ES・面接で使える例文も 「企業選びの軸」の書き方&考え方
エントリーシート(ES)や面接で聞かれる項目の中に、「企業選びの軸」があります。
企業選びの軸とは何なのか、どのような答え方をすれば高い評価が得られるか、例文付きで詳しく解説いたします。
企業選びの軸の決め方と注意点
まずは、企業選びの軸の決め方と、決める際の注意点をご紹介します。
企業選びの軸とは就職・転職でゆずれない条件のこと
企業選びの軸とは、就職先・転職先の企業を決める上で譲れない条件のことを指します。例えば、以下のようなものが該当するでしょう。
<企業選びの軸の例>
- 生活の根幹を支える影響力の大きなサービスを提供できること
- エンドユーザーに近いところで仕事ができること
- グローバルに活躍し、途上国の発展に貢献できること
- 持ち前の英語力を生かせること
自分がやりがいを持って働くために重視していることを一言でまとめたものが企業選びの軸になります。
企業はなぜ企業選びの軸を聞くの?
企業が企業選びの軸を聞くのは、新入社員と自社とのミスマッチを防ぐためです。
企業でやりたいことや望んでいる環境がわかっていれば、応募者が自社の求める人材像とマッチするかを見極めることができるため、入社後のギャップや早期離職を防ぐことができます。
逆に企業選びの軸があやふやだと、入社後にミスマッチが起こる可能性が大きく、入ってから“合わない”と感じてしまうリスクがあります。
企業選びの軸を決めるときには自己分析が重要
企業選びの軸を決めるときには自己分析が重要です。ここでは自己分析の方法について解説します。
モチベーションが上がるポイントを分析する
まずはモチベーションが上がる条件を分析します。「何をしているときにモチベーションが上がるのか・下がるのか」を紙に書き出し、自分が何に興味があるか・何を重視しているかを探ってみましょう。
例えば、一人でトレーニングをしているときよりもチームスポーツに取り組む方がモチベーションを上げられるという人は、チームで何かを成し遂げることに向いています。企業選びの軸として、「チームで何かを成し遂げること」を重視すると良いかもしれません。
このように、過去の行動や経験から自分のタイプがわかってきます。
インターン・OB訪問をする
インターンやOB訪問も自己分析のためには有効です。その理由は、実際に現場で働いている人とコミュニケーションをとることができるから。一緒に働きたいと思った人、逆にこの人とは働きたくないと思った人がいたら、どうしてそう思ったのかを考えてみましょう。
例えば、あなたが一緒に働きたいと思っている人に社会貢献の意識が高く面倒見が良い人が多いなら、あなたの企業選びの軸は「世の中に貢献できているという実感があり、かつチームで協力して仕事ができること」かもしれません。
このようにして何人かの社会人の話を聞いてみると、自分の興味や適性が見えてきます。
適職診断を活用する
自己分析に使えるツールとして適職診断があります。いくつかの質問に回答すると、自分の性格や適性がグラフなどで表され、何に興味を持っているか、どのような職種・社風に向いているのかを客観的に把握することができます。
いくつか試してみて、参考にすると良いでしょう。
※適職診断について詳しくは→どれが使える?無料適職診断を辛口比較した結果…
企業選びの軸の回答例・NG例
企業選びの軸の回答例と、避けた方が良い表現をご紹介します。回答例は方向性別に5つ用意していますので、自分に合ったものを選んで参考にしてみてください。
「人の魅力」「チームワーク」が企業選びの軸
私はサッカー部に所属しており、自分のチームに誇りを持って戦うチームメイトとともに活動することで、充実した学生生活を送ってきました。
社会でも自らの業務内容に誇りを持っている人々とチームを組んで働きたいと考えています。
御社の先輩にOB訪問をさせていただいたときに、社員の方が生き生きと目を輝かせて「自分の接客でお客様を笑顔にできることに誇りを持っている。お客様の反応を最前線で確かめることができる接客業は最高の職業だ」と語っていたのが印象的でした。
私も御社の社員の方々のように、日々の業務に誇りを持って働き、魅力ある人間となれるよう精進したいと考えております。
「魅力ある人と働きたい」「チームワークを生かしたい」という内容です。どうしてチームワークを重視するのか、社員のどこに魅力を感じたのかを書きましょう。
企業の採用ホームページやパンフレットを読み込んでどのような人が求められているのか、どのような人が多い会社なのかを分析してください。
また、インターンシップやOB訪問を事前に行っておくとその経験が役に立ちます。どうしてこの企業でなければだめなのかが明確になっていると好印象です。
「社風」が企業選びの軸
あるカラオケボックスに行った際、お年寄りにメニューを投げてよこすなどのぞんざいな態度を取る店員を見かけ、大変残念に思いました。
この経験から、自分が社会に出た際には、お客様のことを第一に考えられる人間でありたいと考えるようになりました。
そんな中、お客様の満足度を何よりも重視する御社の企業精神に魅力を感じています。
大学時代には御社の経営する飲食店で非常に素晴らしいサービスを受け、プロの提供するサービスのクオリティの高さに感動しました。
ぜひ御社に勤めさせていただき、お客様に喜びを提供していきたいと考えております。
「社風に魅力を感じた」「企業理念に惹かれた」という内容です。この軸の場合、企業のホームページやパンフレットなどを読んだことがそのまま生かせます。
社風や企業理念から魅力を感じた点を自分なりにまとめてみましょう。社長や経営責任者などのインタビューなども社風を知るうえで参考になるでしょう。また、インターンやOB訪問、顧客としての体験など、自分自身の経験を交えて書くと説得力が出ます。
「成長」が企業選びの軸
大学時代には塾講師のアルバイトをしておりました。その中で培った説明能力は、大学のゼミやサークル活動などでも非常に役に立ちました。
そして、私は社会に出てからもより一層この能力に磨きをかけたいと考えています。
保険営業の業務では、知識のない方に対してわかりやすくかつ論理的に説明をする力がより一層磨かれるのではないかと考えています。
コミュニケーションに必要なスキルを高めて自分自身を人間として成長させるだけではなく、磨いたスキルを活かして売り上げを伸ばし、御社に貢献していきたいと考えております。
「業務に携わることで成長したい」という内容です。どうしてこの業務で成長できると思ったか、成長できた自分はその企業でどのような活躍をしたいか、などを盛り込むと良いでしょう。
具体的にどのようなスキルを身に付けたいのかまで語れると好印象です。企業に対するアピールなので、「独立」「転職」に関する単語は入れないほうが無難です。
「やりがい」が企業選びの軸
学生時代には震災の被災地でボランティアをしていました。学校に行けない子どもたちが、お菓子を配ることで笑顔になってくれるのが非常に嬉しく、いつしか人々を笑顔にするお菓子を提供できる企業に就職したいと考えるようになりました。
御社でインターンシップをさせていただいたとき、お菓子の商品開発に関する業務に携わりました。
その中でお客様の好みや食べやすさなどを徹底的にリサーチし、「人のために考える」姿勢がしっかりしていることに驚かされました。
自分が開発に携わったお菓子がどこかの誰かを笑顔にできるのだと思うと、御社で働くことにやりがいを感じられるだろうと考えています。
「業務の中でやりがいを感じたい」という内容です。その企業・業務にどのような魅力を感じているか、どうしてやりがいを感じられると思ったのかなどを書くと良いでしょう。
学生時代に似たような取り組みを行ったり、インターンシップで同種の業務を体験したりした経験を盛り込めると内容に説得力を与えられます。
一見遠い内容でも自分がやりがいを感じたということは共通項があるということなので、うまくつなげることができないか考えてみることをおすすめします。
「社会貢献」が企業選びの軸
大学時代に日本の医療と社会保険の問題点について研究したことから、医療の分野に興味を持ちました。
社会学的な視点を活かして、日本の医療を医療現場以外から支える職業に就きたいです。
御社で開発を進めている医療用AIはこれらますます発展が見込まれる分野であり、医師不足の解消や地方の医療格差などに貢献できると考えています。
具体的には、大学での研究を生かし、日本ではどのようなAIが求められているか、地域ごとに分析する業務を志望しています。
医療機器の開発で第一線を担っている御社なら大きな社会貢献ができると考え、志望いたしました。
「業務を通して社会に貢献したい」という内容です。このビジネスのどのような点が社会貢献につながるのか、人や環境、経済などにどのような影響を与えられると考えているか、などについて述べましょう。
漠然と「社会貢献したい」と言うだけでなく、仕事を通してどのような影響を社会に与えたいのか、どのような問題を解決したいのかを具体的に語ることが重要になります。
こんな企業選びの軸の書き方はNG
今度は企業選びの軸の書き方としてふさわしくないものを見ていきましょう。
「好きだから」「興味があるから」など企業選びの軸が単純で浅い
「好きだから」「興味があるから」といった回答は単純で浅いとみなされてしまいます。仕事は「好き」という気持ちだけで続けられるものではありません。ときには辛いこともありますし、嫌なことがあって好きだった仕事が嫌いになってしまうことも考えられます。
「好き」だけではなく、企業そのものの魅力や社会貢献に対する思いについて盛り込むと良いでしょう。
「残業が少ないから」「給与が高いから」など軸が雇用条件のみ
「残業が少ないから」「給与が高いから」といった雇用条件のみを軸にしているのもあまり良い印象を与えません。業務内容には魅力を感じていないように見えるからです。
労働条件や給与のみを軸として挙げると、その条件が変わったらすぐ辞められてしまうかも、と採用側は不安に思ってしまいます。
雇用条件ではなく、業務内容や社風など仕事にまつわる内容を企業選びの軸として語りましょう。
企業選びの軸の回答で意識すべき3ポイント
最後に、企業選びの軸を答えるときに注意すべきポイントをご紹介します。
1結論→理由の順に書く
まずは結論を一言で述べ、それから背景や理由を述べましょう。
「私の企業選びの軸は〇〇です」などと結論が最初に書いてあると、わかりやすい文章になります。
最初にダラダラと背景や理由が続くと、何が言いたいのか伝わりにくくなってしまいます。採用担当者にわかりやすい構成になるように、「結論→背景や理由」の順番で伝えましょう。
2仕事に求めるものを述べる
企業選びの軸として、仕事に求めるものを盛り込むと好印象です。自己分析をもとにして、自分が仕事を通して何がしたいのか、何を得たいのか、それは企業のどの業務と関係が深いのか、などを書き出してみましょう。その内容を要約してまとめることで、あなたの業務に対する気持ちが採用担当者に伝わりやすくなります。
ついつい全て盛り込みたくなってしまいますが、あまり長く書くと要点が伝わりづらくなってしまうため簡潔にまとめることをおすすめします。
3具体的なエピソードを盛り込む
具体的なエピソードを盛り込むと、企業選びの軸に説得力が増します。適当に言葉を並べただけでなく、自分の体験に基づいた理由があって軸を決めているということがわかるからです。
インターンやOB訪問などで企業に関わった経験、何かに挫折した体験や苦労して成功した体験などがあれば企業選びの軸に沿った形で上手に盛り込んでみましょう。
まとめ
企業選びの軸とは就職・転職で譲れない条件のことをいいます。
労働条件や「好き」という気持ちだけでなく、自分が仕事に何を求めているのかを具体的なエピソードを添えて書くと好印象です。この記事をよく読んで、説得力のある軸を作り出しましょう。