有給休暇や遅刻の理由になる? 「私用のため」の意味・使い方
有給休暇を申請したり、遅刻・早退したりするとき、その理由を「私用のため」としても良いのでしょうか?
「私用のため」の意味や正しい使い方について説明します。
「私用のため」の意味とは?
私用=個人的な用事
「私用」とは、旅行や通院、冠婚葬祭などの個人的な用事を指します。「私用のためにお休みをいただきます」といった使われ方が一般的です。
似た言葉に「所用」がありますが、こちらは私用のみならず、公用も含む用事全般を指します。
◆私用とされる範囲
- 旅行やレジャー
- 通院
- 銀行や役所での手続き
- 家庭内の用事(子どもの学校行事など)
- 冠婚葬祭
◆公用とされる範囲
- 国や公共団体などの用事(裁判員制度で刑事裁判に参加するなど)
私用と同じ意味で使われる言葉として「私事都合(しじつごう)」があります。
また、私用の中でも、家族の通院の付き添いなど、家庭内の用事では「家事都合」が使われることもあるようです。
「私用のため」の使い方OK例・NG例
「私用のため」は、実際にどのような場合に使用できるのか説明します。
◆OK例
- 有給休暇の申請
- 休暇を知らせる社内連絡
◆NG例
- 当日の遅刻・早退
- 社外への連絡
OK例1:有給休暇の申請
通院や役所での手続きなど、個人的な事情で有給休暇を申請する際、申請用紙などに申請理由を記入する欄があれば「私用のため」と書くのが一般的です。
ただし、会社によってはもっと詳しく書くように求められることもあるので、そのときは「旅行に行くため」「通院のため」などと、大まかな理由を書きましょう。
具体的な場所や用事まで詳しく説明する必要はありません。
コラム:有給の申請理由を言う義務はあるの?
有給休暇は労働者の権利として労働基準法によって保障されており、会社に具体的な取得理由を伝える必要はありません。
ただし、とりわけ会社の繁忙期などは、有給の申請理由を聞かれることもあります。
なぜなら、会社側は業務に支障が出ないよう、申請理由によっては取得日を調整したいと考えているからです。この調整する権利を「時季変更権」といいます。
もし、申請理由を聞かれたのち、取得日を変更するよう言われた場合は、可能であれば予定を調整することも考えましょう。
※有給休暇の理由について詳しくは→上司に言いやすい有給の理由5選
OK例2:休暇を知らせる社内連絡
会社を休んだり早退したりすることを、同僚や部下にメールで事前に伝えるときも「私用のため」で良いとされています。
電話や口頭で伝えるときも「私用のため」で問題ありませんが、話の流れで理由を聞かれることも多いようです。その場合は、答えられる範囲で答えましょう。
【メール例文】
〇月〇日は、私用のためお休みを頂きます。
担当している□□の案件については、△△さんに対応をお願いしてあります。
お手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。
NG例1:当日の遅刻・早退
当日の遅刻・早退など緊急の場合は、極力「私用のため」を使わず、「体調不良のため」など、そうせざるを得ない具体的な理由をしっかり伝えましょう。
私用という表現で曖昧にすると、上司や同僚に不誠実な印象を与える可能性があります。
NG例2:社外への連絡
取引先など社外の人に休みを伝える場合は「所用のため」を使う方が無難です。
ビジネスシーンでは「私用」よりもかしこまった表現として「所用」が使われる場合が多いようです。
【メール例文】
いつもお世話になっております。
現在□□の案件について対応させていただいておりますが、
〇月〇日は、所用のためお休みを頂いております。
そのため、当日お問い合わせいただいた内容につきましては、
翌日にお返事させていただきます。
こちらの都合でご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
まとめ
「私用」とは個人的な用事のことを指し、「私用のためにお休みをいただきます」といった使い方で、有給休暇の申請などで使用することができます。
社内で同僚や部下に休みを伝えるときにも使えますが、社外への連絡は「所用のため」が無難です。
当日の遅刻や早退の理由としても不適切なので、状況に応じて使い分けるようにしましょう。
▼「休むのも仕事」って本当?
▼休みたいときは思い切って休もう
▼「休みづらい」「有給取りづらい」