面接でうまく伝える方法も解説 【2023年版】転職理由ランキング
転職活動において「転職理由」は必ず聞かれる質問の一つ。「休みが少ない」「今の職場が合わない」など転職理由が前向きではない場合は、そのまま伝えてもいいのか悩みますよね。
この記事では、自分と同年代の人がどんな理由で転職に踏み切ったのか、転職理由をランキング形式で紹介します。言いづらい転職理由をうまく伝えて、面接官に好印象を与える方法を職種別の例文と合わせて解説します。
【20代~40代の年代別】転職理由ランキング
自分と同年代の人がどのような理由で転職しているのかを知ることは、面接で転職理由をどのように伝えるかを考えるヒントになります。
ここでは2023年発表の厚労省の調査結果をもとに作成した、転職理由ランキングを20代~40代の年代別に紹介します。
※厚生労働省による令和4年雇用動向調査の「転職入職者が前職を辞めた理由別割合」と「既就業者(転職入職者)」のデータをもとにランキングを作成。「その他の理由(会社都合、契約期間の満了など)」と「その他の個人的理由」は除外。割合は小数点以下第2位を四捨五入。
20代の転職理由ランキング
20代の転職理由ランキングの1位は「労働条件が悪かった」で14.0%を占めています。2位は同率で「給料等収入が少なかった」「人間関係が好ましくなかった」(7.8%)と続きました。
1位と2位で約2倍の差が開いていることから、特に「労働条件」に不満を感じている人が多いと見ることができます。結婚などのライフイベントを控える20代はワークライフバランスを重視し、労働時間や休日などの条件面で今よりもいい職場を求めて転職する傾向がありそうです。
なお、1位~3位に挙がった転職理由の項目は、男性と女性に違いはありませんでした。
30代の転職理由ランキング
30代の転職理由ランキングの1位は、20代と同様に「労働条件が悪かった」で13.0%を占めています。2位は11.0%で「人間関係が好ましくなかった」。3位が同率8.9%で「会社の将来が不安だった」「給料等収入が少なかった」と続きました。
30代のランキングを20代と比較すると、給与の項目が下がっています。これは30代は勤続年数が上がり昇給することで、比較的安定的な収入が得られるようになることが影響していると考えられます。
その一方で、担当の業務量が増えたり、チームのマネジメントを任されることで関わるメンバーが増えたりするため、人間関係に不満を感じる人の割合が高くなる傾向がありそうです。
40代の転職理由ランキング
40代でも転職理由として最も多かったのは「労働条件が悪かった」(11.4%)で、20代〜40代のすべての年代で1位という結果になりました。40代では2位が「職場の人間関係が好ましくなかった」(9.5%)、3位が0.3ポイントの僅差で「給料等収入が少なかった」(9.1%)と続きました。
なお、30代では3位にランクインした「会社の将来が不安だった」(8.9%)は、40代では3位に3ポイント以上の差(5.9%)をつけて4位になっています。
管理職などを任される40代は、若手〜中堅層よりも会社を背負う立場にいることが多くなります。経営自体を主体的に考える立場にいるからこそ、それ自体を客観視し、転職の理由にする人は少ないことが影響しているのではないでしょうか。
面接で言いづらい転職理由の上手な伝え方
各年代のランキングからわかるように、転職理由は決して前向きなものばかりではありません。しかし、本音の転職理由をそのまま面接官に伝えれば「意欲が感じられない」「同じ理由でやめるのでは?」と悪い印象を与えてしまいます。
この章では、転職理由がネガティブな場合でも好印象を与えられる上手な伝え方を解説します。
本音の転職理由をポジティブに言い換える方法
「残業が多くつらい」「人間関係に不満がある」など、本音の転職理由がネガティブな場合はポジティブに言い換えて伝えることが大切です。
ポジティブに言い換えた転職理由は、決して嘘ではありません。以下の流れで言い換えましょう。
本音の転職理由を
ポジティブに言い換える方法
- 不平不満を含む本音の転職理由を書き出す
- 書き出した不平不満を解消するために必要なことは何か書き出す
- 転職で実現したいことや理想の社会人像を書き出し、「2.」で書き出した要素と組み合わせる
まずは、転職理由を書き出しましょう。この際、前職で自分の価値観や考え方と合わなかった部分や、不満に感じていた環境・待遇など、直接は言いづらい本音も含めて洗い出すことが大切です。
次に、書き出した不満を解消するために必要な環境や求める待遇などを書き出します。ここでは転職先に求めるものだけでなく、理想を叶えるために自分自身が取るべき行動も意識しましょう。
例えば、前職の「年功序列の昇給制度で給与が低い」ことに不満があった場合、「評価を給与に反映してほしい」だけではなく「自分は実績を上げるために努力する」といった具合です。
最後に、今の会社に感じている不満を解消するために書き出した要素に、自分が理想とする働き方や転職先で実現したいことなどを組み合わせます。
くわしくは下記の職種別の例文で確認していきましょう。
職種別|転職理由の例文
いくつかの職種を例に、本音の転職理由をポジティブに変換する方法を紹介します。
本音をどのように言い換え、どのような要素を加えているのかを確認しましょう。
営業職×仕事内容が合わない
■本音の退職理由
「新規開拓営業をやっているが、初対面の人と話すのが得意ではない。日々のノルマのプレッシャーもきつく、今の仕事が向いていないと感じる」
↓
■ポジティブな言い換え
「商談のために作成した資料がわかりやすいと社内で評価され、他の営業メンバーに参考にされることが多かった。そこからチームの効率化を図ったり、仕組みを整えたりするバックオフィスの仕事に興味を持つようになった」
〈ポイント〉
- 営業の業務で苦手だったこと・不満だったことをそのまま伝えない
- 今の業務をきっかけに、他職種に興味が出てきたと言い換える
- 他者から評価されたエピソードなどから、一定の評価を得ていることを伝える
事務職×職場の人間関係が不満
■本音の退職理由
「基本的にデスクワーク中心の業務で、毎日決まった人と関わることになるが、その人たちとの関係性が悪く、職場の人間関係がしんどい」
↓
■ポジティブな言い換え
「中学時代からずっとバスケットボールをしており、チームで協力して1つの目標を目指すことが好きだった。仕事でもチームワークを重視した働き方をしたいと考えていたが、実際には個人で対応する業務が多く、チームで取り組む雰囲気を目指した働きかけを試みたが他メンバーの協力が得られなかった。そのため、まわりと協力しながらチームワークを活かせる職場で働きたい」
〈ポイント〉
- 転職先でも変わらない「事務職」自体の特性には触れない
- 理想とする働き方と、なぜその働き方をしたいのかという理由を伝える
- まわりへの不満だけにとどまらず、自身に問題がなかったかを振り返る
- 不満に対して自身が問題を解消するために努力したことを伝える
エンジニア×労働条件・給与に不満
■本音の退職理由
「業務量が多く、連日残業して対応しているが評価されず、給与も一向に上がらない。業務内容と待遇が見合っておらず納得いかない」
↓
■ポジティブな言い換え
「現在は多分野のシステム設計に対応している。今後はこの経験を活かしてジェネラリストとして業務のマネジメントに携わることを目指したい。そのために新しい環境でさらに多くの責任を担い、より大きな影響を与えられるように働きたい」
〈ポイント〉
- エンジニアとしてのキャリアプランを具体的に伝え、仕事への意欲をアピールする
- 給与や残業時間などの待遇・労働条件の不満だけを伝えない
- 不満を改善するために自身が努力することと、そのために必要な環境について触れる
保育士×仕事内容が合わない・給与に不満
■本音の退職理由
「子供の健康や安全に気を配り、プレッシャーを感じながらも一生懸命働いているが、給与が低い。毎日子供と遊んだり、抱っこしたりするため体力仕事で身体的にもきつい」
↓
■ポジティブな言い換え
「子供の健康や安全を守る責任のある仕事を経験してきた。保育士として培ったコミュニケーション能力や指導力を活かし、新たな分野でキャリアを築きたいと考えた」
〈ポイント〉
- 未経験での転職では、前職で得たスキルのなかでも活かせそうなものをアピールする
- 「新たな業界でもまた業界批判するのでは?」と悪印象を与えるため、前職への業界に対する不満は伝えない
看護師×労働条件に不満
■本音の退職理由
「夜勤が多く、人手不足のため休みも取りづらい。せっかくの休日に職場から急に呼び出されることもしばしば。しっかりと休みが取りたい」
↓
■ポジティブな言い換え
「看護師としてスキルアップするための資格を取得したいため勉強しているが時間が足りない。自己学習などのスキルアップの時間を計画的に確保できる環境で働きたい」
〈ポイント〉
- 夜勤や呼び出しが多いなど、面接官が認識している職種の特性をあえて強調する必要はない
- 「休みたい」を理由にするのではなく、「休みを使ってどんなことに取り組みたいのか」まで伝える
- キャリアプラン実現のために取り組みたいことを伝えることで、仕事への意欲をアピールできる
このほか「短期間で転職する場合」や「会社の将来性が不安な場合」など例文については、下記の記事で解説しています。
コラム:なぜ面接で転職理由が聞かれるの?
企業が面接で転職理由を聞くのは「自社で長く働いてもらえる人材か」を見極めるためです。企業からすれば、同じような理由ですぐに退職されては困りますし、入社後のミスマッチも防ぎたいと考えています。
面接官は転職理由の質問をきっかけに、応募者の希望を自社の業務内容や労働条件で実現できるのかを含めて、互いの考えをすり合わせています。そのため、応募者側は転職で叶えたいことを明確にした上で、自分の考えを伝えるようにしましょう。
不安点や気になることがあれば、逆質問をして疑問を解消することも大切です。
「転職理由」の伝え方以外の面接準備もチェック!
自己紹介、志望動機、キャリアプランなど、面接で必ず聞かれる定番の質問がいくつかあります。質問の流れや回答の作り方について、下記の記事でくわしく紹介しています。
また、面接当日に焦らないように、ふさわしい服装や当日の流れ・マナーも確認しておきましょう。下記の記事では、おすすめの練習法や受かるためのコツ・ポイントを紹介しています。
この記事の執筆者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。