志望動機から質問まで 中途採用・第二新卒の面接のコツ
書類選考を通過し、ようやくたどりついた面接の場。しかし、「緊張するから面接は苦手」という方も多いのでは?
この記事では、面接への苦手意識を克服し、面接を上手く乗り切るためのコツを具体例とともにご紹介します。
転職者が面接で意識すべき5つのコツ
はじめに、面接を受ける際に意識してほしい、5つのポイントを解説します。
(1)結論から先に言う
質問に結論から答えることで、自分が何を言いたいのか、最も重要なことを面接官に強く印象づけることができます。
またその後にどういう内容が続くのかが予想しやすく、次に話す内容を理解してもらいやすいです。
【例】
面接官:あなたが転職先を選ぶ基準を教えてください。
◯ 2つあります。まず1つ目は~、2つ目は~
◯ 即戦力となれるかです。なぜならば~
✕ 私は前職で主任として働き、時には大変なこともありつつ、同僚と協力し業務をこなしました。前職で学んだ経験を生かせるように考え、即戦力となれるように~(以下長い説明)
(2)徹底的な企業研究
応募企業について研究し、自分なりに分析・アピールすることで「他の企業でなく、ぜひ御社で働きたい」という意欲を伝えることにもつながります。
次の4つの方法を使って、企業について深堀りしてみましょう。
IR情報を分析する
投資家に対し、企業が財務状況や経営判断を公開しているIR。企業の実情を数値で詳しく読み解けますし、業績のいい事業・悪い事業や今後の展開についても詳細に知ることができます。
IR情報は企業のHPで見ることができます。
会社四季報・就職四季報を活用する
企業業績や業界でのポジション、系列企業群や株主構成のほか、従業員の平均年収などの基本的なデータを調べることができます。
IR情報が企業発信なのに対し、会社四季報は東洋経済新報社が発行しているため、比較的客観的な内容となっています。
インターネットで情報収集
企業のHPやブログはもちろん、Twitter、インタビュー記事、勉強会の発表資料など、企業名やサービス名でネット検索をすると、様々な観点から企業について知ることができます。
ただし、口コミサイトをはじめとして、ネットの情報はデマもあり、得られる情報は玉石混交です。鵜呑みにせず、参考材料程度にとどめましょう。
実際に提供サービスを利用・製品を使用する
1人のユーザーとしてサービスを体感したり、製品を使ってみたりすることで得られる情報もあります。
販売・サービス業の場合も、店舗まで出かけてみてください。その結果感じたことを、自分の体験として話せることは面接でも大きな強みとなるはずです。
(3)面接官との会話を目指そう
一方的にアピールするのではなく、“会話する”ことを意識しましょう。
面接官が話し終える前に、話をかぶせて答えるのはNGです。面接は一方的な「演説」の場ではなく、お互いの理解を深める「会話」の場と捉えるのが良いでしょう。
具体的には、聞かれたことには過不足なく答え、面接官が話している時は適度に相槌を打つことも忘れないようにします。
(4)受け答え、言葉使いにも気を付ける
言葉遣いや受け答えの基本的なマナーをふまえて話すように気を付けましょう。
どんなに素晴らしいスキルや経歴の持ち主でも、話し方のマナーが悪ければマイナス評価を受けてしまいます。
とはいえ、緊張するあまり、必要以上に敬語を使いすぎたり、過剰に丁寧な言葉をつかったりするのも避けましょう。かえって面接官に不快感や違和感を残す結果となることがあるからです。
(5)やっぱり見た目も大事
面接では、やはり見た目の影響は軽視できません。
初対面の人物の印象を左右するのは、見た目や表情、しぐさ、視線などの視覚情報がほとんどだという「メラビアンの法則」を耳にしたことがある人もいるでしょう。
型にはまったリクルートスーツを着る必要はありませんが、ビジネスマナーにのっとり、ブラック、ネイビー、ダークグレーなどの落ち着いたカラーのスーツを選びましょう。
女性も男性同様、落ち着いたカラーのスーツスタイルがおすすめです。髪はまとめて、すっきりと清潔感を出すことも忘れずに。
※面接での服装について詳しくは→写真でわかる 転職時の面接の服装・マナー(スーツ編)
面接で必ず聞かれる質問と答え方のコツ
実際の面接においては、どの職種、どの企業でもほぼ聞かれる鉄板の質問が存在します。ここではぜひおさえておきたい質問とその答え方の例について、簡単に解説していきます。
「志望動機を教えてください」
応募企業を選んだ理由を結論としてはじめに話すことがポイントとなります。
職歴経験を生かして、応募企業にどう貢献できるか、将来を見据えて端的に答えましょう。
【例文】
私は、介護ITを活用するというビジョンに共感しているという理由で、御社を志望しています。
私は日本の少子高齢化社会に、ITの視点で何かできないかと常々問題意識を持っていました。また、まったく新しい分野で自身の技術を試したいと考えています。
そのため、IT企業でありながら、介護や福祉サービスにも深く関わる御社を強く志望しています。
「自己紹介(自己PR)をしてください」
一番アピールしたい職歴を1~2分以内で話してください。以下の流れを意識して平易な言葉で手短につたえるのがポイントです。
- 名前と挨拶
- 経歴の要約
- 仕事やキャリア面のアピール
- 締めの挨拶
【例文】
○○○○(名前)です。私は、株式会社△△(社名)で住宅の営業に6年携わってきました。
契約を得るため商材について知り尽くすだけでなく、お客様から寄せられる多くの疑問にできる限り答えられるよう、幅広い知識の習得に努めて参りました。そのために宅建や二級建築士、インテリアコーディネーター、ファイナンシャルプランナー等々多くの資格を取得しております。
このたび、新しいフィールドで力を試したいと考え、御社に応募いたしました。本日はどうぞよろしくお願いいたします
「あなたの長所、短所は?どうやって短所を克服する?」
長所については、応募企業にマッチする答えを仕事の内容、求めている人材、企業理念などと結びつけて考えます。
即戦力となることを、逸話をまじえてより具体的に語ることを心がけましょう。
【例文】
私の長所は行動力です。
前職の営業の仕事で任されたのは、新規のお客様をアポイントなしで訪問する業務でした。ほぼゼロからのスタートでしたので大変でしたが、まずは場数を踏もうと切り替えました。
同僚の数倍近い件数を訪問し、体当たりでコツをつかむことで、入社半年で契約件数トップとなることができました。御社でも行動力を生かして数字に反映させたいと考えています。
一方短所は、あまり短所を強調しすぎず、自分なりにどう対処しているかを話します。
対策は些細なことでかまわないため、嘘はつかず、日ごろからやっていることを答えましょう。
【例文】
好奇心旺盛で、ついいろいろなことに興味を持ちすぎてしまいます。
そのため、仕事で注意散漫になってしまう場面も多々あります。私なりに対策を考え、入念な準備を心がけるようにしています。また、いつも落ち着いて行動するよう努めています
「同業他社ではなく、当社を希望された理由は?」
この質問では、徹底的な企業研究が生きてきます。前職の職務経験を盛り込んだ上で、応募企業にこそ寄与したい、力になりたいという説得力のある志望理由を練りましょう。
【例文】
前職の海外経験が最も生かせると思ったからです。
御社は現在テレビを中心に海外展開を進めており、そのアジアでのシェアは国内メーカーでもトップです。
私は前職において、ベトナムで2年間、現地駐在営業を経験しており、英語はビジネスレベルで話せます。その強みを御社で生かし、グローバルな視点で大きなビジネスを動かしたいと考えました。
「どうして転職しようと考えたのですか?」
ネガティブな理由はNGです。
例えば「前職がつまらなくなったから転職を考えた」というようなネガティブな思いが仮にあったとしても、それをポジティブな言い方に変えて話しましょう。また志望動機と転職理由は矛盾のないよう、必ずシンクロさせておきます。
【例文】
自分のこれまでの経験を生かしながら、さらに事業規模の大きな御社でステップアップしたいと考え、応募しました。
「現在の職場(前職)で最も力を入れていたことは?」
経験を聞くだけでなく、その結果得たものや成果を問う質問です。
できれば仕事の結果や成果を、データや数字という見える形で伝えるほうがベターです。
【例文】
営業戦略の策定です。最初にどのような戦略を立てるかが結果を左右すると考え、商材について入念な調査を行ったうえで営業企画書を取りまとめました。その結果、売上は前年比20%アップとなりました
「将来どんな自分になりたいですか?」
応募者の「キャリアアップを目指し、自身で成長したい」という意欲を確認する質問です。「今回応募したポジションで3年以内にこうなりたい」といった形で具体的に答えるようにしましょう。
目標が明確でない人材は、つまずきがあるとすぐに辞めてしまうと思われてしまうため、イメージしやすいよう具体的に目標を語ることが重要です。
【例文】
多方面で事業拡大を図る御社において、マルチな面で対応できる事務職員を目指したいと考えています。
営業事務や経理、人事管理など、事務のエキスパートとして対応できるスキルを身に付けるべく、 積極果敢にまい進する所存です。現在はマイクロソフトオフィススペシャリストの勉強中です。
コラム:逆質問はチャンスの場!
面接も終盤に差し掛かると、「何か質問はありますか」と問われます。この際、業務内容や不明点など確認したい事項がある場合は、確かめるチャンスです。
また、自分の実績や資格と絡めた質問をすることで、それまでの質疑応答でアピールしきれなかった自分の魅力を伝えられるチャンスの場でもあります。
【資格をアピールする場合の例文】
私の取得した簿記二級の資格が、御社の業務に役立つことはありますか?
【やる気をアピールする場合の例文】
今後リーダーやマネージャーのように責任ある仕事につきたいと考えています。評価制度・昇進制度について詳しくお聞かせください。
※逆質問のコツについて詳しくは→例文から選ぶ!最終面接の「逆質問」攻略法
タイプ別・気を付けるべき面接のコツ
一口に面接といっても、応募する立場によってアピールポイントや気を付けるべき点は異なります。
この章では応募者それぞれのタイプ別に、傾向と対策をまとめました。
第二新卒の面接は前向きさと熱意をアピール
新卒から数年以内で離職した第二新卒がアピールすべきポイントは、「前向きさ」と「熱意」です。
そのため、面接では次の3点を意識して回答しましょう。
- 短期間で辞めた経緯をポジティブに伝え、今度こそは腰をすえて働くという決意を伝えること
- 5年後、10年後など将来を見据えたビジョンやキャリアプランを示すこと
- やる気と情熱が感じられるような言葉を使うこと
面接官に「またすぐ辞めるんだろう」と思われないためには、「入社したばかりで、なぜ転職するのか」を明確にし、転職理由を納得できるかたちで説明しなければなりません。
また、現在の職務スキルが社会人3年目以上の社会人に劣る第二新卒は、ポテンシャルを示すことが何よりも大切です。
30代以上の面接は即戦力であることを前面に
30代以上の転職者は、それまでに培った経験とスキルを生かして、即戦力として貢献できることを前面にアピールしましょう。
30代以上の転職者には多くのスキルが求められます。交渉力やプレゼン能力、マネジメント経験、人脈といった、どこに就職しても通用する「持ち運び可能」なポータブルスキルがあれば、具体的にどんなスキルがあり、どんな成果があったのかをアピールしましょう。
【グループワーク・プレゼンテーション】面接形式別、受かるコツ
新卒採用の際には、グループでディスカッションする形での面接を実施する企業が少なくありません。
さまざまな角度から志望者を見極めたいという一部の企業や地方自治体などでは、グループワークをはじめ、テーマを決めて面接官の前でプレゼンテーションをするプレゼンテーション面接(プレゼン面接)を取り入れています。
それぞれの面接方式で採用を勝ち取るコツを説明します。
また稀ではありますが、中途採用でもグループ面接が行われることもあります。
グループワークは役割分担をすると良い
グループワーク面接は、司会・進行や書記、タイムキーパーなど、最初に役割分担を決めるのがポイントです。
グループワークで重要なのはコミュニケーション能力や協調性ですから、目立つ役割を取るのではなく必要な役割や余っているポジションに積極的に回ってください。
新卒の場合は、新卒同士でディスカッションすることがほとんど。中途採用の場合は、より幅広い年齢層の応募者とディスカッションすることになります。
グループワークのコミュニケーションでは、以下のポイントを意識してみてください。
- グループのメンバーの皆とコミュニケーションが取れているか
- 適度に発言しているか
- 論理的な意見、説得力を持った発言ができているか
- だらだらと同じような議論を続けていないか
- 結論を導けているか
- 相手を否定するような言い方をしていないか
上記に加え、これまでの職歴や経験を絡めた発言ができるとよりポイントが高いです。
プレゼンテーションは話す順序を意識
プレゼン面接では、簡潔かつ短い言葉を用いるように努めつつ、以下の流れを意識して話しましょう。
- 主張…自分が最も伝えたいこと
- 根拠…なぜそう考えたのかのプロセスと経験を生かした具体的なエピソード
- 結論…根拠を基にしたまとめ、主張と同じにはならないよう気を付ける
プレゼン面接でテーマとなるのは、ほぼ3~10分の短い時間でプレゼンテーションできる内容がほとんどです。
決められた時間の中で、情報をかみくだき、理解を深め、結論を道美化なければなりません。そのため、あらかじめ決まった順序のなかで論理を組み立てるのが攻略法となるのです。
事前にプレゼンテーマがわかっている場合は、上記の順序を意識しつつ、スライド資料を用意してください。何度か人前で練習しておけば、落ち着いて話すことができるでしょう。
コラム:面接練習のコツとは?
面接本番は、緊張して普段どおりに話せないことがほとんど。少しでも場に慣れておくためには、面接の練習をするのがベターです。
実際に入室から退室までの流れを踏襲し、本番とほぼ同じ環境・心境を再現してみましょう。
人に手伝ってもらえる場合は相手に面接官役を頼んで、1人の場合は鏡を前に練習すると本番らしさが高まります。
練習の前には質問内容を予測し、志望動機・自己PRなど基本的な内容をまとめ、簡潔に話せるようにしておきましょう。
できれば、練習は動画を撮影しながら行うべきです。自分が無意識のうちにしてしまっている癖やしぐさなどが確認でき、自分を客観視することができます。
笑顔が引きつっていないか、不快に思われる表情をしていないかなど、鏡を見ながらチェックするのも良いでしょう。
まとめ
面接のコツを掴むには、一に準備、二に準備です。
内定を得るためには対策が不可欠だと肝に銘じて、面接の準備に取り組んでください。