誠意が伝わる報告の仕方まで 仕事でミスしてしまう人のためのミス対策
仕事中にミスをしてしまい、落ち込んだことがある方は多いのではないでしょうか。
仕事にミスはつきもので、どんな人であっても失敗をします。大事なのはすぐに切り替えて、迅速に上司に報告して事態を収束させることと、同じミスをしないように反省点を生かすことです。
この記事では、仕事でミスした後にどのような対応をすべきなのか解説します。
仕事のミスで落ち込んでいるときは【豆知識】
仕事でミスすることが多いと、自分に嫌気が差して自信を失ったり、上司に怒られるだけでは済まないかもしれないと悩んだりすることがありませんか。
失敗して落ち込むということは、仕事に一生懸命取り組んでいる証拠です。
誰であっても仕事にミスは付きもの。ミスしてしまう自分が嫌になるほど追い詰められる必要はありません。
それでも心配な方は、以下の2点を知っておきましょう。
簡単にクビにされることはない
仕事でミスをしただけでクビになることはめったにありません。
労働契約法で、よほどの理由がなければ会社が一方的に社員を辞めさせることはできないと決まっているからです。
遅刻が多い、業績が悪いという事情があっても、社員への教育が足りていない企業側の責任とみなされるため、解雇されるほどの理由には当てはまりません。
ただし、会社の不利益になるミスを故意に行ったり、会社の内外にかかわらず犯罪行為を行ったりした場合は解雇されることがあります。
これらのケースは、就業規則に「解雇になる場合の理由」として書かれていることがほとんどです。
損害賠償を全額支払うことはめったにない
会社にダメージを与えるためにわざとミスをする(重過失)といったことがない限り、そもそも従業員が損害賠償を求められること自体ほとんどありません。
仮に求められることがあったとしても賠償の一部であり、全額支払わなければならないということはほとんどありません。従業員のミスによる損失は、基本的に会社側が背負うべきリスクと考えられています。
会社から従業員に対する損害賠償は、適用が制限されているケースがほとんどで、会社の請求が棄却されている判例が多くあります。
損害賠償を毎月の給料から天引きすることも、労働者の同意がなければできません。
ただし、過去には一部の損害賠償が認められた裁判もあります。
▼会社から従業員に対する損害賠償が認められたケース
<概要>
ある会社に勤める従業員が、タンクローリーを運転中に不注意で他社の車両に追突した事故。
車両の修理費や相手企業への損害賠償で計41万円の損失が発生。
<裁判内容と判決>
そこで会社が事故を起こした従業員に41万円の支払いを求めて訴訟をしたところ、第一審も控訴審もどちらも、4分の1の金額で従業員に賠償金の支払いを命じるという判決が下されました(1976年 茨石事件)。
従業員のリスクが低いからと何をしてもいいわけではありませんが、ミスを後悔するあまり思い詰め、仕事に支障が出ては本末転倒です。
反省しつつ、過度な心配をせず切り替えを大切にしましょう。
仕事でミスばかりしてしまうのはなぜ?
そもそも、なぜ仕事でミスをしてしまうのでしょうか。以下のような行動や考え方がミスの原因になっているかもしれません。
当てはまる項目がないかチェックしてみましょう。
<ミスをしがちな人の共通点>
1メモを取らないor上手にメモが取れていない
2疑問点や曖昧な点を放置してしまう
3ミスしても反省や対策をしない
4仕事の目標や目的を理解しないまま仕事をする
5仕事に集中できていない
6たくさんの業務を一人で抱え込んでいる
(1)メモを取らないor上手にメモが取れないことによるミスは、意識してメモ書きを習慣づけることと、書き方やツール選びを工夫することで改善できるでしょう。
作業の段取りを自分なりにわかりやすくフローの図にしてみたり、びっしり書き込まずに余白を残して追加で書き込めるようにしたりなど、自分にとって使いやすく、かつ効果的なメモが取れるように工夫しましょう。
(2)~(4)は疑問点を放置したりミスをしても対策しなかったりと、仕事へのモチベーションや、業務の理解度が低いことが考えられます。
ミスを繰り返すことがモチベーション低下の悪循環につながる可能性もあるため、曖昧な点がないか業務開始前に確認したり、ミスをしたら原因を考えて同じことが起きないように対策したり、自分なりに効率的な方法を考えましょう。
もし効率の良い方法がわからない場合は、上司や先輩に相談をして教えてもらうなど、工夫や努力で姿勢を変えていく必要があります。
(5)(6)はたくさんの業務を一人で抱えているなど、キャパオーバーになっている可能性があります。
大きなミスを起こしてしまう前に、自分で管理しきれないほど仕事を担当していないか整理しましょう。仕事を整理した上で、自分では業務を回しきれないとわかったら、上司に仕事の分担を変更したり業務量を減らせたりしないか、相談してみましょう。
コラム:ミスが多い原因はADHDかも?
気をつけているはずなのに同じようなミスを繰り返す人の中には、ADHD(注意欠陥/多動性障害)が原因の人もいるかもしれません。
ADHDは大人になってから突然発症するわけではなく、子どもの時から忘れっぽい、作業を順序立てて行うのが苦手という特性があるようです。診断がついていないケースを含めれば、20人に1人の割合ともいわれています。
仕事や生活に支障をきたしているなど、下記サイトを見てもし気になる場合は、病院で診断を受け、結果によっては職場の人に協力を仰ぐようにしましょう。
仕事でミスしてしまったらどう報告する?
仕事でミスをしてしまった場合、いざ報告しようとしても伝え方がわからなかったり、罪悪感から隠してしまったりすることがあるかもしれません。
しかし、ミスを放置することは対処方法として一番の悪手です。ミスの悪影響を拡大させず、信頼を損なわないためにも適切な報告や謝罪をしましょう。
【ミスに気付いた時】まず上司に報告しよう
ミスに気付いた時点で、すぐに上司に事実を伝えましょう。
「多分原因は~~だと思います」などと曖昧な言葉ではなく、「自分が~~な行動をしたら◯◯な結果になりました」という事実報告をするのが重要です。
ごまかして伝えてしまうとはっきりと原因がわからず、リカバリーが遅れてしまう可能性があります。ミスをした箇所や具体的な原因がわかっている場合は、その内容を端折らずにすべて伝えましょう。
事実を伝えたら、併せて「申し訳ありませんでした」と謝罪します。報告を受ける側の心証を悪化させないよう、他者の指示が間違っていたなど自分の責任ではない要因があったとしても中途半端な謝り方は避けましょう。
はっきり謝罪をしてから、細かい事情を説明するのがベターです。
【ミスを隠してしまった時】非を認めて謝罪しよう
ミスを申告するのは勇気が要るかもしれませんが、その場で言えなかったとしても、なるべく早く伝えるべきです。
報告しないままミスが発覚した場合、原因を調べる手間が増えたり業務上深刻な問題に発展したりすることに加えて、人間関係まで悪くなってしまうことがあるため、早く報告するに越したことはありません。
他の人がいる場で報告するのが気まずい場合は、「少しお時間よろしいでしょうか」などと上司を呼び出しましょう。
「◯◯の件ですが、私が~~な行動をしたら□□な結果になってしまいました。すぐに報告できずに申し訳ございません」とミスをしたことと報告が遅れたことを謝罪し、反省の姿勢を示しましょう。
どうしてもつらい場合は転職するのもあり
どうしても仕事内容が合わずミスをしてしまう場合や、ミスをきっかけに周囲からの風当たりが強くなるなどして、職場にいられないほど精神的に追い詰められてしまった場合は、部署異動や仕事の変更を上司や人事担当者に相談してみましょう。
もし、相談をしても改善されない場合は、深刻な状況になる前に転職を考えるのも一つの手です。自分の適性に合う仕事に就けば、活躍の場が広がるかもしれません。
失敗をしたために多少風当たりが強くなることはどのような職場でも起こり得ますが、ミスの程度に合わない不当な扱いや処罰までガマンする必要はありません。たとえば、仕事を取り上げられて干されてしまう、「辞めろ」と上司に恫喝されるといった悪質なケースでは、弁護士などの専門家に相談の上、自身が不利にならないように解決することもできるので安心してください。
下記の記事では、上司から仕事のミスを叱責されたあげく「明日から来るな」と言われたケースを例に、自分の身を守るために取るべき行動や転職する際に考えておきたいリスクをくわしく解説しているので、チェックしてみてください。
仕事で同じミスをしないための対策
完璧に仕事をこなしているようなベテラン社員でも、多かれ少なかれミスは経験しているはずです。
「失敗をゼロにする」と自分に厳しい目標を課すのもいいですが、実際には再発を防ぐための方法を確立していくのが有効で現実的です。
ここではさまざまなシーンで通用する、ミスを繰り返さないための基本的な対策を紹介します。
報連相を徹底する
普段から業務の報告・連絡・相談を徹底的に行うことで、ミスが起きた時にスピーディーに対応できます。
上司が仕事の進捗を把握しやすくなり、普段から報連相をこまめにしておくことで、ミスしても報告しやすい関係が構築できます。
<報連相の例>
(報告)業務が完了したら、その時点で上司に報告する
(連絡)作業していて少しでも疑問に思うことがあれば、時間をおかずその都度確認する
(相談)不安要素(うまく進められない、時間が足りない)があれば積極的に相談する
作業にミスがないか確認する時間も工数に含める
自分で立てる仕事の計画の中に、あらかじめ確認の時間や項目を設定しておきましょう。
作業そのものでスケジュールをいっぱいにしてしまうと、終わった後に振り返りをしておけば見つけられたミスを確認する時間が取れなくなってしまいます。
再発防止チェックリストをつくる
ルーティンになっている作業があれば、これまでに起こしてしまったミスをまとめ、注意点のチェックリストを作ることをおすすめします。
項目を挙げてミスが起きたポイントを可視化することで、次回の作業で注意しやすくなります。
同時に、「どんなミスだったか」、「なぜミスをしたのか」、「どういう対策ができるか」といった反省点を記録していくことで、再発防止だけでなく仕事の効率化にも役立ちます。
まとめ
仕事でミスをして落ち込んだとしても、肝心なのは気持ちの切り替えと再発防止に取り組むことです。
ここで紹介した再発防止策を実践して、少しでもミスを減らしていきましょう。
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