税理士
資格内容
税理士とは、税務上のルールを理解して、依頼者に対して税務情報を正確に伝達すること、そして税務についてのきめの細やかな指導を行うことを目的とした国家資格です。
日本の税法は複雑で、ご自身が事業で業績を考える際、また相続や贈与によって資産を取得したなどの場合に、利益額や納税額を計算することは意外に難しくなっています。さらに、政策的な理由などにより規定された特例を選択しようとする時はなおさらです。そのような時に、税理士が税務のスペシャリストとして、納税者の依頼を受けて税務書類を作成し、それに関するアドバイスを行います。
仕事内容は税務会計が中心ですが、その知識を活かして経営コンサルティングを行うなど、活躍の場も多岐に渡っています。特に税務代理、税務書類の作成、税務相談などは独占業務であり、これらの需要は安定しています。
税務代理では、申告・申請の代理、税務調査の立会い、税務署の決定に不服のある場合の不服申立て・その他について代理します。税務相談では、税金についての申告や主張・陳述、または申告書の作成に関して、納税者が疑問に思ったり、分らないことがあったりした場合に、適切なアドバイスを行う業務です。そして税務書類の作成では、税務官公署に対する申告書、申請書、請求書、不服申立てなどの書類を作成し、納税者に代わって提出します。
税理士試験は、5科目合格によって最終合格となりますが、資格を得るためにはこの試験の合格に加えて、ある一定の実務経験がなければいけません。試 験は毎年1回、7月下旬から8月上旬に行われます。
税理士試験の最大の特色は、科目合格制度であるということです。一度合格した科目はその結果がずっと認められるため、5科目を同時に合格する必要はありません。したがって、他の国家試験と比べても比較的社会人が受験しやすい資格と言えます。
資格概要
■ 受験資格
以下のいずれか一つに該当する方が受験できます。
(1) 会計士補、または会計士補となる資格を有する方
(2) 大学・高専の卒業者で、法律学または経済学を修めた方、または大学卒業と同等以上の学力があると認められた方、財務省令で定める大学・専修学校・大学校で法律学または経済学を修めた方
(3) 次の事務または業務に従事した期間が3年以上の方
・ 税務官公署における事務、その他の官公署における国税・地方税に関する事務
・ 行政機関における一定の行政事務
・ 銀行・信託会社・保険会社・特別法により設立された金融法人など
(4) 司法試験第2次試験に合格した方
(5) 国税審議会が法律学または経済学に関し、(3)・(4)と同等以上の学力を有すると認定した方
■ 試験方法・内容
・会計学に関する2科目(簿記論・財務諸表)は必須
・税法に関する9科目[ (1)所得税法・(2)法人税法・(3)相続税法・(4)消費税法・(5)酒税法・(6)国税徴収法・ (7)住民税・(8)事業税・(9)固定資産税 ]の中から3科目選択
※ただし、(1)と(2)についてはどちらか一つを必ず選択しなければならず、(4)と(5)、(7)と(8)はどちらか一方のみ選択可能で、両方を選ぶことはできません。
以上の内容について、1回に受験できるのは会計学2科目、税法3科目の合計5科目で、それぞれ筆記試験になります。また、一度に合計の5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもかまいません。
■ 試験日程
7月下旬から8月上旬頃に3日間
■ 受験料
1科目 3,500円
2科目 4,500円
3科目 5,500円
4科目 6,500円
5科目 7,500円
■ 問い合わせ先
日本税理士連合会
URL http://www.nichizeiren.or.jp/
国税庁国税審議会税理士分科会
〒100-8978 東京都千代田区霞が関3-1-1
TEL 03-3581-4161
URL http://www.nta.go.jp/
転職アドバイス
税理士資格は簿記資格と同様に、経理・財務・経営企画職といった職種で活かせる資格ですが、より税務業務に特化された職種でもスキルや知識が発揮されます。
具体的には、税務調査に関わるマネジメント、節税計画への参画・貢献、税務コンサルティング・アドバイス等です。また、移転価格、配当計画、税務予測・報告、税金会計や、企業組織再編に関わる税務マネジメント等においても、この税理士資格が活きてきます。もちろん会計士事務所や会計アウトソーシング会社においても、企業向けの会計・税務に関する指導、そして直接経営に関わる業務等にも携わることができるでしょう。