勤続年数や退職・解雇との関係 休職できる期間は平均どれくらい?

病気やけがで働けなくなったとき、一時的に仕事を休める「休職」。法律で義務づけられた制度ではないため、会社によって内容はさまざまです。

休職の期間は平均どのくらいで、期間が満了した際はどうすればいいのでしょうか?

休職できる期間は平均どのくらい?

休職できる期間は一般的に「医師が治療のために必要と判断した期間」。その上限は会社によって異なりますが、平均どのくらい休むことができるのでしょうか。

休職できる期間は3ヶ月~長くて3年

休職できる期間は3カ月~長くて3年までが一般的。

労働政策研究・研修機構の調査によると、病気やけがを理由とする病気休職の場合、休職期間の上限を「2年まで」としている企業が全体の75%。

わずかながら「上限なし(4.5%)」という企業も存在していますが、休職できる期間は最長で3年程度のようです。

3カ月まで:9.6%。3カ月超から半年まで:13.3%。6カ月超から1年まで:22.3%。1年超から1年半まで:17.2%。1年6カ月超から2年まで:12.6%。2年超から2年半まで:4.1%。2年6カ月超から3年まで:8.0%。3年超:1.4%。上限なし:4.5%。無回答:7.0%。

※参考→メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査|独立行政法人労働政策研究・研修機構

また、およそ半数の企業において勤続年数によって取得できる休職期間が異なるため、勤務先の就業規則などで確認しましょう。

大企業ほど休職できる期間は長くな

休職できる期間は大企業ほど長い傾向があります。

休職期間の上限が「1年未満」である企業を規模別に比べると、従業員数100名未満の中小企業では約半数を占めるのに対し、1,000名以上の大企業では13.3%と少数派。

さらに大企業では「1年半~3年未満」の企業があわせて約6割と、比較的長期にわたる休職が認められています。

会社規模別に、病気休職制度の休職期間上限を表したグラフ。

※参考→メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査|独立行政法人労働政策研究・研修機構

休職期間の詳細は就業規則を確認

休職できる期間について定めた法律がないため、その上限は会社によって異なります

上限以外にも休職中の給与の有無非正社員に対する適応可否など、会社によって休職制度の運用方法はまちまち。休職の予定がある方は、勤務先の就業規則などを確認することをおすすめします。

また公務員の場合、最大90日間は仕事を休んでも給与がもらえる「病気休暇」という休暇制度があり、その期間が90日を超えると3年を上限とする「病気休職」に移行し、休職1年目は給与の80%がもらえます。

一見、非常に恵まれているように見えますが、人事院規則により「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」には免職になってしまいます。

休業期間が勤続年数に影響することも

「休職した期間を勤続年数に含めるかどうか」も企業側の判断となりますが、一般的には含まれません

例外として、年次有給休暇の付与日数を計算する場合、休職期間も勤続年数としてカウントします。

休職期間が満了したらどうなるの?

休職期間が満了すると、会社から休職期間満了の通知が届きます。その時点の病気やけがの回復状況によって、期間満了後どうするか会社と相談しましょう。

休職期間満了後のフローチャート。(1)休職満了の通知→(2)復帰できるかの判断→(3)復帰できれば仕事にもどる。復帰できない場合は、休職期間の延長か、退職になる。

仕事ができそうなら復帰する

休職期間の満了時期が近づくと、休職期間満了のお知らせが届きます。

主治医や家族に相談の上、職場に復帰できそうであれば会社にその旨を速やかに伝えます。

復帰には医師の診断書が必要となるケースもあるので、余裕をもって準備することをおすすめします。リハビリ期間として短時間勤務(慣らし勤務)を認める会社もあるので、復帰後の働き方について会社とよく話し合いましょう

復帰が難しいなら退職を考える

休職期間が満了するにもかかわらず、病気やケガが治らず仕事への復帰が難しい場合、退職(または解雇)となる可能性が高くなります

就業規則に「休職期間満了時期までに復帰できない場合、自然退職(または解雇)とする」などと定める会社が多いからです。

休職期間満了までに職場に復帰できない、あるいはしないと判断した場合、会社にその旨を伝え、退職に向けた手続きを進めてもらいましょう

※休職中の転職活動について詳しくは→休職を不利にしない転職活動のやり方

休職期間の延長はできる?

予定していた休職期間を超えて療養に時間が必要な場合、就業規則に定められている上限までは延長が可能です。

それ以上休職期間を延長することは原則できませんが、就業規則などで「会社が必要と判断した場合」など例外を認める記述があれば、延長を申し出ることもできます。

ただし、一般的に休職期間の延長が認められるのは、医師から「あと1ヶ月で復帰可能」と診断されるなど、休職期間の上限を大幅に超えない範囲で、かつ復帰時期が明確なケース。うつ病などのメンタルヘルスによる休職で「現時点で回復の見込みが判断できない」など、復帰時期があいまいな場合、延長は認められないケースが多いので注意しましょう。

復帰後に仕事ができないと解雇されるの?

復帰したもののやはり出勤できない、仕事ができない場合は解雇となるケースもあります。

ただし、就業規則に記載のない理由で解雇することは原則できず、30日以上前の予告解雇予告手当が必要になるなど、企業に対する一定の制約があります。

また、休職理由が業務上の病気・けがの場合、復帰後30日間は原則解雇することができません

このように従業員からの申し出による「退職」か、企業による「解雇」かによって法律による制約条件が異なるため、退職意思があるかどうかなどはメールなど形が残るものではっきりと意思表示をしておきましょう。

コラム:職期間が長くなる可能性のある理由

以下のような病気の場合、治療にかなりの時間がかかるため、休職期間が長期化しやすい傾向があります。

  • うつ病、適応障害などの精神疾患
  • 椎間板ヘルニアなどの筋・骨格系疾患
  • がんなど手術や長期入院を必要とする疾病

「ノーワークノーペイ」の原則に従い、休職中は給与がもらえないケースが多いですが、その代わりに健康保険から「傷病手当金」をもらうことができます。

また、休職によって減った収入をカバーしてくれる民間の保険も増えているため、いざという時のためにあらかじめ加入しておくのも良いでしょう。

※参考→病気やケガで会社を休んだとき|全国健康保険協

まとめ

病気やけがの治療に専念するために設けられた休職期間ですが、会社によって休める期間の上限が異なるため、就業規則などで詳細を確認しましょう。

また、意図しない退職や解雇を避けるためにも、休職中も会社とは定期的にコミュニケーションを取ることが必要です。

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