退職祝いに「のし」が必要なケースと、選び方・書き方

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退職する人へのはなむけとして贈り物をするとき、「のし」が必要なのか迷ったことはありませんか?

水引はどの形がふさわしいのか、表書きはどう書けば良いのか、連名で贈りたいけど書き方が分からない…など、いざ「のし」を使うとなると、戸惑う場面に遭遇するかもしれません。

ここでは退職祝いを送る際につける「のし」の選び方と書き方についてまとめ、いざという時にスムーズに対応するためのノウハウをお伝えしたいと思います。

【目次】
0.そもそも退職祝いにのしは必要なのか?
退職祝いにはのしを付けるのが無難
基本的にはお店の人に任せればOK
1.正しい退職祝いの「のし」の選び方と表書き
これが正解! 退職祝いの正しい「のし」
表書きは「御礼」以外に「謹呈」でもOK
目上の人に現金を贈るのは厳禁!
手渡しするなら「外のし」、郵送の場合は「内のし」に
「のし」とは「乾燥させたあわびを色紙で包んだもの」
2.複数、連名…ケース別「贈り主」の書き方
会社から複数人で贈る場合は「○○一同」
「○○一同」に代表者名を添える場合は、代表者名を大きく
個人名を入れたい場合は中央にフルネームで書く
3名以内なら「右から地位の高い順」に書く
贈る相手を書く場合はのしの左上に
3.退職理由別 のしの選び方・書き方のポイント
転職、独立する人には祝福と激励を込めて「御贐(おはなむけ)」
結婚退職する人には「結びきり」の水引を
蝶結びは「何度あっても良いこと」、結びきりは「一度きりが良いこと」に使う
出産退職者にも「御礼」とし、「祝」は使わない
定年退職は「人生の終わり」ではないから「結びきり」を使わない
4.まとめ

0. そもそも退職祝いにのしは必要なのか?

退職する人に会社や部署を代表してお祝い品を用意することになった場合は、のしのマナーにも気をつけてみましょう。

退職祝いにはのしを付けるのが無難

ichidou会社を辞める人に対して退職祝いを送る際は、基本的にはのし(のし紙)を付けたほうが無難です。改まった贈り物であることや、感謝の気持ちを伝えることができます。

とくに上司や定年退職の人など相手が目上の場合は、格式を考えて必ずのしをつけるようにしましょう。また、会社や部署全体から正式に渡す場合にも必要です。

逆に退職祝いであっても、仲の良かった同僚に個人的にプレゼントを送る場合や、有志の数名で金額が低いものを渡す場合などは、カジュアルにのし紙なしのラッピングで済ませても失礼にはなりません。
「誰から(会社や部署全体、有志、個人など)誰へ贈るか」という関係性を踏まえつつ、「迷ったらのしを付ける」と考えておけば問題ありません。

ただし、品物の種類によっては、のしが不要な場合もあります。

<のしが不要なケース>
・酒類
・生鮮食品(魚介類、肉など)

基本的にはお店の人に任せればOK

のしの準備は、基本的にはお店の人に任せてしまえばOKです。
デパートなどで品物を購入すると、ラッピングの際に必ず「のしはお付けしますか?」と聞かれます。その際に「上司への退職祝いを送るのですが」などと相談すれば、正しいものを付けてくれます。
ただし、贈り主の名義をどうするかはあらかじめ確認しておきましょう。

ネットショップやのしを付けてくれないお店で購入したなど、自分でのしを書かなければならない場合は、1章以降を参考にしてください。

1.正しい退職祝いの「のし」の選び方と表書き

退職祝いに自分でのしを付けなければならない場合の選び方と、正しい表書きの書き方をまとめていきます。お店の人に頼もうと考えている人も、念のため事前に確認しておくと安心です。

これが正解! 退職祝いの正しい「のし」

退職祝いを贈る際につける「のし」は、「紅白・蝶結び(花結びとも言う)の水引」に、毛筆で「御礼」と書くことが基本です。
ところで「のし(熨斗)」とは、正確には、表書きの右上についている飾りのことを指します。のし・水引などが書かれた用紙のことは、「のし紙」というのが正式です。
ただし、この記事ではのし紙を指して「のし」と話を進めます。

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<退職祝いの「のし」の選び方と書き方のポイント>
(1)水引は「紅白」で「蝶結び」のものを使う
水引の色は「紅白」(のし紙に印刷されている場合は、赤と銀または赤と金)で、「蝶結び」のものを使用しましょう(ただし結婚退職の場合は結び切り)。
水引の本数は、5本もしくは7本のものを選びましょう。本数は、蝶結びの先端の線の数を数えると分かりやすいです。

(2)表書きには「御礼」と書く
表書きには「御礼」と書き記しましょう。
贈る側が贈る相手へ「今までお世話になった感謝の気持ち」を表すことに焦点を置くことで、さまざまな退職のシチュエーションに対応できるという利点があります。

(3)水引の中央下部に贈り主の名前を書く
水引を挟んで表書きの真下に、贈り主の名前を書きます。
部署からの場合は、「株式会社◯◯ △△部一同」と2行で書き、部署名のほうを大きく書きます。個人で送る場合は中央に自分の名前をフルネームで書けばOK。
その他、詳しくは2. 複数名、連名……ケース別「贈り主」の書き方」で解説します。

(4)筆記用具は必ず「毛筆」か「筆ペン」を使う
表書きや宛名には正式には毛筆を使い、楷書で丁寧に書きます。
毛筆で書きにくい場合は、筆ペンや太めのフエルトペンでも代用できますが、ボールペンや万年筆の使用は避けましょう。必ず濃い色の墨や黒インクを使用し、薄墨や他の色は使ってはいけません。
また、書き文字に自信のない人はパソコンで作成してもかまいません。その際のフォントは明朝体など、毛筆に近く読みやすいものを選ぶと良いでしょう。

表書きは「御礼」以外に「謹呈」でもOK

「御礼」以外に退職祝いで使用できる表書きとしては、もうひとつ、「謹呈」が挙げられます。
「謹呈」とは、「謹んで差し上げる」ことを意味し、相手に敬意と礼儀正しさを表す言葉です。少し畏まった雰囲気を出したい場合に、お勧めします。

一方、使うのを避けた方がいい表書きもあります。

「御祝」「御退職御祝」「祝定年退職」
定年まで職を全うした人や、前向きな理由での退職であることが明らかである場合は構いませんが、リストラや左遷など、退職者の本意でない退職である場合などは、「祝」の文字は避けるべきです。
また、人によっては「退職者が職場を離れることを喜んでいる」というように受け取られるケースもあるようなので、そうした点を気にしそうな相手にも、「祝」の字は入れないほうが無難です。

「餞別」
「餞別」「御餞別」などの表書きは、上司や目上の人に向けて使用するのはマナー違反。同僚などに贈る退職祝いには、使っても構いません。
ちなみに「餞別」とは、「別れのしるしに贈る金品」のこと。目上の人に現金で退職祝いを渡すことも禁物です。

【コラム】目上の人に現金を贈るのは厳禁!

プレゼントだと、退職者の趣味嗜好などを良く知らないので、ここは無難に現金を贈ろう、と考える人もいるかもしれませんが、上司や年長者など目上の人に現金で退職祝いを贈ることは、一般的にはタブーとされています。
同僚などに対しては構いませんが、目上の人にはできる限り、品物を選んで贈るようにしましょう。
何を贈ればいいのか迷ったときは、当サイトの以下の記事を参考にしてください。

失敗しない! 理由・性別・年代別 退職のプレゼントの選び方
女性に贈る退職祝いの4つのマナー&オススメ商品

ただし、目上の人でも、本人の希望であったり、その人の好みに配慮した心遣いが伝わるものであれば、商品券や金券、プリペイドカードなどは贈ってもOK
例えば、旅行好きな人に旅行券、音楽鑑賞が趣味の人に音楽データを購入できるプリペイドカードを贈る、といった形であれば、喜んでもらえるでしょう。

現金を包む際ののし袋については、品物につけるのしのルールに則れば問題ありません。金額が1万円を超える場合は、水引が袋に印刷された簡易タイプではなく、きちんと水引がついているものを使いましょう。
また、せっかくのしに筆で名前を書いたのに、墨やインクが乾く前に水引をはめようとして、インクで紙が汚れてしまうという失敗をしてしまいがちです。水引をはめる際には、のしの墨やインクが完全に乾いたことを確認しましょう。

手渡しするなら「外のし」、郵送の場合は「内のし」に

のしのかけ方には、「外のし」と「内のし」の2パターンがあります。
「外のし」は、包装紙の上にのし紙をくるむことで、「内のし」は、品物に直接のし紙をかけ、その上から包装紙などでくるみ、外からはのしが見えないようにすることを言います。

退職祝いを手渡しできるのであれば、贈る目的がすぐに伝わるよう、外のしにし、これまでの感謝の気持ちを一言添えて渡しましょう。
品物を郵送する場合は、のし紙に汚れや傷が付かないよう、内のしにします。

一般的に、“贈る”ということを控えめに表現したい内祝いなどでは内のしが適しているとされていますが、退職祝いの場合はこの点を気にする必要はないので、手渡しするか郵送かで、外のしと内のしを使い分けましょう。

【コラム】「のし」とは「乾燥させたあわびを色紙で包んだもの」

noshiawabi「のし」という言葉の起源は、酒の肴(さかな)であった鮑(あわび)を細くむいて引き伸ばした「のしあわび」を乾燥させて色紙に包み、神様へのお供え物として、慶事の贈答品に添えられていたことに由来すると言われています。
その製法から、「伸ばす、永遠に」という意味が込められた縁起物として扱われてきました。

この「のしあわび」を絵に描き、のし紙に印刷することで、当時の文化を継承しつつ簡略化したものとして、現在の「のし紙」の形式に至りました。

「のし」をつけて贈る、ということは、生ものを神様へのお供え物として献上する、という考え方に基づいているため、贈り物自体が鮮魚や肉などの生鮮食品や酒類の場合、「のし」をかけることは不要とされます。
また、不祝儀や病気見舞い、災害見舞いなどには、生ものや引き伸ばすこと嫌うため、「のし」を付けないということも覚えておきましょう。

 

2.複数、連名…ケース別「贈り主」の書き方

個人で送る場合や、「◯◯社一同」「◯◯社 ××部一同」という場合は真ん中に贈り主を書けばOKですが、「代表して社長の名前を入れたい」「全員の名前を入れたい」など、他の人からの要望で悩むこともありますよね。
贈り主の書き方について、ケース別に解説していきます。

会社から複数人で贈る場合は「○○一同」

退職祝いを会社や課の一同から連名で贈る場合は個人名を入れず、「○○一同」「○○ 有志一同」などとまとめて書きます。○○には、会社名、部署名などを入れます。
「○○一同」の内訳について明確に伝えておきたい場合は、贈り主全員の名前を書いた紙を贈り物や包装紙の中に入れておくと良いでしょう。

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「○○一同」に代表者名を添える場合は、代表者名を大きく

代表者名を入れる場合は、「代表者名 他○○一同」と書き、代表者名のほうを大きく書きます。バランスに注意して書きましょう。

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個人名を入れたい場合は中央にフルネームで書く

個人から贈る場合は、個人名をフルネームで、中央に書きましょう。1~3名までは連名で書いて構いませんが、4名以上になる場合は「◯◯一同」を使用しましょう。
また、複数人の名前を書きたい場合は、順番にも配慮が必要です。

3名以内なら「右から地位の高い順」に書く

連名の場合は、右から地位・年齢の高い順に書きます。特に立場の差がない場合は、右から五十音順で書きましょう。
氏名を書く左右のバランスは、2つの方法があります。最も格上の人の氏名を中央に書き、2番目の人はその隣に、3番目の人は最も左に書く方法と、見栄えを重視して連名全体が中央に来るように書く方法です。

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贈る相手を書く場合はのしの左上に

贈る相手の名前を書きたい場合は、のしの左上に書きます。
この際、贈り主を複数人書く順序は「左から格の高い順」または「左から五十音順」。通常と左右逆になりますので注意しましょう。

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3.退職理由別 のしの選び方・書き方のポイント

退職祝いを贈る際には、贈る相手の退職理由を鑑み、状況に応じてのしの水引や表書きを使い分けたほうが良い場合があります。

基本的には、1.正しい退職祝いの「のし」の選び方と表書きで解説した通りに選択、表記すれば問題ありませんが、ここでは、退職理由ごとに特に気をつけるべき、のしにまつわる注意点やポイントをまとめていきたいと思います。

転職、独立する人には祝福と激励を込めて「御贐(おはなむけ)」

退職する人の転職先がすでに決まっている、独立・起業する場合どは、表書きに「御贐(おはなむけ)」と書いても良いでしょう。

「はなむけ」とは、旅人が向かう方向に馬の鼻を向けて(=鼻向け)、旅の無事を祈ったことに由来し、転じて旅に出る人の無事を祈って宴を開いたり、金品を渡すことを指すようになりました。

こうした点から、特に退職者の新たな旅立ちを祝福したいときには、「おはなむけ」と書き添えると、より気持ちが伝わりやすいかもしれません。

結婚退職する人には「結びきり」の水引を

退職祝いの水引は、基本的には「蝶結び」を選べば問題ありませんが、結婚を理由に退職する、いわゆる「寿退社」の人には、「結びきり」の水引を使いましょう。
※別途「結婚祝い」を贈る場合は、退職祝いは省略して良いとされます。

何故、結びきりの水引が良いのかについては、以下で解説します。

蝶結びは「何度あっても良いこと」、結びきりは「一度きりが良いこと」に使う

水引には主に、「蝶結び」「結びきり」「淡路結び」の3種類があります。

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蝶結び
何度もほどいたり結んだり結び直しができることから、「何度あっても良いこと」に使用します。逆に何度もあっては困ること、例えば結婚式、快気祝い、お見舞いなどには使用しません。

結び切り
一度だけで繰り返さないという意味を込め、二度とほどけないほど固く結び、「何度もあってはいけないこと」に使用します。結婚にまつわるお祝い事には「結びきり」を使うことが良いとされます。

淡路結び
関東と関西で使い方が異なり、関東では結び切りと同じ使い方をするほか、仏事用として白黒の淡路結びが使われます。
一方、関西では、あらゆるお祝い事から仏事用まで、さまざまな場面で淡路結びが使われます。関東では蝶結びが使われるシーンでも、関西では淡路結びを用いることが多いようです。

出産退職者にも「御礼」とし、「祝」は使わない

出産を機に退職する人に対する表書きも、「御礼」としておくのが無難です。
「出産はおめでたいことだから、“御祝”とするのが良いかな」と考えがちですが、すべての出産が必ずしも“安産”で“無事”とは限りません。
万が一のケースに備え、表書きに「祝」の文字は使わないでおきましょう。

定年退職は「人生の終わり」ではないから「結びきり」を使わない

定年退職というと、職務を全うした=完結した、というイメージから、「結びきり」の水引が良いと連想されがちですが、定年退職の場合は、結びきりよりも蝶結びの水引を選ぶべきです。

定年退職後にもその方の人生は続くわけで、再雇用されて第二の人生を歩む人も多い時代です。そこで結びきりの水引を使うと「あなたの人生はこれで終わり!」と言っているともとらえられかねません。
退職後の人生にエールを送る意味でも、蝶結びの水引を選択しましょう。

4.まとめ

いかがでしたか?
「のし」にもさまざまな種類があり、退職祝いに適した形式があることや、退職の理由や状況に応じて、表書きや水引を使い分ける必要があることがお分かりいただけたかと思います。

退職する人を気持ちよく送別するためにも、マナーを押さえて「のし」を選びましょう!