一般企業・公務員の場合 休職中でもボーナスは支給される?
会社を休職すると、給料は支給されないのが一般的ですが、ボーナスはどうなるのでしょうか?
休職中のボーナスの有無やもらえる場合の金額について、一般企業と公務員に分けてわかりやすく説明します。
休職中のボーナスは「なし」か「寸志程度」
休職中の場合、ボーナスは支給されないことが多く、支給される場合でも寸志程度のようです。
ボーナスは給与と異なり、個々の実績に対する報酬であることがほとんどだからです。
ただし、中には休職前の実績に対する評価としてボーナスがもらえる場合もあります。
休職しなければならなくなった場合は、就業規則を確認したり、上司や総務部に聞いたりするなどして、ボーナスについて把握しておくと良いでしょう。特に、査定期間(いつからいつまでの期間についてのボーナスなのか)と支給要件(支給日に在籍していること等)をよく確認すると良いでしょう。
※ボーナスについて詳しくは→ボーナスの平均と実態|民間企業・公務員
休職中にボーナスがもらえるケース
基本的に休職中のボーナスは支給されないことが多いですが、以下のケースでは休職中でもボーナスがもらえる可能性があります。
査定期間に勤務実績がある場合
ボーナスの査定期間に勤務実績があれば、ボーナスが支給される可能性は高くなります。
ボーナスの支給が7月と12月の場合は、それぞれ10月~3月、4月~9月を査定期間としている企業が多数。この期間内に働いていないか、休職に入る前に確認してみましょう。
ただし、最低限の出勤日数が設けられていたり、支給額に制限が設けられていたりする場合も。規定は会社によって異なるため、必ずしももらえるとは限りません。
有給消化により勤務期間に該当する場合
休職期間に有給休暇を利用することで、ボーナスを支給される可能性が高くなることも。
有給休暇中は「休み」ではなく「勤務期間」として扱われるため、査定期間に勤務実績ができることになり、会社によってはボーナスの対象となるケースがあります。
ただし、こちらも会社独自の規定がある場合が多いので、事前に確認しておきましょう。
コラム:産休・育休中はボーナスをもらえる?
産休・育休中のボーナスは、本来の支給額よりも減額されるか、まったく支給されない場合が多いようです。
産休・育休期間は有給休暇を計算するための勤務期間には含まれています。しかし、労働が伴わない産休・育休期間をボーナスの査定としてどのように判断するかは会社によって異なります。
ただし、企業によっては満額支給されたり、わずかな減額で済んだりする場合もあるようです。
【公務員】休職中のボーナスは支給される?
公務員の休職やボーナスの支給に関するルールは、国の規則や地方自治体の条例により規定されています。
ここでは、具体的な休職規定の内容とボーナスの支給額を紹介します。
公務員は休職しても過去半年に勤務実績があれば支給される
国家公務員のボーナスは6月と12月に支給されます。
それぞれの査定期間は過去半年(6月支給分:12/2~6/1、12月支給分:6/2~12/1)のため、その期間に勤務実績があればボーナスは支給されます。
地方公務員の場合も、これに準じるケースがほとんどです。
ただし、ボーナス査定期間の勤務日数が少なければその分減額され、1年以上休職している場合は支給されません。
公務員のボーナスは休職期間によって支給額が変わる
国家公務員のボーナスは、休職期間の長さによって支給割合が変わります。
先に述べた通り、ボーナスの査定期間は6月支給分:12/2~6/1、12月支給分:6/2~12/1となっており、この期間の休職が長くなるほどボーナス支給額は少なくなります。具体的な支給割合は人事院規則で規定されています。
「人事院規則」11系列第4項目「職員の身分保障」によると、公務員は公的施設や政府関連の特別な業務に従事する場合や、災害に遭った場合、病気で休養が必要な場合に休職が可能で、休職期間が3年以内なら原則として復帰できます。
また、3カ月以内の休職では給料の全額が、1年以内の休職なら給料の8割程度が支給されます。地方公務員も、多くは同じような規定です。
勤務期間とボーナス支給額の割合は、以下のようになっています。
勤務期間 | 割合 |
6カ月 | 100% |
5カ月15日~6カ月 | 95% |
5カ月~5カ月15日 | 90% |
4カ月15日~5カ月 | 80% |
4カ月~4カ月15日 | 70% |
3カ月15日~4カ月 | 60% |
3カ月~3カ月15日 | 50% |
2カ月15日~3カ月 | 40% |
2カ月~2カ月15日 | 30% |
1カ月15日~2カ月 | 20% |
1カ月~1カ月15日 | 15% |
15日~1カ月 | 10% |
15日未満 | 5% |
0日 | 0% |
※引用元→人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当)(施行:2023年4月1日、参照:2023年8月24日)
公務員は産休中でもボーナスが支給される
国家公務員の場合、産前産後休暇は欠勤扱いにならない「特別休暇」となるため、ボーナスがもらえます。
産休は産前6週間と産後8週間、双子以上の多胎妊娠の場合は産前14週間となっていますが、多胎妊娠でもボーナスの金額に影響はありません。
ただし、育児休業期間中は勤務日扱いとならないため、過去半年以内に勤務実績がなければボーナスは支給されません。
休職中のボーナスと手当や支給金の関係
休職理由によっては休職中に手当が支給されることもありますが、それがボーナスの影響を受けることはあるのでしょうか?
ボーナスは手当や支給金に影響しないが例外もある
休職中に給料をもらうと各種手当が減額される可能性はありますが、ボーナスは給料とみなされないため、もらっても減額の対象にはなりません。
ただし、休職中であってもボーナスが年4回以上ある場合は、ボーナスでなく給与とみなされるため、手当や支給金が減額される可能性があります。
休職中にはどんな手当や支給金がある?
休職中は、条件によって以下の手当や給付金をもらうことができます。
傷病手当金
1日あたりの支給金額
支給を始める日以前の継続した12カ月の標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2
期間
会社を休んだ日が3日間連続することを条件として、4日目から支給、最長1年6カ月
支払い機関
公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、共済組合など。国民健康保険は含まれない)
育児休業給付金
1日あたりの支給金額
男女ともに180日まで給与の67%、181日以降は給与の50%を日割した額
期間
産後休業期間の後、子どもが1歳になるまで(両親ともに育児休業を取る場合は1歳2カ月まで)
※ただし、1歳半までの延長、2歳までの再延長可能
支払い機関
雇用保険(公務員は共済組合)
出産手当金
1日あたりの支給金額
支給を始める日以前の継続した12カ月の標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2
期間
出産日以前42日(双子以上の場合は98日)から出産日の翌日以後56日まで
支払い機関
公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、共済組合など。国民健康保険は含まれない)
出産育児一時金
1日あたりの支給金額
子ども1人につき50万円(妊娠週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度の対象とならない出産の場合は、支給額が48.8万円)
期間
一度の出産につき1回のみ支給(出産した日の翌日から2年以内に申請、産院で手続きができる場合もあり)
支払い機関
公的医療保険(健康保険組合、国民健康保険、協会けんぽ、共済組合など)
休職中にもらえる代表的な手当として、傷病手当金、育児休業給付金、出産手当金、出産育児一時金があります。
病気やケガで休職した場合に、健康保険から給料の3分の2ほどが支給されるのが「傷病手当金」です。支給条件は以下の通りです。
- 業務外の理由による病気やケガの療養であること
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間について給料の支払いがないこと
育児休業の場合、「育児休業給付金」が支給されます。
※育児休業給付金について詳しくは→育児休業期間は2歳まで!延長の方法は?
産前産後休暇の場合、「出産手当金」「出産育児一時金」が支給されます。
※出産に関わる手当について詳しくは→産休・育休中は給料の約7割が支給!
まとめ
休職中のボーナスは、一般企業に勤めている場合は支給される会社とされない会社がありますが、公務員は過去半年に勤務実績があれば支給されます。
休職することになったら、勤務先のボーナスや給料の規定をしっかり確認しておきましょう。
この記事の監修者
社会保険労務士
三角 達郎
三角社会保険労務士事務所