海外で活躍したい人へ 海外転職をかなえる方法|語学力や給料は?
グローバル化する現代。「日本を飛び出して海外で働いてみたい!」と思うものの、海外は未知の世界。「自分でもできる?」「海外へ転職するにはどうしたらいいの?」「どんな仕事があるの?」さまざまな疑問が浮かびますね。
この記事ではそんな海外転職初心者のために、海外に転職することは誰にでもできるのか、どうしたらいいのか、どんな仕事があるのかといった疑問に答えていきます。
そもそも日本から海外へ転職するメリットは?
海外に転職することで得られるメリットは人それぞれ。実際に海外で働いている人に聞いてみても多種多様です。
なかでも多くの人がメリットとして挙げたものを以下に並べてみました。自分の海外転職のきっかけを考える上でヒントにしてみてください。
- 憧れの国で働ける
- 語学を身につけたり、活かしたりできる
- さまざまな価値観に触れ、広い視野を持つことができる
- どんな相手にも対応できる柔軟性を磨くことができる
- キャリア形成に有利
- 先進技術を身につけることができる
- 新しい文化を体験できる
- 将来どこに住むかなど、人生の選択肢を増やせる
- 組織より個人を重視した働き方ができる
- プライベートを充実させられる
- 住居や人間関係などの環境を大きく変えられる
- 海外でしかできない仕事ができる
海外への転職には語学力はどれくらい必要?
地域や仕事によって求められるレベルは異なる
海外に転職するにあたってネックとなりやすいのが言葉の問題です。
海外転職とひとくちに言っても、どんな会社で何の仕事をするかによって英語と現地語のどちらが必要なのか、どこまでのレベルが求められるのかは大きく変わります。
多くの国で使われている英語を例にすると、仕事ごとにレベルは以下の通りです。現地語の場合も同様ですので、参考にしてみてください。
◆ハイクラスの顧客相手のBtoC……TOEIC 800点以上
現地の人と商談をする仕事の場合は、ハイレベルなビジネス英語が必要です。多くの人の中で意見を主張しなければならない仕事なども高い語学力が必要です。
◆日本企業の現地法人で現地スタッフの取りまとめ……TOEIC 600点以上
社内スタッフに指示ができるレベルとして、スムーズな日常会話ができる程度の英語力があればOKです。アジア・アフリカ圏など発展途上国では、現地語ができなくても英語さえできればよいというところも多いようです。
◆高度な開発に携わるエンジニア……TOEIC 400点程度
高度な専門職や研究職では、専門用語と簡単な日常会話程度の英語さえわかれば問題なく仕事ができることも少なくありません。
◆日本人観光客を相手にした販売業……しゃべれなくてもOK
日本人に人気の観光地などで、日本人のみを相手に商売をする仕事などでは、まったく挨拶程度の英語でもOKという場合があります。
語学力がなくても、業務経験や知識でカバー
語学力に自信がなくても、海外で転職することをあきらめる必要はありません。
これまで日本で積んできた業務経験や知識が生かせる仕事であれば、言葉に多少の不安があっても問題なく働いている人がたくさんいます。最低限必要な分は、働いているうちに徐々に身についていくものです。
未経験者なら語学力は必須
社会人未経験で、生かせるアルバイト経験などもない場合、少なくとも語学は必須です。
海外の企業は、日本企業のように悠長に人を育てようとはせず、これまでの業務経験を生かして働いてくれる即戦力を探しています。そのため、未経験者は、応募できる仕事が非常に限られてしまいます。
その場合は、まずはワーキングホリデーなどで簡単な仕事から現地で働く経験を積み、徐々にステップアップしていくという方法が考えられます。
日本語がしゃべれることが強みになることも
海外に進出してきた日本企業向けの営業職や、日本人観光客を相手にする仕事などでは、日本語がしゃべれる日本人であることが大きなアドバンテージとなります。
海外の企業からすると、日本語は習得が難しく、また日本の文化や慣習も理解しにくい部分があると言われています。それを理解している日本人は、海外の転職マーケットで一定のニーズがあるのです。
英語や現地語ができなくても、「日本語ができること」が強みになる仕事を探せば、海外に転職できる可能性は飛躍的にアップします。
海外に転職するための3つの方法
現在日本で働いている人が海外で働き始める場合、3つのパターンが考えられます。
はじめから海外の会社に採用される場合と、日本の企業から海外支社へ転勤になる場合とでは雇用条件などが大きく変わってきます。
(1)日本企業の海外拠点での「現地採用」に応募する
海外に進出している日本企業の海外支社や現地法人に直接雇われるパターンです。
「どの国で」「どのくらいの期間」「どんな仕事内容で」働くかをすべて自分で決めて仕事を選ぶことができます。よって長く勤めれば、支社内の中心的なスタッフになることも可能です。
また、場合によっては現地採用から本社採用に切り替わり「駐在員」となったり、日本に戻ってきて同じ会社で働ける場合もあります。
(2)海外の日本企業以外の「現地採用」に応募する
「タイの国内企業」といった海外の現地企業や、「韓国に進出しているアメリカ企業」といった現地にある日本以外の外資系企業で現地採用されるパターンです。
こちらもどんな働き方をするかは、自分の仕事の選び方次第です。
このパターンでは日本と関わりのある仕事がなかったり、日本人の同僚がいなかったりする可能性もあります。日本企業の海外支社などで働くことと比べて「日本人であること」のアドバンテージが少ない分、より国際的なビジネスマンとしての資質や能力が試されます。
(3)日本企業に勤務し、駐在員として海外に赴任する
日本企業で国内採用されて働く中で、海外支社や現地法人に出向になるというパターンです。
会社の命令で海外に行くため、期間や仕事内容についての希望は通りにくいです。基本的には3~5年程度の出向期間が終われば、日本に戻って働き続けられます。
上のふたつに比べてはじめから海外勤務と決まって採用されるわけではないので、これから転職を考えている人にとっては、海外勤務を狙うことは難しくなります。もし今いる会社に海外支社がある場合は、自分から希望を出せば海外出向がかなう場合もあります。
それぞれの条件を比較すると……
海外で転職するにあたっての3パターンでは、それぞれ給与や語学力等の条件が大きく異なります。いずれも仕事内容によって変わりますが、おおよその条件を比較してみましょう。
(1)日本企業の海外拠点で「現地採用」 | (2)海外の日本企業意外で「現地採用」 | (3)日本企業の駐在員 | |
給与 | 現地法人から、現地通貨での支払い。現地の水準で額面が決まるので、駐在員より低くなることが多い。 | 現地法人から、現地通貨での支払い。現地の水準で額面が決まる。 | 本社(日本)から、日本円と現地通貨の両方で支払われる。日本の水準で額面が決まるため、現地スタッフよりも高額なことが多い。 |
福利厚生 | 住居補助や引越し代は出ない。 | 住居補助や引越し代は出ない。 | 住居費や引越し代は会社持ち。さらには語学学習費や子供の教育手当てが出る場合もある。 |
仕事内容 | 「現地事務所内での日本人スタッフと現地人スタッフのつなぎ役」としての役割を求められることが多い。 | 現地採用の他のスタッフと同じだけの働きを求められる。 | 「本社と現地事務所のつなぎ役」「現地のお目付け役」としての役割を求められることが多い。 |
語学力 | 最低でも日常会話レベルの簡単な英語、あるいは現地語が必須。 | ビジネスレベルの英語、あるいは現地語が必須。 | 本社の日本人とのやりとりがメインであれば、ある程度のレベルでOK。 |
勤務時間 | 現地スタッフの裁量で働くため、基本的には残業等は少ないところが多い。 | 公私のメリハリがついており、残業がないところも多い。「時間内に仕事を終わらせられないのは無能の証拠」という会社もある。 | 日本の企業文化が浸透している会社では残業が多いことも。また、現地スタッフより給与が高いため、ハードワークを求められることも。 |
休暇 | 日本よりもまとまった休暇をとりやすいことが多い。 | 日本よりもまとまった休暇をとりやすいことが多い。 | 日本よりもまとまった休暇をとりやすいものの、土日が日本からの来客のアテンドでつぶれることも。 |
転職活動 | 海外で働くことを狙って転職活動をする。働く中で、日本の本社勤務に転属なることもある。 | 海外で働くことを狙って転職活動をする。 | 転職活動中から必ず海外勤務に行けると決まっているわけではないので、狙うのが難しい。 |
※一般的な例なので、当てはまらない会社もあります。
海外転職、気になる給料は?
国・就職方法別の給与例
実際に海外で働いた場合、給与は国ごとにどのくらい違うのでしょうか。
実際の求人をリサーチして目安となる金額を一覧にしました(駐在員は除く)。仕事内容や立場、経験によって変わりますが、参考にしてみてください。
国 |
日本orそれ以外の企業 | 仕事内容 | 現地でのひと月あたりの月収 | 日本円での月収 | 日本円での1年あたりの収入 |
アメリカ | 日本企業 | 通信業/エンジニア | 5,830ドル | 約64万円 | 約768万円~ |
イギリス | 日本企業 | 飲食業/営業 | 1,830ポンド | 約24万円 | 約288万円~ |
中国 | 日本企業 | 製造業/営業 | 16,140元 | 約25万円 | 約484万円~ |
シンガポール | 現地企業 | 通信業/マネージャー | 7,100シンガポールドル | 約54万円 | 約648万円~ |
タイ | 現地企業 | 観光業/企画 | 54,170バーツ | 約18万円 | 約216万円~ |
インドネシア | 現地企業 | 建設業/施工管理(現場責任者) | 20,000,000ルピア | 約13万円 | 約156万円~ |
※1年あたりの収入は月収を12倍にしたもの。国や企業によってはこれにボーナスが加算されます。
額面だけでなく現地の物価水準にも注意
日本円に換算した額面は同じくらいでも、現地の物価が高いか低いかによって、余裕のある生活になるのかどうかは変わります。
上記の給与額を見ると、やはりアジア圏のほうが給与は低めですが、全体に物価が低いのでのびのびと暮らすことができるでしょう。ただし日本円で貯金をしたい場合はなかなか貯まらないことも多いようです。逆に欧米は日本と同水準か、日本以上に物価が高いところもあるので要注意です。
日本に帰ってきたとき、給与はどうなる?
現地採用の場合
現地で働いた経験を元に日本で改めて転職活動をすることになります。一般的な転職活動と同様、経験が評価されれば高収入の職に就くことできますし、残念ながらそうはいかないこともあります。
また、現地採用であっても日本企業の支社などで働いていた場合は、現地での働きが認められれば日本の本社に切り替わり、同じ会社で働き続けられることもあります。
日本企業からの駐在員の場合
多くは日本にいるときと同じ水準の給料をもらうことになります。帰ってきてからも下がることはなく、むしろ海外出向中に功績をあげている場合などは上がることが見込まれます。
海外への転職活動の流れは?
転職して日本から海外へ飛び出そうと決めたものの、何から手をつければいいかわからないという人も多いことでしょう。
ここでは「海外への転職活動」をより早くかなえられる、現地採用を目指す方法を紹介します。
基本的な流れは日本での転職活動と同じ
転職活動の基本的なフローは、日本での転職活動と変わりません。
日本から履歴書を送って応募し、面接を経て内定というステップを踏んでいきます。海外の企業は意思決定のスピードが速いので、日本の転職活動に比べて早く採用が決まることも多いようです。
とはいえ、海外への転職活動ですから、日本国内の転職活動と比べて入念な情報収集が必要です。ひとつずつ順番に見てみましょう。
STEP1 行きたい国を決める
STEP2 情報を集め、スケジュールを立てる
STEP3 求人情報を探す
STEP4 希望の求人に応募
STEP5 面接を受けに行く
STEP6 内定が出たら
STEP1 行きたい国を決める
どの国でどんな仕事をするかを決める
海外転職をするにあたって一番に考えなければならないのは、自分が海外転職で何を叶えたいのかという希望です。
憧れの国に移住して働くことそのものが目的の人もいれば、よりハイレベルな環境で働いてキャリアアップしたいと考える人もいるでしょう。
まず自分が何をしたいのかを決めた上で、どんな仕事ができるか、その求人がどの国ならあるのかを考えた上で行きたい国を決めましょう。
ひとつに絞りきれない場合は、候補となる国をいくつかリストアップして基本方針を決めてください。これは海外への転職活動を進めていくにあたって大きな指針となります。
<例1>
今までのウェブデザイナーとしての経験を生かして、より先進の技術を学ぶためにアメリカで働きたい。
<例2>
今までやってきたメーカーでの営業の仕事を、今度は海外企業でやってみたい。インドネシアかタイ、ベトナムのうち、希望条件に合う仕事がある国に行きたい。
<例3>
フランスで働くことが最優先。仕事内容はどんなものでもかまわない。
景気、求人状況、社会情勢なども考慮して
候補となる国を挙げていくにあたっては、景気や求人状況、社会情勢など、さまざまな要素も考慮しなければなりません。
たとえば2020年現在、ヨーロッパやアメリカは景気の悪化の影響で失業率が非常に高く、よほど高い能力の持ち主でない限り就職は難しい状況です。就労ビザも出にくくなっています。一方、マレーシアやタイ、シンガポールなど東南アジアは全体に失業率が低く、海外からの労働者の受け入れも盛んです。
また、社会情勢で言えば現在盛んにチャイナ・リスクが叫ばれ、日本企業が次々に中国から撤退しています。そういった世界の事情を踏まえた上で、どの国に行きたいかを考えていってください。
STEP2 情報を集め、スケジュールを立てる
サイトや本を読んだり、セミナーに参加してみよう
海外へ転職するためには、綿密な情報収集が必要です。行きたい国で自分にできる仕事はどんなものがあるのか、特別なビジネス慣習はあるのかなどを調べましょう。
身近に海外への転職者がいたら話を聞いたり、海外転職に成功した人の本やブログの体験記を読むのも役に立つでしょう。できるだけ自分の希望する国で、近い仕事をしている人の実体験を知ることができるとよいですね。また、転職エージェントなどが主催しているセミナーに参加してみても良いでしょう。
情報を集めれば、自分が海外のどんな職場で何の仕事をするのかというビジョンが具体的になっていくはずです。
【ブログ例】
- Watablog
日本の商社からオーストラリアの企業への海外転職を果たした人のブログ。現地での働き方や生活にまつわる体験が書かれています。 - 低学歴でも海外転職で悠々自適な生活
香港の現地企業で働く人のブログ。海外転職に必要な語学力や生活にかかるお金、転職ノウハウなどについて、わかりやすく詳しい説明が掲載されています。 - フィリピン現地採用ブログ 【海外就活物語】
フィリピンにある日本企業の支社に、現地採用されて働いている人のブログ。転職するまでの実体験を詳細に解説しています。
【本】
- 大石 哲之、森山 たつを『普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド』
海外での働き方を「日本語ジョブ」「グローカルジョブ」「グローバルジョブ」の3つに分類し、どんな仕事があるのか、どうキャリアアップしていくかなどを具体的に解説されています。 - 岡本琢磨『キャリア・シフト 人生戦略としてのアジア就職』
若者の海外就職をサポートしてきたコンサルタントによるアジア就職の手引。アジアで働くキャリアの可能性から転職市場の状況、具体的な手続きに至るまで紹介しています。
【セミナー例】
生活面で調べたほうが良いことは
海外に転職すると、自分の生活の基盤を海外へと移すことになります。事前に調べておきたいことは多岐にわたりますが、たとえば以下のような点があります。
- 生活習慣:時間の感覚や衛生面、食事の回数、シエスタなど特別な習慣はあるか
- 食文化:食べてはいけないものはあるか、日本食レストランはあるかなど
- 宗教:服装や礼拝の習慣など、外国人でも気をつけることはあるか
- 気候:年間を通しての天候・気温、スコールやハリケーンなどの自然災害はあるか
- 暦:日本の正月やお盆に当たる長期休みの時期などはあるか
- 時間:日の出・日の入りはどのくらいか、日本との時差はどのくらいか
- 行政サービス:年金や保険などについて
- 対日感情:自分の身に危険が及ぶことがなさそうか
- 治安:危ない場所はあるか、警察や消防はどうしたら動いてくれるのか
- 医療:医療費はどのくらいかかるのか、保険はきくか
- 水:水道水は飲めるか、どのくらいきれいか
- チップ:チップの習慣はあるか
- 店の時間:店がオープンしている時間は何時から何時くらいまでか
希望条件をまとめてみよう
海外転職にまつわるさまざまな情報を集めていくと、だんだんに具体的な希望がまとまってくると思います。それを元に、どんな求人に応募したいのか、仕事内容や給与などの希望条件をまとめてみてください。
<例>
- 行きたい国:インドネシア
- 仕事内容:これまでの6年間働いてきた経理としての経験を生かせる仕事がしたい
- 給与:日本円換算で年収300万円以上
- 休暇:正月とお盆は日本で過ごしたい
- 勤務地:車の運転ができないので、公共交通機関のある都市部で働きたい
- 語学:現地語を勉強しているので、英語も現地語も使うチャンスのある仕事がいい
スケジュールを立てよう
情報が集まってきたら、自分の転職時期を具体的に考えてみましょう。
おおよそ、海外で働きはじめたい日の2ヶ月ほど前から応募を開始し、2~3週間で内定、その後渡航準備に1~2ヶ月ほどかかるというのが目安です。
もちろん前後することはありますが、これを目安にして、今働いている人は退職前の引継ぎの準備や引越しの心積もりをしましょう。
できれば一度は足を運ぶこと
すでに「この国に行きたい!」とひとつに決まっている人や、入念に調べておきたい人は、一度は現地に足を運んでみることをおすすめします。
観光で行ったことがあっても、移住して働くとなると、また違った風景が見えるはず。町並みや周囲の人たち、売っているものの値段などを見ることで、実際の生活の感覚や治安を把握することができます。
とくに見ておきたいポイントは以下の通り。
- 地元のスーパー:物価や品揃え、日本食の食材の有無
- 電車・バスなど公共交通機関:車社会か、公共交通機関があるか、通勤に苦労しないか
- 住宅地:住むことになりそうな場所の治安や交通の便、町の雰囲気(治安)
- オフィス街:オフィス街の雰囲気的に、自分が働く姿をイメージできるか
STEP3 求人情報を探す
求人情報サイトを見てみよう
ある程度情報を集めたら、実際に求人情報サイトで海外の求人を見てみましょう。求人情報サイトには、大きく分けて下記の3つがあります。
1日本に拠点を置き、さまざまな国の求人を一挙に取り扱っているサイト
日本の求人情報サイトが運営しているサイトの「海外」コーナーなどがこれにあたります。
日本企業の海外支社などの求人が多いです。求人広告が日本語で書かれていることが多いので、英語が苦手な人はまずこのあたりから探しはじめるとよいでしょう。
22海外に拠点を置き、現地の求人を紹介している日本人向けのサイト
日本の求人情報サイトの海外支部が運営しているサイトなどがこれにあたります。
こちらも日本企業の海外支社などの求人が多いですが、より現地に密着した情報が多くなります。また、求人広告が英語・現地語で書かれていることも多いので注意が必要です。
3海外の現地の求人情報サイト
語学に自信がある人は、日本企業の運営する求人サイトではなく現地の求人サイトを使うのも良いでしょう。
求人広告は英語や現地語で書かれています。とくに現地の日本企業以外で現地採用を狙っている場合は、より幅広い求人に出会うことができます。
自分の希望をできるだけかなえるためにも、複数の求人情報サイトを見ることがおすすめです。
もちろん求人サイトではなく、各企業のHPなどで募集を確認できるところもあります。しかしHPに求人を載せているのは一部の大きな会社などに限られてしまうため、平均的な給与や労働条件を比較してみるためにも、一度は求人サイトを覗いてみることがお勧めです。
STEP4 希望の求人に応募
準備する書類について
基本的な必要書類は以下の通り。
- 英文履歴書
- 日本語の履歴書
- 日本語の職務経歴書
日本語の履歴書や職務経歴書が必要なことを意外に思う方がいるかもしれませんが、日本企業に応募する場合、現地採用であっても本社への確認用に日本語の履歴書・職務経歴書が必要なことがあるので、事前に準備しておくと安心です。
また、日本の転職エージェントに登録する場合はたいていこの3つを先に提出するよう求められます。
※英文履歴書の書き方について、詳しくは
すぐ書ける! 英文履歴書の基本【テンプレート付き】
応募方法
希望する求人に応募するには、日本と同様に必要書類を提出します。提出方法はインターネット経由がほとんどです。
1応募フォームからアップロード
求人サイトを使っている場合は、サイト上の専用フォームにデータをアップロードして提出する場合が多いです。
また、ある程度の規模のある会社の場合は、採用に専用の応募フォームを作っている場合がありますので、その際は指示に従って必要書類をアップロードします。
2メール添付
メール添付での提出を求められた場合は、指示に従ってメールで送ります。
その際、メール本文に「この求人をどこで見つけたか」「なぜこの求人に応募するか(志望動機)」を盛り込むのを忘れずに。
3郵送
最近では少なくなっていますが、役所や教育機関など伝統を大事にする職場では、郵送で履歴書の提出を求められることもあります。
簡単な挨拶や志望動機を書いたカバーレターと応募書類を一緒にして、EMSあるいはFedEx、DHLといった国際郵便・国際宅配便で送ります。
STEP5 面接を受けに行く
面接は基本的には現地で行われる
基本的に面接は現地で行われます。そのため、まだ働いている人は会社を休み、飛行機や宿泊場所を手配して現地に行かなければなりません。
海外では日本よりも採用までがスピーディで、2回ほどの面接を経てだいたい3~5日程度で決まることが多いようです。
そのため、合否に関わらず、1~2週間の滞在期間を準備して行くのがいいでしょう。
面接のために現地入りするタイミングについて
一度の滞在でできるだけ多くの会社を受けたいと思う人もいるかもしれませんが、2社くらいの面接が決まったタイミングで渡航の準備をしましょう。
なぜなら、企業側は「現在国外に住んでいる人が、本当にこの国に引っ越してきてまで働きたいと思っているのか」と少し疑っているからです。真剣な転職意思をアピールするためにも、できるだけ早く面接を受けに行くのがおすすめです。
面接で現地入りする場合のビザについて
面接のための短期滞在であれば、観光ビザ、国によってはビザなしで構いません。
幸い日本は国際的信用度が高いため、短期滞在の場合は多くの国にビザなし、パスポートのみで入れます。それを大いに活用しましょう。
交通費・滞在費について
基本的には自己負担です。
ただし会社の規模の大小に関わらず、日本人のビジネスマンを強く求めているなどの理由で、面接時の交通費・滞在費を出してくれる会社もあります。
電話やインターネット面接ができる場合も
会社によっては、電話面接や、skypeなどのインターネットサービスを使った面接をしてくれることがあります。
わざわざ現地に足を運ばなくても選考が受けられてとても便利なので、企業側から提案された場合は活用したいところです。
ただし自分も直接会社を訪問しないことになるので、職場の雰囲気などがつかみにくくなるというリスクがあることを覚えておきましょう。
面接で気をつけることは
基本的な注意事項は日本の転職活動における面接と変わりません。
日本での面接よりも、答える際に2割増しの自信を見せるつもりで、堂々とした態度で臨んでください。また、面接が何語で行われるかは事前に確認し、英語や現地語での面接にも対応できるように準備しておきましょう。
以下のような質問は海外転職での面接でありがちな質問です。国内での転職活動では聞かれないものですが、必ず答えられるようにしておいてください。
- なぜ日本ではなく、海外で働きたいのか
- この国を選んだ理由
- いつから働けるのか
- どのくらいの期間働こうと考えているのか
STEP6 内定が出たら
内定承諾について
内定は基本的に電話、あるいはメールで伝えられます。
その場で入社の意思を伝えない場合は、「1週間以内にお返事します」などと期限をはっきりと伝えましょう。
たとえ面接のための滞在中に内定が出たとしても、すぐに承諾する必要はありません。家族に報告も必要でしょうし、のちのちのトラブルを避けるためにもじっくり考えてから後悔のないように決めてください。
もし迷いなくすぐに承諾したい会社であれば、入社の意思を伝えて書面を交わし、そのまま現地で住居を探したりしてもいいかもしれません。また、同僚となる人たちに挨拶をさせてもらえることもあります。
ビザの取得は入社が決まってから
海外で仕事をするにあたっては、その国で働くための許可「就労ビザ」が必要です。
国によって種類や手続き方法は異なりますが、現地で働くことが決まってから申請します。たいていの国では雇用主が決まっていないと申請ができないため、審査に時間がかかる国だったとしても焦らず、内定が出てから申請してください。
自信がない人は転職エージェントを利用しよう
ひとりでやりきる自信がないという方は、転職エージェントを使ってみましょう。不慣れな海外転職を無料でサポートしてもらうことができます。
転職エージェントでは以下のようなサポートを受けられます。
- 自身の希望や適性、業界動向を元にした求人情報の提供
- 英文履歴書をはじめとする応募書類の書き方のアドバイス
- 面接に関するアドバイス、模擬面接の実施
- 面接日程の調整
- 面接のために渡航する際の交通費・滞在費の交渉
- 年収や待遇の交渉
- 入社日程の調整
- 在職中の人は、退社に関するアドバイス
- 移住に関する手続きなどについての情報提供
転職エージェントを使うと、海外転職への不安の多くはクリアになりますよね。
エージェントにも求人情報サイトと同様に、日本拠点のもの、海外拠点のものなどがあります。海外転職にまつわるノウハウを聞きながら活動を進めたいときは日本人に対応してもらえるエージェント、よりこだわった求人情報を聞きたい場合は海外の現地エージェントと複数使い分けるのもお勧めです。
基本的な流れ
海外に転職するにあたって転職する転職エージェントを利用する場合の基本的な流れは以下の通り。
(1)転職エージェントに登録する
ウェブサイト上から必要事項を記入し、転職エージェントに登録します。
(2)コンサルタントとの面談
エージェントのコンサルタントから連絡が入り、直接会う、あるいは電話などでの面談を行います。自分の希望する職種や経歴、能力などを詳細に伝えましょう。その内容を元に、希望に添った求人を紹介してくれます。
(3)応募
求人情報の中から自分の興味のある企業をピックアップし、コンサルタントに伝えます。すると事前に提出してある必要書類を、コンサルタントが企業側に渡してくれます。
(4)面接
書類審査が通れば、現地入りするか、電話やインターネットサービスを経由して面接を受けることになります。面接日程に関する企業側との交渉はコンサルタントがすべて行ってくれます。
(5)内定通知~入社
内定が出たらコンサルタントから連絡が入ります。年収や休暇などの諸条件、入社のタイミングの調整もしてもらえます。転職先の国に移住する手続きなどについても不安があれば尋ねることができます。
また、入社後のアフターフォローなどもあるので、困ったことがあれば相談してみましょう。
おもな転職エージェント
転職エージェントにもさまざまなものがありますが、日本に拠点のある代表的なところを紹介します。
- リクルートエージェント
大手人材会社リクルートの転職エージェント。登録すると非公開求人なども紹介してもらえるため、より自分に合った仕事を探しやすくなります。 - ビズリーチ
管理職・専門職などハイクラス向けに特化した転職エージェント。中国、韓国、香港、シンガポール、オーストラリア、北米、ヨーロッパなど海外転職の情報も多数掲載されています。 - JAC Recruitment
外資系・海外転職に強い転職エージェント。海外の転職エージェント転職セミナーを頻繁に開催するなど、相談しやすいサービスがあるのが特徴です。 - PASONA N A
アメリカの求人情報に特化した転職コンサルタント。現地拠点で集めた転職情報を提供してくれています。 - Reeracoen
アジアでの求人に特化した転職エージェント。シンガポール、バンコク、上海、ジャカルタ、セブ、マニラに拠点があります。現在求人数が多いのはタイとインドネシア。 - クイックグローバル
日本、中国、アメリカ、ベトナムのグローバル求人を紹介している転職エージェント。各国の求人情報を横断的に検索でき、アドバイスが受けられます。アメリカ企業を検索する場合はこちら。
【体験談】海外転職、やってよかったところと落とし穴
最後に、実際に海外に転職した人の体験談を見てみましょう。
成功談でも失敗談でも、きっと海外転職を具体的に考えていくためのヒントとなるはずです。
日本では毎日残業ばかりで、休日出勤も多く、なかなか家族と過ごす時間を作ることができませんでした。ニュージーランドに来てからは非常にメリハリのある仕事の仕方をしているので、帰宅も早く、家族と一緒に過ごす時間が格段に増えました。
もともと個人主義的な考え方だったので、日本で働いていたときは職場の同僚との飲み会や休日の付き合いの多さに辟易していました。
こちらではきちんと働けば評価してもらえる成果主義で、上司も同僚もプライベートには踏み込まず、非常に合理的。自分の仕事に集中できてとても働きやすいです。
子供のころから憧れていたイギリスで働きたくて転職活動を始めたものの、なかなかうまくいきませんでした。学生時代の留学経験に基づく英語力、そして5年間働いた経理の経歴を生かしたかったのですが、イギリスは失業率も高いため外国人はなかなか雇ってもらえず……。
結局、香港でイギリス系飲料メーカーに勤めています。でもまだ、イギリスで働くことはあきらめていません。
学生時代にインドの魅力に惹かれていたので働き始めました。現在こちらではそこそこの給料をもらってゆとりのある生活をしていますが、いずれは日本に帰りたいと考えています。
しかし、日本で再就職先を探すとなると、給料が下がって生活が苦しくなることは免れません。このまま一生インドで暮らすのか、決断を先送りにしてしまっています。
まとめ
以上が海外転職を考えている人のための、転職方法のまとめです。
もちろん転職活動の具体的な内容は、どんな国でどんな仕事をしたいかによって変わってきます。大切なのは自分が海外転職で何をかなえたいのかをしっかり見極めて行動すること。動き出してしまえば意外とスムーズに決まることも多いです。
この記事を参考に、ぜひ海外転職を実現させてください!