いつまでできる?給与は減る? Q&Aでわかる時短勤務のすべて

時短勤務とはどのような制度なのでしょうか?

この記事では、制度・お金・実情の3つのテーマに分けて、Q&A形式でわかりやすく解説します。

【制度編】時短勤務とは?|法律・残業・対象者

時短勤務とは、どのような制度なのでしょうか?

下記4つの疑問について詳しく解説します。

Q1.そもそも時短勤務とは?法律はある?

Q.時短勤務とは?A.子育てや介護のために勤務時間を6時間にできる制度時短勤務とは、所定労働時間を原則6時間に短縮する制度。3歳までの子どもの子育てや、親族の介護が必要なときに利用できます。正育児・介護休業法で「短時間勤務制度」として規定されています。

会社によっては、所定労働時間を6時間よりもさらに短くできる制度や、事業所内に保育所を設けるなど、手厚いサポートが用意されていることもあります。

時短勤務は、子育てや介護などの正当な理由があれば、誰でも取得することが可能です。ただし、業務の性質上、時短勤務を使用することが困難な場合、会社側はフレックスタイム制を導入したり、始業時間・就業時間の調整ができるようにするなどの代替措置を行う義務があります。時短勤務をすることが難しい場合、こうした対応をしてもらえないか会社に相談しましょう。

Q2.時短勤務の場合は何時まで働く?

時短勤務をした場合に何時まで働くかについて、法律上の規定はありませんが、1日の所定労働時間が8時間の場合、一般的には以下の3パターンが考えられます。

【画像】1:出勤時間をそのままに、退勤時間を2時間早める 2:出勤時間を1時間遅らせ、退勤時間を1時間早める 3:1日8時間勤務は変えず、週3日の勤務にする(週30時間以内の勤務なのでOK)3つ目の働き方は、1日あたりの所定労働時間は8時間とフルタイム勤務と変わりません。しかし、勤務日数が週3日になることから、1日6時間で5日間働くより、1週間の総労働時間は少なくなります

保育園や幼稚園の送り迎えなどの時間に合わせて対応してくれる企業も多いため、時短勤務を始めるときに、上司と勤務時間の相談をしてみましょう。

※勤務時間について詳しくは→Q.時短勤務の場合は何時まで働くの?休憩を取らなくても大丈夫?

Q3.時短勤務はいつまでできる?延長はできる?

法律上、育児を理由とした時短勤務は「子どもの3歳の誕生日の前日」まで取得が可能です。企業によっては、3歳以降の時短勤務の延長を設けていることもあります。

【子供の年齢別:時短勤務は何時までできる?】3歳未満…53.8%。3歳~小学校就学前の一定年齢まで…4.3%。小学校就学の始期に達するまで…17.1%。小学校入学~小学校3年生(または9歳)まで…11.4%。小学校3年生~卒業(または12歳)まで…6.3%。小学校卒業以降も利用可能…7.1%。

厚生労働省が行った調査によると、3歳以上の子どもがいる社員にも時短勤務を認めている企業は全体のおよそ半分。中には小学校卒業以降も利用できる企業もあります。

時短勤務の延長を希望する場合は、就業規則を確認の上、上司に相談してみるといいでしょう。

※参考:平成30年度雇用均等基本調査(事業所調査)

Q4.時短勤務の対象は正社員だけ?

時短勤務は下記の条件に当てはまれば、正社員以外でも利用することができます

時短勤務の条件

  1. 3歳未満の子どもを育てている
  2. 1日の所定労働時間が6時間を超えている
  3. 雇用形態が日雇いではない
  4. 育児休業期間との重複取得ではない
  5. 労使協定により適用除外とされていない(※)

※5.労使協定により適用除外となる可能性があるのは、以下の場合です。

  • 雇用期間が1年に満たない
  • 1週間のうち所定労働日数が2日以下
  • 業務の性質上、勤務時間を短縮することが難しい

時短勤務ができるのか心配な場合は、上司などに確認するようにしましょう。

Q5.時短勤務でも残業ってあるの?

時短勤務は残業をしないことが前提の制度ですが、会社が残業をさせることは違法ではありません。しかし、3歳未満の子どもを持つ人でどうしても残業をしたくない場合、会社に申し出れば法的に残業を拒否することができます

また、子どもが3歳以上であっても、小学校に入学する前までは、残業の時間を「1か月24時間、1年150時間」までに制限することが可能です。

3歳に満たない子を養育する労働者が子を養育するため、又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその家族を介護するために請求した場合には、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならない

小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者がその子を養育するため、又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその家族を介護するために請求した場合には、事業主は制限時間(1か月24時間、1年150時間)を超えて時間外労働をさせてはならない

※出典:厚生労働省「育児・介護休業制度ガイドブック

申し出をしたのにも関わらず、残業をさせられている場合は違法となります。上司に相談し、それでも改善しない場合には、労働基準監督署や法テラスなどの機関に相談するようにしましょう。

一方、この申し出をすることで、会社側から残業を要求されることはなくなりますが、自ら進んで残業をすることは可能です。その場合、働いた分の給与はきちんと支給されます。

【お金編】時短勤務中の給与事情|ボーナス・社会保険料

時短勤務を始めると給与やボーナスはどうなるのでしょうか?

ここでは、時短勤務のお金に関する4つの疑問について、わかりやすく解説します。

Q6.時短勤務をすると給与はどのくらい減るの?

時短勤務をすると給与は4分の3に減少する=給与も2時間分減少(時短勤務により、所定労働時間8時間→6時間の場合)時短勤務をすると、所定労働時間が8時間の場合、6時間では4分の3(8分の6)になるため基本給も4分の3になるのが一般的です。会社には、短縮された時間の給与を支払う義務はありません。

加えて、これまで残業していた場合や、固定残業代が出ていた場合、その残業代分もカットされるため、実際はさらに給与が減ることになります

資格手当や役職手当など、基本給以外の手当が減給の対象となるかの判断も、会社によって異なります。時短勤務になると給与がどのくらい減るのかを正確に知りたい場合は、就業規則を確認したり、上司に直接聞いてみるようにしましょう。

ちなみに、裁量労働制や歩合制の場合、他の社員と同じ仕事量をこなせば減給されずに済むケースもあります。

※時短勤務中の給与について詳しくは→時短勤務すると給与はどのくらい減るの?給与の計算方法は?

Q7.時短勤務をするとボーナスも減る?

時短勤務をした場合、給与と同じくボーナスも減ることがほとんどです。時短勤務をした場合のボーナスは、支給日に時短勤務をしているかどうかではなく、ボーナスの算定期間にどのような働き方をしたかによって決まります

※算定期間とは、支給額を決めるための評価期間のこと。ボーナスが年2回もらえる場合、算定期間は4月から9月、および10月から翌年3月を区切りとしていることが多い。

ここでは、算定期間の働き方を3つのケースに分け、それぞれボーナスがどれくらい減るのか解説します。

1:算定期間中に時短勤務をしていた場合

算定期間中に時短勤務をしていた場合、毎月の給与と同じくボーナスも4分の3に減額されるケースが多いようです。

2:算定期間中、産休・育休を取得していた場合

算定期間中に産休や育休を取得していた場合、ボーナスはもらえないことがほとんどです。会社によっては少額の支給があるケースもありますが、多くの会社では、ボーナスの算定期間に働いていない=支給対象外となっているでしょう。

3:算定期間中はフルタイムで働いていた場合

算定期間中はフルタイムで働いていた場合、ボーナス支給日に時短勤務をしていても満額で支給されます

時短勤務を理由に不当に減額されるのは違法

「時短勤務をしている」という事実だけを理由に、会社が従業員を正当に評価せず、必要以上に給料やボーナスを減額することは違法です(不利益取扱の禁止)。

もし「短縮時間分以上にボーナスが少なくなっている」という場合は、一度上司に計算方法などのルールについて確認してみましょう。

Q8.給与は減ったのに社会保険料は安くならないの?

社会保険料は「育児休業等終了時報酬月額変更届」を会社経由で提出することで、時短勤務を開始して4か月目から安くなります。時短勤務を開始したら、なるべく早く書類を提出できるよう、勤め先に相談しましょう。

そもそも社会保険料は、毎年4月から6月の給与を基準に、同じ年の9月から翌年8月までに支払う金額が決まります。よって、4月から6月にフルタイムで働いていた場合には、時短勤務をはじめてからも社会保険料が高いままになってしまいます。

「育児休業等終了時報酬月額変更届」を出すと、時短勤務を開始してから3か月間の平均給与をもとに社会保険料を計算し直してもらえ、4か月目からは時短勤務中の給与に見合った金額に変更されます。

Q9.社会保険料を安くすると将来もらえる年金も減る?

社会保険料(厚生年金)を安くおさえても、「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例」を会社経由で提出すれば、将来もらえる年金額が減ることはありません

こちらも「育児休業等終了時報酬月額変更届」と同様に、時短勤務を開始したら、なるべく早く提出できるよう、勤め先に相談しましょう。

【実情編】時短勤務で迷惑がられないための対策|辛い時の対処法

「時短勤務は迷惑」と言われたり、そもそも周囲が子育てへの理解がなかったり、子育て中の時短勤務ならではの辛さがあると思います。そこで、時短勤務をする上で気をつけるべきことや、対処法などを紹介します。

Q10.周りの負担が気になる…やっぱり時短勤務は迷惑?

時短勤務をしていると、周りに迷惑をかけるのではと不安になってしまう人も多いでしょう。実際、周囲の人から「迷惑だ」と悪口や嫌味を言われることもあるかもしれません。

時短勤務は法的に認められた権利と言っても、周囲に負担をかけてしまうこともまた事実。少しでも周囲の協力を得られるような心遣いも欠かさないようにしましょう。

ここでは、時短勤務をうまく切り抜けるためのコツを紹介します。

【時短勤務をうまく切り抜けるためのコツ】(1)上司と相談しやすい関係をつくる(2)同僚への配慮を忘れない(3)子育てと仕事の両立に理解のある人を見つける

上司と相談しやすい関係をつくる

上司と積極的にコミュニケーションを取り、仕事量の調整などを相談しやすい関係になっておきましょう。

また、時短勤務をしていると、仕事を途中で終えて帰宅しなければならないこともあるでしょう。そんなとき、上司に気軽に相談できるような関係をつくっておくと安心です。

同僚への配慮を忘れない

時短勤務は法律で認められた制度とは言え、当たり前の権利だとおごってしまうのはNG。あくまでも子育て中の臨時的な勤務体制のため、同僚には「時短勤務を使わせてもらっている」という謙虚な態度で接しましょう。

仕事量の調整は上司の指示だとしても、実際に負担をかけてしまうのは周囲の同僚です。配慮を忘れずに、仕事の途中で帰らなければならなくなったときや、子どもの都合で休んでしまったときには、いつも以上に感謝の言葉をきちんと伝えるようにしましょう

子育てと仕事の両立に理解のある人を見つける

子育てと仕事の両立に理解のある人を見つけましょう。時短勤務を経験した職場の先輩社員や、職場が違っても同じように子育てと仕事の両立をしている友人などがおすすめです。

時短勤務とは言え、子育てと仕事との両立は大変なもの。子育てに理解のない人にいくらその辛さを伝えても、「時短勤務なのに、そんなに辛い辛い言われても…」と理解を得られにくいかもしれません。子育てと仕事に理解のある人が1人でも身近にいると、両立の辛さを共有したり、いいアドバイスがもらえたりすることがあるかもしれません。

※上司や同僚とうまく付き合うコツについて詳しくは→時短勤務は迷惑をかける?上司や同僚と上手く付き合うコツとは?

Q11.時短勤務が辛い…どうしたらいい?

どんなに周囲への配慮をしても、会社に十分なサポート環境がなかったり、理解のない人と一緒に働くのは辛いもの。どうしても辛い場合は、職場を変えることを視野に考えてみてもいいかもしれません

子育てに理解のある職場への転職や、時間の自由が利きやすい派遣社員やパートに思い切って切り替えてみてもいいでしょう。どうしても辛いときには、無理にその会社で頑張るのではなく、外に踏み出す選択をしてもいいかもしれません。

ただし、一度非正規雇用になってしまうと、子育てが落ち着いてから正社員に戻るのは難しいのも事実。後悔のないよう、よく考えてから決断することをおすすめします。

まとめ

時短勤務は、3歳未満の子どもを育てる人が働くことを支援するための制度の1つ。子育てしながら仕事を続けることは簡単ではありません。周囲への配慮を忘れずに、制度をうまく利用していきましょう。

(文:転職Hacks編集部)

この記事の監修者

特定社会保険労務士

成澤 紀美

社会保険労務士法人スマイング

社会保険労務士法人スマイング、代表社員。IT業界に精通した社会保険労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。顧問先企業の約8割がIT関連企業。2018年より、クラウドサービスを活用した人事労務業務の効率化のサポートや、クラウドサービス導入時の悩み・疑問の解決を行う「教えて!クラウド先生!®(商標登録済み)」を展開。

社会保険労務士法人スマイング 公式サイト

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