休憩は含む?平均はどれくらい? 就業時間の意味は?

会社の就業規則や求人情報に書かれている就業時間。休憩時間は含まれているのか、平均時間はどれくらいなのかなど、ふと疑問に思いますよね。

ここでは、就業時間の定義一般的な就業時間の長さを紹介します。また、変形労働時間制度フレックスタイム制度など、就業時間が変動する制度についても解説します。

就業時間とは?

ここでは、就業時間の意味や一般的な就業時間の長さについて説明します。

就業時間とは始業から終業までの時間

就業時間とは、始業から終業までの時間帯のことです。

【就業時間とは「始業から終業までの時間帯」のこと】

例えば、始業時間が9時、終業時間が18時の場合、就業時間は「9時~18時」の9時間となります。始業時間と終業時間は就業規則に定められており、会社によって異なります。

就業時間と意味が混同されやすい言葉に「労働時間」がありますが、これは休憩時間を除き、実際に働く時間を指します。

休憩時間についてくわしくはこちら

就業時間は8時半超~18時の間が多い

東京都産業労働局の調査によると、約半数の会社が始業時間を8時半超~9時の間にしています。

また、終業時間を17時超~17時半にしている会社は約33%、17時半~18時は約23%のため、約半数の会社が就業時間を17時~18時に設定しているようです。

就業時間は会社によって異なるため、転職・就職先の企業の就業時間を把握したい場合は、求人情報から確認しましょう。

ちなみに、公務員の場合は、各自治体や組織ごとに就業時間が定められています。例えば、国家公務員は8時半始業、17時終業であるケースが一般的です。

※参考:労働時間管理に関する実態調査|東京都産業労働局

コラム:勤務時間や実働時間、何が違う?

勤務時間や実働時間などは「就業時間」と意味が混同されやすい言葉です。改めてそれぞれの意味の違いを確認しておきましょう。

勤務時間・就労時間・業務時間

就業時間と同じで、始業から終業までの時間を指します。ただし業務時間は、主に役所の就業時間を指す言葉として使われる傾向があります。

実働時間

実際に業務を行っている時間を指します。労働時間と同じ意味の言葉です。

営業時間

店が営業を行う、開店から閉店までの時間を指します。店で働く従業員の就業時間とは異なります。

「制度」によって変化する就業時間

就業時間は一般的に、年間を通して変わることはありませんが、勤務時間制度によっては日々の就業時間が変動する場合があります。

ここでは代表的なケースとして「変形労働時間制度」と「フレックスタイム制度」が適用される場合、それぞれの就業時間の具体的な変化について解説します。

ちなみに、変動的な勤務時間制度のほかにも、勤務形態にシフト制が適用されている場合も就業時間が変化します。

変形労働時間制度の就業時間

変形労働時間制度の場合、就業時間が「1週間」「1カ月」「1年」といった期間で変化します。

その背景には、業種や業界に特有の繁忙期・閑散期に合わせて効率的に業務を進める狙いがあります。

変形労働時間制度とは

一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えない限り、その期間内では特定の日または週に1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて働ける制度です。

就業時間が長くなる日が発生するとは言え、働きすぎないよう1日や1週間の労働時間には上限が設けられていることがあります。

ここからは、変形労働時間制で具体的にどのような就業時間になるのか、「1週間」「1カ月」「1年」の単位別に説明します。

「1週間」単位の変形労働時間制度の場合

1週間単位の変形労働時間制度では、就業時間は日によって変化します。

以下は、1週間単位の変形労働時間制度が適用されて、就業時間が平日と土日で変わるケースです。

〈通常の就業時間〉

  • 平日:9時~18時(休憩1時間・8時間労働・週2日休み)
  • 土日:9時~18時(休憩1時間・8時間労働)

〈1週間単位の変形労働時間制度の場合の就業時間〉

  • 平日:9時~16時45分(休憩45分・7時間労働・週2日休み)
  • 土日:9時~19時(休憩1時間・9時間労働)

【「1週間」単位の変形労働時間制度〈例〉】Point!/・1日の労働時間の上限は10時間/・1週間の労働時間が40時間以内になるように定められている/・労働時間が40時間を超えた場合は割増賃金が支払われる

1週間単位の変形労働時間制度の場合、1日の労働時間の上限は10時間です。

このような働き方は、1週の間に繁忙・閑散の波がある小売業や旅館、飲食店などの業界で30名未満の規模の場合に採用されています。

「1カ月」単位の変形労働時間制度の場合

1カ月単位の変形労働時間制度では、就業時間は1カ月の間で日や週によって変化します。

以下は、1カ月単位の変形労働時間制度が適用されて、月初の1週間の就業時間が長くなる

ケースです。

〈通常の就業時間〉

  • 9時~18時(休憩1時間・8時間労働・週2日休み)

〈1カ月単位の変形労働時間制度の場合の就業時間〉

  • 月初の1週間9時~20時(休憩1時間・10時間労働・週2日休み)
  • 残りの3週間9時~16時45分(休憩45分・7時間労働・週2日休み)

【「1カ月」単位の変形労働時間制度〈例〉】<月/火/水/木/金/土>第1週/8時間/8時間/8時間/8時間/8時間/所定労働時間40時間|第2週/6時間/6時間/7時間/7時間/8時間/1/4/2/1/所定労働時間:38時間|第3週/6時間/8時間/8時間/10時間/10時間/1/所定労働時間:42時間|第4週/6時間/6時間/8時間/8時間/4/2/4/2/所定労働時間:36時間|第5週/8時間/7.1/0.9/所定労働時間:16時間

1カ月単位の変形労働時間制度の場合、1週間、1年単位の変形労働時間制度と違って、1日の労働時間の上限は定められていません。

こういった働き方は、月初が忙しい経理職のように、ひと月ごとに繁忙期がある職種でよく見られます。

「1年」単位の変形労働時間制度の場合

1年単位の変形労働時間制度の場合、就業時間は1カ月以上1年以内の期間で日や週ごとに変化します。

以下は、変形労働時間制度が特定の3カ月間(12週間)適用されて、その内の第4週から第6週の就業時間が長くなるケースです。

〈通常の就業時間〉

  • 10時~19時(休憩1時間・8時間労働・週2日休み)

〈1年単位の変形労働時間制度を3カ月間適用している場合の就業時間〉

  • 第4週~第6週10時~21時(休憩1時間・10時間労働・週2日休み)
  • それ以外の週:10時~17時45分(休憩45分・7時間労働・週2日休み)

【「1年」単位の変形労働時間制度〈例〉】Point!/・労働時間の上限は、1日10時間、週52時間/	※ただし連続労働日数に限度あり/・対象期間は1ヶ月~1年以内に限る	/・1カ月内を平均した1週間の労働時間が40時間以内になるように定められている

1年単位の変形労働時間制度の場合、労働時間の上限は、1日10時間、週52時間と定められています。

こういった働き方は世間の大型連休中に忙しいタクシー運転手など、1年を通して繁忙期・閑散期がある職種・業種で採用されています。

フレックスタイム制度の就業時間

フレックスタイム制度の場合、全社で固定された始業時間・終業時間がないため、就業時間は自分で毎日自由に調整できます

ただし、就業時間に関して全く制限がないわけではなく必ず出勤していなければならない時間帯(コアタイム)が設けられている場合、その時間帯は働く必要があります。

また、日々の就業時間・労働時間を自由に調整できますが、3カ月間という一定の期間(清算期間)内で決められた総労働時間分は最低限働かなければなりません

フレックスタイム制度とは

個人がライフスタイルに合わせて自律的に働けるよう、一定の期間内で定められた総労働時間分の範囲内で、労働者が自由に始業時間・終業時間・労働時間を決められる制度です。

制度にコアタイムとフレキシブルタイム(個人の選択で労働時間を決められる時間帯)を設けている会社もあります。

上にある図の例では、「10:30~15:30」がコアタイム、「6:00~10:30」「15:30~」がフレキシブルタイムです。そのため、働き方は下記のようになります。 6:00~10:30(フレキシブルタイム)…この時間帯のどこかで、出社すればOK 10:30~15:30(コアタイム)…必ず出社しなければならない時間帯 15:30~(フレキシブルタイム)…この時間帯なら、どのタイミングで退社してOK

例えば10時~15時をコアタイムとしている会社に勤めている場合、10時までの好きなタイミングで出勤し、15時以降は自由に退勤できます。

以下は、フレックスタイム制度の場合の「始業・終業・労働時間」に関する、就業規則の記載例です。

〈就業規則の例〉

  • 清算期間は1カ月間とする
  • 清算期間内の総労働時間は154時間とする
  • 1日の標準労働時間は7時間
  • コアタイムは10時から15時まで
  • フレキシブルタイムは、始業・終業それぞれ下記の時間帯とする
    始業時間帯=6時から10時までの間
    終業時間帯=15時から19時までの間

 フレックスタイム制度では就業時間が設定されていないため、その日の都合に合わせて出勤・退勤時間を調整できて、仕事とプライベードを両立しやすいでしょう。

一方で、時間にルーズになりやすく、自己管理が求められる大変さもあります。

フレックスタイム制についてくわしく

就業時間にまつわるQ&A

ここでは、就業時間に関してよくある疑問に答えます。

就業時間外の着替えや朝礼ってアリ?

就業時間の前後に着替えや朝礼を行うよう会社から指示された場合、時間外手当をもらえる可能性があります

下記のいずれかの条件に当てはまる場合は、着替えや朝礼が時間外労働にカウントされるためです。

〈時間外労働に該当するケース〉

  • 着替えや朝礼への参加が会社から強制されている場合
  • 着替えをしなかったり朝礼に参加しなかったりすることで業務に支障が出る場合

一方、上記の条件に該当しない終業後の着替えについては、時間外労働にならない可能性があります。

〈就業時間外の着替え〉

  • 時間外労働に当たるケース始業前の私服から制服への着替え
  • 時間外労働に当たらないケース:終業後の制服から私服への着替え

もし上記の条件に当てはまる職場で働いていて、着替えや朝礼が就業時間外に行われている場合は、それらを就業時間内に行えるよう会社に伝えるか、時間外手当を請求しましょう

時間外手当の請求方法についてくわしく

パートタイマーに就業時間の制限はある?

パートタイマーのみを対象とした就業時間の制限はありません

パートタイマーに限らず、法律では労働時間の上限が1日8時間に定められています。そのため、就業時間も休憩時間の含んだ9時間以内で設定されているはずです。

ただし、変形労働時間制が適用されている場合は、たとえパートタイマーでも就業時間が9時間を超える日があります。

半休をとった場合の就業時間は?

半休を取った場合の就業時間は会社ごとに異なり、午前半休の場合と午後半休の場合で就業時間の長さが変わることもあります

例えば、通常の就業時間が8時半~17時半で休憩時間が12時~13時の会社の場合、午前半休を取ると13時~17時半の4時間半、午後半休を取ると8時半~12時の3時間半が就業時間になります。

 【午前半休と午後半休で就業時間の長さが変わる場合】■午前半休(4時間半勤務)/■午後半休(3時間半勤務)

午前半休・午後半休を取った場合の就業時間についても、就業規則で確認できます

まとめ

就業時間は始業から終業までの時間を指します。

始業時間と終業時間は特別な事情がなければ固定されるのが一般的ですが、変形労働時間制度やフレックスタイム制度が採用されている場合は、日によって変わります。

就業時間によって働き方やプライベートの過ごし方が変わってくるため、求人情報や就業規則で確認しておきましょう

(作成:転職Hacks編集部)

この記事の監修者

特定社会保険労務士

成澤 紀美

社会保険労務士法人スマイング

社会保険労務士法人スマイング、代表社員。IT業界に精通した社会保険労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。顧問先企業の約8割がIT関連企業。2018年より、クラウドサービスを活用した人事労務業務の効率化のサポートや、クラウドサービス導入時の悩み・疑問の解決を行う「教えて!クラウド先生!®(商標登録済み)」を展開。

社会保険労務士法人スマイング 公式サイト

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