Q&Aでわかる 自己都合退職での失業保険の受け取り方

 退職後の支えとなる失業保険。仕事をやめた人に対し国から一定期間支給されるお金のことで、正式には雇用保険の失業給付の基本手当と言います(本記事では「失業保険」と表記します)。

この記事では、自己都合退職時の失業保険にまつわるすべてを、Q&A形式でわかりやすく解説します。

自己都合退職の給付制限が2カ月に短縮されました

自己都合退職の給付制限が、3カ月から2カ月に短縮されました。なお、期間短縮の対象者は2020年10月1日以降に退職した方です。ただし、最新の離職日からさかのぼって5年以内に3回以上自己都合退職をしている場合は、引き続き3カ月の給付制限がかかります。

※出典:「給付制限期間」が2カ月に短縮されます|厚生労働省

Q.失業保険の受け取り、自己都合と会社都合ではなにが違う?

失業保険を自己都合退職で受け取る場合、会社都合退職に比べて

  • 受給するまでの期間が長い
  • 総支給額が少ない
  • 給付日数が少ない

という特徴があります。

失業保険の受給における自己都合退職の不利な点3つ

自己都合退職でも会社都合退職でも、1日あたりに支給される失業保険の支給額に違いはありません

ただ、会社都合の場合は給付制限がなく、7日間の待期期間の翌日から失業保険の受給期間のカウントが始まりますが、自己都合の場合は(1)7日間の待期期間+2カ月の給付制限の翌日からカウントされます。また、(2)最大で支給される給付日数も少なく、それに伴って(3)総支給額も少なくなります

 【失業保険をもらうときの自己都合退職と会社都合退職の違い】(例:20代、年収400万円、勤続5年の場合(令和5年8月時点))<自己都合退職/会社都合退職>1日あたりにもらえる失業保険の支給額:5,979円|支給されるまでの期間:原則7日+2カ月後(2020年10月1日以降の離職)*/7日後|給付日数:90日/120日|最大でもらえる総支給額:53万8,110円/71万7,480円|※*以下の場合は7日+3カ月となります。/・2020年9月30日までに自己都合退職した場合/・5年間以内に3回の離職がある場合/・自己の責めに帰すべき重大な理由で退職した場合。

そもそも失業保険は、倒産や解雇といった会社の都合により突然失業してしまった人のためのセーフティネット。そのため、自己都合よりも会社都合のほうが手厚いサポートを受けられるようになっています。

失業保険の受け取りに大きな違いが出てくるため、自分が自己都合退職なのか会社都合退職なのか、退職前に必ず会社側と合意をとっておきましょう

※会社都合の失業保険について詳しくは→失業保険を会社都合でもらうとき

自己都合でも、給付制限なしで失業保険が支給されるケースがある

自己都合退職者のうち、難病の治療や家族の転勤で退職する場合など、国が定めた特定の理由で自己都合退職したことが認められれば、会社都合退職と同様に7日間の待期期間後すぐに失業保険を受け取ることができます

これを「特定理由離職者」と言います。

■特定理由離職者として認められる退職理由

  • 契約社員などで有期の雇用契約が満了し、希望しても更新されなかった
  • 病気や心身の障害など健康状態が悪化した
  • 妊娠・出産・育児などのために離職し、かつ受給期間延長措置(受給期間を最長3年間延長できる雇用保険法上の手続き)を受けた
  • 両親の死亡や介護等、家庭の事情が急変した
  • 配偶者や親族との別居を続けることが困難になった
  • 会社からの勧奨があった場合には該当しないが、人員整理等による希望退職者の募集に応募した
  • 結婚や事業所の移転などの理由により通勤が困難になった

※参照:ハローワークインターネットサービス – 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

上記の理由に当てはまる場合は、ハローワークで失業保険を申請する時に、その旨を担当者に伝えましょう。

失業保険を受け取る際の詳しい手続き方法は「Q.手続き|実際に失業保険を受け取るまでの流れは?」を確認してください。

Q.金額・計算|失業保険は1日あたりいくら支給される?

1日あたりの失業保険は、退職前の給与日額のおよそ50~80%を受給することができます。

具体的な金額は、退職前6カ月間の給料の総額(残業代は含む。賞与は除く)と退職時の年齢によって決まります。ただし青天井というわけではなく、上限額が決まっています。

【年齢・月給別】失業保険の金額一覧

失業保険の金額は、退職前6カ月間の給料の総額(残業代は含む。賞与は除く)退職時の年齢で決まります。自己都合退職か会社都合退職によって、1日あたりの支給額が変わることはありません。

厚生労働省の発表をもとに試算した、おおよその支給額は以下のとおりです。

【自己都合でもらえる失業保険の金額】(令和5年8月時点)<退職日の年齢/退職前の給料/失業手当//月給/6カ月合計/基本手当日額/月額手当>29歳以下/10万円/60万円/2,666円/7万4,648円|20万円/120万円/4,916円/13万7,648円|30万円/180万円/6,036円/16万9,008円|40万円/240万円/6,666円/18万6,648円|50万円/300万円/6,954円/19万4,712円|30歳~44歳まで/10万円/60万円/2,666円/7万4,648円|20万円/120万円/4,916円/13万7,648円|30万円/180万円/6,036円/16万9,008円|40万円/240万円/6,666円/18万6,648円|50万円/300万円/7,715円/21万6,020円|45歳~59歳まで/10万円/60万円/2,666円/7万4,648円|20万円/120万円/4,916円/13万7,648円|30万円/180万円/6,036円/16万9,008円|40万円/240万円/6,666円/18万6,648円|50万円/300万円/8,490円/23万7,720円|60歳~64歳まで/10万円/60万円/2,666円/7万4,648円|20万円/120万円/4,853円/13万5,884円|30万円/180万円/5,020円/14万0,560円|40万円/240万円/6,000円/16万8,000円|50万円/300万円/7,294円/20万4,232円

具体的には、1日あたりの失業保険の支給額は、以下の計算式で算出されます。

1日あたりの賃金の額(賃金日額)=退職前6カ月の給料の合計(残業代は含む。賞与は除く)÷180

1日あたりの失業保険の支給額(基本手当日額)=賃金日額×0.5~0.8

※60~64歳の場合、賃金日額×0.45~0.8

※参考:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更~8月1日(火)から実施~」(公表:2023年7月26日、参照:2023月7月26日)

支給金額には上限がある

退職前の給与に比例して、失業保険の額も多くなりますが、青天井というわけではありません。1日あたりの支給額には下記のとおり、上限額が定められています

30歳未満 6,945円
30歳以上45歳未満 7,715円
45歳以上60歳未満 8,490円
60歳以上65歳未満 7,294円

(令和5年8月1日時点)

コラム:失業保険の計算例

ここでは、Aさんのケースを例に失業保険の計算方法を解説します。

  • 33歳
  • 年収360万円
  • 10年勤めた会社を自己都合退職

年収360万円のAさんの退職前6カ月間の給与を180万円とすると、180万円÷180日で1日あたりの賃金の額(賃金日額)は1万円になります。

30~44歳で平均賃金が1万円の人の1日あたりの支給額(基本手当日額)は、「0.8×賃金日額-0.3×{(賃金日額-5,110)÷7,470}×賃金日額」で計算されます。

支給金額の計算式に当てはめると、0.8×1万円-0.3×{(1万円-5,110)÷7,470}×1万円で、1日あたりの支給額は6,036円(小数点以下切り捨て)となります。

※令和5年8月1日時点

失業保険の受給金額は、このように複雑な手順と計算式によって算出されます。正確な金額が知りたい場合は、ハローワークに直接問い合わせましょう。

※参照:全国ハローワークの所在案内|厚生労働省

Q.給付期間|どれくらいの期間受給することができる?

自己都合退職の場合、失業保険の給付日数は90~150日です。具体的には雇用保険の加入期間によって決まります

例えば、雇用保険の加入期間が10年以下の場合、給付日数は90日となります。

自己都合で失業保険を受給する場合の給付日数

自己都合退職をした場合の給付日数は、雇用保険に加入していた期間に応じて長くなります

加入期間別の給付日数は、以下のとおりです。

【失業保険の受給期間】   <自己都合退職>(雇用保険に加入していた期間/半年以上1年未満/1年以上5年未満/5年以上10年未満/10年以上20年未満/20年以上) 64歳まで/なし/90日/90日/120日/150日

そもそも自己都合退職の場合、離職前の2年間のうち、雇用保険に加入していた期間が通算12カ月以上なければ、失業保険を受け取ることができません。新卒1年目で辞めると失業保険が支給されないので注意しましょう。

ちなみに、加入期間は、前職を辞めてからの離職期間が1年以内で、かつ今まで一度も失業保険を受け取ったことがなければ合算することができます。

【離職期間がある場合の雇用保険の加入期間】離職期間が1年以内であれば合算できる。1社目が3年、2社目が6年、3社目が2年の場合、合計11年。

会社都合と「有期雇用契約が更新されなかった」場合、給付日数が多い

会社都合退職と、特定理由離職者のうち「契約社員などで有期の雇用契約が満了し、希望したにもかかわらず更新されなかった」場合の給付日数は、自己都合退職よりも多くなっています。

具体的な給付日数は、以下のとおりです。

【失業保険の受給期間】 <会社都合退職>(雇用保険に加入していた期間/半年以上1年未満/1年以上5年未満/5年以上10年未満/10年以上20年未満/20年以上) 29歳まで/90日/90日/120日/180日/なし |30~34歳/90日/120日/180日/210日/240日 |35~44歳/90日/150日/180日/240日/270日 |45~59歳/90日/180日/240日/270日/330日 |60~64歳/90日/150日/180日/210日/240日

※「契約社員などで有期の雇用契約が満了し、希望したにもかかわらず更新されなかった」人は、退職日が平成21年3月31日~令和7年3月31日に該当する場合のみ所定給付日数が表のとおりになる。該当しない場合、給付日数は自己都合退職の場合と同様。

会社都合退職の場合、雇用保険の加入期間だけではなく、退職時の年齢によっても給付日数が異なります。また、離職前の1年間のうち、雇用保険に加入していた期間が6カ月以上あれば、失業保険を受け取ることができます。

Q.手続き|実際に失業保険を受け取るまでの流れは?

失業保険を受給するには、まず退職前に以下の2つのことを行います

  • 雇用保険被保険者証を受け取る
  •  離職票をいつ受け取れるのか確認する

退職後、離職票が届いたらハローワークに行きます。その後、以下の流れで失業保険を受け取ることができます。

  1. 求職申込書や離職票などを提出する 
  2. 7日間待機する
  3. 雇用保険受給説明会に出席する
  4. 1回目の失業認定日にハローワークに行く
  5. 2回目の失業認定日にハローワークに行く

【退職前】雇用保険被保険者証と離職票の準備

失業保険を受け取るために必要な手順のうち、退職前に行う2つのことを詳しく解説します。

【失業保険をもらうために退職前に行う2つのこと】1…雇用保険被保険者証を受け取る。2…離職票をいつ受け取れるのか確認する。

(1)雇用保険被保険者証を受け取る

雇用保険被保険者証とは、文字通り雇用保険の被保険者であることを証明する書類のこと。まれに本人に配布されている場合もありますが、基本的には会社が預かっているので、退職時に受け取れるよう、事前に確認しておくと安心です

紛失してしまった場合は、居住地を管轄するハローワークで再発行を申し込みましょう。

※詳しくは→雇用保険被保険者証とは?

(2)離職票をいつ受け取れるのか確認する

離職票は、失業保険の手続きで必ず必要になるもので、雇用保険被保険者番号などが書かれた「離職票1」と、退職理由や退職前6カ月間の給与額が書かれた「離職票2」の2枚があります。

基本的には退職後10日以内にハローワークから自宅に郵送されますが、退職前にいつ受け取れるのかを会社に確認しておくと安心でしょう

そもそも離職票は、会社が用意した「離職証明書」の内容を確認し、本人記入欄を埋め、それを会社がハローワークに提出することで発行されます。退職する前に離職票が必要であることを会社に相談しておくと、郵送の後回しや遅れを防げるでしょう。

※離職証明書について詳しくは→離職証明書とは?

※離職票が届かない場合は→離職票が届かない…対処方法まとめ

また、離職票が届いたら、書かれている内容に間違いがないか確認しましょう。その際に注意すべきポイントを紹介します。

離職票1で注意すべきポイント3つ

「離職票1」で注意すべきポイントは以下の3つです。

【離職票1で注意すべきポイント3つ】(A)資格取得年月日(B)離職年月日(C)喪失原因

(A)(B)は給付日数や受給金額などの受給内容を、(C)は退職理由が自己都合か会社都合かを左右します。

受給条件が不利にならないよう、間違っていないか必ず確認してください。

離職票2で注意すべきポイント3つ

「離職票2」で注意すべきポイントは以下の3つです。

【離職票2で注意すべきポイント3つ】(A)離職日以前の賃金支払い状況 (B)離職理由(C)具体的事情記載欄

こちらも失業保険の受給内容や、退職の種別に大きく関わります。(A)では基礎日数(基本給が支払われた日数)と期間について、(B)(C)では退職理由の認識が会社側と食い違っていないか確認しましょう。

もし離職票に書かれた離職理由に納得できない場合は、ハローワークから会社に事実確認をしてくれます。離職理由によって、失業保険を受け取るまでの期間や給付日数が変わることもあるので、まずは窓口で相談しましょう。

※出典:

【退職後】失業保険を受け取る際の5ステップ

離職票が届いた後、実際に失業保険を受給するまでの流れを5つのステップに分けて解説します。

自己都合退職で失業保険をもらうための5ステップ:求職申込書や離職票などを提出する→7日間待機する→雇用保険受給説明会に出席する→1回目の失業認定日にハローワークに行く→2回目の失業認定日にハローワークに行く⇒受給開始!!!

ステップ1:ハローワークで申込書や離職票などを提出する

居住地を管轄するハローワークで、申込書と離職票に必要事項を記入し、提出します。その際に面談が行われ、退職理由を判定されたのち、失業保険の受給資格が決定します。この日を受給資格決定日といいます。

当日は以下の持ち物を忘れずに持っていきましょう。

失業保険申請時の持ち物

※2022年10月1日以降に受給資格決定が行われた人について、本人の希望があれば、マイナンバーカードによる本人認証を活用することで、顔写真を用意する必要がなくなりました。なお、本人が希望しない場合は従来どおりの手続きとなり、写真が必要となります。
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/saitama-roudoukyoku/content/contents/001280862.pdf

ステップ2:7日間待機する

求職の申し込みをした後、7日間待機します。申請時にハローワークでもらった資料などに目を通しておきましょう。

この期間は「完全に失業状態にあること」を確認して受給するための期間なので、アルバイトなどをするのはNG。就業しているとみなされ、給付が遅れてしまう可能性があります。

詳しくは、次の章の「Q.失業保険受給中にアルバイトをしてもいい?」で解説します。

ステップ3: 雇用保険受給者説明会に出席する

ハローワークが開く「雇用保険受給説明会」に出席し、失業保険を受け取る際の重要事項についての説明を受けます。開催日時は申請した日から1~3週間後に設定されることがほとんど。具体的な日時は申し込みのタイミングで教えてもらえます。

ステップ4:1回目の失業認定日にハローワークに行く

受給資格決定日の4週間後にある1回目の「失業認定日」に、ハローワークに行きます。この失業認定日は「求職活動をしているものの、失業中であること」を確認するために設けられています。

よって、失業認定日には、ハローワークに求職活動中であることを証明するため、それまでの求職活動の内容を報告しなければなりません。その際、原則として2回以上の求職活動の実績が必要になります。

求職活動として認められるのは、以下のような内容です。

  • 雇用保険受給説明会への出席
  • ハローワークで行われている講座やセミナーへの参加
  • 転職フェアなど民間の転職イベント・セミナーへの参加
  • ハローワークでの職業相談
  • 企業の求人への応募
  • 資格試験の受験

求人情報の閲覧や知人への就職先の紹介依頼は、求職活動として認められないので注意しましょう。

ステップ5: 2回目の失業認定日にハローワークに行く

2回目の失業認定日に再度ハローワークに行って書類審査と面談を受けると、1週間前後で指定の口座に失業保険が振り込まれます

2回目の失業認定日は、自己都合退職の場合、定理由離職者と認められない限りは2カ月の給付制限明けになります。会社都合退職の場合、2回目の失業認定日は1回目の失業認定日の4週間後。一方、自己都合退職の場合、その日は給付制限中にあたるので行かず、そのさらに4週間後が2回目の失業認定日になります

仮に受給資格決定日が4/1で1回目の失業認定日が4/29の場合、2回目の失業認定日は5/27ではなく、6/24になります。

【自己都合退職の場合の失業保険が振り込まれるまでのスケジュール(例:受給資格決定日が4/1)】仮に受給資格決定日が4/1で1回目の失業認定日が4/28の場合、2回目の失業認定日は4週間後の5/27ではなく、そのさらに4週間後の6/24になります。給付制限は待期期間後の4/8の2ヶ月後である6/7までとなり、その翌日6/8から2回目の失業認定日である6/24の前日の6/23までの16日分が振り込まれます。

初回に振り込まれる金額は、給付制限が解除された日の翌日から2回目の失業認定日の前日までの日数分となります。

仮に4/1が受給資格決定日であれば、給付制限は待期期間後の4/8の2カ月後である6/7までとなり、その翌日から2回目の失業認定日である6/24の前日までの16日分が振り込まれます。

また、これ以降4週間ごとに設定される失業認定日にハローワークに行くことで、その都度4週間分の失業保険が振り込まれることになります。

ただし、スケジュールはあくまで一例です。詳しくは居住地を管轄するハローワークの窓口で確認しましょう

コラム:再就職が早く決まればお祝い金がもらえる!

失業保険の所定給付日数を3分の1以上残して再就職した場合、お祝い金として「再就職手当」がもらえます

※7日間の待期期間後であれば、給付制限中でも再就職手当をもらえますが、待期期間後1カ月以内に限っては「ハローワークや厚生労働省が許可した職業紹介事業者」からの紹介によって再就職が決まった場合のみ受給することができます。

3分の1以上残して再就職した場合は、「基本手当日額×支給残日数」に支給率60%をかけた額をもらえます。3分の2以上を残して再就職した場合は、支給率は70%となります。

ただし、この「再就職手当」は、再就職が決まればすぐに振り込まれるものではありません。再就職手当の申請から1カ月後、ハローワークが転職先に雇用状態を確認してから支給されるものなので注意しましょう。

※詳しくは→再就職手当をもらうための8つの条件とは?

Q.失業保険受給中にアルバイトをしてもいい?

7日間の待期期間後であれば、アルバイトをしても問題ありません。ただし、失業認定日にハローワークで申告する必要があります。

ハローワークで申告する必要がある

失業保険の受給中にアルバイトをした場合、失業認定日に提出する「失業認定申告書」に働いた日数や収入などを記入しましょう。総支給額を減らしたくない場合、1日あたり4時間以上働くようにするのがおすすめです。というのも、4時間以上働いた日の分は失業保険が支給されない代わりに、最終支給日が1日あとに繰り越されるからです。一方、4時間未満だと、給付額からアルバイトの金額が差し引かれて支給されてしまいます。また、雇用保険加入条件に該当しないように1週間で20時間未満とすること。さらに1日4時間以内のアルバイトの場合でも、1日の基本手当の金額の80%よりも多く稼いでしまうと、失業保険は支給されなくなってしまいます。

※詳しくは→失業保険受給中のアルバイトはOK?

申告しないと支給が打ち切り&罰金

アルバイトを申告せずに失業保険を不正受給していた場合、支給が打ち切りになると同時に、ペナルティとして、受給していた失業保険の3倍の額を支払わなければいけません

具体的な罰則は、以下の3つです。

  • 失業保険の打ち切り(支給停止)
  • 基本手当と同額の返還(返還命令)
  • 支給額の2倍に相当する額の支払い(納付命令)

アルバイトをする際は、必ずハローワークに申告しましょう。

Q.職業訓練とは?給付制限がなくなるって本当?

職業訓練とは、独立行政法人や自治体が主催するスキルアップのためのセミナーや講座のこと。受講料は無料で、日額500円の受講手当に加え、遠方から通う場合は交通費も支給されます。

職業訓練は、失業保険の受給において以下の3つのメリットがあります。

  • 給付制限がなくなる
  • 失業保険の支給期間が延長される
  • 給付申請の手続きが楽になる

※詳しくは→職業訓練校とは

失業保険の受給における、職業訓練の3つのメリットについて、詳しく解説します。

メリット1|給付制限がなくなる

本来、自己都合退職(一般受給資格者)には2カ月の給付制限がありますが、公共職業訓練を受講すると給付制限が解除され、すぐに給付を受けられるようになります。受講の申し込みは退職前であっても可能なため、受講開始日を退職直後に設定することも可能です。

メリット2|失業保険の支給期間が延長される

職業訓練を受講する場合、訓練が終了する日まで延長して失業保険を受給できるようになります。公共職業訓練には1カ月~2年までさまざまな期間のコースがありますが、いずれの場合でも訓練の最終日までは給付日数が延長されます

メリット3|給付申請の手続きが楽になる

公共職業訓練を受講すると、毎月末が失業認定日となり、訓練校側が手続きを一括して代行してくれるようになります。失業認定日のたびに失業認定申告書を記入したり、ハローワークに通ったりする手間をなくすことができます。

まとめ

失業保険を受給するまでの待期期間

会社都合の場合は7日間。自己都合退職では7日間に2カ月の給付制限が追加される。

1日あたりの失業保険の支給額

自己都合退職の場合、退職前の1日あたりの給与額のおよそ50~80%。ただし、退職する直前の給与と年齢によって異なり、上限もある。

失業保険の支給期間

自己都合退職では、雇用保険の加入期間が10年未満の場合、給付期間は90日。10年以上20年未満の場合は120日。20年以上の場合は150日。

失業保険の手続き方法

まずは「雇用保険被保険者証」と「離職票」をいつ受け取れるのかを確認。離職票が届いたら、ハローワークに必要な持ち物を持っていけばOK。

失業保険受給中のアルバイト

7日間の待期期間はNG。1日あたり4時間以上働くようにするのがベスト。また、ハローワークには必ず申告を。

失業保険における職業訓練の活用方法

「失業保険の支給期間の延長」「給付制限なしで即失業保険が支給される」「失業認定日の手続きを代行してくれる」といったメリットがある。

(文:転職Hacks編集部)

この記事の監修者

社会保険労務士

山本 征太郎

山本社会保険労務士事務所東京オフィス

静岡県出身、早稲田大学社会科学部卒業。東京都の大手社会保険労務士事務所に約6年間勤務。退所後に板橋区で約3年開業し、2021年渋谷区代々木に移転。若手社労士ならではのレスポンスの早さと、相手の立場に立った分かりやすい説明が好評。様々な業種・規模の会社と顧問契約を結び、主に人事労務相談、給与計算、雇用保険助成金などの業務を行う。

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