フリーの雛形がたくさんありますので、それらを参考に作成しましょう。
仕事が途切れたらどうすればよいの?
次の案件までブランクができてしまった場合、まずは営業活動を頑張りましょう!
昔のツテや知人に連絡を取り、力になれることはないか、相談してみましょう。クラウドソーシングを利用して合間を埋める人も多いようです(5章の在宅型は「クラウドソーシングサービス」を利用するを参照)。
また、アフィリエイトサイトを運営して副収入を得てつなぐ人も多いようです。SEの知識があれば、サイト作成も手軽にできるでしょう。
ローン審査に通りにくいと聞くけれど…
一般的に、収入が不安定になりやすいフリーランスは、住宅購入などのローン審査に通りにくいと言われています。
フリーランスの場合、過去3年分の所得が、ローン返済能力のひとつの目安となります。過去3年分の納税証明書や確定申告書の写しなどを提出し、返済能力があること証明できれば、ローン審査もクリアできるでしょう。
まずは3年間、フリーランスとして安定した収入を得ることを目標としましょう。
その他、できる限り頭金を貯める、生前贈与など親から援助を受けることも、審査を通りやすくする方法としては有効です。
老後が不安です…
フリーSEは、会社員のように「退職金」が支給されませんが、以下の制度などを利用することで、老後の資金をカバーすることが可能です。掛金や運用益など所得控除となるものも多いので、節税対策にもなります。
独立行政法人 中小企業基盤整備機構
個人事業主などの経営者が、退職後の生活の資金をあらかじめ共済金として準備することができる制度。掛金は月額1,000円から7万円まで500円単位で選択することができ、途中で金額を変更することも可能。
掛金の全額が所得控除となり、前納もOK。借入や途中解約もできます。
確定拠出年金 個人型401k
個人事業主などの経営者を対象とした年金制度で、銀行・証券各社で取り扱いあり。掛金と運用益との合計額をもとに年金給付額が決定されます。
資金の運用は加入者自身で行い、得られた運用益はすべて非課税。掛金の限度額は月額6万8,000円(国民年金基金に加入している場合は両者の合算金額)で、全額が所得控除になります。
個人年金保険
保険料を積み立てることで、年金を受け取ることができる制度。生命保険各社の商品ごとに受け取り方に種類があり、公的年金と同じように毎月決まった額を受け取れる年金形式のもの、円建てや外貨建てのものがあります。
一定の条件を満たすと、最大8万円の所得控除(個人年金控除+生命保険料控除)を受けることができます。
付加年金制度
第1号被保険者にしか利用できない制度。通常の国民年金保険料に上乗せして毎月400円を納付すれば、将来もらえる老齢基礎年金に付加年金が上乗せされる仕組み。
納付する期間の長短にかかわらず、投資した金額を2年で回収できるようになっています。国民年金基金との同時加入はできませんが、確定拠出年金との同時加入は可能。
国民年金基金制度
こちらも第1号被保険者にしか利用できない制度。終身年金(一生涯受け取ることができる年金)のA型・B型と、確定年金(受け取り期間が5・10・15年と決まっている)のⅠ~Ⅴ型があり、保証期間があるものは保証期間内に死亡した場合、遺族に一時金が支払われます。
掛金は所得控除の対象となります。原則として中途解約は不可。
まとめ
フリーランスSEという道の選択は、人生における大きな決断となるでしょう。ですが、正社員という立場でさえ、決して生涯安泰とは言えない時代。
だからこそ、ITエンジニアとして「いい仕事をしたい」「正当な評価を得たい」「たくさん稼ぎたい」と思うのは、自然なことかもしれません。
特に今は、SNSやスマホアプリの開発などで、SEは売り手市場。フリーSEでも仕事を見つけるチャンスは十分にあります。
あなた自身の強みを磨き続けて、フリーSEとしての成功をつかみましょう!